この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
ちびたXtreme様、紅葉紫苑様、誤字報告ありがとうございます!
薄暗い非常階段。
そこにいる私たちは深刻そうな顔をしていた。
その理由は、このタワーのみならず、I・アイランドの島そのものが
そしてオールマイトはここから逃げるようにと指示をしたのだ。
「俺は、雄英教師であるオールマイトの指示に従い、ここから脱出することを提案する」
「飯田さんの意見に賛同しますわ……私たちはまだ学生、ヒーロー免許もないのに
「あっ、なら外にいるヒーローに…!」
委員長組は脱出を提案し、上鳴くんがそれで外からヒーローに助けを求めればとさらに提案する。
だけどメリッサさんが「『タルタロス』と同じレベルの防災設計で建てられているから脱出は困難」と言った。
「そ、それじゃ脱出は困難だし、助けが来るまで大人しく待つしかないのか……」
「上鳴、それでいいの?」
「いいのって……どういう意味だよ」
「助けに行こうとかは思わないの?」
気落ちする上鳴くんに対して耳郎さんが立ち上がってそう言った。
きっと、自身の"個性"でオールマイトの声を聞き取る際に、同じくパーティ会場に捕らわれている人たちの声を聞いてしまったからなんだ。
「だ、だけどよ! オールマイトすら捕まっちまってんだぞ!? オイラ達でどうにかなることなのかよー!」
峰田くんが本音での叫びに私たちは悔しさを感じた。何もできない、自分の弱さに……峰田くんの言ってることは最もだけど……。
「俺らはヒーローを目指している……」
そんな中、轟くんが自身の左腕を見ながらそう呟いた。
「で、ですから私達はヒーロー活動を……」
「だからって、なにもしないで事態が悪化するかもしれないのをここでじっと待っているしかないのか……?」
「そ、それは……」
轟くんの言葉に八百万さんは声を詰まらせ、飯田くんも俯いてしまっていた。
「……救けたい」
「……緑谷くん?」
緑谷くんの一言は、私だけではなくここにいる全員の耳に届き、全員が彼を見た。
「——救けに行きたい」
「
峰田くんがそういうも、緑谷くんは
「気持ちはわかるけどよ緑谷、そんな都合のいいことは……」
「それでも探したいんだ! 今僕たちができる最善の行動を、みんなを救けられる方法を……!」
「デクくん…」
「I・アイランドの警備システムは最上階にあるわ」
突然メリッサさんが口を開き、そう言った。
私たちはメリッサさんに注目している中、メリッサさんは続けて喋った。
「
「メリッサさん…」
どうやらメリッサさんは既に覚悟が決まっている様子だった。
「現時点で私たちに実害は無いわ。
それなら戦いを回避することができるかもしれない。警備システムさえ取り返せれば、後はこっちのものなんだ。
他の皆も、やる気を出し始めているしね。
「しかし最上階には
「戦う必要はないんだ。システムを取り返せれば、ヒーロー達の捕縛も解除される。オールマイトも復帰する。逆転するはず……!」
「デクくん……行こう!」
最初に賛成の声を上げたのはお茶子ちゃんだった。
「私たちに出来る事があるのに、何もしないでいるのは嫌だ! そんなの、ヒーローになるならない以前の問題だと思う!」
「うん。困っている人たちを救けよう。人として当たり前の事をしよう!」
"人として当たり前の事を"…か……めっちゃいいこと言うじゃん。
「緑谷。俺も行くぜ」
「ウチも!」
それにつられて轟くんと耳郎さんも賛同するよう声を上げた。
「これ以上無理だと判断したら引き返す。それが飲めるのなら俺も同行しよう」
「そういう事であれば、私も」
「よっしゃ! オレも!」
「ここで動かなくていつ動くんだ! ってね?」
飯田くんに八百万さん、上鳴くんに私という順で更に賛同していく。
後は峰田くんだが……。
「あぁもう分かったよ! 行けばいいんだろ!? 行けば!?」
泣きべそかくように賛同してくれた。これで全員が行くことになった。
だけどメリッサさんは心配だからここにいるようにと緑谷くんが言うも「この中に警備システムを変更できる人いる?」と言われ、メリッサさんはこの中で一番大事な役目に当たる人物だと気付いた。
「私ならそれができる。最上階まで足手まといになるかもしれないけど……私にもみんなを守らせて!」
「……わかりました。行きましょう、みんなを救けに!」
——◆——
セントラルタワー最上階、管制室。
そこに『デヴィット・シールド』博士とその助手である『サム』が連れてこられた。
「連れてきてやったぜ」
「随分と遅かったじゃない?」
「うるっせぇよ。そんじゃさっさと保管室のプロテクトを解除しな?」
そこにいた
「……後からいろいろ行けなくなったりすると面倒だから、私も同行するわ」
「おい、勝手な行動するな」
「でも監視はいたほうがいいでしょ? 私の"
白髪少女は、尻尾をゆらゆらと揺らしながら黒の赤に濁っている歪な裸足を動かし、デヴィットの目の前まで移動した。
「——…石化させればいいですもの」
そしてニヤつき、舌なめずりをした。
それはまるで、蛇のように……。
——◆——
みんなを助けるために、制御システムを奪還するために私たちはタワーの最上階を目指すべく、階段を必死に登っていた。
だけど最上階は200階らしく、今現時点で登ったのは80階だった。このままいけばよかったのだが、80階の所でシャッターが閉まっていた。
「どうする? 壊すか?」
「そんな事をしたら、警備システムが反応して
「なら、こっちから行けば……」
どうするか悩んでいたが、峰田くんが非常用の扉を見つけ、ヘトヘトになりながらその扉を開けた。
その際メリッサさんは止めようとしたが既に遅く、扉は開いてしまった。
これによって最上階で警備システムを占拠している
だけど、そんなことで立ち止まっているわけにはいかず、私たちはその非常用の扉から別ルートで進むことにした。
「みんなごめんよぉ~! オイラのせいで~!」
「気にしないで! 事前に話していなかった私にも責任はある事だし!」
峰田くんが反省をしておりメリッサさんがフォローしている中でも私たちは走り続ける。
すると、突然シャッターがすべて閉じ始めた。
しかも行く先も、さっき通って来た後ろの道もだ。
「このままじゃ閉じ込められてしまいますわ!」
「ッ! 轟君!」
「あぁッ!」
飯田くんが轟くんに指示を出し、轟くんは氷結を出して目の前のシャッターを抑えた。
そして飯田くんが駆け出し、シャッターの奥にある1つの扉を蹴り壊した。
私たちも後に続いて、その中に入った。
入ったその場所は、さまざまな植物が生えていた。
「こ、ここは…!?」
「植物プラントよ。"個性"の影響を受けた植物を研究——」
「待って! あれ見て!!」
今いる場所の説明をするメリッサさんに、待ったと声を上げた耳郎さんは奥の中央にあるエレベーターに指を指した。
エレベーターを見れば、階数を示す表示がどんどん増えていっているのが分かった。
「
「隠れてやり過ごそう!」
緑谷くんに従い、私たちは近くの草の茂みの中に急いで隠れた。
そしてその草の茂みの中からエレベーターを覗き見した。その間に上鳴くんが「エレベーター使えないの?」と聞き、メリッサさんが「認証を受けてる人しか操作できないし、シェルター並みに頑丈に作られてるから破壊もできない」と言った。
峰田くんは「使わせろよ文明の利器!」と言ったけど、今回は全くの同意見だよ…そう思ってるのもつかの間、エレベーターがここ80階に到着し、そこから2人の男が出て来た。
緑谷くんが「会場にいた奴らだ」と言ったところから、やっぱり
「ガキはこの中にいるらしい」
「面倒な場所に入って、しかも隠れやがって……」
そんな
このままじゃ見つかっちゃう…!私たちはただ、気づかれないことを祈るしかない!
「天堕」
「ッ!」
そんな時に、轟くんが小声で話しかけて来た。
状況分かって——
「最悪の時は俺達で……」
「ッ! ……うん」
その言葉だけで私は察した。
全員で突破よりも、そっちの方がいい…アニメやゲームでよくある展開だ…!
「見つけたぞ、クソガキどもォ!!」
バレた!……行くしか——
「あぁ? 何つったテメェ」
……は?慌てて茂みの中から
「かっちゃん!? それに切島君も!?」
まさかの連絡が取れずにいた爆豪くんと切島くんの2人がいた。
「お前ら、ここで何している?」
「そんなの俺が聞きてぇぐらい——」
「ここは俺に任せろって! な?」
なにあの2人……切島くんは「道に迷って」とか言って……ッ!!
「見え透いた嘘をついてんじゃねぇぞ!!」
その隙に私は茂みの中から抜け出し、
『アガートラーム』の『聖詠』を口ずさむ。
それによって私は白銀の光に包まれた。
肌にピッタリと張り付く水色と白を基調とするバトルスーツを身に纏い、両腕は左右統一ではなく、左腕にのみ肩まで鎧が装備され、両足は足首から下が鎧のようなヒールを履き、臑はそれより薄い鎧。膝はバトルスーツだけになっている。
腰部は左右横に鎧があり、私からして右側には腰マントが付けられた。ヘッドセットは王冠のようなデザインになっており、イヤパッドは横四角形の形になり、後方に向けて左右それぞれ2本ずつ白の三角の輪っかのようなものが伸びている。
『アガートラーム』を纏った私はアームドギアである短剣を出う。
そして氷結を抉るように破壊して出て来た
「この氷結に、めっちゃ綺麗な声は!?」
「半分野郎に歌女!?」
切島くんと爆豪くんは驚きながらこっちを向いていた。
「ふぅ……ここは俺達で時間を稼ぐ!」
そう言って轟くんは他のみんなを氷結で上にある細い通路へ上昇させてた。
「轟さん!」
「ここを片付けたらすぐに追いかける!」
すると手が大きくなっている
「警備システムの奪還! 頼んだよ緑谷くん! メリッサさん!!」
そしてチラッと上を見れば、みんなは最上階を目指して進みだした。これで戦える……!
「おい、どういうことだよ?」
「放送聞いてないの? このタワーが
「えぇ!?」
「なんだとッ!?」
状況がわかっていない2人にざっくりと伝えた。
なんで放送が流れていたはずなのに、この2人は本気で知らないの…?
「詳しい説明は後だ! とにかく今は、あの
「お、おう!」
そう話していると、もう1人の
「ガキどもが…つけあがってんじゃねぇぞォ!!」
そう叫びながら駆け出してきた。
轟くんが氷結で止めようとするも、その氷結を簡単に砕きながら接近してきていた。
私たちはそれぞれ散開するように避ける。そして爆豪くんがすぐさまその
だけど
「なっ——」
「——爆豪!!」
そこを切島くんが捨て身で庇い『硬化』で自身を硬くするも、勢いに負けて、そのまま壁まで吹き飛ばされた。
「切島ァ!!」
「避けろ!!」
「ッ! ッチ!!」
轟くんの叫びで爆豪くんは手だけが大きい
「天堕! 切島を!!」
「うん!」
轟くんに言われ、私はすぐに切島くんの元へ向かった。
「切島くん!」
切島くんの元へ行けば壁に埋まっていて、抜けなくなっていた。
「た、助けてくれ! 抜けねぇ!」
そう言われ、切島くんを掴み引っこ抜こうとするも、とても固く抜けなかった。
後ろでは戦闘音が響き渡ってる…!
「(…アレ?) 切島くん、試しに"個性"解除してみて?」
「え、お、おう…うおっ!」
切島くんが『硬化』を解除したらすんなり抜けた。な、何でこんな単純すぎるのにすぐに気づかなかったんだ…!
「よっしゃ! これで加勢しに行ける!」
「うん! 行くよ!!」
私たちは急いで爆豪くんたちの加勢に向かった。
私はアームドギアを左腕の鎧にセットし、砲身に変形させる。
【- HORIZON†CANNON -】
【- HORIZON†CANNON -】が真っすぐ飛び、爆豪くんが相手している紫の巨体
「なっ! 邪魔すんじゃねぇ歌女!!」
「こんな時に威張ってる場合じゃないでしょ!?」
「そうだぜ爆豪! 今はコイツらをどうにかするほうが優先だ!!」
私たちはそれぞれ2人ずつで背中を合わせて、それぞれの先にいる
「お前ら、ただのガキじゃねぇようだな」
「何者だ!?」
「誰が答えるか! このクソ
「名乗るほどの者じゃねぇよ」
「ただ私たちは、島の人々を救うだけよ!!」
私は大きく息を吸う。
そして紫の巨体
♪ 「手の届く場所だけを守れればいい」 ♫
♪ それしかわたしには出来ない ♫
「うおォ!!」
だけど、生身なのにアームドギアの刃があまり通らなかった。
♪ 弱い自分だからこそ目に見える分の ♫
♪ 幸せが掴めればそれでよかった ♫
「オラァ!!」
「ぬんっ!!」
私が後方に下がると同時にすれ違うように切島くんが駆け出し、硬化した手で殴るも、
♪ だけど
♪ 傷を癒すだけじゃなく ♫
私はすぐに切島くんの飛んでくる方向に移動し、身体全体を使って受け止めて止まった。
「クッソ俺より力も硬さも上だ!」
♪ 世界ってのが「可能性は
♪ 背を押してくれた ♫
「(おまけに刃も通らない…『アガートラーム』だから肉弾戦もできるけど…!)」
「(重い一撃が必要だ……ゼロ距離で放てば行けるはず!) 鋭児郎! 一瞬でいいから隙を作って!! その隙を私の攻撃で決める!!」
「ッ! おう任せろォ!!」
♪ チクショウ…!とまた吠える空が ♫
♪ わたしにはある限り ♫
アレなら行けるはず!!私は左腕の鎧からアームドギアと一緒に短剣を出して、頭上に掲げる。
全ての短剣が円状に展開し、私を中心に高速回転する。
♪ どんな敵に踏み躙られ 例え腕が折れても ♫
「オラァ!!」
「ぬぅ!! このガキがァ!!」
♪ (Go hard…Go hard!) ♫
♪ 折られた腕ごと殴ってやろう ♫
切島くんが隙を作るのを待つんだ!その間にもっと高速で回転を!!
♪ (Go hard…Go hard!) ♫
♪ 敵に負けたっていい ♫
「ぬんっ!!」
「ッ!!」
「今だ!」
♪ 自分には負けぬことが… ♫
切島くんの言葉を聞いて私は勢いよく真上に飛び上がる。すると円状に高速回転していた短剣は竜巻状態になり、私はそのまま
「わたしの炎なんだァァァアアッ!!!!♪」
【- TORNADO†IMPACT -】
【- TORNADO†IMPACT -】を
私も地面に着地して、短剣たちをすべて左腕の鎧に納めた。
「大丈夫か天堕!?」
「大丈夫。そっちは?」
「おう! 離れてたからな!」
すると巨大な爆発音が聞こえて、咄嗟に振り返れば、もう1人の
どうやらあっちも終わらせたみたいだ。
私と切島くんは互いに顔を見て頷いてから、2人に駆け寄った。
「大丈夫かお前ら!」
「あぁ」
「どっからどうみても無事だろうが!」
どうやら無事なようだ。まぁクラスの2トップタッグなんだ。大丈夫だろうとは思ってたけど。
「……あんがとよ、切島」
「ん? んだよらしくねぇ! 気にするな!」
「してねぇわクソが!」
爆豪くんがお礼言ってるの、何気に初めて見るかも。ちゃんとお礼言えたんだ……。
「よし、緑谷たちを追うぞ」
「うん。きっと100階以上に入ってると思うから」
あ、『アガートラーム』を纏ったままだと体力が減り続けるからマズい。解除を……——
「「「ッ!!?」」」
——っと思ったけど、恐らく警備マシンだろう。それが約30体ほど出てきて、私たちの元に近寄ってきた。
「奴ら本気になったようだな……」
「一気に突破しよう!」
「命令すんな!」
私たちはすぐに戦闘態勢に入り、警備マシンへ駆け出した。
映画編第2話も何とか書けて嬉しい私です!とはいっても違和感なくうまく話を繋げるのは大変ですけど……アハハ^^;
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