この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます。
UA 40.000突破もありがとうございます!
さぁ、今回は私頑張りましたよ。皆様の期待に答えられるかはわかりませんが、頑張りましたよ!!
控室。
次の試合は私であるために私は控室で待機していた。もちろん試合はちゃんと見たいから付けられているモニターから観戦している。
『準決勝第1試合! お互いヒーロー家出身のエリート対決だ! ヒーロー科『飯田天哉』!
準決勝第1試合、飯田くんと轟くんの戦いが始まった。
お互いヒーロー家出身なだけあって実力も本物……どっちが勝ってもおかしくない!
『スタート!!』
開幕直後に轟くんが氷結を繰り出すが、それを想定していた飯田くんは回避して一気に回り込もうとするも、轟くんは氷結を再度出し、行動範囲を狭くさせた。そして一気に決めるために氷結を繰り出したが、飯田くんはそれを『エンジン』を活かして跳躍し避けた。そこから一気に飯田くんは【レシプロバースト】だったけ?それで加速した蹴りをするも轟くんはしゃがんで躱した。
だけど二回目の蹴りを着地してからすぐに回転して放った。アレはかなり重い……加速が加わってるからなおさらだ。蹴りを受けた轟くんは氷結を出すけど、ステージの表面しか凍っていなかった。飯田くんはそれも避けて轟くんの背中を掴み、一気に場外まで走り出した。
これは速度に長けた飯田くんの勝利か?と思った瞬間だった。場外まで後わずかというところで飯田くんが止まった。
そして次の瞬間には轟くんが飯田くんを直接凍らせて身動きを取れないようにした。
『飯田くん行動不能! 轟くんの勝利!』
『轟、炎を見せず決勝進出だ!』
意外にも早く第1試合が終わった……次は、私と爆豪くんの戦いか……!
——◆——
ステージへの廊下を歩き、入口で立ち止まる。
目を閉じて、息を整える。
「大丈夫……へいき、へっちゃらで……飛べば、飛べる……! 胸の歌を、信じるんだ……!!」
覚悟を胸に刻んで、入場入口へ着く。そして足を踏み出し、入場した。瞬間、会場全体から観客の盛り上がっている歓声が響いた。
『さぁ準決勝第2試合!! 両者がついにフィールドに踏み込んだァッ!!』
階段を昇れば、ステージの端にある4つの柱から炎が燃え上がる。
『準決勝第2試合!! これまで『爆破』と
山田先生の放送を横に、爆豪くんは私を睨みながらニヤついていた。
『
私は何度も深呼吸をして息を整える。
『この勝負に勝ち、決勝に行くのはどちらかッ!? の前に天堕ァ!! 早速武装しちまってくれぇ!!』
『おい、それいいのか?』
『良いんだよ! そっちのほうが盛り上がるだろう!? それに切島戦の時もそうだったしな!!』
え、それいいの?チラッとミッドナイトを見ればグッドをしてきた。あぁいいのね……私は胸の上に手を乗せた。
『ガングニール』の『聖詠』を口ずさむ。
ドクンッ!!と心臓の鼓動が大きく高鳴り、身体から黒紫の光が溢れ、私を包み込んだ。
肌にピッタリと張り付く黒と赤を基調とするバトルスーツを身に纏い、両腕両脚には黒の機械装甲であるガントレットとヒール型の膝後方部分にスラスターが付けられたグリーブが装着される。
腰後方部にはスラスターを、頭部には黒と赤のヘッドセットとブレードアンテナを装着。首元には漆黒のマントが装着された。
『ガングニール』……否、『黒いガングニール』を纏いきると光が消え去り、その瞬間の風圧で、布部分とマント、腰より下にまで伸びている青黒の髪がなびく。そして私は爆豪くんをしっかり睨んだ。そんな爆豪くんも構えだした。
『おぉ!? 黒いマント! というかほとんど真っ黒! 切島の時と形状は似ているがまるで
「ぶっ殺す…!」
「
『ファァァイトゥッ!!!』
合図と共に爆豪くんが『爆破』で吹き飛ぶ勢いでこっちに迫って来た。
「死ねェ!!」
マントを操作し、盾にして爆豪くんの爆破を防いだ。
「チッ! (黄色いやつと形状が似ていたが、やっぱり布も意のままかッ!!)」
マントを戻してすぐに私は彼の目の前に行き腹部を殴った。
「ぐっ!!」
爆豪くんは爆破を器用に使って私の背後に回って来た。私は再びマントを操作して防御するために盾にする。だけど爆豪くんは更に爆破移動でマントで防いでいない横部分に移動してきた。
「一度見せたもんが、この俺に通用するかァ!!」
「通用しなくても、手札は使うものだよ!」
「あ"!? ゴホ……ッ!!」
マントを素早く操作して爆豪くんをマントでぶん殴って吹き飛ばした。
『
『切島戦の時と形状は似ている部分があるが、まるで戦い方が違うな。アイツの想像、イメージ力はどうなってんだ……』
前世の記憶あっての
「テメェ……マントだけで戦うとか、なめてんだろ…!!」
「なめていない。手札をそう安々と見せる馬鹿じゃないだけ。それに、爆豪くんだってそう言いながら切り札とかそういうの隠してるんでしょ? 自称俺最強さん?」
互いに身構える。こう話している間に爆豪くんのことだから色々策を考えたりしてるかも知れない……!
「…ッチ!
「『黒いガングニール』だけで
「んだとゴラァ!! ぶっ殺すぞォ!!!」
爆豪くんが再び接近してくる。やっぱりちょっとした挑発、煽りに引っかかる部分がある。誘導しやすい点はここら辺だね。
そして爆破してきた。私はそれを回避してマントで攻撃する。爆豪くんはそれを避けていく。避けられたマントは地面を斬りつけた。
「(地面すらも斬りつけるほどの鋭さにもなるのか…! いや、それ以前に…!) いい加減、歌えやァ!!」
「ッ!」
「テメェの歌う時と歌わないときでの戦闘の調子は分かってるんだよ! だから歌えやッ! そして本気でかかってこい!!」
爆豪くんが迫っていく。私は拳を構えながらマントも戻す。
「(『イチイバル』……『雪音クリス』本人がこの世界にいたら、意外といがみ合いながらも気が合う先輩と後輩になってたりしてね?) ハァッ!」
「歌え!!」
私が右のストレートを構えば爆豪くんは避けて右の大振りをしてくる。
「(来た! 右の大振り!)」
そして爆破される。
だけど私はそれに怯まず右腕をしっかり左腕とマントで捉えた。
「なっ!?」
「緑谷くんとつるんでいたのは、お茶子ちゃんだけじゃないんだよ!!」
「ぐぁっ!」
そしてそのまま引き寄せて、もう一度右のストレートを爆豪くんの顔面にかまして命中させた。
「死ねやァァァ!!」
「ッ!?」
だけどそれと同時に爆豪くんが再び爆破を、しかも今までよりも一段と威力が強い爆破をしてきた。
マントで爆豪くんを抑えてたせいでそれを防げず、モロに受けてしまい吹き飛ばされた。
「くっ…! (普通離れようと掴まれた腕を解こうとしたりするでしょ!?)」
土煙と爆破の煙のせいで視界が……——
「はっ!!?」
——瞬間、目の前から特大の爆炎が迫って来ていた。これってお茶子ちゃん戦の時の…!?
「くっ!!!」
咄嗟にマントで全体を覆い、爆破を耐える。
『爆豪! 麗日戦で見せた特大の爆破を天堕に命中させた! 天堕はどうなったんだァ!?』
土煙が晴れて、マントを戻して奥を見れば、爆豪くんが両手を構えて睨んでいた。
「テメェ……いい加減にしろやッ!!!」
「……何が?」
「なんで歌わねぇんだって言ってんだよ! ア”ァ”!? 俺には歌わなくても勝てるってか? ア”ァ”!!!」
違う。そういう意味じゃない。温存してるんだよ。歌い続ければ確かに調子も上がるけど、体力は万全じゃ——
「歌えや…! 俺が取んのは完膚なきまでの1位だ。テメェが歌わずに勝ったって、俺は納得しねぇんだよ!!!」
——……出し惜しみはなしってことか…そうだね。
♪ Kort el fes Gungnir ♫
♪ Kort el fes Gungnir ♫
目の前にいるのは本当の実力者にして、超えなきゃいけない壁だ。
なんかんやと言い訳して狼狽えてるんじゃない。ガントレットを合体、射出して牽制する。
「熱烈なファンの要望にお応えするためにも——」
合体したガントレットは変形し『馬上槍』へと変えた。私が手のひらをかざしながら伸ばせば、槍はその意思に応え、従い、戻ってきた。
そしてキャッチした。
「——無双の一振り、
♪ この胸に宿った 信念の火は ♫
声質を『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』に変換して歌い、マントを伸ばし攻撃する。
爆豪くんはそれを避けていく。
「ようやく歌いだしたか!」
♪ 誰も消す事は出来やしない 永劫のブレイズ ♫
私自身も接近しアームドギアを振るう。爆豪くんはそれさえも回避した。
「(黄色いやつと違って、黒いのは槍を出しやがった……それに加えてあのうねうねと動くマントがめんどくせぇ!!)」
爆豪くんは動きながらも私に確実に爆破をしてくる。私はそれを避けたりマントで防いだりする。
♪ いま例えこの身を焼き尽くそうと ♫
「クソがぁぁああッ!!」
爆豪くんは下からの刈り上げ爆破をしてきて、私はそれを跳躍回転しながら躱した。
♪ 信ず我が道の為なら 天になってもいい ♫
そしてアームドギアを両手で逆さに持ち、落下しながら貫こうとする。
♪ 闇に惑う夜には 歌を灯そうか ♫
爆豪くんはそれを避けながら手をかざして爆破してくる。
♪ 聖光のセレナーデ 力よ宿れ ♫
その爆破に怯まず、煙幕の中私は爆豪くんの位置を最後に見た記憶+予想で的確に腹を殴った。
「ぐぁ!!」
その勢いで吹き飛び、爆豪くんと距離が開いた。
♪ 絶対に譲れない 夢が吠え叫ぶよ ♫
アームドギアを構えて歌いながら次の動きを予測しながら待つ。
「正義の為に悪を貫け……♪ (調子は上がるけど、ギアが重くなってきた……)」
爆豪くんが爆破による中距離攻撃をしてきた。
♪ 涙などいらない 無双の一振りよ ♫
それをマントで防ぎながら接近しアームドギアを振るうも、避けられる。
「(動きが鈍くなってやがる…!) もう限界かァ!?」
「くっ!!」
爆豪くんがそのまま私のうなじ部分掴んできた。
私はマントで振り解こうとするも、それよりも早く開いている片手で爆破を繰り返し、私を掴んだまま回転しだした。
「【
「ぐぁッ!!!!」
そして上空でその回転力を利用した勢いで地面に一気に叩きつけられ、アームドギアも手離してしまい、場外に行ってしまった。
『爆豪! 天堕を掴んだまま爆破による回転力で地面に叩きつけた! 天堕も対応に遅れてもろに衝撃を受けてしまうゥ!!』
『爆豪…戦いが長引けばそれだけ
くっそ……爆破であんなことまで出来るなんて……対応できなかったって言われてるけど、地面に激突するギリギリで、背面をマントで覆って衝撃を多少なりとも防いだ。
「(だけど……)」
それでもダメージは大きい……身体が…うっ——
「——ゴホォォッ!」
身体を起こすと、思わず吐血してしまった。足元が多少の血溜まりになってる。
「ゴホッ! ゲホッ! (ギアが、重い……!)」
「…は? テメェ…!?」
『おぁ!? あ、天堕が血を吐きまくってるぞ!? お、おいこれ、大丈夫なのか!?』
『"個性"の反動だ。アイツは自身の体力、生命力と言ったエネルギーを自分の意思で操り、それらを"個性"のエネルギーとして使っている……近い例で例えるなら緑谷が自身の超
『マジかよ!? それ大丈夫なのか!?』
チラッとミッドナイトとセメントスを見れば止めに入ろうとしている。
普通ならそうだ。でも、ならなんで緑谷くんの時は止めなかった?お茶子ちゃんの時は止めなかった?
なら、止めないで……私は戦うんだ!!観客からも「止めたほうが」とか「これはさすがにクソだろ」って聞こえる……。
「狼狽えるなァ!!!」
『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』の声で、あの名言を叫べば周りは一斉に静まり返った。
「こんな状態、プロになれば日常茶飯事! それにただ"個性"の反動による吐血だけで止めるなら、出久とお茶子の試合はどうだ!? 私だって、2人のように諦めない……! 勝って、決勝まで行くのよ!! 私はァッ!!!」
その叫びに周りは黙り込んでいる。
ミッドナイトとセメントスもあの2人の戦いを最後までやらせた。緑谷の試合は最後には止めようとしたが、それでも最後まで止めるか悩んでいた。
「今の私は出久とお茶子の、2人の思いも背負ってる!! 反動だ何だって理由での敗北は私自身が許せない!!! この反動で苦しんでる私は弱いわ……だけどその弱さで…強さを超える!!!」
片手を掲げれば、場外にあるアームドギアがその意思に答えて、飛んで戻って来て私はキャッチした。
「爆豪勝己ッ!!!」
「……んだ」
アームドギアの槍先を爆豪くんへ向ける。
「あなたが強さに執着し、完膚なき1位を求めるなら……私はその逆、この弱さであなたに打ち勝ち、1位を手に入れる!!」
「弱いまま勝つだと…ふざけん——」
「——ふざけてなどいない!!!」
珍しく爆豪が黙り込んだ。周りも「本気か?」とか聞こえる。確かに弱さは強さに勝てないだろう……でも弱さは強さを超えることができることを私は知ったんだ。
「"覚悟を今構えたら、誇りと契れ"……その歌詞通り私は覚悟を決めて、これからやることを誇りに思っているわ」
「……はっ!! いい目ェしてるじゃねぇか…いいぜ…殺ってやるよォォォオオオッ!!!」
私と爆豪くんは同時に駆け出した。
♪ 絶対に負けられない 戦いがあるのだ ♫
私は爆豪くんにアームドギアを振るい、爆豪くんはそれを避けて私の頭上で爆破をしてくる。
私はそれをマントで防いで、そのままマントを伸ばして爆豪くんを捕まえて、地面に叩きつけた。
♪ 世界よ
「【
爆豪くんは常闇くんとの戦いでやった閃光をしてきた。それで周りが見えなくなった。
だけど私はマントで身体を包み込み、竜巻状にする。
♪ やがて知る未来は 千年後も変わらず ♫
「ッチ! めんどくせぇ!!!」
爆豪くんは『爆破』を器用に使って、銃弾のように何発も放ってきた。
だけど私はそんなのお構いなしに突っ込んでいく。
♪ 夜明けのヒカリの空へ 皆に
「(ほんっとうに竜巻のように動いてやがる…! だが、それが竜巻ならよォ……!!)」
爆豪くんは竜巻状で回っている私の頭上に飛んできた。やっぱり台風の目である上を狙ってくるか!
「頭上はどうだァ!!」
「舐めるなッ!!」
既にアームドギアを構えていた私は、槍先を展開し、そこから紫色のエネルギーを放った。
【- HORIZON†SPEAR -】
爆豪くんの左肩に【- HORIZON†SPEAR -】を命中させて、地面に着地させる。私もそれに合わせて竜巻をやめて、マントを戻す。
「(口の中が鉄の味でいっぱい……)」
口の片端からさらりとした血が流れ落ちており、それを拭く。手にはやっぱり血が付いていた。
「(それに……)」
あの攻撃……完全にタイミングに予測と、ぴったりだったのにも関わらず、狙った場所に命中しなかった。あの一瞬ですら、彼はすぐに見破って致命傷……大きな傷を避けたんだ……!
「……ッ…はっ! やるじゃねぇか…!」
爆豪くんは撃たれた左肩を軽くほぐしながら、身構えていた。左肩をよく見れば、体操着が破れており、血が少し流れている。
『めっちゃ熱い戦い!! もはやこれが決勝なんじゃねってぐらいだぜ!! 2人の容態は危なっかしいが、全員2人の目を見てみろ!! 諦めてねぇぜ!!!』
『……(天堕の奴、緑谷同様アドレナリンがドバドバになってやがる……他の奴らと違って
ガシャッと各部が開いて熱気を逃がすために蒸気をプシューッ!と漏らす。それが終われば各部は閉じられる。
♪ やっと気付いたんだ やっとわかったんだ ♫
アームドギアを突撃するかのように構えて歌う。
♪
その歌に合わせてか、私の足元の真下から風が上に吹き上がり、私の髪とマントが、布部分が大きく揺れ上がる。
「この身、捧げて……ッ!!!!♪」
アームドギアの赤いクリスタル部分が光りだし、そこから私を伝って地面へ、紫の稲妻が広がっていく。
「この無双の一振りが放つ最後の一撃で決着をつける!! 行くぞ!! 爆豪勝己ッ!!!」
「はっ!! いいぜ…叩きのめしてやるよ……天堕ァァァアアアッ!!!!」
爆豪くんが大きく高く跳躍し、細かく爆破を繰り返し回転し始めた。その爆風で私の髪とマント、布部分が更に激しく揺れる。
ステージの片や紫の稲妻と何処からともなく風圧を発生させる私。もう片やには爆破による回転で巻き上がっていく黒煙の竜巻。
私は鋭く爆豪くんを睨み、息を吸い、あの歌を口ずさんだ。
口ずさむは【絶唱】。
その静かで綺麗な歌声は爆音すらも超えて全体に響き渡り、その場にいる全員の耳にはっきりと聴こえていた。
歌い終えると拭いておいた口の両端からさらりとした血が再び流れ落ちはじめ、ドクンッ!!!!!と心臓が爆発したかのようにとてつもなく大きく高鳴った。痛い。身体が痛い。
視界が徐々に赤くなってく。口の中の鉄の味が濃く…溜まっていく……それでも、振り絞れ!!
「【
「これが私の……!!!」
爆豪君が迫ってくる。私は身体を動かし、アームドギアの先端を展開する。
『ミッドナイト!』
『わかってる! これ以上の続行は彼女の
紫のエネルギーが溜まっていき、貫くようにアームドギアを振るった。
「——【
「【絶唱】だァァアアアッ!!!!!」
【- 絶唱・HORIZON†SPEAR -】
爆豪くんの大技と私の絶唱による大技がぶつかり合った。
「うォォォオオオッ!!!」
「ぐぅ!! うぁぁぁあああっ!!」
身体への負荷もあり、ゆっくりと私のほうが地面を抉りながら後方に下がり始めた。
「(絶唱に張り合えるなんて……!?)」
足元が血で汚れていく。
ダメだ……このままだと押し負ける!!
「ぐぅ……!!」
「負けるかァ!!!!」
爆豪くんの勢いが増して来た……!
アームドギアが、全身に纏う『黒いガングニール』のギアが次々とひび割れていき、崩れて行ってる……。
「(この、ままじゃ…押し負け…——)」
「天堕さん!!!」
「ッ!?」
押し負けそうになり顔下に下げかけた瞬間、私を呼ぶ声が聞こえて、目を見開いた。
チラッと頑張って声のほうを見れば——
「負けるなッ! 頑張れぇッ!!」
「勝って! 幻神ちゃぁぁんッ!!」
「(……ッ! 2人とも……!!)」
——緑谷くんとお茶子ちゃんが立ち上がって手すりに掴まって、叫んでいた。
そうだよ……今放っているこの【絶唱】は、無双の一振りには……!!!
「2人の思いも、込められてるんだァァァァアアアアッ!!!」
アームドギアを掴む手を片手から両手に変えて、エネルギーをさらに膨大に増した。
「ぐぅ……! 俺は…俺はッ!! オールマイトをも超えてNo.1になるんだ……!! だからッ!!! 負けるかァァァァァアアアッ!!!!!」
【- 絶唱・HORIZON†SPEAR -】と【
緑谷対轟戦をはるかに上回る大爆発と衝撃、風圧が発生し、会場は煙幕に包まれた。
中には本当に吹き飛ばされる小柄な者も、会場にすらひびが入り、天井も一部が破損した。
『な、なに…今の……緑谷と轟の試合なんて可愛いって感じる程にやばかったぞ……実況席の窓割れちゃってるし……』
『爆豪の大技、アレも凄まじかったがそれ以上に天堕のあの歌の後の大技………これ程までの技を自身の体力、生命力をエネルギーに変えるだけで……』
『それよりもおいミッドナイト! 2人はどうなったんだ!?』
プレゼント・マイクはミッドナイトに聞くも「煙幕で見えなくて分からない」と帰って来た。煙幕は会場を覆いつくしているため観客席すらも周りが見えない状況にある。
誰もが早く晴れろと思っているだろう。そして時間が1分ほど立つと、煙幕が晴れていき、ステージの様子が見れた。
『お、おぉ……!!?』
『これは……』
ステージは大崩壊。もはや原形を留めていなかった。そんな崩壊したステージに1つの影。
「ハァ……ハァ……ぐァ…! く、そが……!!」
自信の片腕を抑えて、膝をついて息を荒くしながらも必死に意識を保ち続ける爆豪。
片腕は血が流れており、頭部からも多少の血が流れていた。上着に関しても、先のぶつかり合いの結果なのだろう。ボロボロに燃えており、上半身は裸になっていた。
そんな彼の少し先には、原型が殆どない『黒いガングニール』のアームドギアが転がっていた。
『ば、爆豪はギリギリ意識があるぞ!! あ、天堕は!? 武器はあるのにいねぇぞ!?』
爆豪の前方にある煙幕が晴れて行き、もう1人が姿を現す。だが、その場所は場外。
「……っ!?」
『お、おい…!?』
その場にいる全員が絶句した。幻神の姿は……——
「」
——ボロボロに砕け散っている『黒いガングニール』を纏ったまま場外の壁に寄りかかっていた。
『あ、天堕さん場外……爆豪くんの勝利! よって爆豪くん決勝進出!!』
結果は、爆豪の勝利となり歓声は響き渡った。
ミッドナイトは急いで幻神に駆け寄る。タイミングが良いのか悪いのか、それに合わせて幻神の纏う『黒いガングニール』が解け、体操着姿に戻った。
そんな幻神は、気絶しながらも身体の目や鼻、口や耳からは血が流れ、さらに『シンフォギア』でも防げなかった傷部分からも血が流れている。
加えて体操着はボロボロではないものの、赤く染まり始めていた。
そして幻神はそのまま横に受け身も取れずに、ミッドナイトが受け止めようとするも間に合わず、倒れてしまった。
その勢いによる音は、バタッなどではなく、ぐしゃっ!とした生々しい音だった。倒れた部分からは血が飛び散り、さらに幻神を中心にゆっくりと地面に血が広がっていた。
『緊急搬送急いで! 2人ともひどい状態だわ! 天堕さんに至っては深刻すぎる!!』
幻神は敗北し、敗退した。
A.爆豪、絶唱を真正面からぶつかり合ったのによく気絶せず無事だったね。普通なら気絶したりしてたほうがおかしくないのに。
Q.オリ主の実力と、応援で一時的に火事場のバカ力的なのになったけど、それでも自身の体力と生命力をエネルギーにしてるから、勝てるかって聞かれたら難しいとしか答えられないですね。