この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様、紅葉紫苑様、誤字報告ありがとうございます!





襲撃の真実

 

 

 

 

「オラァ!!」

 

「死ねェ!!」

 

植物プラントで警備マシンをすべて破壊や拘束などで突破して、爆豪くんと切島くんの2人に今起きていることを説明した私たちは今、上へ目指している最中だ。その道中でも警備マシンは次々と出てきて、それを先頭の爆豪くんと切島くんが破壊して進んでいる。私は体力が少しずつ減り続けるけど、纏いなおすと大きく減るから、『アガートラーム』を解くに解けず、纏ったままの状態で走っていた。

 

「…? 警備マシンの数が減ってる?」

 

「そりゃあこんだけ壊しながら進んでたら数も減って……」

 

「ちげぇわクソ。奥にいる一部の警備マシンがなぜか下がってやがる……マシンの癖に尻尾を巻いてとんずらか!」

 

「違う。おそらく、先に進んでいるであろう緑谷くんたちの方に集中させてるんだ! 私たちはどっちにしろ突破するだろうから……」

 

「なるほど、一気にまとめて捕らえようってことか!」

 

警備マシンが圧倒的に減り続け、一気に進めるようになった。たとえ罠だとしても、行くしかない。そう思いながら階段を上っていき、140階以上まで来た。

 

「ッ! 風?」

 

冷たい風が肌に触れてくる中、必死に階段を上り切れば、壊れた扉があった。

その破壊された扉の奥を見れば、外に繋がっていた。

 

「オイあれ! 麗日だ! それに上には緑谷とメリッサさんもいるぞ!!」

 

「お茶子ちゃん!!」

 

切島くんが指を指し、その指したところを見れば、お茶子ちゃんが警備マシンに襲われそうになっているところだった。

その上の上空では緑谷くんとその緑谷くんにしがみ付いているメリッサさんもいる。

同時に真横から爆破の音が聞こえたと思ったら、既に爆豪くんがお茶子ちゃんの元へ飛んで行っていた。

 

「俺たちも行くぞ!」

 

「おう!」

 

「うん!!」

 

それに続いて私たちも急いで駆け出した。

そして爆豪くんがお茶子ちゃんに飛びかかった警備マシンを爆破して、轟くんが近くにある警備マシンを凍らせて封じた。

 

「爆豪くん! それに轟くんに切島くん! 幻神ちゃんも!!」

 

「怪我はねぇか麗日?」

 

「うん! 今デクくんとメリッサさんが最上階に向かっている!」

 

「あぁ見えてた。ここでコイツらを足止めするぞ!」

 

「俺に命令すんじゃねぇ!」

 

轟くんが凍らせて、そこを爆豪くんが爆破していく。私はアームドギアを出し、切島くんは両腕を硬化して、2人に加勢し警備マシンを壊していく。

お茶子ちゃんは緑谷くんたちを浮かして上に向かわせてるから、下がってもらっている。

 

「にしても、やっぱり一気に捕らえようとしていたみたいだね……明らかに量が多すぎる!!」

 

「けど、緑谷たちを信じて持ち堪えるしかねぇよ!」

 

警備マシンを壊しながらさっきのことを話していると、突然強い風が吹き出した。

 

「デクくん! メリッサさんッ!!」

 

お茶子ちゃんの声に釣られて、チラッと上を見れば、2人がさっきの強い風で方向が逸れてしまっていた。

 

「爆豪! プロペラを緑谷に向けろ!」

 

「だから命令するなって言ってんだろォがァ!!」

 

既に気づいていた轟くんは爆豪くんに命令する。

それに対して爆豪くんは起こりながらも命令に従ってプロペラの1つを破壊して、緑谷くんたちの方に向けた。轟くんがそのプロペラの後ろの方に回り込む。そこを警備マシンが邪魔しようとしていた。

私は短剣をもう1個出して逆手持ちの二刀流になり、脚蹴りも使って、轟くんを守るように警備マシンを破壊していった。

 

「轟くん!」

 

「あぁ!!」

 

轟くんがプロペラに炎を放って熱風を発生させた。その熱風によって軌道が逸れていた2人は元の軌道に戻った。その間にも破壊して行ったら、上の方から衝撃による破壊音が聞こえ、見上げればタワーから煙が出ていた。

 

「タワーに入った! 解除!」

 

お茶子ちゃんは入ったのを確認して"個性"を解除してから、私たちの方に加勢しに来た。

 

「後は緑谷たちが警備システムを解除するまで耐えるだけだ!」

 

私たちは、一気に警備マシンに攻撃を仕掛けた。

 

 

——◆——

 

 

セントラルタワー最上階。

緑谷とメリッサの2人は最上階の200階につき、待ち伏せていた(ヴィラン)を撃退し、警戒しながら制御ルームへ向かっていた。

 

「メリッサさん、制御ルームの場所は?」

 

「中央エレベーター前よ」

 

そして曲がり角で一度止まり、曲がり角の先を確認するために顔だけ出せば、その奥にある保管庫が開いていることに気づいた。

 

「あれは…」

 

「もしかして、パパ!?」

 

その保管庫の奥の内部を見れば、そこにはデヴィット・シールドがいた。

そんなデヴィットは懸命にコンソールを操作していた。

 

「どうして最上階に…?」

 

(ヴィラン)に連れてこられて何かされている? 急いで救けましょう!」

 

「えぇ!!」

 

 

 

保管庫。

 

「…よし、コードを解除出来た。1147ブロックへ!」

 

「は、はい!」

 

コンソールを操作していたデヴィットは、保管しているいくつもの発明品。

そのうちの1つを解除することに成功し、サムに指示をした。サムは急ぎその解除されたボックスがある区画へと向かう。そしてサムが待ち構えていた場所に2つのアルミツールケース(・・・・・・・・・・・・)が出され、サムはその両方を取り出し、デヴィットの下へ戻った。

 

「やりましたね博士! 全て揃っています!」

 

サムはそれぞれのアルミツールケースを開け、中身をデヴィットに見せる。1つは小さめの丸い形の物に大きなフックがついてる装置。

もう1つにも同じものが入っているが、それとは別でさらに小さいUSBのようなものとデータチップも入っていた。

 

「あぁ……遂に取り戻した…この装置と研究データだけは、誰にも渡さない…渡すものか…!」

 

「プラン通りですね。(ヴィラン)たちも上手くやっているみたいです」

 

「ありがとう。彼等を手配してくれた君のお陰だ。サム——」

 

 

「——……パパ…?」

 

 

「えっ…?」

 

「ッ! お、お嬢さん…!?」

 

デヴィットとサムは聞き覚えしかない声が聞こえ、反射的に声の方向へ顔を向けた。

そして表情は驚愕、それ1つだけに染まりきった。

デヴィットの脳内は「なぜここに」「どうやって」と疑問ばかりが生まれていた。

 

「メリッ…サ…!?」

 

「”手配した”って…どういうこと? もしかしてこの事件……パパが仕組んだの…?」

 

「……ッ」

 

メリッサの問いかけにデヴィットは、深刻そうな表情をし、答えようとしない。

 

「その装置やデータを手に入れる為に…? そうなの、パパッ!?」

 

一方でメリッサは心の中で「嘘だ」と。「脅されてやらされた」と言ってほしいと願っていた。

 

「………そうだ…」

 

だが必死に問いかける娘のメリッサに、デヴィットはその真実を認める返事を吐き出すようにした。

メリッサは、信じられないという表情をし、デヴィットに詰め寄った。

 

「なんで……どうして!?」

 

「博士は奪われた物を取り返しただけです! 機械的に"個性"を増幅させる、この画期的な発明を…!」

 

「"個性"の…増幅…!?」

 

「まだ試作段階ですが、この装置を使えば薬品などとは違い、人体に影響を与えず"個性"を増幅させる事ができます。しかし、この発明と研究データはスポンサーによって没収。研究そのものも凍結させられた……これが世界に公表されれば、超人社会の構造が激変する…それを恐れた各国政府が圧力をかけてきたのです。だから博士は……」

 

そしてサムは言葉を繋ぎ続け、今現在起きている(ヴィラン)たちの行動も、全て博士たちが研究を取り返すために、あたかも(ヴィラン)に盗まれたかのようにするという計画だったのだ。

デヴィットはそんなことしたくないと当初は反対していたものの、サムは本物の(ヴィラン)ではなく(ヴィラン)を装った者を雇って盗まれた事にし、その後は自分たちは別の場所で研究を続ける……サムの必死な訴えと覚悟によってデヴィットは決断し、今起きている事件を起こす計画を密に立て、実行したのだ。

 

そう、すべては……彼の、否、すべての光である『平和の象徴(オールマイト)』を再び取り戻すために……。

 

それを聞いた緑谷は、顔を青ざめていた。

 

「(僕が『ワン・フォー・オール』を受け継いだから…オールマイトの"個性(ちから)"が失われている事を憂いて、博士は……!)」

 

デヴィットはサムから装置だけが入ったほうのボックスを取った。

 

「頼む! オールマイトにこの装置を渡させてくれ! もう作り直している時間はないんだ! その後でなら、私はどんな罰を受ける覚悟も——」

 

「——命がけだった…!」

 

「えっ?」

 

「 捕らわれた人たちを救けようと、デクくんやクラスメイトのみんなが、ここに来るまでどんな目に遭ったと思ってるの!?」

 

メリッサは最上階に向かうまでに、緑谷たちがどれほど頑張ったか、大変な目に遭ったかを激高しながら言い放った。

その言葉に、デヴィットは困惑した。

 

「ど、どういう事だ? (ヴィラン)は偽物、全ては芝居のはずじゃ……」

 

「——もちろん芝居をしてたぜ。偽物(ヴィラン)という芝居をな」

 

声のした方に緑谷とメリッサは振り返る。

そこには会場にいた(ヴィラン)たちのリーダー『ウォルフラム』が立っていた。

緑谷はすぐさま【フルカウル】を纏うも、目を見開いた。それは、自身の目の前に一瞬にして白髪の半異形型の少女……『メドゥーゴル』が現れたのだ。

 

「なっ! (いつの間に…!?)」

 

「驚いて体勢を崩すなんて、ダメダメね!!」

 

メドゥーゴルは緑谷をそのまま蹴り飛ばし、壁に激突させた。そこをウォルフラムは"個性"『金属操作』を使い、手すりを生き物のように操ることで壁に激突した緑谷を拘束した。

 

「デクくん!!」

 

「(金属を操る"個性"…! それにあっちの(ヴィラン)は、保須で急に現れて一瞬でいなくなったほうの…!)」

 

「少し大人しくしてろ。サム、装置は?」

 

メリッサが緑谷を必死にに救い出そうとしている中、ウォルフラムは問いかける。

それを聞いたサムはデヴィットからケースを乱暴に奪い、小走りでウォルフラムの下に向かった。

 

「こ、ここに!」

 

「サム……? ……まさか最初から装置を、それもデータも含めて全てを(ヴィラン)に渡すつもりで…!?」

 

「だ、騙したのはあなたですよ! 長年あなたに仕えてきたというのに、あっさりと研究は凍結、手に入れる筈だった栄誉と名声…全て無くなってしまった……せめてお金ぐらい貰わないと割に合いません…!」

 

長年の仲間の裏切りに何も言えなくなっているデヴィット。そしてウォルフラムが「謝礼だ」といった次の瞬間、ザシュッ!とサムの左肩が金色の蛇の尻尾によって貫かれた。

尻尾が引き抜かれると同時にサムは膝から崩れ落ち、倒れながらも左腕を抑えた。

そんなサムの後ろにはメドゥーゴルが立っていた。

 

「な、何故…!? 約束が違う!」

 

「約束? 忘れたなぁ~」

 

「ッ! か、身体が…!?」

 

「【麻痺毒】でしばらくは動けない筈よ。まぁ簡単に言えば、私”から”の謝礼はこれよ」

 

メドゥーゴルはサムが落とした2つのケースを持ち上げ、それぞれの中身を確認し始めた。

一方でウォルフラムは懐から拳銃を取り出し、その銃口をサムへ向け、銃爪(トリガー)を引き発砲した。

だがサムには当たらず、庇おうと出たデヴィットが右胸から血を出し、サムの前に倒れた。

 

「博士、どうして…!?」

 

「に、逃げろ…」

 

「パパァ!」

 

それに気づいたメリッサは思わずデヴィットのところに駆け寄ったが、ウォルフラムに容赦なく殴り飛ばされた。

そしてウォルフラムはデヴィットの背中を強く踏みつけながら言い放った。

 

「今更ヒーロー気取りか? 無駄だ。どんな理由があろうと、あんたは悪事に手を染めた。俺達が偽物だろうが本物だろうが、あんたが犯した罪は消えない。俺達と同類さ」

 

ウォルフラムの言い放つ言葉に、デヴィットは改めて自分のした行いに罪悪感が湧き上がっていた。

 

「あんたはもう科学者でいる事も、研究を続ける事もできやしない。敵の闇に落ちていく一方さ……今のあんたに出来る事は、俺の下でその装置を量産する事ぐらいだ」

 

ウォルフラムは愉快そうに笑いながら襟首を掴み、デヴィットを持ち上げて銃のグリップで殴ることによって気絶させた。

その間にメドゥーゴルは中身の確認が終えたのか、両方ともケースを閉じた。

 

「こっちのケースは約束通り私がもらっていくわ」

 

「ん? あぁ、それが約束だもんな。あんた用のヘリはもう到着していると聞いた。行くといい」

 

「そうさせてもらうわね。後はここを煮るなり焼くなり好きにしなさい」

 

メドゥーゴルは片方のケースを持って、保管室を後にした。その間にウォルフラムは部下にデヴィットを連れていくよう指示した。

 

「返して…パ、パパを返して…!」

 

「……そうだな、博士の未練は……断ち切っておかないとなぁ…!」

 

ウォルフラムは銃口をメリッサに向け、銃爪(トリガー)を引こうとしたその時、緑谷が「やめろぉ!」と叫びながら拘束を破壊して抜け出した。

そしてウォルフラムへ向かって行く。だがウォルフラムはすぐにデヴィットを床に投げ捨て、開いた手で鉄の床に触れる。

それが鉄壁となって緑谷の前に立ちはだかり、緑谷の【スマッシュ】は防がれた。

 

「ぐっ! うぅ…!! (メリッサさん!  博士たちは救けます! だから、みんなをッ!!!)」

 

表情だけによるメッセージ。

そのメッセージをしっかりと受け取ったメリッサは頷き、懸命に制御ルームへ向かうために保管室の入り口へと駆け出した。

させまいと幹部が走ろうとするが緑谷が保管室の壁を足場にして飛ぶことで、足止めするために立ちはだかる。だがそこにウォルフラムがさらに妨害をした。

 

 

 

制御ルーム。

一方でメリッサも制御ルームに到着した。

すぐさま素早く正確にキーボードに再変更プログラムを打ち込んでいき、警備システムを操作した。

全ての操作が完了すると、非常事態を現していたモニターに、システムの事を表す表示が次々と正常に戻っていき、それを示すようにタワー内の照明も復旧、各フロアの障壁も次々と開いていった。

 

 

——◆——

 

 

風力発電所。

 

「次々に湧いてくる!」

 

「切りがねぇ…!」

 

私たちは必死に警備ロボを破壊などして持ちこたえてるけど、全員が後ろがもう崖の状態に追い詰められていた。全員が息を荒げている。無理もない。ここまで長時間に及ぶ戦闘におまけで向こうは体力というものを知らないロボなのだ。

+で大群で次々に押し寄せてくるとなると耐久戦は圧倒的にこっちのほうが不利だ。

 

「だぁ! もう俺の最大火力で全部一気に吹き飛ばしたらァ!!」

 

「そんなことしたら崩れてしまう可能性もあるだろ!?」

 

爆豪くんが最大火力をやろうとして、切島くんがそれを止める。でも、一気に破壊するほどの威力と広範囲じゃないと無理な可能性もある。

どうする…どうする…!!

 

「ア”? なんだ?」

 

「止まった…のか?」

 

すると急に警備ロボたちが下がり始めた。

なにが……ッ!もしかして!

 

「デクくんにメリッサさんや! 警備システムを元に戻したんや!!」

 

「やってくれたか…!」

 

「おっせぇんだよあのクソナードはァ!!」

 

少し気を落としはしたけど、すぐに切り替える。

一度『アガートラーム』を解いてから、私たちは互いに顔を見てすぐに階段へ向かった。

最上階にはおそらく(ヴィラン)たちがいっぱいいて、緑谷くんが対処しているはずだ。

オールマイトたちも解放されているだろうけど、すぐに来れる可能性は低い。

なら、一番近い私たちが行くしかない!!

 

 

——◆——

 

 

屋上、ヘリポート。

ウォルフラムたちのヘリとは別で既に来ていたヘリが一機あった。

 

「警備システムが完全に戻る前に出てちょうだい」

 

「はい!」

 

ヘリに先にケースを乗せ、そしてメドゥーゴル自身も乗り出す。それを確認したパイロットは操縦し、ヘリは上昇し始め、どんどんとI・アイランドから離れていった。

 

「……」

 

飛んでいる間、メドゥーゴルは夜の中輝くI・アイランドを眺めていた。

自身の横にあるケースを、しっかりと掴みながら。

 

 

 

 





私が描いた物語を、前回のコメントでの指摘を参考に修正しながら着々と進んでおります。それと更新が遅れてしまい申し訳ありません!

Q.確か前回メドゥーゴルは博士たちに同行していたのに、最初から出なかったの?
A.緑谷達が来る前にウォルフラムから連絡があり、自分が付くまで隠れてもして待機と命令されたから。


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