この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様、そらまめ24様、誤字報告ありがとうございます!





抜剣(ばっけん)せし魔の(つるぎ)……

 

 

 

 

真夜中の保須市。

(ヴィラン)による事件で黒煙が立ち昇り、街は建物の炎上によって照らされていた。

そこから少し離れた位置、そこでは別の戦いが行われていた。

 

「オラどうしたァ!!!」

 

「くっ!!」

 

肥大化した右手に持つ『ミョルニル』を振るい、それに対し幻神は両手をクロスして防御する、

だがその強さに吹き飛ばされ、幻神はそのままビルへ激突し、内部まで入っていきオフィスなどが壊されて行った。

 

「ぅ…あ……!!」

 

「早く立たないとGAME OVER(ゲームオーバー)ですよ」

 

「ッ!?」

 

瓦礫などを退かして立ち上がろうとしたら、目の前にメドゥーゴルが現れて、そのまま彼女の脚が私の顎を蹴り上げた。

その勢いで私は天井を突き抜けていき、外に放りだされた。

 

「くっ!!」

 

私は頑張って体勢を立て直して、地面に落下するときにスラスターを噴射させて落下を軽減させた。

そしてすぐにガントレットのパイルバンカーを起動させる。

 

「行くぞオラァ!!!」

 

マグニールの声と共に、雷鳴と共に稲妻が何度も降り注ぎながら、ビルを破壊していく。

それはまるでゲームのバトルステージのように。私はそんな稲妻を避けながら右手を構える。

 

「ガントォォオオ!!!」

 

「オラァ!!!」

 

- 我流 撃槍烈破 -

 

『ミョルニル』と『ガングニール』のガントレットがぶつかり合い、そこから衝撃波と風圧が発生して、雷鳴も大きく轟いた。

 

「くっ…! (なんって、馬鹿力なの…!!)」

 

押し合うだけでも私のほうが地面を抉りながら後方に下がって押されて行く。

 

「そんな程度なのかァ!?」

 

一度手を引いて一気にスラスターを吹かして上昇。『ミョルニル』を回避した。

すると、脚が急に何かに巻き付けられた

 

「なっ!?」

 

「こういう時の尻尾は大変便利なの」

 

メドゥーゴルが尻尾で私の脚を巻き付けて、そのまま引っ張り、私は引っ張られた。

 

「フンッ!」

 

「ゴッ!!」

 

そしてそのままメドゥーゴルは脚で私の腹部を蹴りつけて、私は吹き飛び地面を何回か転がった。

 

怪力(パワー)ではマグニールに劣りますが、速度(スピード)なら負けません」

 

「よく言うよ。遠心力を利用した攻撃ならあたしと互角になるくせに…」

 

「何のことやら」

 

落ち着け、息を整えろ。今のままじゃ負ける。

冷静に対処しろ。

いつも自分より強い相手と戦ってたでしょ。

分析と予測、冷静な判断力…視野を周囲にも広げる……。

 

「スゥー……(お腹に力を入れて歌え…!)」

 

身体を起こし、息を吸う。

そして——

 

「素直にはいどうぞって感じで歌わせると思ったか?」

 

「ゴッ……!!?」

 

——歌おうとしたら、物凄い速さで『ミョルニル』が迫ってきて、私は殴られた。

そしてそのまま地面に叩きつけられた。

 

「歌いながらの戦闘のほうが調子は上がるようですが、面倒なので止めますよ私たちは。それに耳障りですし……」

 

「ぐ…ぁ…! ゴホッ!!

 

吐血してしまう。

頭がクラクラする……気持ち悪い…それでもと身体を起きあがらせる。

するとメドゥーゴルは一回転しながら私に蹴りを入れて来た。

蹴られた私はそのままビルに激突した。

 

「カハッ! ……ッ!!」

 

口に残った血と空気を吐きながらビルから身体を出すと、マグニールが『ミョルニル』を掲げていて、『ミョルニル』には稲妻がずっと降り注いでいた。

 

「元素よりはるかに塵となり荒れ狂え……!」

 

まさか、必殺技……!?

 

全て悉く砕く雷神の槌(ミョルニル)!!!」

 

稲妻と共に、その強大で膨大なエネルギーが、ビルごと私に襲ってきた。

 

「ア”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ア”ア”ア”ア”ッ!!!!!!」

 

『ガングニール』の装甲をも無視して、私の肉に、神経に痺れて、流れ込んで…硬直する……!!!

 

「ウハハハッ!! いいねェいいねぇ!! そこらのヒーローじゃこれを食らったその瞬間に一瞬で塵になるっていうのに、お前は痺れながらも肉体を保ってる…! 弱いのが残念だが最高にいいねェ!! 『神殺し』!!!」

 

ずっと稲妻を浴びていると思ったら急に稲妻が消えて、身体が解放され——

 

「フンッ!!」

 

「ぐぼっ!!!」

 

——頭から『ミョルニル』を叩きこまれ、そのまま地上に激突した。

私はすぐに身体を無理やり動かして、立ち上がる。

一度、距離を取らないと……!

 

石化(せきか)魔眼(まがん)

 

「ッ! う、ぁ…!!!」

 

か、身体が…うごか…ッ!?

脚や腕が石化し始めてる(・・・・・・・)…!?

視線を動かせば、メドゥーゴルが両目を光らせながら立っていた。

 

「『ゴルゴーン』……いえ『ゴルゴン三姉妹』と言ったほうが合ってるかしら? 長女『ステンノー』、次女『エウリュアレ―』そして『メドゥーサ』は見たものを石化させる能力がある。無論『ゴルゴーン』へと成り立った(・・・・・)"個性"もまた、同じ能力が使えるの」

 

そんなの、ありなの…!?

くっ…『シンフォギア』の装甲をも石化してくる…感覚が…なくなって来てる……!!!

 

「にしても本当にこいつは覚えてないのか(・・・・・・・)?」

 

「詳しいことは聞かされていませんがそうみたいです。それに伴ってか、"個性"も能力を全開放ってわけじゃなさそうですし……にしても、弱いですね」

 

まだ辛うじて右腕は石化されていない。

意識を右腕のガントレットに集中させてスクリューのような形に変形させる。

 

「……フンッ!!」

 

それを地面に打ち込み埋め込ませて、無理やり回転させる。それによって地面が抉れていき、全方面が一気に崩壊していった。

(ヴィラン)の2人もそれで咄嗟に距離を取った。

 

「ヒュ~! これ程までの破壊、抜け出すための無理やりな力の放出だな? 良いけどあまりやりすぎると早死にするぜ?」

 

「ヒーローを夢見るのに周りをいとわずの破壊とは……」

 

うるさい…こちとらこれでも無理やり抜け出すために考えに考えてやっと思いついたんだから。

 

「(左腕に両脚、お腹辺りや顔の一部感覚が、神経って言ったほうがいいのかな…あまり感じない…)」

 

無理やり動かそうとすると石がこすれる様な音と骨が軋む音が直接耳に聞こえるほどに聞こえた。

このまま戦闘を続ければいずれやられる……距離を取りつつ救助要請を出す?

ダメだその間に両方を食い止める可能性が低い。

他のヒーローたちがいるところに直接向かう?

ダメだ機動力も向こうのほうが上だ。

自問自答を頭の中で繰り返し続ける。

だけど、唯一突破できる術があるのを思い出した。

 

「(でも、今までやったことないから可能性は0に等しい……)」

 

「来ねぇならこっちから行くぞ…!」

 

「(いや、もう……)」

 

「殺しはしないので、そこだけはご安心を」

 

「(選択なんて、残されてない……!!!)」

 

私は胸元にあるギアペンダントを掴む。

99.999……いやもう100でいいだろうか、私は自我を失うだろう。それでも、こいつらに勝つには…市民を守るには…緑谷くんの元に1秒でも早く向かうためには…これしか…ない!!!

 

 

 

イグナイトモジュール - 抜剣 - ッ!!!

 

 

 

その魔剣を今引き抜き…解き放てッ!!!!

 

 

——◆——

 

 

時刻は少し戻り、駅近く。

3体のうちその場で暴れている2体の脳無に地元のプロヒーローは苦戦していた。

 

「化け物め! なんて力だ!!」

「応援と民間人の避難誘導は!?」

「ここらの避難誘導は終らせてある! 応援はまだだ! それに、火災などの消火にも精いっぱいなヒーローもいる!」

 

民間人を避難誘導し、守るヒーロー。

炎上している街の消火に当たるヒーロー。

そして脳無を相手するヒーロー。

3編成に分けて行われている現在、全員が猫の手も借りたい状態にあった。

 

「ッ! ザ・フライ! 危ない!!」

「なっ!?」

 

プロヒーローの1人に脳無が接近し、腕を振り下ろそうとしていた。

誰もが駆けつけようとしたが、そんなヒーローらよりも、音よりも早く彼らをすり抜けていった者がいた。

 

「【ファーストアップ】」

 

そして脳無の頭部に蹴りを入れ、脳無は吹き飛んだ。

 

「ッ! あ、あなたは……なんでここに!?」

 

「そんなの決まってる……」

 

白緑色のルーズサイドテールを揺らしならが、身構える。

 

「これでも、ヒーローだからよ!」

 

天堕翠。否、元No.2ヒーローギアだった。

 

「キェェェェェ!!!」

 

脳無は飛び出し、ギアに向かっていく。

対するギアはその場で留まり、両手両足を前後にする。

 

「ふっ!!」

 

そして脳無が殴り掛かるとギアはわかっていたかのように華麗に避け、数回打撃を食わらせる。

だが脳無は怯まずギアに攻撃しようとする。

それに対しギアは右手を握り、足を踏み込み、脳無の顔面へ放つ。

 

「ゆぅちゃんの情報で得た弱点は顔面! その丸出し脳みそ!! 【サードアップ・ファウスト】!!」

 

脳無は脳みそに叩き込まれた勢いで一度吹き飛ぶ。

だがその後立て続けで1回、2回、3回と同じ威力の打撃が脳無の脳みそに突然放たれる。

そして脳無の脳みそはグロく飛び散り、脳無は地上に落下してから、再起しなくなった。

 

「弱点一点集中攻撃。これもまた勝ち筋の1つ!! ってね?」

 

口癖か、決め台詞と思っているのかわからないが、彼女は必ず最後に「ってね」と言う所もある。

そんなギアの背後から翼を生やした脳無が飛んでくる。ギアは振り返り、脚を構えるが、それよりも早く炎が脳無ヘ向かって放たれ、脳無はそれを回避した。

 

「ふんっ、まさか貴様もこっちにいたとはな」

 

「そういうあんたは遅かったじゃない。こっちは既に1体倒したわよ?」

 

「そうか。ここに来る前に俺の方も1体倒した。後はあの飛び回るタイプだけだ」

 

ギアの隣に来たのは現No.2ヒーローエンデヴァーだった。

 

「飛び回るのは厄介ね。ビルとかを足場にすれば行けるけど……」

 

「なら貴様はそこで見ていろ。俺がやる…!」

 

エンデヴァーは右手に炎を出し、それを槍のように形作る。そして炎の槍を脳無目掛けて投げる。

それは見事脳無の片目に命中した。

脳無はよろけながらもその場から離れていく。

 

「逃がさない!」

 

それをギアは逃がないと、【ファーストアップ】で加速し、脳無を追いかけた。

 

「相変わらずの速度だ……むっ!?」

 

エンデヴァーはギアの速度に対し少しの感想らしいのを吹き、追いかけようとした瞬間、ある方向から、とんでもなく禍々しいオーラが夜空へ向かって放射しているのが目に入った。

 

「アレは……まさか焦凍が向かったところ以外にも(ヴィラン)が!?」

 

そしてその後に、何かの咆哮…否、悲鳴のような声が響き渡った。

 

 

——◆——

 

 

 

DAINSLEIF(ダインスレイフ)

 

 

 

ギアペンタントの左右をカチッと押し込む。

すると『DAINSLEIF(ダインスレイフ)』という音声と共にギアペンタントからドス黒く、禍々しいオーラが一気に溢れ出た。それはやがて身体全体からも溢れ出し、私を覆いつくし始めた。

 

「ぐっ! Uぅ…う”ぅ”a”ぁ”あ”a”あ”a”あ”ア”ぁ”ァ”A”あ”ァ”a”ア”a”ァ”ァ”ッ!!!!」

 

本来なら私から一度ギアペンダントが分裂し、そして針のようにエネルギー出して突き刺してから起こることだが、私の場合起動するために押すだけで『イグナイト』は発動する。

でも、それ以外は原作と全く同じ。私に絶え間ない苦痛と憎悪に襲われた。その影響か、足元の地面もどんどん崩壊しだした。

 

「おいおいおいおい…!! なんだよアレ…!?」

 

「なんて禍々しいエネルギー…これは、殺意や怒り…憎悪…?」

 

もがく。もがく。もがく。

『イグナイト』は私の身体と生命エネルギーと同時に、前世も含めたすべてのトラウマや憎悪を湧き立たせる記憶を強制的に引き出すもの。

そして憎悪と言ったものもエネルギーに変えて、強化(パワーアップ)させることができる。

だけど、その憎悪などに自我が飲み込まれれば暴走し、敵味方関係なく、目の前に映るもの全てを破壊するまで止まらない……。

 

「A”ア”ァ”a”あ”……!! 一度でi”イ”…! iち度でイ”i”かラ……答えテ『ダインスレイフ』…! わだ、ジha……!!」

 

駄目だ。意識が飲み込まれる!!視界が真っ赤に染まって……——

 

 

 

 

プツンッ

 

 

 

 

——膨大な禍々しいエネルギーが圧縮し、全方面に爆散した。

それによる衝撃波と風圧は周囲の看板や手すり、さらにはビルまでも一部が壊されるほどの勢いだった。そしてその場面を目の前で見ていたマグニールとメドゥーゴルは、その頬に一滴の汗を垂らした。

その理由は、目の前にいる存在に対しての焦りだ。

 

「グゥゥuゥゥuuぅぅうぅウウU………!!!!」

 

その身に纏う『ガングニール』も、自身の肌や髪、端から端まですべてが黒一色に染まり、その眼が赤く、鋭く2人を睨んでいた。

それは、目の前にいる獲物を殺すために(・・・・・・・・・・・・・)

 

「こりゃあもしかしてよォ……あたしの嫌な考えが当たってるなら…」

 

「当たってますよ……これは、暴走(・・)している!!」

 

胸もとに唯一目と同じく赤い光を漏らしながら、全身を漆黒に染まり、獣へとなり果てた幻神は、四足歩行へと体勢を変える。

 

「GAアァぁァaァぁaァァぁぁァアAあッ!!!!!!」

 

咆哮と共に、幻神は跳躍。

右腕のガントレットだけで『ガングニール』のアームドギア、その槍先へ変形させる。

そして槍先を自身の視界に映る獲物へと向け、落下する。

 

「『ミョルニル』!」

 

- 狂装咆哮 -

 

マグニールは『ミョルニル』を振るい、ハンマーと槍先がぶつかった瞬間、衝撃波と風圧が同時に発生して、轟音と共にその場にいた3人は吹き飛んだ。

 

「ぐぁ…! 桁違いに強くなってやがる…!?」

 

「石化も解けてる…おそらく暴走の影響で彼女自身もまだたどり着けていない領域の力を強制的に引き出しているんですよ……まったく、久しぶりですよこんなに焦るのは」

 

「ヴぅ”ぅ”……ッ…ガA”ァ”ぁ”ぁ”a”ァ”a”ぁ”ァ”ァ”ぁ”a”ァ”あ”ア”A”A”あ”A”ア”ア”ッ!!!!!!」

 

幻神は腕を戻し、狼やライオンなどの猛獣が獲物を確実に捕まえるために全力疾走するかのように四足で走り出す。

 

石化(せきか)魔眼(まがん)!!」

 

メドゥーゴルは石化(せきか)魔眼(まがん)で幻神を石にしようとするも、幻神は何事もなく迫っていく。

 

「石化しない!? いや、自我を失う程の憎悪が石化を無効化しているの!?」

 

「めんどくせぇ……なっ!!」

 

マグニールはメドゥーゴルに接近する幻神の目の前に移動し『ミョルニル』を振るう。

そして幻神に命中するが、ドンッ!!重い音が鳴っただけで、その場から吹き飛ぶことはなかった。

 

「はぁ!?」

 

「GUぅ”u”う”ぅ”U”ゥ”ゥ”ッ!!!!」

 

それどころか幻神は『ミョルニル』を掴む。すると『ミョルニル』に亀裂が入り始めた。

 

「暴走だから『神殺し』も発揮中ってか…!? 落ちろ!! 【稲妻】!!!」

 

マグニールの叫びと共に稲妻が2人に降り注ぐ。

だが幻神は暴走前と違い、そのまま『ミョルニル』をより強く握った。

 

「うっそだろ…おい!?」

 

「マグニール!!」

 

「U”ぅ”u”う”ぅ”U”ゥ”ゥ”ッ!!!!」

 

幻神は片腕を再び槍先に変形させ掲げる。

 

「ア"あ"ア"A"ァ"ぁ"a"ァ"ァ"ぁ"ぁ"ア"a"ア"A"あ"!!!!」

 

そしてそのまま振り下ろし、禍々しいオーラの大爆発が起こった。

 

 

 

 





『イグナイト』解禁です。
と言っても暴走ですけどね!!
そして以外にも中途半端な終わり方ァ……次回の続きをうまく繋げられるか心配ですなぁこれ。
あ、「プツンッ」の所は意識が途切れたという表現です。


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