この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
ちびたXtreme様、六四様、誤字報告ありがとうございます!
UA 30000突破もありがとうございます!!
そして今回は短めです。ごめんなしゃい……!!
会場内部、廊下。
そこでは多くの観客が行き来しており、その中にはスカウト目的のプロヒーローもおり、彼らはお互いに予選・本選を見た情報交換などを行っていた。
そんな中、ガタンッ!と自販機から缶コーヒーが落ちて、それを取る人物と近くのベンチに座る人物がいた。
「それで? そっちから話しかけてくるなんて珍しいじゃない」
缶コーヒーを取ったのは、娘の活躍を見るためにやって来た元No.2ヒーロー『ギア』こと翠。
服装はキッチリとした黒スーツに身を包んでいる。
「確認だ。あの娘の奇妙な"個性"のな」
ベンチに座る人物はオールマイトと同等の体格を持ち、パツパツの
そのエンデヴァーの顔は、真剣な表情だった。
「いくら血の繋がらない養子とはいえ、貴様自身も思っているだろう。あの娘の"個性"のことを」
「はぁ、そういう所は敵わないわね。えぇ、確かにゆぅちゃんの"個性"はとても変わっている、奇妙な"個性"よ。両親の2つが混ざった融合型、はたまたまったく別の派生か、
2人の顔は真剣そのものだった。翠は缶コーヒーを片手に壁に寄りかかっている。
「そういうあんたの息子さんは、頑なに炎を使ってないようだけど?」
「下らん反抗期だ。いずれは受け入れ、俺を、そしてオールマイトを超える。無論貴様もな」
エンデヴァーはそう言いながら、翠を鋭い目つきで睨んだ。だが翠は平然としている。否、むしろ呆れていた。
「相変わらずの負けず嫌いだこと……だからって、あんな態度を取るほどのことを普通やる?」
「既に引退した貴様には関係のないことだ」
「引退はしたけど免許は返納してないわ。だからこうして半分はお呼ばれってね」
「ッチ」
翠は確かにヒーローを引退している。だがそれはあくまで表でだ。ヒーロー公安委員会から、万が一ということを備えて、免許は持っておけと強く言われたのだ。翠自身も、免許はどっちにしても所持しているつもりだったので、特に反論もせず、はいの一言で済ませている。
「話が逸れたが、まぁいいだろう。俺は行く」
「そう? あ、今度久々に2人でご飯食べない? おすすめのところあるのよ」
「結構だ。俺は貴様と違い暇ではない」
エンデヴァーは立ち上がりながらそう言い、翠に背を向けて歩き出した。それを見た翠はどこか寂しそうな顔をしながらため息をしていたが、缶コーヒーをすぐにゴミ箱に捨て、反対方向に歩き出す。
「私は応援してるわよ。エンデヴァー。"努力を意味する"名を持ちしヒーローさん……」
翠は一度振り返り、ボソッと言葉を乗せて、すぐに歩き出した。
——◆——
食堂。
「午後は女子全員、ああやって応援合戦しなきゃいけないぃ?」
耳郎さんが峰田くんのセリフを聞き返す。そんなの聞いてないんだけど私たち……。
「信じねぇのも勝手だけどよ……相澤先生からの言伝だからな」
「それに天堕のオープニングもいきなりの報告だったろ?」
「……確かにそうですね」
そこで私のオープニングライブを出すか……くっ、それを言われたら私だけは何も言い返せないじゃないか!!
「じゃあ、確かに伝えたからな」
「頑張れよ!」
峰田くんと上鳴くんはそれを最後に去って行った。
一方私たちは困惑している。けど、私のオープニングライブも確かにいきなり言われてやったってのもあるし、いきなりの報告が普通にあるのだろうか。
「であれば急ぎ更衣室に向かい着替える必要がありますわね」
「え、マジでやるの!?」
「でも相澤先生の言伝ならやるしかないね」
マジですか……これでライブとかまたやれって言われたら私どうしよう……。
——◆——
『さぁ昼休憩終了だぁ!! こっから午後の部に突入していくぜベイベー!!』
マイク先生の声が会場内に響き渡る。
『そんじゃあ最終種目発表の前に予選落ちの皆へ朗報だ! あくまで体育祭! ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!』
そういうのは確かにないと午前の最初しか活躍できなかった生徒のご家族からクレームが来る可能性もあるしね。
体育祭ってのはみんながやってこそだし。
『本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げ……ん? アリャ?』
『なにやってるんだ……?』
アメリカのチアリーダーも来ていたんだ。でもなんで相澤先生も含めて2人とも急に困惑のような感じになったの?
『どうしたA組!!?』
えっ、なぜマイク先生驚いて、えっ、ま、まさか……!?
「峰田さん上鳴さん!! 騙しましたわね!?」
まさかの、嘘かい……私のライブのことも使って信憑性増させたのか……この野郎…!!!
「何故こうも峰田さんの策略に私はハマってしまうの……」
「アホだろアイツら…」
「まぁ、本選まで時間空くし、張り詰めててもシンドイしさ、いいんじゃない!? やったろッ!!」
「好きね、透ちゃん」
耳郎さんは赤面になりながらポンポンを投げ捨てて文句を言い、葉隠さんは逆に気合を入れて身体を動かしていた。
『山田、一応言っておく。天堕は最終種目に出場するから歌わせるなよ』
『山田はらめぇ!!! っと、さぁさぁ! 皆楽しく競えよレクリエーション! A組の女子たちも応援してくれるってよ! それが終われば最終種目。進出4チームからなる総勢16名からなるトーナメント形式! 1対1のガチバトルだ!』
とりあえず私たちもスクリーンの前に移動し、最終種目の説明を聞くことにした。んで、やるのはトーナメントか。
「トーナメントか、毎年テレビで見てた舞台に立つんだァ……!」
「去年トーナメントだっけ?」
「形式は違ったりするけど、例年サシで競ってるよ。去年はスポーツチャンバラしてたはず」
スポーツチャンバラって確かエアーソフトとか言う空気が入った棒で戦う剣道に似た競技……実践護身スポーツだったっけ?
何故スポーツチャンバラかは知らないけど……。
「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きしちゃうよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります! レクに関しては進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。息抜きしたい人も温存したい人もいるしね。んじゃ、1位のチームから——」
「あの、すいません……俺、辞退します」
「僕も同じく、辞退します…」
尾白くんとB組の……誰だ?まぁとりあえずB組であろう男子が突然辞退すると言いだして、周りはざわめきだした。理由を聞いたところ、騎馬戦の記憶が最後まで曖昧らしく、それらは普通科の彼の"個性"による影響らしい。
2人は己の意思でも実力でも無いのに本選に選出されるのは、雄英体育祭の趣旨と相反するのではないか。ということらしい。
まぁ確かにラッキーと思う人もいれば、こんな結果は嫌だって思う人もいるからね、それは個人としてだけど。
「そういう青臭い話はさァ……好み!!! 庄田・尾白の棄権を認めます!」
主審であるミッドナイトは2人を舐め回すようにジックリと見つめた後、鞭を大きく振るい、そう言い放った。ていうか……。
「「「(好みで決めた……)」」」
その後はその2人に変わりB組の鉄哲くんと塩崎さんが繰り上がる形になった。
そして改めて最終種目通過者16人が全員くじを引いていった結果は……。
第1戦 緑谷 — 心操
第2戦 轟 — 瀬呂
第3戦 塩崎 — 上鳴
第4戦 飯田 — 発目
第5戦 芦戸 — 天堕
第6戦 鉄哲 — 切島
第7戦 常闇 — 八百万
第8戦 麗日 — 爆豪
最初の対戦相手は芦戸さんか……。
「(芦戸さんは手足から酸を出して、相手の装備やらを溶かすことができる"個性"。『シンフォギア』の装甲も溶かす可能性はとても高いし……)」
となると、あれが一番対応できるかな。と言っても、やってみないと結局わからないし、頑張ろう。
『よーしそれじゃあトーナメントはひとまず置いといてイッツ束の間、楽しく遊ぶぞレクリエーション!』
『天堕、レクリエーションでは歌わなくていいからな』
あ、マイク先生が私に歌えと言いそうだから先に言ってきた。まぁ相澤先生からすると、「気分を紛らわしたりはできるけど、消耗しちゃうから温存しておけ」ってことだろうね。
まぁ頼まれてもさすがに今回は断るつもりだったし、ありがたい。んじゃあ私は着替えて、どっか人気のないところで戦いのために精神を研ぎ澄ませておこうかな。
いやね、最初はレクリエーションと最終種目の1試合目を入れようと思ったんですが、なんか区切りとかも中途半端になっちゃうなァと思い、こんな結果になりました。ご了承ください。
※発目さんが進出したのは、心操くんに操られての進出だけどアピールできるのに変わりないという結果です。