この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!
そして1回だけでも挿入絵を入れようかなと思っております。
どの場面かとかはまだ決まってないですけど!!それに、もしかしたらやっぱやんないって可能性もあるので、挿入絵に関してはあんま期待しないでください。
人は眠るとき、夢を見る時と見ない時がある。
夢を見なければ、ただ視界が真っ黒になっている。
夢を見れば、ありえないことや変わった場所にいる時がある。
しかし、夢とは目が覚めれば一瞬で忘れる。
覚えているときもあるが、それも人による。
——ただ、その2つの境目、そこでは夢ではない別の物を見る時がある。それは……——
ジリジリと音を鳴らしながら、視界が砂嵐のようにノイズ塗れで、ちゃんと見えない。
稀に見える時があるけど、それも場面が次々に変わっていってる。
だけど、それもどこで何かまではわからない。
身体を動かすこともできない。声も出せない。
ただ、何かを見せられてるような……そう、走馬灯のようなそれだ。
そして断片的な感じでノイズと共に何かが映ってくる。
——薄暗い部屋。
——床に転がっている何人もの人。
——白衣を着た誰か。
——伸びてくる手。
そんな断片的なものが流れていたけど突然消えて、ノイズもなくなり真っ暗になった。
するとそんな真っ暗なものが空間へと変わりそこにスポットライトが当てられてるような感じで、私の視界…離れた位置に小さな少女が現れた。
後ろ姿で顔はよく見えないけど、髪の長さと女の子らしい格好でわかった。でもあの髪の色は、どう見ても
私は身体を動かすこともできない。
そもそも身体があるのかもわからない状態だ。
すると少女はゆっくりとコッチに振り返ろうと動いた。そして、顔が見えそうに————
「……ぁえ?」
———になって、私の意識は現実へと戻って来た。
「…痛ッ! く、ぅ~…!」
身体をゆっくりと起こせば、頭痛が襲ってきた。
咄嗟に頭を抑える。そして気づいた。
ここは病院だと。ベットや自身の格好でわかった。
でも、見た感じ包帯やらで手当てされた跡はない……。
「……なんだったんだ、あれ…」
イグナイトによる過去のトラウマなどは分かる。
だけどあれは、あの記憶は……———そう考えていると、扉のスライドの音が聞こえ、そっちに視線を向ければ、先生がいた。
「目が覚めたみたいね」
「せん…せぃ…?」
なんか、雰囲気が違う。
普段の雰囲気とは……どこか、とても真剣な…先生は扉を閉めてから私の元に近づき、パイプ椅子を取り出してそこに座った。
「単刀直入に言うわ。ゆぅちゃん、あなたは保須市で起きた
「う、うん…」
「その後、どうしたの?」
「えっと…緑谷くんのSOS信号の元へ向かう途中で、私と歳が近そうな
「その後は?」
こ、怖い…いや、先生は真剣だからこういう雰囲気になるんだ。むしろ、元とはいえNo.2なんだ。
これ程までの覇気がないと釣り合わないんだろう。
「その…追い詰められて、それで、あそこを切り抜けるためにも、緑谷くんの元へ行くためにも、一か八かのぶっつけ本番で、イグナイト……危険すぎるモードを起動しました」
「じゃああの姿はその姿?」
「その後の記憶はない…その、力をコントロールできなくて、そのまま暴走しちゃったと思う。記憶がないから……」
「まぁあの状態で記憶があるなら、逆に自分で止めようとしたりするでしょうからね……んじゃ、あの時のゆぅちゃんのことは聞けたから良しとして、あの
思わず俯いてしまった。
マグニールとメドゥーゴル……『雷神トール』が使っていた『ミョルニル』と『ゴルゴーン』、神話に出てくる存在の力を"個性"として宿した2人の少女。私は、意を決して先生を見て話した。
あの2人の"個性"のこと。
私を狙うのは私の"個性"で纏う鎧の元ネタが同じ神話や英雄などだからだということ。
そしてあの2人の実力は先生と互角に渡るほどのものであり、それが+2人という状況だったこと。2人が神々の力を使えたこと。
『シンフォギア』とかそういうアニメの話はうまく逸らしながらね。
「……なるほど、それでゆぅちゃんを…」
「あ、あともう1つ。あの2人は私のことを
「……イレギュラー?」
「そう、イレギュラー」
先生が私が行ったことをリピートして聞いて、私は再度答えたら、何か考え込みだした。
「……わかったわ。それらについてはこっちで調べる。向こうが何の意味もなくイレギュラーなんて言わないだろうしね」
先生はそう言うとパイプ椅子を片付けて病室を後にしようとしたが、止まりこっちに振り返った。
「別の病室にいずくんがいるから、後で会いなさいね?」
「ふぇ?」
「んじゃあね~!」
「ちょっ!」
先生は緑谷くんが別の病室にいることを言うと、さっきまでとは打って変わって普段の雰囲気になって出て行った。
じょ、情緒不安定すぎるでしょあの人……!!!
——◆——
幻神の病室を出た翠は少し離れた位置で壁に背を預けて、大きく息を吐いた。
「……暴走か…」
翠は壁から離れ、廊下を歩きだす。そしてポケットから端末を取り出し、ポチポチといじりだし、耳に当てた。
「(最悪ね本当に……)」
『……あなたから掛けてくるなんて珍しいわね。動きがあったのかしら?』
翠の端末から女性の声が漏れ出した。
翠はある人物に電話を掛けていたのだ。
そして掛かって来たことと、電話相手の話の内容を聞いて、翠は顔を顰めた。
「今回の保須事件で幻神が暴走したことなんだけど……——」
——◆——
先生が病室を後にしてからすれ違うように医者がやって来て、身体の状況とか教えてくれた。
身体的に問題はなく、無事回復している。
だけど精神的な方は私自身が目覚めるまで不安定だったらしく、ずっとうなされていたらしい。
けど今は問題なく安定しているだとか。
それを知った私は緑谷くんのいる病室へ向かっていた。轟くんと飯田くんもいたらしいけど、2人とも既に退院しているらしい。
っと、ここだよね?手を掛けて、扉をスライドして開けた。
「? え、あ、天堕さん!?」
「や、やっほー…」
めっちゃ広い病室に緑谷くん1人て、いじめか?ってのが最初に思った。
緑谷くん本人はベットの上でスマホをいじっていたし。
「だ、大丈夫なの!? その……」
「へいきへっちゃらだよ。そういう緑谷くんは?」
私は緑谷くんのベッドに近づき、腰をベットの上に下ろした。
「僕は脚をやられたけど、大丈夫。轟君も飯田君も退院してるよ」
「それは聞いたけど、その…私さ、知ってると思うけど、暴走してたから、もしかしたらみんなのこともって考えちゃって……」
「それは大丈夫だよ! あの後ギアがすぐに終わらせたんだ。本当に一瞬だったよ」
「そっかぁ~」
じゃあ先生には暴走を止めるにも、みんなを傷つけない為にも、守ってくれたんだ。
「なら今度ご馳走しなきゃな~! 何かいい料理のリクエストある?」
「アハハ、天堕さんの料理はおいしいから、ギアなら何でも喜ぶんじゃない?」
「え~? それだとな~……——」
何だかんだ緑谷くんと夕飯のメニューのリクエストを聞く。と言っても先生用のだけどね~。
「そう言えば緑谷くんはどこでやってるの?」
「ん、グラントリノってヒーローの所だよ」
「グラ…なに?」
「グラントリノ。僕も知らないヒーローだったんだけど、実力は本物で、実戦形式の特訓でも手も足も出なかったんだよね……」
うっそマジか。
A組の中でも一番成長速度が高い緑谷くんでもダメなのか…どんな人なんだろ?
「それでね…——」
…………
「……? 天堕ぁ…さん?」
……………
…………………
………………………
——スゥ
「へっ……?」
とても…暖かい……
「あ、あの…あ、天堕さん?」
「……ぇ?」
あれ?私……わた…ッ!?
わ、私の右手が緑谷くんの頬に添えてる!?
「ビャァァァアアアッ!!!?」
「わぁぁああああ!?」
思わず叫びながら飛んで距離を取り、緑谷くんもそんな私に驚いた。
そして私はそのまま反対側の壁に当たった。
「あ、ああぁぁあぁ!?」
「だ、大丈夫!? すっごい顔赤いけど!?」
だ、だだだだ、大丈夫!なハズ!!って声に出そうにも声が詰まって出ない。
か、顔が熱い!!
「ご、ごめん…! わ、わわ、私…も、戻る…!」
「あ、ちょっ……——」
私は逃げるように緑谷くんの病室を後にした。
——◆——
「……今の、気のせい…だったかな?」
幻神が去ってから、緑谷は先ほど見たことを脳内で思い出していた。
「一瞬だけ、天堕さんの目が、
何故か自身の頬に手を添えて見つめる幻神の姿。だが、そんな幻神の瞳は、緑谷の視点だと変化しているように見えていた。
「でも、さっき出ていく時は普段通りだったし…気のせいかな?」
緑谷はいろいろと考えるが、すぐに女子に急に自身の頬に手を添えられたことを思い出し、顔を真っ赤にしてベッドに倒れたのは、もう1~2分先のことであり、彼は後にこう語る。
——
——◆——
薄暗いその施設。
そこにマグニールとメドゥーゴルがおり、メドゥーゴルは複数枚の紙を持っていた。
「まとめ上げた彼女の情報はここまでです」
「そうか、ありがとう」
彼女らの前方はとても暗く、そこに1つだけ小さな光があり、薄っすらと誰かを照らしていた。
そしてその誰かは中年男性の声をし、メドゥーゴルにお礼を言っていた。
「だけどまだ確信とまではいかないね。けど君たちを追い詰めたのは素晴らしい」
「暴走してたけどな」
「それでもだよ。だからこそ僕は興味を持つ。もしかしたらの可能性もあるしね‥…」
中年男性の言葉にマグニールは「ケッ」といら立ちを露にし、メドゥーゴルは紙を整えて近くにある机に置いた。
「そうだメドゥーゴル、君にお願いがあるんだ」
「なんでしょう?」
「実はね、近々僕の知り合いがある計画を実行するんだ。君にはそれに同行し、そこである物を回収してほしい」
「ある物?」
「そう。それらに関してはその知り合いも呼んで説明するよ」
中年男性は改めて知り合いを呼んでから内容を説明すると言い、それに対してメドゥーゴルは頷いた。
ちなみにマグニールは「あたしはお留守番かよ……」と愚痴っていた。
最近ネタがあれで手が止まっちゃうんですよね~……でも頑張って書き続けます。
あと歌えてないから早く歌わせたいでしゅ。
——スゥの部分は手を頬に添えるしぐさの表現です。