この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!
ホークスの口調やっぱわかんねぇ……
『
ホークスはすぐに『剛翼』を羽ばたかせ、上昇することで攻撃を回避した。
だが幻神(?)は間髪入れずに『
「(見た感じ、あのエネルギーの円盤のようなものから攻撃してくる感じか。しかも火に水、風と土…特に火は厄介か!!)」
ホークスは『剛翼』を全て戻し、ハンデの『超圧縮』のせいで本調子ではないが、それでも最大の速度で飛び回った。
「まるで鳥よりも……羽虫だな」
幻神(?)は自身の背面に風の魔法陣。
否、『錬金術の術式』を展開する。
それによって幻神(?)は空中に浮きだした。
「しかし『
幻神(?)は両手から弦をワイヤーのように伸ばし、攻撃する。ホークスはそれ見るや否や回避した。
そして弦はそのまま演習会場Bのビルの1つを細かく、サイコロステーキのように一瞬で切り刻んだ。
「マジかッ!?」
思わずホークスも声を上げてしまうほどの強度と鋭さ。ただの弦にこんな攻撃は不可能なのだから。
だが、どんな
「……ッ。血…? 体力はそこまで減っては……いや…そういうことか」
幻神(?)は自身の口の片方の端から血が垂れたのに気付き、掬い取る。
疑問を抱いていたが、その理由はすぐに気づいた。そしてその隙を狙い、ホークスは背後に回り、羽根で攻撃する。
「くっ!」
だが幻神(?)は黄金の錬金術式を展開して防御した。そしてすぐさま黄金を火に変換し、炎を放射し、ホークスは燃やされないよう距離を取った。
幻神(?)のほうは、指先が血で汚れた自身の手を見ていた。
「記憶で見た『原作』と大きく異なるのは本当らしいな。本来のデメリットが取り除かれているが、それを補うために代わりのデメリットが存在している……なら、頃合いを見て試さないとな」
幻神(?)は手を振るい、ついてた血を振り払ってから『
「逃げて応援を呼んだほうがいいと考えて逃げを中心的にしていた動きじゃなかったっけ?」
「黙れ。『
そして幻神(?)は『
「(情報では纏っている間は必ず体力が減り続けるという大きなデメリットを抱えていると聞いた! 加えて今の情報にない未知の武装……それに、明らかに攻撃1つ1つが、ただの迎撃じゃない。クリアしたいとか、逃げるためにとか、勝つためとかじゃない……——)」
「(—確実な殺意が込められているッ!)」
ホークスは加速し、重りがあるとは思えない速度で幻神(?)の懐に入り、羽根を振る——
「——フッ」
「ッ!?」
——ったが、幻神(?)は弦をまるで蜘蛛の巣のように周囲に伸ばし、ホークスの動きを完璧に止めたのだ。弦はただの建物を一瞬で切り付けるほどの鋭さと、簡単には切れない程の強度を誇っているため、速度を生かしての攻撃をするホークスにとってこれを抜け出すのはほぼ不可能なのだ。
幻神(?)はそれに気づいており、あえて接近するよう攻撃を意図的に誘導するための動きにしていたのだ。
「こんな小娘の誘導に引っかかるとはな」
「随分と口調が悪いようで…! (動けん…下手したらこのまま斬られるほどに、固い…!)」
ホークスはもがこうとするも、そのもがこうとする動きすらできない。強いて動かせると言ったら顔が少々ぐらいだろう。
『緑谷・爆豪チーム条件達成!』
そんな中、新たな試験達成組の報告が鳴り響いた。
だが幻神(?)は気にすることなく、スゥーとホークスから距離を離し、1つのビルの上に立った。
「今度は何をするつもりで?」
「なに、お前も『私』の戦闘を体育祭などで見ていたんだろう? なら今から『わたし』がすることもすぐにわかるはずだ」
幻神(?)の発言にホークスはすぐに察し、苦笑いしながら、動けないながらも警戒しだした。
「…まさかのまさかですか」
「確か、こういうセリフだったな」
「…?」
幻神(?)は片手を上に掲げる。まるで天へと差し向けるように。すると『
幻神(?)を中心にその周りをゆっくりと動いていた。
「高くつくぞ……——」
「——『
♪ 嗚呼、終焉への
♪ 殺戮の福音に血反吐と散れ ♫
幻神(?)が歌いだす。同時に火の錬金術を放射し、ホークスに命中させ、炎が燃え上がる。
だがそこからホークスは自力で抜け出した。
しかし火の錬金術によって『剛翼』は燃え始めていた。
♪ 微分子レベルまで解剖して ♫
♪ 反逆を永劫に断つ ♫
「(炎を使ってるのは正直やばい! 俺の"個性"は火にめっぽう弱い…それに彼女、さっきも言った通り本当に逃げの選択を消して、オレを倒す…いや、殺すことだけを考えているッ!)」
ホークスは燃えてしまっている部分だけの羽根を幻神(?)目掛けて放つ。
だが幻神(?)は足元に巨大な風の錬金術を展開させ、自身を守るように風を放射させた。
『剛翼』は風に巻き込まれそのまま燃え尽きながら上へ吹き飛ばされた。
♪ るLuリRぁ… 宇宙が傾き ♫
♪ RゥるRiラ… 太陽が凍る ♫
風が消えると、幻神(?)の纏う『ダウルダブラ・ファウストローブ』の背部ユニットが展開されており、弦が震えていた。
♪ Genocide&genocide ♫
そして背面に規模の大きい『
♪ 血液一滴残らず ♫
♪ 憎悪と力で掻き毟る ♫
♪ 震え怖じよ… ♫
「世界の崩れる、Love song……♪」
その歌と共に幻神(?)は片方の口角から血を垂らしながらもニヤついた。
その顔を見たホークスはゾッと感じすぐに『剛翼』でその場から離れようとした。
♪ 奇跡など殺すと誓ったのだ ♫
『
それによって演習会場Bが次々と燃え上がり、水によって崩れ、風に巻き上げられ、土に潰され、弦によって切り刻まれて行った。
♪ 想い出など微塵も焼き消して ♫
ホークスはそんな攻撃の嵐を避け続ける。
だが避けるのに精いっぱいなためか、反撃すらできない状況だった。
「ヒーローなら被害を抑えつつ
♪ 狂い酔えば柔きあの笑顔も ♫
ホークスが叫ぶも、幻神(?)は気にせず歌いないながら攻撃を続けていた。
♪ 世界を壊す歌が忘却へと ♫
幻神(?)が予測し、ホークスの進行方向に火と風の錬金術を放つ。
ホークスはそれをさらに上昇してギリギリで回避した。だがそんなホークスを追うように、真下から土の錬金術が放射された。
♪ 愛など見えない ♫
ホークスはそれすらも回避し『剛翼』を集め戻す。
だがそんなホークスに影が重なった。
♪ 愛などわからぬ ♫
「はっ!!」
ホークスは上を見上げる。そこには右手に弦を集中させることでドリルに変換させて構えている幻神(?)がいた。
「愛など終わらせるぅ!!!♪」
そのドリルに垂れている弦を、エンジンなどを掛けるような形で強く引き抜いた。
それによってドリルは回転し、風の錬金術を発生させて掛け合わせ、回転させながらホークスの腹部を殴り、そのまま地面へ殴り飛ばした。
ホークスはそれをもろに受け、そして地面に激突した。
「…くっ! (本当にこれで、高校生なのか!?)」
「素晴らしいな。この『ダウルダブラ』とやらは……デメリットが大きすぎるが錬金術の使用も含め、扱えればどうって事ない。逆にそれ相応のメリットになる。まさに『奇跡の殺戮者 』が使うための私物だな」
幻神(?)は片方だけ開いき、黄金に輝いている右目で自身の身体を見ながら言い放ち、ホークスを見た。
「それに加えて、歌えば多少なりとデメリットの進行を抑えられ、プラス効果で調子も上がる。確かにこれは『原作』と『私』のやり方通り、歌いながらの戦闘のほうが良さそうだ」
幻神(?)はホークスの元へ歩み寄る。それに対しホークスは身体を起こし、立ち上がろうとする。
「本音を言えばもう少し試してみたいが、ルールはルールだ。貴様に『
幻神(?)はホークスを弦で拘束し、そしてホークスの腕にカフスを装着させた。
『天堕、条件達成!』
その報告が鳴った瞬間弦が消え、ホークスは解放された。
「いや~強かったね天堕さん。まさか俺がこんな防戦一方になるとは……それと、ちょっとさっきのいろいろと聞かせてもらっても——」
ホークスが頭を掻きながら話すが、幻神(?)は黙ったまま。そして次の瞬間、幻神(?)は『ダウルダブラ』が解除されながら糸が切れたように倒れた。
「えっ、ちょ…あ、天堕さん!?」
ホークスはこれでもプロであるため、幻神が地面に倒れ込む前に受け止めた。
そしてホークスは幻神が気絶していることに気づいた。
「気絶している……君は本当に、何なんだい…?」
演習試験で燃やされたが、それでも何本か残った『剛翼』を集めてから幻神を抱き上げ、演習会場Bの入口へ飛び去った。
——◆——
ジジジッと、テレビの砂嵐のような音と共に、何かが目の前に映っている。
でもそれが何なのかわからない。
ただ、その砂嵐が消えると、真っ暗な空間にポツンと私は立っていた。
そして、少し離れた奥に、スポットライトが当てられてるような感じで、またあの小さな少女が現れた。私はまたも身体を動かすことができない。けど、今回は、身体があるのは何となくわかった。
そしてその少女は身体は既にこっちを向いていた。その少女は、幼くした際の私のような姿をしており、唯一違う点は、瞳の色が違う——
「……また、このパターン…」
——ことが分かったと思ったら、私の意識は現実へ戻って来ていた。
身体を起こすと、ここは医務室だってわかった。でも同時に不安が押し寄せた。
演習試験はどうなったんだ…?気が付いたら医務室にいるから、気絶して、リタイアしたのだろうとは思う……。
「(結局…イグナイトによって引き出された憎悪に押し潰されたのか……)」
そう思い込んでいると、私を隠すように閉ざされていたカーテンが開かれた。
「おや、目が覚めたようだね」
「リカバリーガール……あの、試験はどうなったんですか?」
リカバリーガールがいた(いやまぁ雄英の医務室なら絶対いるだろうけど)。私はすぐに試験のことを聞いた。
「おや、覚えてないのかい? あんた、クリアした途端倒れたんだよ。そんなあんたをホークスが運んできたんだ」
「——えっ」
クリア…した…?
でも、私、イグナイトを使用して苦しんでいるところから記憶がない…どういうことだ。
一応後で相澤先生あたりに試験のことや記録映像などがないか聞いておこう。にしても……。
「起きたばかりなのに…すっごいだるい……」
「そりゃそうさね。あんた、なぜか
「生命力、だけ…?」
どういうことだ?なんで、私の"個性"は基本、体力をエネルギーに変換して使用する。生命力は体力が尽き欠けて、足りない部分を補ったり、完全に尽きた時に使用するようにしている。
なのに、体力は残って生命力だけが減っているって……。
「(こんなこと今までなかった。私の身体、どうなってるの……?)」
「まだ辛いならもうしばらく寝ておきなさい。後で水と一応元気になるもの持ってくるからね」
「あっ、はい…」
リカバリーガールはカーテンを閉めた。そして私はそのままベットに再び横になった。
とりあえず今は回復に専念しよう。
試験のことは、明日にでも先生に……。
——◆——
雄英、屋上。
ホークスはその屋上から広がる街を眺めていた。
「(あの目、去年まで中学生だった子がしていい目じゃない)」
ホークスは、先の試験で『ダウルダブラ』を纏った幻神の姿を思い返していた。
片目だけ開き、黄金へと色が変異したその瞳を。しかしそこじゃない。ホークスはその瞳から感じる物に関して抱いていたのだ。
「(まるで、
その屋上に降り注ぐ優しい風は、どこか、不穏を感じさせるような風だと、ホークスはのちに語った。
無事(?)演習試験が終えました。
私がやりたいことが、今確実に近づきつつありますが、うまくいくかはわからないので不安の方が大きいです。それと言っておきます。
『私』と『わたし』は誤字ではありません。
それではまた次回!