この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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すっごくお待たせしましたァ!
そしてUA50.000突破ありがとうございますゥ!!!





憎悪に飲まれ、暴れる獣

 

 

 

 

土煙の中、マグニールとメドゥーゴルは少しボロボロになっていた。

 

「ヴU”ぅ”ぅ”……!!」

 

「くっそ……ンならァ!!」

 

マグニールは『ミョルニル』を掲げると膨大な稲妻が降り注ぎ、『ミョルニル』を通し、マグニールの身体全体に稲妻が渡っていく。

 

「ッ! マグニール、貴女まさか…!?」

 

「下がってろメドゥーゴル…! いくら暴走とはいえ、流石に本気でやらなきゃこっちが殺られる…!」

 

「……わかったわ…」

 

マグニールの言葉にメドゥーゴルは少し思い詰めた顔をする。

そしてすぐにその場から離れるために飛び上がった。

 

「…ハッ、さぁ、ここからが本番だぞ……『神殺し(怪物)』ッ!!!」

 

「ハァ”ぁ”a”ァ”……!!」

 

暴走し、獣へとなり果てた幻神は、本能が悟った。

「目の前にいるのは己と同格、もしくはそれ以上の敵だと」それに対しマグニールは、徐々に姿を変えていった。額の右側に1本の角が生え、紫の瞳からも稲妻が内側から漏れるように出始める。

 

「ハァ……!!!」

 

「ヴぅ”u”……!!」

 

幻神はマフラーを地面に叩きつけ、片手をアームドギアに変え- 狂装咆哮 -にする。

対するマグニールも稲妻を止めると、『ミョルニル』と額の角に稲妻がずっと漏れ出し続けていた。

 

「行くぞ……『神殺し』ィィイイッ!!!!」

 

「ガア”a”ァ”ぁ”ぁ”ァ”あ”ア”AA”ア”A”ッ!!!!!!」

 

互いに大きく踏みだし、『ミョルニル』とアームドギアがぶつかり合い、膨大な衝撃が発生した。

我を忘れ、目の前の獲物をただ殺すために動く獣。

リミッターを解除し、目の前の怪物を殺すために動く神擬き。

両者のぶつかり合いは、ただ、目の前の強敵を殺す為だけの戦いだった。

瞬間激しく吹き飛び、両者ともに地面を抉りながら止まる。

 

「このぐらいで……負けるか…っンよ!!!」

 

マグニールは飛び上がり『ミョルニル』を投げ飛ばす。

 

「ヴぅ”ぁ”あ”ア”A”ッ!!!」

 

対する幻神はすぐに駆け出し、『ミョルニル』を脚で蹴り飛ばしてさらに加速する。

 

「……っへ!!」

 

だがマグニールは口角を上げ、片手を上げてピストルのように構える。

すると蹴り飛ばされた『ミョルニル』と繋がるように稲妻が発生し、ちょうど真ん中に幻神は稲妻に貫通した。

 

「ア”あ”ア”ぁ”a”ァ”ア”A”ア”A”あ”A”ァ”a”ァ”あ”ア”ぁ”あ”ア”A”ッ!!!!!!!!」

 

「アハハハハハッ!!!」

 

幻神はその稲妻に苦しみマグニールは笑い上げるが、幻神はその状態で片手のアームドギアをドリルのように高速回転させる。

それによって稲妻が合わさった竜巻が発生した。

 

「ぐぁ!? マジかよォ!!!」

 

「a”あ”A”ァ”あ”ア”A”ッ!!!!!!!!」

 

その竜巻によってマグニールは吹き飛ばされ、稲妻を解かれてしまう。

抜け出した幻神はそのままマグニールへ再度駆け出した。

 

「『ミョルニ——」

 

「がァっ!!」

 

マグニールは『ミョルニル』を呼び、手元に戻そうとするが、それよりも速く幻神は槍先を伸ばし、マグニールの左肩に突き刺した。

 

「ぐっ!!!」

 

「あ”ァ”a”ァ”a”ア”A”A”ア”あ”ッ!!!!」

 

そして突き刺したままマグニールを上に持ち上げ、地面に叩きつけるように振り下ろした。

 

「ゴハッ!!」

 

マグニールは何回か地面をバウンドするように飛び転がり、道路に設置されてある看板の棒に激突して止まった。

 

「……ぺっ! やるじゃねぇか……!!」

 

マグニールは血を吐き飛ばし、ニヤつきながら呟いた。それは、自分と互角にやり合える強者がいることにある。

 

「こっからが……」

 

「マグニール!」

 

「アァ!?」

 

マグニールは『ミョルニル』を戻し掴み、構えるも、メドゥーゴルが戻ってきて静止させた。

 

「なんだよメドゥーゴル…今いいところなんだよ!」

 

「ご主人様から命令が入った。「直ちに戻れ」とのこと……意図は読めませんが、何か考えがあるのかと」

 

「あぁ……? ったく、せっかく楽しめたのに…」

 

メドゥーゴルの指示、否、正確にはご主人と呼んでいる人物の命令に従い、マグニールは元の状態に戻り、『ミョルニル』もその場から一瞬で消えた。

 

「GAあ”ァ”a”ア”ア”あ”A”あ”ッ!!!」

 

それを悟ったのか幻神は逃がさないとばかりに駆け出す。

 

「けど、アイツを振り切るにはどうする?」

 

「いい考えがあります。離れている間に場所は把握しておいたので、耳を…」

 

「あ? …! ……へぇ~そりゃあ面白い…!」

 

 

——◆——

 

 

同時刻。

江向通り4-2-10の細道を出た大通り。

ヒーロー殺しステインと戦闘を繰り広げていた緑谷と轟、そして飯田が負傷しながらも無事に勝利し、拘束して大通りに出ており、エンデヴァーの指示のもと駆け付けたプロヒーローらもいた。

そして飯田は、自身の愚かな行いに巻き込んでしまった緑谷と飯田に深々と頭を下げ、謝罪をしていた。

 

「僕は……何も、見えなくなってしまっていた……!」

 

「……僕もごめんね、飯田君。君があんなに思い詰めていたのに、全然気が付いてあげられなかった。友達なのに」

 

「……しっかりしてくれよ、委員長だろ」

 

「……っ、うん……!」

 

「伏せろッ!」

 

そんな彼らに、1つの影が空中から現れ、接近していき、突如として『グラントリノ』が叫んだ。

全員がグラントリノを見てから、彼の視線の先を辿る。そこには、血を流しながら空を滑空する翼の生えた脳無の姿があった。そして次の瞬間——

 

「——えっ」

 

——脳無は迷うことなく緑谷を狙い、鳥のような脚で掴み上げ、そのまま上空へ飛んで行った。

 

「緑谷ッ!!」

 

「緑谷君!!」

 

「(いかん! あまり上空にいかれると俺の"個性"じゃ届かなくなる!)」

 

グラントリノも『ジェット』で追おうとするも、あまりにも脳無の速度が速いためか、今出ても追いつけるか難しい状態にある。

だが、先ほど脳無が通って来たところを、後を追うように別の者が現れた。

 

「待てェ!!!」

 

【ファーストアップ】にて空中、空気を足場にするようにして蹴って、あたかも飛んでるような動き、そしてグラントリノの"個性"『ジェット』のような動きにも似ていた。

 

「あれって…ギアさん!?」

 

ギアはそのまま飯田達の頭上を通り過ぎ、緑谷を掴んで飛ぶ脳無を追いかける。

 

「【セカンドアップ・メテオ】!!」

 

ギアは脳無の上に追い付き、そのままライダーキックで【セカンドアップ・メテオ】を放つ。

だが脳無は身体を捻らせてギアの【セカンドアップ・メテオ】を回避し、ギアはそのまま地面に激突した。

 

「やばっ! 勢い余った…!!」

 

ギアは突き出した足がコンクリートに埋まり、うまく抜けなくなって手こずっていた。

その間にも脳無はそのまま飛び去ろうとする。

だが突然脳無の動きが硬直したかのように止まった。そしてそんな脳無に向かう1つの影が、ギアの横を通り過ぎた。

 

「——贋物が蔓延るこの社会も」

 

脳無は落下し始め、落ちていく脳無へ影が飛びかかった。

 

「徒に力を振りまく犯罪者も——」

 

その影は脳無から乱暴に緑谷を奪い取り、そのまま続けざまに脳無の頭部へ小さなナイフを突き立てた。そしてそのまま落下し、脳無は地面に叩き落とされた。

 

「——粛清対象だ……全ては、正しき社会の為に……!」

 

それによって立ち昇った土煙と共に、影の正体……ヒーロー殺しステインが、ゆらりと立ち上がった。

 

「子供を…助けた……!?」

「バカ!ありゃ人質取ったんだ! クソッ、躊躇なく人殺しやがった!」

「いいから戦闘態勢取れ! とりあえず!」

 

「いずくん!」

 

プロヒーローは先ほどのことを言いながら、轟と飯田たちを庇うように前に出始め、ギアも足をようやく抜き、緑谷を助けようと動こうとした。

しかしそこに更に別の人物が駆け付けて来た。

 

「何故ひと固まりで突っ立っている!! そっちに1人逃げたはずだが!?」

 

「エンデヴァーさん! あちらはもう!?」

 

「多少手荒になったがな! ッ! あの男はまさか…ギア!!」

 

「わかってる! あれはヒーロー殺しよ!!」

 

エンデヴァーだった。

ヒーロー殺しを見たエンデヴァーはすぐさまギアへ叫び、ギアも察し叫び返した。

エンデヴァーはニヤつきながら『ヘルフレイム』を出し、ギアもそれに合わせて脚を力み入れた。

 

「待て、轟! 天堕!!」

 

「「ッ!?」」

 

だがそれをグラントリノが戦慄した表情で止めに入った。

 

 

「――贋物……!!」

 

 

ステインは目元の包帯のようなマスクが落ち、その素顔が露になった。

そのままステインは振り返り、目の前にいるヒーローたちを見る。

そしてヒーローたちは完全に気圧されてしまった。

 

「正さねば……――誰かが、血に染まらねば……!!」

 

ステインが一歩、また一歩と踏み込んでいく。

現No.2であるエンデヴァーと元No.2であるギアですら、その気圧に押され、一歩引いてしまった。

 

「"英雄(ヒーロー)"を…取り戻さねば!!」

 

その気圧はすさまじく、プロですら数人腰を抜かし尻もちをしてしまうほどだった。

 

 

 

「来い、来てみろ贋物ども……俺を殺していいのは、本物の英雄(オールマイト)だけだ!!!」

 

 

 

その凄まじい殺気を放つステインが持っていた小さなナイフが落ちた。

そして、全員がその気圧を感じなくなった。

ギアは、恐る恐るとステインへ近づき、確認する。

 

「…! 気を、失ってるわ…」

 

ステインは、立ったまま気を失っていた。

それを知ったやいなや、飯田と轟は腰を抜かし、プロも息をようやく吸いだし、吐き出しを繰り返し始めた。

 

「…ふぅ…とりあえず確保よ! 拘束急いで!!」

 

「ッ! は、はい!!」

 

ギアの声に反応し、ヒーローたちはステインに殺到する。だが………——

 

「「「ッ!?」」」

 

——突然1つのビルが下から穴を開けられるように崩壊し、そこから2つの影が出てきた。

 

「おっ、ビンゴだぜ!!」

 

「おまけに元と現のNo.2まで……これなら押しつけもできますね」

 

出てきたのはマグニールとメドゥーゴルだった。

そんな2人の背後からさらに衝撃による爆破が起こり、先ほどのステインが放っていた殺気を上回る憎悪が溢れ出し——

 

「あ”ぁ”ア”a”ア”A”A”a”ア”あ”ァ”ァ”あ”a”ッ!!!!!」

 

——そこから暴走状態の幻神が出てきた。

そしてそのまま逃がさないとばかりに2人を追う。

だがメドゥーゴルはスカートの中から2つの黒い球を取り出し、それを空中に放す。

すると黒い球は破裂し、閃光弾のように光った。

幻神は閃光が消えてから周りを見渡すも、既にマグニールとメドゥーゴルはその場から姿を消していた。

 

「あ、天堕…さん?」

 

「ヴぅ”U”……!!」

 

そして幻神の耳に、別の声が聞こえ、その声の方向へ視線を向ける。

そこにはプロヒーロー含め緑谷たちがいた。

 

「ヴぅ”ぅ”ヴヴu”う”U”U”ぅ”……ッ!!!!」

 

幻神は息と血を吐きながら、四つん這いに体勢を変える。新しい獲物を見つけたかのように。

 

「あれは…なんだ…!?」

 

「ゆ、ゆぅ…ちゃん?」

 

「A”ァ”ぁ”ぁ”a”ァ”a”ぁ”ァ”ァ”ぁ”a”ァ”あ”ア”A”A”あ”A”ア”ア”ッ!!!!!!」

 

幻神の咆哮は風圧を発生させた。

プロヒーローらは構え、轟と飯田、緑谷は何が起きているのかわからない状態でいた。

そんな中最初に動いたのはエンデヴァーだった。

 

「【赫灼熱拳・ジェットバーン】!!」

 

幻神は【赫灼熱拳・ジェットバーン】を真正面から受けるも、微動だにせず駆け続ける。

 

「クソッ!」

 

次に動いたのはグラントリノ。

『ジェット』を駆使して一瞬で背面に回り、蹴りを入れようとするも『ガングニール』のマフラーがそれを防いだ。

 

「なっ!?」

 

「グぅ”u”ァ”ぁ”ア”a”ぁ”ァ”A”ア”あ”a”A”あ”ァ”ア”ッ!!!!!!!!」

 

そしてそのままマフラーで拘束し、投げ飛ばす。

投げ飛ばされたグラントリノはすぐに体勢を立て直した。

 

「ぐ”ア”a”ア”A”ぁ”ァ”a”ア”あ”A”A”あ”A”ぁ”ア”a”ァ”ッ!!!!!!」

 

幻神は咆哮をしながら、口や目に血を吐き出した。

それを見たギアは苦い顔をして察した。 

 

「(暴走している…しかもそれのせいで体力と生命力がどんどん減ってる…! このままだとヤバい!) あなたたちはそこの子供たちを連れて離れて!」

 

ギアはすぐに後ろにいるプロヒーローに指示し、駆け出す。それに気づいた幻神は右腕を構えながら駆け出す。

 

「痛いだろうけど…我慢してね!」

 

「がァ”っ!?」

 

幻神は拳を突き出し、ギアを貫こうとするも、ギアはそれを避けて一気に幻神の懐に入る。

そして拳を構えて、一瞬で幻神の腹部に手のひらを、重い一撃を放った。

それによって幻神は血と息を吐きながら、吹き飛び、地面に転がった。

 

「ヴぅ”ぁ”…あ”ぁ”a”あ”ア”…!!」

 

幻神は苦しみながらも立ち上がり、一歩を踏み込んだ。

 

「A”あ”ぁ”ア”A”A”ぁ”ァ”あ”A”ア”あ”a”ァ”ァ”a”a”ァ”あ”ア”ぁ”A”ア”あ”ァ”a”ァ”あ”ぁ”a”ア”ッ!!!!!!!!!!!!!!」

 

だが次の瞬間、幻神はさらに苦しみだし悲鳴のような咆哮をした。

すると幻神を覆っていた禍々しいものが消えていき、元の『ガングニール』に戻った。

そして意識を失い、『ガングニール』も解除されて地面に倒れそうになる。

そこをギアは一瞬で駆け付け、受け止めた。

 

「まぁた入院することになるね、ゆぅちゃ——」

 

 

 

 

 

「わた…ぁ……の…わ……ぃ…」

 

 

 

 

 

「——……ッ!?」

 

微かに幻神が気絶しながらもなぜか呟いた途切れ途切れの声。

それを唯一傍にいた翠だけが耳にし、聞いた瞬間、驚愕と絶句をした。

それはまるで何かを知っていて、それを悟ったような表情をしていた。

 

「……」

 

だが翠はすぐに表情を隠すために、仮面をするように普通の表情にし、幻神を横抱きで抱き上げ、振り返った。

 

幻神(・・)は私が病院に連れて行きます。そっちの方はお願いします」

 

「え、あ…は、はい!」

 

プロの1人が返事をしたことを確認した翠はすぐに近くの病院へと【サードアップ】を使用してまで向かった。そのほんの一瞬だけ、彼女は焦りの表情をしていたのを、誰も気づくことはなかった。

 

 

 

 





暴走って大変ですねェ…ハハッ。

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