この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
シンフォギアのギアデザインは
雄英高校・入学試験当日。
筆記試験は問題なし。前世の一般的知識は普通にあるし、この超人世界での常識も頑張って学んだ。んで、ここで一度実技の説明をするんだっけ?実技をする代わりに面接なしは正直嬉しかった。受験だろうと就職だろうと一番緊張して、一番の戦場は面接だと私は思ってるから、とてもうれしかった。
それから試験の人たちが筆記試験の紙を回収していったら、突然照明が消えた。そして真ん中にスポットライトが当たった。
『今日は俺のライブへようこそーっ!』
「……」
試験会場には似合わない程の大声が響いた。びっくりしたけど、リアクションは頑張って押さえた。あれって確かプ、『プレゼント・マイク』……だっけ?確か『声』系の"個性"の人……あの人も一応ヒーローなんだよね。てか試験官(多分違うかな?)なんだね。
とりあえず、プレゼント・マイクの話を聞きながら、渡された実技試験の内容が書かれた書類を見る。内容は、制限時間10分で各会場の模擬市街地演習にて行う。
"個性"の特性に合わせた物の持ち込みは自由。そして会場には3種・多数配置された仮想
そしてその仮想
『もちろん、他人への攻撃などアンチヒーローな行為はご法度だぜ!』
入試とは思えない明るい雰囲気を出すプレゼント・マイク……もしかして、緊張をほぐそうとしているのかな?実は私達に落ち着いて、緊張せずやれみたいな……考えすぎか―――ん?
「(3つの仮想
「質問よろしいでしょうか!」
すると、プレゼント・マイクに負けないほどの声量の声が響いた。同時にその声の人物へとスポットライトが当たった。そこには眼鏡をかけた男子生徒がいた。
「プリントには4種の
立ち上がりプリントを掲げ質問を投げかける彼は質問の後、後方を指さし一人の同じ受験生に注意をした。その光景に微かに笑いが起きた。
「(本人はそのつもりはないんだろうけど、言い方ってものがあると思うよ。それに、その年齢で物見遊山とか出る普通…?)」
『オーケーオーケー! 受験番号7111くん、ナイスなお便りサンキューな! 4種目の敵ヴィランは0ポイント! そいつは言わばお邪魔虫で各会場に一体! 所狭しと大暴れしているギミックよ!』
お邪魔虫なんだ。それに加えて倒しても意味もないし時間も無駄になるから避けることをオススメするとプレゼント・マイクは言った。眼鏡の人も「ありがとうございます。失礼致しました!」と勢いよく頭を下げ座った。
『俺からは以上だ!! 最後にリスナーに我が校"校訓"をプレゼントしよう!かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った。「真の英雄は人生の不幸を乗り越えていくもの」と! 更に向こうへ、
説明が終わり、プレゼント・マイクのライトアップが消えると、照明が戻り、それぞれが指定された演習会場に向かうべく、そして動きやすい服装に着替えるべく更衣室に先に向かいだした。
私は制服姿のままバスに向かう。その理由は、『シンフォギア』を武装するとき、どんな服でもはだけるから、正直意味がない。
「(まぁでも、移動とかではなるべく避けたいから動ける服装は用意しといたほうがいいよね)」
ちなみにバスでの移動の際、私だけ制服のままだから、周りが知らない間柄とはいえ見合わせて、ボソボソと話していた。
――◆――
入学試験演習会場B。
「(前世でもこんな大規模な試験会場はなかった……日本でこれ程のは知らない。最難関と言われるだけのことはある……のかな?)」
「おい、見ろよ校門前でこけそうになってたやつがまた言われてんぞ?」
「説明でも注意されて萎縮しちゃったやつ」
周りがなんか同じ場所を見てボソボソと話してる。そっちを見れば、あの眼鏡くんと、注意された緑のモジャモジャ頭の男子がいた。それでまたなんか注意されてる。とりあえず、いつでも行けるように――。
『ハイスタートォォッ!』
――はい?
声のほうを見れば、プレゼント・マイクがいたけど、「どうしたぁ!実戦にカウントなんかねえんだよっ!走れ走れぇ!賽は投げられてんぞぉ!」と言っていた。ん?あれ?
「あっ!?」
気が付いたら皆走ってる!残ってるの私とモジャモジャくんだけなんだがっ!?あ、いや逆にこれ好都合なんじゃ……?
モジャモジャくんも走り出したけど、一瞬だけこっちを見て、急いで前を向いて向かった。
「心配してくれたのかな…? いや、今は考えてられないな……ハァーフゥー…」
手を胸に重ねて、胸から聞こえる歌を、口ずさむ。
『聖詠』。
『シンフォギア』システムを起動するためのものでもある呪文のような歌。ドクンッ!と心臓の大きな鼓動が一回なり、身体の内側から外側へあふれ出るように身体が黄色い光りに包まれて、制服が消滅し、その身は別のを身に纏い始めた。
肌にピッタリと張り付く黄色と白を基調とするバトルスーツを身に纏い、両腕両脚には白色と黄色の機械装甲であるガントレットとグリーブが装着され、頭部には白色と黄色のヘッドセットとブレードアンテナを装着。首元には足先まで伸びている白色のマフラーが巻かれていった。
光が消えるその瞬間の風圧で、布部分とマフラー、腰より下にまで伸びている青黒の髪がなびく。
脚部のパワージャッキと腰部のスラスターを使って一気に駆け抜け、大幅に出遅れたけど、それでも私も会場内部へと向かった。そのまま駆け抜けてると、他の人達の後ろまで追いついた。
「(前が良く見えないし、普通に抜こうとしたら妨害になる可能性もある……ならっ!)」
一度両足ともそろえて軽くジャンプして…地面に着いてから…ッ!
「ほっ!!」
脚部のパワージャッキを使って一気に跳躍!!ドンッ!って音が聞こえたけど一番後ろだったから被害も妨害もないはずだから大丈夫……なはず。まぁ気にしないでおこう。とりあえず――。
「――
3ポイントと書かれた仮想
♪ ぎゅっと握った拳 1000パーのThunder ♫
♪ 解放全開…321 ゼロッ! ♫
私の普段の声が、歌声が、変換されて『立花響』の声質へと変わる。そしてそのまま歌いながら仮想
♪ 最短で 真っ直ぐに 一直線 ♫
1ポイントの仮想
♪ 伝えるためBurst it 届け ♫
――ぶん回し、他の仮想
「(今ので一気にポイント稼げたけど、投げた先に何ポイントで何体いたかわからない……けど、合格には確か30Pまで稼がないといけない。まぁ誰もが同じ回答、とりあえず早い者勝ちで多く稼ぐ!!)」
右手を構えてガントレットがパイルバンカーを放つために変形する。
♪ 「何故私でなくちゃならないのか?」 ♫
振り返り、その勢いのまま右手を貫くように突き出す。振り返った先の仮想
♪ 道無き道…答えはない ♫
他の受験生らも来て稼ぎ始めた。ここからは更に早い者勝ちになるのかもしれない。
♪ 君だけを(守りたい)だから(強く)…… ♫
「飛ぉぉべぇぇぇぇええっ!!!♪」
腰部のスラスターを一気に噴かして進んで、エネルギーを脚部に集中させて、蹴る!!!
「(よし、今の所身体の負担もまだ起きていない。けど、気を付けないと……)」
だけど、突然地鳴りが響きだし、土埃が出て来た。その方向を見れば、その土埃の中から、巨大な姿が現れた。もしかして、あれが0ポイント仮想
「デカすぎだろ!!」
「アイツを避けつつ他のポイントを…!」
あ、圧倒的脅威……こんなの、普通出くわしたら腰抜かして逃げるって選択のほうが正しいよ。私だってビビった。それに、アレを倒しても、その後身体への負担でもう動けなくなる。
「(私もここから離れて――)」
瞬間、私の視界に、0ポイント仮想
気が付いた時には、私の身体は勝手に動いて、走っていた。
♪ 響け響け(ハートよ) 熱く歌う(ハートよ) ♫
脚部のパワージャッキと腰部のスラスターで私は真っすぐ女の子の元へ駆け抜けて、隣の男子はとんでもない勢いで上に飛び上がった。
♪ へいき(へっちゃら) 覚悟したから ♫
私は瓦礫を粉砕して、女の子を抱きかかえて急いでその場を離れた。
「スマッシュッ!!!!!」
同時に、掛け声のような声と爆発音が耳に入った。なるべく離れたところで女の子を降ろして見れば、さっきの男子が0ポイント仮想
♪ 例え命(枯れても) 手と手繋ぐ(温もりが) ♫
あのままじゃ落下で大怪我。最悪の場合…死の可能性がある。そんなの目の前で起こるなんて絶対嫌だッ!!!
♪ ナニカ残し ナニカ伝い 未来見上げ ♫
飛べッ!届かないなんて考えるなッ!
♪ 凛と立ってきっと花に…… ♫
私は両手を伸ばして、その男子を抱きとめた。
「っ!?」
「生まれると信じてぇぇぇッ!!!♪」
そのまま男子を抱きしめて、更にマントで私と一緒に包み、もう一つのビルの窓に突っ込んで、パリーンッ!と割れて内部に入った。そして何度がバウンドしながら転がって行って、やっと止まった。
「…~ッ。だ、大丈――!?」
助けた男子の身体を見れば、絶句した。その男子の右腕と両足は、曲がってはならぬ方へ向いており、折れていたのだ。
「う…ぐぁ……」
『終了~!!』
プレゼント・マイクの終了合図が聞こえた。今のでもう時間が過ぎたんだ……。
「そ、そん…な……」
「えっ? ちょ、ちょっとぉ!?」
助けた男子は、終了を聞くと、絶望した顔をしてそのまま気絶した。思わず肩を揺するけど、一切起きる気配がない……。
「……仕方がない」
なるべく彼の怪我に影響しないように、
「(大丈夫……へいき、へっちゃらなんだっ!!)」
窓枠に足を踏み込んで、一気に飛んだ。そのまま重力に従って落下していき、地面のコンクリートが近づいてくる。そしてドンッ!!着地の衝撃で、道路はえぐられた。
「~ッ!! (脚に着地の振動が伝わって……い、痛いッ!!)」
『ガングニール』のおかげで多少なりと軽減されたりはしてるけど、それでもまだ未熟だって証拠だ。同時に口の中が鉄の味になった。ギリギリラインまで来てるんだ。
それと、上から突然来たからなのか、周りの視線が痛い……。
「お疲れ様~、お疲れ様~。ハイハイ、ハリボーだよ。ハリボーをお食べ」
おばあさんの喋る声が聞こえて、そっちに視線を向ければ、子供とほぼ同じ身長並みの、大きい注射器を杖にしたおばあさんがいた。確かあの人、前に先生が話してた……。
「ん? おやまぁ、その子怪我したのかい?」
すると、おばあさんが私たちに気づいてこっちに近づいて、抱えてる男子を見て聞いてきた。
「は、はい! 多分"個性"による反動とかだと思うんですけど、外見だけでもわかるほど状態が酷くて……」
「自身の個性でこうも傷つくかい…まるで身体と"個性"が馴染んでないみたいじゃないか……ほれ、ちょっとしゃがみなさい」
片手で私にしゃがむよう指示され、私はそれに従って足を曲げてしゃがむと――。
「チュー!!」
「――へ?」
――おばあさんの口元が伸び、男子にキ、キキ、キキキキ、キス……した……!?ほっぺにだけど。だけどしばらくすると、傷付いた身体、右腕や両脚がみるみる内に治っていった。
「あのマドモアゼル、雄英の"屋台骨"だ」
「(えっ、や、屋台骨……?)」
「あの人の"個性"は『治癒力の超活性化』。雄英がこんなムチャな入試を敢行できるのも、彼女に依る所が大きいみたいだね」
この光景を見ていた金髪で変わったベルトを巻いた男子がおばあさんの今やってる行いについて説明してくれた。なるほど、だから接吻をしているんだ。
「はい終ったよ。けどこれだけの大怪我じゃしばらく目を覚まさないだろうね。あんたは怪我してないかい? コスチュームのような恰好をしているけど……」
「あ…!?」
"個性"の解除を忘れてた!?い、急いで『ガングニール』の『シンフォギア』を解除した。
「私は、ちょっと着地の反動で脚がビリビリとしてますけど、大丈夫です」
「そうかい。でも一応見といたほうがいいね。その子と一緒に医務室に行きなさい」
「は、はい。わかりました」
話を終えるとおばあさんは他の人達にハリボーを配りながら容態を確認しに行った。すると、一機の小さなロボットが来た。
「人間、付イテコイ」
「何故に命令口調!? 試験用のも含めて口調悪くない!?」
仮想
「てか治癒したとはいえ担架とかで運んだりとかしないの!?」
「黙ッテ付イテコイ」
「えぇ!?」
思わずツッコミをしてしまったりしたけど、ひとまず雄英の右も左も分からない私は、今だ気絶している男子を