この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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えぇ、大変長らくお待たせいたしました。
オリジナル展開にして新章【終焉の翳と角笛の旋律】編、今話ラストになります。




END OF PARALLEL WORLD

 

 

 

 

『基本世界』雄英高校。

『並行世界』からの襲撃の件などを外部に漏れないようにしながら、教師たちは緑谷と幻神をどう捜索し、救出するかで悩んでいた。

しかし彼らが世界を超えたのであれば、それらに関する"個性"持ちを探さないといけない為、きわめて困難と言えよう。

 

幸いA組以外の生徒たちは気づいておらず、公安にも届いていない。

故に彼らは『並行世界』で起きたことを知らない為、未だ敵対関係に近い形となっている。

そんな中、相澤先生は一人の男から取り出した黄色いテレポートジェムを見ながら吹いた。

 

「これでその世界に行けるという訳か」

 

「事実上な。だがそれはあくまで片道切符。救出し戻るためにはもう一つ必要。だがそれは造るに至ってその世界の座標が必要になる。この世界はまだ座標がセットされていないし、製造にも時間がまだかかるから意味はないぞ」

 

「おい、あまり挑発するな。やり方はあれだったが別に殺し合いをするわけじゃないんだぞ」

 

「けど事実を言ってやらないのもかわいそうだろうが」

 

だが彼らにとって(ヴィラン)である部下たちは、何故か既に敵対の意志がない様に見えていた。

潔く諦めたのか、はたまた何か企んでいるのか、どっちにしても相澤たちは未だ警戒し拘束を解く気はない。

 

「なるべく世間に知られないようにしながら解析し、我々も同じものを作るしかないか」

 

「あぁそれね。それ以外で彼らの小物を、サポート科のごく数名だけど確認してもらったんだ。そしたらあの発目すら「理屈がおかしい」と言ってしまう代物だ」

 

「そうなんですか!?」

 

「あぁ……君たちは、君たちの世界の天堕の記憶と彼女の"個性"の力を利用して作り出したと言っていたね」

 

「正確には再現だ。全く同じものなんてできない。出来た物も多くあるが、それでもだ。なんせ本人ですらこの世界では再現できなかったり存在しないものを具現化させるのは厳しいと言い、別の代用になる物と置き換えることで無理やり成り立たせてるんだ。それはそれらを俺たちなりに再現し、完成させたと言えるものだ。当初はそれ一個作るのに1年以上はかかったぜ?」

 

1年、その言葉を聞いて教師たちは絶句した。

相澤が今手にしている黄色いテレポートジェム、それは元々天堕の前世の知識と『紡心(アクシア)』の再現し具現化させる力でしか生み出されることのない代物。

それを本人なしでやるには相当な時間と労働、ましてやそれらの知識が多く必要になるだろう。

 

だが『並行世界』の彼らはそれを成功させた。

やり方は良くないだろうが、それでもだ。

しかし彼らは天堕もありで行い成功させている。

 

つまりこちらも同じものをするには彼らの記憶を覗くか、本人がいないと不可能に近いということだろう。どうするかとほぼ行き止まり状態の教師たちの、今では隔離にも使用している会議室に一人の生徒が入って来た。

 

「先生!!」

 

「ッ! 飯田、今は——」

 

「申し訳ありません! ですが、ですが今! 雄英高校の直上に謎のゲートらしきものが出現しました!!」

 

「なっ!?」

 

教師たちは急ぎ雄英を出てグラウンドへ移動する。

だが既にグラウンドには、授業という名の自習をしていたA組がおり、全員が上を見上げている。

教師たちも続くように見上げれば、その見上げた先の雄英高校の直上に、黄色と黄緑の輝きと稲妻を漏らしうごめく輝く深緑色の、規模の大きいゲートが開いていた。

 

まさか再来かと身構え、一部はすぐに避難指示をしようと動き出す。

そして次の瞬間、ゲートから3機の『VF-31 ジークフリード』が現れた。

 

「あれは…神野区で天堕が作り出していた戦闘機…!?」

 

「形状ガ大キク違ウガ、アレガ攻撃シテ来タラ厄介ダ。先ニ先手ヲ打タネバ」

 

エクトプラズムの言葉を聞いた、遠距離技を持つ者たちはすぐにでも墜とそうと構える。

 

「待って!!」

 

だがオールマイトがそれを止めた。

相澤たちは何故と問い、それでも目線は『VF-31』を見ている。

しかし次の瞬間——彼らの耳にそれは届き響いた。

 

「——…な~!」

 

全員が思わず上を見上げる。

見上げた先に飛行しながら向かってきている3機のうち、中央の青い『VF-31』がキャノピーを開いている。

そしてそこから身を乗せて手を振っている者がいた。

 

その姿を露にし、目にした教師やクラスメイト達は驚愕した。

 

「——みんな~!!!」

 

「「「天堕!!?」」」

 

その正体は前席から立ち上がり、手を振るう幻神と、後部座席から同じように顔を覗いている緑谷の2人だった。

だが機体のバランスが崩れてしまい、咄嗟に幻神は座り操縦桿を握り直す。

すぐに『ファイター』から『ガウォーク』に変形させることで、何とかバランスを取り戻し、そのまま彼らの直上へと移動し高度を下げ始めた。

 

それに続き紫と黒の『VF-31』も変形し降下していき、やがて脚部が地に付き、2人は『VF-31』から降りる。

戦闘がやはりあったのか、少なからず包帯などを巻いているが、五体満足でいるその姿にA組は1人を除き全員が駆け出した。

 

それを見た幻神は思わず顔を歪ませ、同じように駆け出した。

 

「みんなァ~!!!」

 

全員が無事でよかったと安堵し、確かめ合うように抱きしめ合う。

 

「無事でよかったよォ!!」

 

「私また、神野の時みたいに幻神ちゃんが大変なことになってると思っててぇ……!」

 

「ごめん! 心配かけて…会いたかったよォ!!!」

 

緑谷もまた男子たちに肩を組まれたりする形で心配されていた。

 

「無事でよかったぜ本当に!!」

 

「う、うん…いろいろあったけどもう大丈夫なんだ」

 

「本当か!? インターンの後にあんなことになったんだぞ!! 心配するわ普通にマジで!!」

 

「…ごめん、ありがとう」

 

ちゃんと温もりを感じる。

姿を見て、声を聴いて、言葉が通じている。

ふと、幻神と緑谷は目が合う。

 

そして思わずとばかりに笑顔になり実感する。

帰って来たんだと、元の世界に…自分たちの大切な友人たちがいる世界に。

 

「——無事についたみたいね」

 

感動の再会を嚙みしめているのもつかの間、この間の襲撃で聞いたばかりの声が彼らの耳に届く。

幻神と緑谷を除いた全員が驚愕し、声の方へ向けば、アリスがイヴと共に降りていた。

 

「お、お前は…寮を襲撃した(ヴィラン)!?」

 

「それにイヴちゃんまで!?」

 

「まさかまた…!」

 

「待って! これには事情が——」

 

緑谷が言い切る前に捕縛布が伸び、一瞬にしてアリスを捕縛した。

アリスは抵抗せず素直に受け入れるが、それに気づいた幻神も慌てて止めに入る。

 

「待ってください相澤先生!! アリスさんは——」

 

「——どんな事情があろうと雄英を襲撃し、うちの生徒2人を攫ったんだ。拘束する理由に他ならないだろ」

 

相澤の言葉に思わず二人は口を閉じてしまう。

どんな理由があろうと、自分たちと違いずっとこの世界で生徒の心配をしていた教師からしてみれば、そうなるのも無理はない。

 

「……それも含め謝罪をしに出向きに来たわ。イレイザーヘッド」

 

(ヴィラン)の言うことを信じろと?」

 

「信じてほしいとは言わない。ただ、あなた方への謝罪、向こうで何が起きたのか、その全てを包み隠さず話すつもりよ。拘束はしたままで構わない。武器も全部押収していいわ」

 

後方にてイヴがオロオロと戸惑う。

イヴは事情並びに既に相澤たちとは面識があったために拘束されていない。

否、むしろ傍にいることで人質にされているとも思い、先手必勝にて拘束したのだろう。

 

まさにプロヒーローとしての行動力でもある。

相澤はそのままアリスを連れて行こうとするが、アリスの傍に1人が歩み寄った。

 

「——拘束されるんだったら、わたしもされなきゃ道理がないでしょ?」

 

その人物へと視線を向けた相澤は、否、生徒や他の教師たちも驚愕した。

 

「天堕が2人ィ!!?」

 

「いや、まさか…」

 

「そっ、こうして意識がしっかりした状態での対面は『並行世界』とはいえ初めましてね……()()()()?」

 

「……もう一人の、天堕幻神か」

 

黒換ミネ。

彼らにとっては『基本世界』ですら会ったこと、会話をしたこともない存在。

 

「正確には黒換ミネのほうだけどね。わたしもこっちに来てあなたたちに酷いことをしたんだから、拘束されないと意味ないでしょ?」

 

「ミネ、あなたは自分の意思でやったわけじゃ——」

 

「——それでもよ。1人で罪を背負わせはしないわ。何よりあなたは、パパが最も信頼した人だもの」

 

「……ごめんなさい」

 

「そこはありがとう。でしょ?」

 

そう告げたミネの表情を見たアリスは微かに目を見開く。

何故なら彼女の微笑む顔は、最後まで仕えると誓った局長にして、黒換ミネの実の父の微笑み方に似ていたからだ。

そしてアリスはゆっくりと同じように微笑み、告げた。

 

「——ありがとう」

 

本当は局長の娘であるのだから、お嬢などを付けたい。それがアリスの秘かに思う気持ちだが、ミネは必ずそれを拒むだろう。

故にアリスはその思いを心にしまいながら、共に相澤連行されていく。

 

その姿を幻神と緑谷は心配しながらただ見つめることしかできなかった。

 

 

——◆——

 

 

拘束され連行されたアリスたちと連行している相澤は校長室前に来ていた。

先の会議と衝動の際も、根津校長だけは動かずにいた。否、公安などの対応の方を優先していたために自室でもある校長室で作業をしていたが正しいかもしれない。

 

ノックすれば校長が返事をし、相澤が扉を開けて連行しながら校長室へと踏み入る。

本来なら襲撃の件もあって厳しめの対応をするのが当たり前。

だがそれとは裏腹に、出迎えた根津校長はにこやかな表情と共に前に進み出た。

 

「初めまして、異世界…いや、『並行世界』の諸君。改めてようこそ、雄英高校へ。本当なら茶などでもてなしたいが、申し訳ない。こちらもこちらで事情があってね」

 

「その事情は重々承知しています。そしてその件に関して、今回お恥ずかしい姿ではありますが雄英に入らせていただきました」

 

拘束状態であるが、襲撃時と違い丁寧な言葉遣いにて答え頭を下げる。

それを見た根津は相澤に視線を向けた。

 

「相澤君。拘束を解いてあげてくれるかな」

 

「コイツ等はうちのクラスに襲撃した挙句、緑谷と天堕を誘拐した張本人ですよ。このままの方が対応できます」

 

「君の気持はよくわかる。だがプロヒーローである君なら分かるはずだ。彼女たちに敵意や抵抗の意志がないことを」

 

相澤はチラッとアリスとミネへ視線を向ける。

二人とも抵抗する意思がないのは相澤にもわかっていたが、一度は襲撃を受け、あろうことか緑谷と幻神を拉致している。

加えて"個性"でないものの張り合えるもの、上回る力を物として装備している。

 

その一つに一定範囲限定で"個性"を封じるものもある故油断したら命取り。

相澤は消されても戦闘スタイルの関係上ある程度問題はない。

"個性"を消したところで封じれる保証は完全にない。

 

だが根津は揺るがない眼差しと、責任は取るという意思がある事を同時に理解もしていた。

 

「先も言った通り、武器を押収していいわ。このままでも構わない」

 

アリスも本来ならこうして話すことすら許されないことを理解している。

故に反抗を見せない。

相澤は大きなため息を漏らし、捕縛布を解いた。

 

「武器を寄こせ」

 

「えぇ……はい」

 

アリスは懐にしまってあるフリントロック型の『スペルキャスター』と、いくつか常備してあるテレポートジェムを取り出し、相澤へと迷いなく手渡した。相澤は受け取ったそれらをまじまじと見る。

一見すればただ洒落たフリントロックと変わった作りの液体入り瓶に見えるだろうが、これらがサポートアイテムをも凌駕する未知の力を秘めている。

 

根津がソファに座ったのを見て、相澤はその傍でいつでも拘束できるように待機する。

アリスとミネも反対側のソファに座った。

 

「さて、それじゃあこちらに座ってほしい。茶は出せないがせめて立ち話などはせずに楽にして話そうじゃないか」

 

「はい。これから私たちがあなた方に行ってしまった行動の真実も含め、全てを明かします。話をまとめるためにもそれらを資料としてもまとめてありますので、そちらも確認していただけると幸いです」

 

アリスは錬金術を行使する。

それを見た相澤は拘束しようとするが、根津が止めた。アリスは(パープル)の錬成陣を出し、そこから多くの資料を取り出して机に広げながら置いていく。

 

それを根津は手に取り読んでいく

一方でアリスも点々と、自分たちの世界で起きたことと今に至るまでの出来事と語っていった。

 

世界が、日本全体が1人の少女の悲しみによって起きた大きな悲劇に包まれ、その正体が始まりの少女の怨念に飲まれた復讐心と繋がっていたことを。

それを打破するために己を偽り、世界を救うために世界の敵となり、多くの代償を支払ったことを。

 

それは一人の男が全てを敵に回しても一人の娘を救う為。

賛同した者たちがどんな結末になろうと、後に生きる者たちが無事に生きていける世界へ戻す為。

全ての元凶を倒し、悲劇に終止符を打つ為。

 

そして一人の日陰が、始まりの少女をその胸の歌で救う為。

 

最初こそは敵対関係にあった2人は当初は拉致する予定もなかった。

だが元凶……終わりなき災禍を止めるのに、自分たちが準備してきた力や兵器などでは到底無理だと悟っていた。

苦痛の決断を下したその時、偶然にも『並行世界』へ飛ぶことの出来る"個性"を持つイヴが逃走。

 

その逃走先に、陽だまりと太陽であるあの二人がおり、拉致するという形で己の世界へと移動させ、戦力に加えた。

2人も最初こそ敵意を見せており、自分たちも利害の一致のままでいいと思っていた故、敵意をわざと見せていた。

しかし状況は自分たちが思っていたよりも深刻に起こってしまい、最終的に肩を並べ戦い、その行動から和解することが出来た。

 

利用された日陰と一番の被害者である始まりの少女、そして世界を救うことができたのは間違いなく幻神と緑谷、あの2人がいたからこそ。

そして戦いが終えた後は2人を元の世界、『基本世界』に返すための準備をし、完了した今こうしてこちらの世界に来た。

願わくば罪滅ぼしをしたい。

 

一方的に悪として無関係である2人を、否、A組と教師たちを巻き込んだ故の責任からと、アリスは語った。

 

「………つまり、その終わりなき災禍との戦いは終わり、君たちの目的も達したと」

 

「信じてもらいたいとは言いません。それに信じられないでしょうし…でも、私たちだけじゃそれは叶わなかった」

 

「信じられないな。それにあれが嘘だったとしても、行ったという過去は変わらないんだ」

 

「重々承知しているわ、イレイザーヘッド。でも、嘘を言うよりも包み隠さず真実を伝えたかった……それだけよ」

 

相澤は鋭い眼差しでアリスを睨むが、アリスはそれは当然であると平然と受け止める。

しばしの沈黙の後、根津は口を開いた。

 

「罪滅ぼしをしたいと言っていたね?」

 

「叶うのなら是が非でも。あなた方が私たちとはもう一切干渉するなというのならしません。私たちが帰投する前に、干渉したあなた方全員の記憶を操作して消去します。そうすれば何事もなかったことにできます」

 

「ちょっ、アリスそれはいくら何でも…!?」

 

「それぐらいのことをしたことに変わりない。それに、最初からそんなのなかったということにした方が幸せなこともある」

 

ミネは思わず立ち上がるも、アリスは冷静に落ち着かせ、自身の覚悟を証明するように言いきる。

ミネもまた、事情は事情であるがしたことに変わりはない故、反論も出来なければ彼女が言うことは最もな手段の一つであると理解していた。

そしてついに、根津は答えた。

 

「分かった。その罪滅ぼしは受け入れるよ。ただ今後、我々では対処しきれない事態に陥ったとき——君たちの力を貸してほしいのさ」

 

「——校長!?」

 

予想外の提案と受け入れに相澤は思わず根津へと振り向く。

だが根津は肉球を翳して静止させる。

一方でアリスは驚愕しており、ミネも予想外の展開とばかりの口を開けていた。

 

「そ、そんなことでいいんですか? あ、いえ…否定したわけではなく、もっと大きな罰を下してくると思っただけで…それこそ先ほど私が言った内容でも……」

 

「違うよ。これもまた君たちへの罰さ。君たちの世界もこれから大変だろうけど、それでも、我々からの要請があった場合に限りさ。もちろん、『並行世界』という希少すぎるのも必要に応じて活用したい。例えば、あなた方の世界でしか存在しない錬金術というもの。あれらを利用した訓練や、救助や奉仕活動としてもいいと思うんだ。だけど君の世界の状況を見るにそう言ったのに踏み入れるのもよろしくないと思う。君次第だが…どうだい?」

 

「……ぎゃ、逆によろしいんですか?」

 

「あぁ、君たちに敵意がないのはもうわかった。緑谷君たちが無事な事、君の覚悟は理解したさ。だからこそ、ここからは協力していこうじゃないか」

 

それを聞いたアリスは思わず涙を漏らし、ミネはそっと背中をさすった。

 

「ありがとう、ございます……そして、死ぬその時まであなた方のお力になるよう、精進しお答えしていきます…!!」

 

「あぁ、そちらも困ったら遠慮せず言ってくれ。これからよろしく頼むよ。アリスくん」

 

「…はい。根津校長」

 

根津は手を伸ばし、アリスはそれを取り、固い握手を交わした。

その後『基本世界』に残されたアリスたちの仲間は無事に解放され、彼らもまた結末を知り喜びと悲しみに包まれた。

 

 

——◆——

 

 

「じゃあこれからも会えるの!?」

 

尋問…というべきか断言はできない話し合いを終えたアリスは、その後について話し合うために未だ校長室に残り、相澤も万が一のために残っている。

一方でミネは後から来たオールマイトに連れられ、A組の元に戻り、先の話の内容をサイカの頭を撫でながら語っていた。

 

「みたいよ。でもまぁ、基本的には会う機会は少ないと思ったほうがいいかもしれない。わたしたちも自分たちの世界の復旧に取り組んでいくから」

 

「まぁその時は全力で取り込むよ」

 

条件もいくつか追加されるであろう。

だがそれでもこれからも交流できるというのは喜ばしいことだとミネは語った。

片や日陰を失った陽だまりと、陽だまりを失った日陰。

 

『並行世界』と言えど、こうして話し合えるのは喜ばしいことなのだろう。

イヴも最初こそどうなるか分からず、ただミネだけでも救わんと行動をとっていた。

だが今ではこうして全員で分かり合えることに喜びを感じている。

 

そしてミネは、「まだ戻るまで時間はあると思うから、お話でもしましょ」と言い、それを聞いたA組の大半は声を上げた。

 

「じゃあ『並行世界』についていろいろと聞きたいです!!」

「私も私も!!」

「向こうの世界の相澤先生って女性だった!?」

 

「あの戦闘機はどういう仕組みでしょうか? 現代の技術でもとても再現できないと、私も分かるほどの代物でしたわ」

「錬金術とはいったいどういう仕組みで……」

 

皆が皆質問の嵐を送る。

それを真正面から受けたミネは思わず狼狽え、無意識にサイカを抱き寄せていた。

それを遠くから眺めていた幻神は、こんな結末もあったんだろうと思いながら、微笑んだ。

 

 

——◆——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『並行世界』での戦いを終え『基本世界』へと戻って来た幻神たち。

そして今ある程度和解し、これから信頼し合うためにも交流を深めようとしている

そんな中、雄英高校の屋上に1人の半透明の人物が座って青空を見上げていた。

 

『——もう『()』が『紡心(アクシア)』の中にいる必要もなくなったかな』

 

そう呟きながら立ち上がる半透明の人物…否、少女は雄英高校の制服を着込み、長い青黒のロングを膝まで伸ばし、()()()()()()()宿()()()()()

半透明の少女の正体は——

 

『転生したのにあっけなく終わりを迎えるなんて思いもしなかったけど、これはこれでいいよね? ——ミネ』

 

——『並行世界』の『天堕幻神(ユウカ)』だ。

『基本世界』では美音が幻神に『紡心(アクシア)』・身体・記憶、全てを託した。

しかし『並行世界』ではそれらすべてが逆になり、その先の運命も大きく変わってしまった。

 

だがこれで良かったと、満足したように微笑んでいる。

 

『私の役目は終わりを告げた。もう、私がいなくても大丈夫だね』

 

するとユウカの足元が光の粒となり始め、ゆっくりと消滅していく。

 

『『紡心(アクシア)』、どうか彼女の傍で守ってあげて。大丈夫、彼…うんん、彼とあの人達もあの子の中で一緒に守ってくれるはずだから——』

 

 

『——頑張ってね、私のヒーロー(おねえちゃん)

 

 

それを最後に、『天堕ユウカ』は光の粒となり、その胸の歌と共に風に吹かれ、飛んで行きながら完全に消滅した。

 

 

 

 





やっと終わったーー!!!
並行世界…というかオリジナル編はもう当分はいい!!やだ!!
なんでこの章だけで一年丸々経っちゃってるんだ……いやまぁ、他作品も書き始めたりしたのもまた原因の一つではあるから、自業自得なんですけど…ゴホンッ!!

とりあえず今回でオリジナル編は終わりです!
感想を記載せずとも、長らくお付き合いしてくださり、誠にありがとうございます。
次回からは本編に戻り、やっと文化祭編に途中にします!!

オリジナルじゃなくなった分、投稿頻度を少しでも回復できるよう精進いたしますので、よろしければ今後も当作品をよろしくお願いいたします!!

ちなみに並行世界の子たちは、出そうか悩んでます……でも公式アニメとかだと映画キャラたちが出てたりしてたし、出したいって気持ちもあるけど…まぁ考えます。

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