この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!
目が覚めたら教室にいた。
でも雄英の教室じゃない、一般的な普通の教室。
なぜか私はそこにいた。
目を覚ませば普通に席に座っていて、1人ポツンと……周りを見渡しても誰もいない。
それどころかうっすらと、白い霧…モヤ?
みたいなのが視界の端に映ってるから、よくある回想シーン的なアレのような感じに見える。
なんで私はここにいるのだろう?
制服も雄英のじゃなくて普通の……前世で通っていた頃の制服だ。
髪とかは転生後のままだけど……いや、それ以前に
『…?』
頭を抱えていると廊下のほうから足音が聞こえた。
大人や同い年辺りの音じゃない。
もっと幼い…小さな子供のかわいらしい感じの足音……なんではっきりわかるかはわからないけど、なんとなくそう思えた。
私は立ち上がり、扉を開けて廊下に出てみれば片方の奥に、小さな子供が背中を向けてそこにいた。
いや、正確には……イグナイトの暴走後に夢で出てきていた、幼くした私がいたのだ。
『……あの、ちょっといい?』
『——!?』
私が恐る恐る声を掛けると、その子は驚きながら振り向いてきた。
その子の顔は、やっぱり幼くした際の私のような顔立ちをしている。
でも、違う点で言えば瞳の色が『つつじ色』ではなく『黄金』に輝いて、上下左右のまるで十字架の星のような柄目が瞳の中央部分にある。
それと青みがかった黒髪ロングなのとは違い、髪の内側…インナーカラーってやつでそこが綺麗な『
それはまるで、夜空とお月様のような髪だった。
『あ、待って…!!』
そしてその子は私を見るや否や、急に慌てるように前に向き直して走り出した。
それを見た私は反射的にその子を追いかける。
なんで前世の学校に私はいるのだろうか、私とあの子以外に人は1人もいないかもしれない。
それもだけど、あの子を放っておけない気がする。
夢でたまに現れた子供……もし今この瞬間が最後のチャンスなら逃したくない。
私はそう思った……だってあの子から——
——
——◆——
爆豪の心変わりを悠長に待っていられる時間はないと判断した死柄木は、背後にあるテレビへ視線を向け、そのテレビに向かって「先生、力を貸せ」と言いだした。
するとテレビの向こうから、音声のみで愉快そうな声で「いい判断だ、死柄木弔」と聞こえた。
「先生…? てめェがボスじゃねえのかよ…! 白けんな!」
「黒霧、コンプレス。また眠らせてしまっておけ」
「ここまで人の話聞かねぇとは…逆に関心するぜ」
死柄木の命令を聞き、黒霧とMr.コンプレスは動き出し、爆豪もまた捕まるまいとジリジリと扉近くに移動していた。
「聞いて欲しけりゃ土下座して死ね!」
爆豪は最大火力でぶっ飛ばすことも可能だろう。
だが『ワープ』"個性"である黒霧が最も厄介な存在であるため、それができない状況でもあった。
だからこそ爆豪は隙を伺って自身の後ろにある扉から脱出しようと考えていた。
「(考えろ…! どうにか隙作って後ろのドアから——)」
だが次の瞬間、扉かノックが鳴り響いた。
「——どうも、ピザーラ神野店ですぅ」
そんな間の抜けるような声が扉の奥から聞こえた。
それに困惑し爆豪と
ここにいる
では頼んでもいないそれがなぜ今ピンポイントにこのBARに来ているのか?すると次の瞬間——
「【SMASSH】!!」
——スピナーのいる壁側が轟音と誰もが知る高らかな声と共に大きく破壊された。
「何だァ!?」
「黒霧! ゲート——」
「【先制必縛ウルシ鎖牢】!!」
ヒーローという突然の来客に全員が驚く中、死柄木はすぐに状況を判断し逃走するための命令をしようとするも、それよりも速く『シンリンカムイ』がオールマイトに続いて現れ、即座に"個性"を駆使して
荼毘はすぐに捕縛しているのが木であることを知り自身の"個性"である蒼炎を身体から出すも、立て続けに飛び込んできたグラントリノが荼毘の頭を蹴り飛ばし、一発で気絶させた。
「逸んなよ! 」
「さすが若手実力派だシンリンカムイ! そして目にも止まらぬ古豪グラントリノ! もう逃げられんぞ
「——我々が来た!!」
爆豪と幻神の救出並びに
「オールマイト…!! まさかあの会見後に、タイミング示し合わせて…!」
記者会見では未だ調査中と言っておきながら突撃してきたヒーローと警察。
コンプレスはすぐにアレも含めて全て仕込まれた作戦だということを理解した。
そして扉からは隙間からすり抜けて入って来た『エッジショット』が入り、内側から鍵を開け警察を中へ通した。
同時にBARの外ではエンデヴァーとギアを始めとする手練れのヒーローと警察官が包囲していた。
「怖かっただろうに…よく耐えた! ごめんな…もう大丈夫だ、少年!」
さすがの爆豪もここまでの流れを即座に反応が出来なかった。
オールマイトに声を掛けられハッとし、すぐに「こっ…怖くねえよ、ヨユーだクソッ!!」と普段の何倍も迫力のない声で返した。
それで元気そうだとオールマイトは思いグットで返した。だが同時に気づく。幻神がいないことに。
「天堕少女は一緒じゃないのか?」
「…知らねぇ、ここに連れられた時から俺ァ1人だった……」
爆豪すら知らない幻神の行方。
だがオールマイトは脳無格納庫のほうに囚われているだろうと思い、あちらはベストジーニストらが出向いている。
きっとそちらで救出されているだろうと思っていた。
「せっかく色々こねくり回してたのに…何そっちから来てくれてんだよラスボス……!」
オールマイトに殺意マシマシで睨む付けている死柄木は「仕方ない」と呟いた。
「黒霧! 持ってこれるだけ持って来い!!!」
死柄木は黒霧に脳無格納庫に保管されている脳無らを、使えるもの全てを持ってくるよう指示する。
だがそれは叶わなかった。
「どうした黒霧!」
「すみません死柄木弔…所定の位置にあるハズの脳無が…ない…!?」
「…はっ?」
予想外なことに死柄木は数秒理解が追い付かずにいる中、オールマイトは「やはりまだまだ青二才だ死柄木!」と言いながら爆豪の隣に歩み寄り、爆豪の肩に強く、優しく抱いた。
「
そしてオールマイトは爆豪を自身の後ろに移動させ、守るようにしてから一歩前に出た。
「おいたが過ぎたな。だが、ここで終わりだ…死柄木弔!!」
未だシンリンカムイによって拘束されている
その圧倒的な存在感はまさにNo.1であることを実感させ、連合たちは委縮してしまう。
「終わりだと…? ふざけるな……俺たちは始まったばかりなんだ。正義だの平和だの、あやふやなもんで蓋されたこの掃き溜めをぶっ壊す…! その為に
「ぬっ…!?」
死柄木は黒霧に命令しようと名を呼ぶも、黒霧が反応するより早く赤い糸のようなものがシンリンカムイの枝の間を通り、身体を貫いた。
それによって黒霧はそのまま気絶した。
「え!? 見えなかったわ! 何!? 殺したの!?」
「
黒霧を気絶させたのはエッジショット。
"個性"にて自身を細くし、黒霧の体内に侵入し、内側からの攻撃を行ったのだ。
「さっき言ったろ。おとなしくしといた方が身の為だって」
「『
グラントリノは死柄木と黒霧、荼毘以外の連合メンバーの本名を言い当て、その言い当てられた者たちは驚愕していた。
「少ない情報と時間でおまわりさんが夜なべして素性を突き止めたそうだ。わかるかね? もう逃げ場はねぇってことよ」
まさに詰み。
そう言うしかない程の状況に、死柄木は汗を流していた。
「なァ死柄木、聞きてぇんだが……お前さんのボスは今どこにいる?」
追い詰められる死柄木は走馬灯とまで言えないが、過去に自分へ手を差し伸ばしてくれた人物…先生と呼んでいる人物を、あの日のことを思い出していた。
『誰も助けてくれなかったね……辛かったね、『志村転弧』君……「ヒーローが」「そのうちヒーローが」皆そうやって君を見ないフリしたんだね。一体誰がこんな世の中にしてしまったんだろう? 君は悪くない』
「こんな…こんな…あっけなく……ふざけるな……」
『もう大丈夫——僕がいる』
「失せろ……消えろ……!!」
死柄木の言葉に、一部は謎の緊張が走る。
死柄木が放つ憎しみは、殺意は、怒りは、今も現在進行形で膨れ上がっている。
「
「——お前がッ! 嫌いだァ!!」
次の瞬間、死柄木の叫びに応えるかのごとく、BAR内部の宙から水音が鳴り出し、銀色ともいえるような黒い泥の液体が現れ、そこから大量の脳無たちが溢れ出してきた。
「ッ!?」
「脳無!? 何も無いところから…! あの液体は何だ!?」
「エッジショット! 黒霧はッ!?」
「気絶している! こいつの仕業ではないぞ!」
真っ先に黒霧を警戒するも、エッジショットが確認し完全に気絶していることがわかる。
だが脳無たちは2体から3体、3体から4体へと次々と溢れ出る。
「シンリンカムイ! 絶対に放すんじゃないぞ!!」
「ハッ!」
「——んぼっ!? っだこれ!?」
オールマイトがシンリンカムイに拘束を絶対解かないよう指示している瞬間、爆豪の口から脳無たちが溢れ出る液体と同じものが吐かれた。
そしてその液体は爆豪に覆いつくしていく。
「ッ!? 爆豪少年!!」
オールマイトはすぐに爆豪を救けようとするも——
「Nooooッ!!!」
——その手が届くことなく、爆豪はその場から姿を消してしまい、残ったのはオールマイトの焦り混ざりの叫びだけだった。
——◆——
時刻は少し遡り、脳無格納庫。
その近くに、爆豪と幻神を救出するべくやって来た緑谷たちがいた。
そして八百万はここに来るまで発信機をずっと確認していたが、
「
今ここにいるのは緑谷、轟、飯田、八百万、切島の5人。この中には耳郎や葉隠のようなスニーク活動に優れた"個性"はいない。
飯田は「危険を感じればすぐさま引き返し、さらには警察への通報も辞さない」と改めて自分が同行した意味を伝える。
それを聞いた緑谷はお礼をした後、今の状況下で出来ることするために思考を加速させてブツブツに入った。
「とりあえず、
緑谷は建物の目の前にある自動販売機を指さし、4人の顔を伺えば全員が頷き、5人は自販機へと移動した。そして自販機の目の前まで来て、何かを買う素振りをしながらも建物を伺ったが、廃倉庫を装っているのか電気もついていなければ人の気配もなかった。同時に正面の扉には雑草が生い茂り、人の出入りした様子は見受けられない。
緑谷は「別の入口があるのか?」と思っていると突然声をかけられ緑谷たちは肩を震わせ振り返ると、そこには変装した八百万をホステスと勘違いした酔っ払いが絡んでいた。
「多くはねぇが人通りもある。一旦離れるぞ」
轟の指示で酔っ払いから何とか離れられた一同。
多くはなくとも人通りはあるため、目立つような動きをして雄英生徒であることがバレないようにしなければならない。
結果、緑谷が裏に回ることを提案した。
「どれだけか細くても、僕らにはここしか情報がない」
緑谷を先頭につっかえそうになりながらも5人は進んでいく。すると人1人担げば中の様子が見れそうなのを見つけた。
夜と裏側である事から暗いため、八百万が暗視鏡を創造しようとするも、切島が止めた。
「実はそれ、俺持ってきてんだ」
「すごい、何で…?」
「やれること考えた時に…要ると思ってよ」
「でもそれめっちゃ高いやつじゃない!? 僕も
「値段のことは言わなくていうな」と苦し気に言う切島だが、高校生が買うにしても中々の代物であるのは確かである。
だがあるなら使うに越したことはない。
緑谷を轟、切島を飯田が自身の肩に2人をそれぞれ乗せて、窓の中を見えるようにし、暗視鏡を持っている切島が建物の中を暗視鏡を使って覗き込んだ。
見れば中は汚いだけのように見えたが、切島は次に見たものに目を見開き、息を呑むほどの動揺をしてしまい、あやうく飯田の上から落ちかけた。
「切島君!?」
「どうした、何が見えた切島!!」
「左奥…緑谷、左奥! 見ろ!!」
動揺が止まらない切島は震える声と手で緑谷に暗視鏡を渡し、緑谷は受け取ってからすぐに言われた通り中の左奥を見た。
「…ッ! ウソだろ…あれ、全部……——」
左奥にあったのは、人間の脳らしきものが液体の中に沈められており、パイプで繋げられている、あまりにも衝撃的すぎるものだった。
そして脳むき出しの化け物を知る緑谷は、その正体を明かすかのよう口を開いた。
「——脳無!?」
それを聞いた下の3人も驚愕する。
すると何かしらの物音が鳴り、それを聞いた切島はさっき自分たちが入って来た裏道の出口を見た。
「お、おい!!」
「えっ?」
切島は驚きながら緑谷に声をかけ、それを聞いた緑谷が顔を向ければ、裏道の外で、なぜか軽自動車が何かによって持ち上げられていた。
そして次の瞬間、凄まじい暴風が吹き荒れながら緑谷たちへ迫り、その勢いによって5人の変装道具は吹き飛んでしまい、全員が体勢を崩してしまう。
「いってて…」
「何がいったい、どうなっているんだ?」
5人は軽い痛みをしながらもすぐに立ち上がり、今度は切島と八百万が窓の奥を確認する。
「ッ! 『Mt.レディ』に『ギャングオルカ』、No.4のベストジーニストまで!」
「虎さんもいますわ!」
そこには脳無が格納されている建物を、ベストジーニストたちが制圧していた。
「うぅ…これホントに生きてんの? こんな楽な仕事でホントにいいんですかねジーニストさん」
「難易度と重要性は切り離して考えろ、新人。機動隊、すぐにありったけの
Mt.レディの苦言をジーニストはこれまでの経験者、先輩としてちゃんと意味があると伝え、その後に機動隊に指示をする。
「ラグドールよ、返事をするのだ!!」
「チームメイトか! 息はあるのか、良かったな」
「しかし様子が……何をされたのだ…ラグドール!」
そして虎は
そんな中、ヒーローたちの耳にコツッ、コツッと優雅に足音を鳴らす音が入る。
その音は脳無格納庫の奥からだったが、あまりの暗闇のせいで何が来ているかはわからない様子だった。
「——すまない虎。前々から良い"個性"だと目をつけていてね……せっかくの機会だから貰うことにしたんだ」
だがここは脳無格納庫。
ヒーローたちは今来たばかりであり、民間人がいるにしてはおかしい。
それらをふまえ、脳無格納庫に待機している
「連合の者か」
「誰かライトを…」
ヒーローたちは警戒し、姿がハッキリと見えないためライトを求める。
だがそれらも気にせず暗闇の奥から歩み寄ってくる者は語り続ける
「こんな身体になってから、ストックも随分減ってしまってね…」
「止まれ! 動くな!」
ギャングオルカが警告とばかりに呼びかけるも止まる気配がない。
その後すぐさまベストジーニストが"個性"にてその人物の身に纏う衣服で拘束した。
「ちょ、ベストジーニストさん! もし民間人だったら…!?」
「状況を考えろ。その一瞬の迷いが現場を左右する。
更に強く拘束するベストジーニスト。だがその直後だった。
拘束されている人物の身体が急激に肥大化した次の瞬間、赤黒の稲妻の閃光と共に周辺一帯が爆発した。
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