この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!

単刀直入に質問します。
「あなた、闇落ちは好みですか?」



戦いという名のダンスを始めよう

 

 

 

 

拉致された雄英生徒2名並びに(ヴィラン)連合らの確保のため神野まで出向き、先手を打ったヒーロー。

友を救けるべく赴き、そのうち1名を連れて逃走した。連合はブレーンを残しての逃走をしたが、そんなブレーン……AFOと肩を並べオールマイトたちの前に立ちはだかっているのは救出対象の天堕幻神。

否……黒換美音だった。

そんな2人の後ろにはさらに、未知の戦闘機のような手足のある兵器も1機だけ立っている。

 

AFOは黒いスーツと工業地帯のようなマスクを身に着けており、美音はそれに合わせているのか黒いウェディングドレスを身に纏っている。

 

そんな姿を見たギアは困惑を露にしながらも落ち着き、先走らないよう必死に自身に言い聞かせている。オールマイトもまた、グラントリノが呼びかけたおかげで脚を止めていた。

 

「実に素晴らしい登場だよ美音くん。さすがは僕のメインヒロインだ」

 

「……」

 

AFOはゆっくりと拍手し美音を褒めたたえる。

美音は無反応だが、その『黄金』の瞳はジッとヒーローたちを見ていた。

 

「貴様、天堕少女に何をした…!」

 

「なに、君たちが襲撃してくるまで十分な時間はあったんだ。その間に彼女を完全に呼び起こしただけに過ぎないよ。最初は抵抗するかもしれないと思ったが、抵抗しても無駄だと既に悟っていたみたいで効率よく行えた。だが天堕幻神の人格が邪魔なのに変わりないのとすぐに主人格が変わってしまう可能性も含めて、『催眠』と『洗脳』を一応施しておいた」

 

「ハッ! 貴様らしいやり方だな……!」

 

「誉め言葉として受け取っておこう志村の友人、グラントリノ」

 

美音としての人格が主人格になっているが、AFOは用心深い(ヴィラン)

万が一に備え、まだ幻神が表の際に『催眠』をかけ、美音が表に出てから弱めの『洗脳』の"個性"を施していた。

 

「『洗脳』はしている。だが半分は彼女(美音)の意思で(うた)ってもらっている。本音を言えば、完全な素のままで彼女と肩を並べたかったが、都合よく行くことはないからね」

 

「……解離性同一性障害(かいりせいどういつせいしょうがい)を無理やりなやり方で封じたってわけね」

 

「さすがはギア! 養子として美音くんを迎え入れただけのことはある! そう、彼女はあの日"個性"の変異と共に解離性同一性障害を発生させてしまってね。その際に生まれた人格が君たちもよく知るほうの人格者、天堕幻神だってわけさ」

 

解離性同一性障害。

1人の人間の中に全く別の性別、性格、記憶などをもつ複数の人格が現れる神経症のことを指す障害。

分かりやすい言い方やよく聞く名前で言えば『多重人格』だ。

彼女は過去にそれを"個性"の変異と共に発生し、その時に転生者としての幻神が生まれた。

 

「このまま過去を振り返って語るのもいいが、それだとせっかくの美音くんのライブが意味をなさない。だからもう始めようじゃないか。そうだろう? 美音くん」

 

「……」

 

一向に喋らない美音。

だがAFOの言葉に応えるかのように左腕を前に伸ばし掌を翳す。

するとそこから黄金の錬成陣が出現する。

 

「ゆぅちゃん!」

 

「クソ! 戦うしかないのか…!!」

 

「おや、歌の前にダンスかい? それもいいね。君の美しいダンスを披露するといい」

 

次の瞬間——黄金の錬成陣は赤へと変わり、そのままオールマイトたち目掛けて火の錬成陣を放った。

オールマイトたちは散開するようにして回避する。

 

「私はオール・フォー・ワンを倒す! グラントリノとギアは天堕少女を頼む!!」

 

オールマイトは真っすぐAFOの元へ、そして指示を聞いたギアとグラントリノは美音の元へと駆け出す。

 

「いいだろう。僕はオールマイト、お前の相手だ。美音くん、君はあの2人を頼むよ」

 

AFOの命令を聞いた美音は火の錬成陣を消してから一気にギアとグラントリノの元へ駆け出した。

 

「ゆぅちゃん! 目を覚まして!!」

 

ギアは美音を抱き留めて止めようとするも、美音はそれを跳躍し回避。

グラントリノは『ジェット』で空中をジグザグに動き、美音を地面に押し倒して抑えようとするが、美音は黄金の錬成陣を盾として出し防ぐ。

 

「なんじゃと!?」

 

「ゆぅちゃ——ゴッ!!」

 

そのまま美音は真っ黒なヒールとタイツの黒い脚でギアの頬に蹴りを入れる。

 

「(どうなってるの!? 今までのゆぅちゃんは装甲を纏ってからじゃないと戦えなかったはず…! なのに今は装甲なしで同等の動きを……ッ!? まさか、()()()()()()()()()()だからこそできる"個性"の使い方があるっていうの!?)」

 

ギアが美音と幻神の"個性"の使い方の違いに気づく中、謎の近未来的で未知すぎる手足のある戦闘機は前触れもなくいきなり足のエンジンを噴射させて一気に浮上。

そして空中で()()()()()()()()()()して発進した。

 

「(でか物が…!) ギア! あれも義理娘の"個性"か!?」」

 

「確かにゆぅちゃんの"個性"は『具現化』だけど、あんなロボットアニメのようなものまで具現化させることが出来るのは聞いてないし初めて知ったわ!!!」

 

「黙ってたか…もしくオール・フォー・ワンのいう黒換美音という人格者だからこそできることなのか……とにかくこの娘はもう、ただの子供じゃねェ!!

 

美音が"個性"にて具現化させたその兵器の名は『可変戦闘機』

元となる世界では宇宙からある巨大物体が地球へ飛来した。そして人類はその未知の物体のテクノロジーを解析と修復をするのと同時に、自身たちも宇宙空間でも戦える兵器を開発した。

それが『可変戦闘機』またの名を『バルキリー』

その名の通り戦闘機状態の『ファイター』

手足だけが変形展開されている『ガウォーク』

完全変形の人型『バトロイド』の計3変形を可能としている。

 

そして時代と共に技術力も進化し、その『可変戦闘機』の無人機型の開発も行われた。

その無人機型、通常『ゴースト』と呼ばれている機体。普通は可変機能を持っていない。

だがある財団が『可変戦闘機』そのものの無人機型を作り出した。

 

その名は『Sv-303 ヴィヴァスヴァット』

 

【映画マクロスΔ 絶対Live!!!!!!】に登場した『無人可変戦闘機』

元となった世界にて、その機体は量子AIシステム『セイレーン』という存在により制御されていた。

そして『Sv-303』は無人機であるからこそ、人並み離れた動きを可能としている。

更には『ファイター』『ガウォーク』『バトロイド』の通常3つだけのそれが『Sv-303』は更に『ファイター』のままエンジン4基を展開した『高機動モード』を可能としていた。

 

そんな別世界の兵器を『シンフォギア』だけを具現化させていた"個性"が『可変戦闘機』までも具現化させた。だが美音の、幻神の"個性"は『体力、生命力をエネルギーにする』という能力。

使えば使う程自身の体力を、生命力を削っていく。

同時に『シンフォギア』を纏わないと幻神と他ヒーローや(ヴィラン)と戦えることはなかった。

『シンフォギア』を纏ってこそ真に幻神は戦えた。

だが美音は『シンフォギア』を纏っていない。

逆に『バルキリー』を(しもべ)として具現化させている。

 

だがあの大きさを完全に具現化させ、さらに機能や能力をそのまま再現するとなるとそれ相応のデメリットが生じるはずだ。

 

ギアは『Sv-303』を警戒しながらも気づく。

美音の首に付けられているチョーカーが青き輝きを放っていることを。

美音が"個性"を使う度にその輝きを一瞬強くさせていることを。

そして視線を今一度『Sv-303』に向けるも、『Sv-303』は夜空の中浮いている。

否、正確には旧脳無格納庫の上空で旋回をただし続けているだけだった。

まるで偵察、もしくは何かを待っているかのように……。

 

「避けろ!」

 

「ッ! くっ!!」

 

グラントリノの叫びでギアは美音の足蹴りを間一髪避け、そのまま距離を置くため一度離れる。

美音は深い追いせず、ただ冷たい目…冷視(れいしゃ)で見つめていた。

 

 

「……——本当、『私』の()()には驚かされてばかりね」

 

 

虚ろでありながらも『黄金色』に上下左右の十字架の星のような白き柄目を輝かせながら、AFOが『洗脳』しているにもかかわらず誰にも聞こえない声量でボソッとそう呟いた。

そして美音は両手を構えると首のチョーカーの青き輝きが一瞬、呼応するように強くなる。

 

「『アームドギア・アガートラーム』」

 

その声と共に『アガートラーム』のアームドギアで短剣を2本具現化させ、両手ともに逆手に持つと同時に一気にギアとグラントリノの元へ駆け出した。

 

 

——◆——

 

 

「フンッ! ぬあっ!!」

 

「やけに感情的じゃないかオールマイト。そこまで彼女を僕の手に堕としたのが気に食わないのかい?」

 

一方でオールマイトとAFOは1対1で繰り広げている。だがオールマイトは感情的に、かつ単純な攻撃を繰り出している。

それらを残り火の力がカバーして大きな1つの攻撃にはなっているがAFOはそれを見抜いていた。

 

「貴様にそういう趣味があったことに吐き気を催すレベルさ…!」

 

「ひどいなァ、僕はただ僕自身の物(ヒロイン)を取り返しただけさ。彼女は弟と同じで2()()()"()()" ()()()()1()()()()()()。君が受け継ぎ、そして後継へと譲渡させた『ワン・フォー・オール』同様ね」

 

「何故そう断言できる!? 貴様は()()()、彼女に何をしたのだ!?」

 

互いの拳がぶつかり合い、その衝撃で互いに離れ距離を取る。

 

「元々は美音くんもメドゥーゴルとマグニール同様、()()()()()()()()()()

 

「脳無…だと?」

 

「そうさ、(ヴィラン)として死んだ死体を改造して作り出すのが脳無の基本構造だが、僕は別のやり方を思いついたんだよ」

 

AFOは自慢するように語り、オールマイトは身構える。

 

「美音くんも、メドゥーゴルもマグニールも、それぞれが元々は幼少期に事故や事件の巻き添えで命に関わるほどの重傷を負っていた。きつく言えば全員が命が救からない状況だった。彼女たち3人だけじゃないぜ? 幼少期の少年少女、それらは今でもどこかでそのような状態でいる子もいる。当時の僕はね、その子たちを世界中から集めていたんだ。なぜかって? 幼少期の状態から脳無として改造すれば、自ら成長し強くなる。学習するAIならぬ、自立成長型脳無と言ったところだろう! そうすればいくつもある"個性"を当たり前に扱える。命令しないと動けない下位、中位、上位とも異なる……そうだな…『ハイエンド・プロトタイプ』とでも呼んでおこうか」

 

AFOの長々と語った話。

脳無は通常死体を手術や薬物などで複数"個性"に耐えれるよう改造し作られる個体。

だがそれとは別に命がもう救けられない幼少期の子供に"個性"を複数移植させ、身体を改造すれば幼少期から脳無として、人間と何ら変わらずの姿で成長していくタイプが作れるのではとAFOは考えた。

結果は困難であり、ストックとしてたくさんいた少年少女の子供たちは死んでいった。

その中で唯一正常に成功し、人の姿をした脳無、『ハイエンド・プロトタイプ』となったのがメドゥーゴルとマグニールだったのだ。

 

そして実験とされた子供たちの中には黒換美音もいた。だが彼女は違った。

手術を施す前に、AFOは試しに1つの"個性"を自らの"個性"で美音に与えた。

結果、美音が発現させ宿していた元々の"個性"と融合し、1つの"個性"と成り立った。

 

AFOの血縁である弟の"個性"『ワン・フォー・オール』のように。

 

それを知ったAFOは美音を気に入り、改造せず、純粋な人として生かすためにドクターに手術させ、その命を繋ぎ止めさせた。

だが美音は大きな障害を患った。

それが『解離性同一性障害』

 

「彼女に"個性"を与え、その2つが混ざり1つとなった。そして僕は彼女を純粋な人として生かした。だが彼女に多重人格障害が発生してね。その結果、君たちの知る天堕幻神の人格が生まれたんだ」

 

だがそれでもまだ美音のほうが主人格として機能しており、幻神の人格は生まれたにしてもまだ深い眠りについている。

休眠状態のようなものだった。

メドゥーゴルとマグニールも一般的な常識の知識を付けさせたが、同時に(ヴィラン)としても育て上げた。

美音もそうしようとしたが、まだ美音だけは反抗していた。メドゥーゴルとマグニールはもうすべてを受け入れ、自身を生かしてくれた恩人であるAFOに尽くすと誓ったが、美音だけは(ヴィラン)に堕ちないよう必死に反抗した。

だがその反抗もむなしく、美音の心は折れ、そこからはAFOの命令に素直に従うようになった。

 

「だが、君と戦い僕は敗れた。そして彼女もまたその際に逃走を図り、結果としてギアに保護された。全く、僕の感覚器官だけに飽き足らず、僕の大切なヒロインさえも奪うなんて、どっちが(ヴィラン)だって話さ」

 

「罪なき子供たちを攫い、肉体を己の為だけに改造手術をしていた貴様にそれを言う資格はないッ!!」

 

オールマイトは怒りを露にしながらもようやく理解した。改めてAFOが幻神を求める理由を。

なぜ後継者であり弟子である緑谷と同年代辺りで、とても強い"個性"を持つ少女たちがヒーローではなく(ヴィラン)としてAFOの傍に仕えているかを。

全ては、AFOが仕込んだ悪行によるもの。

そしてそんな辛い思いをしておきながら気づかずにいた己自身にも腹を立てていた。

 

「それを知ってなおさら貴様を許すわけにはいかない……必ずお前を倒し、牢に送り込んでやる!!」

 

「そのお誘いは丁重にお断りするよ。平和の象徴」

 

オールマイトは駆け出し、拳を構える。

AFOは"個性"を使いそんなオールマイトに抵抗する。

 

平和の象徴と悪の帝王の戦いはまだ続く。

 

 

——◆——

 

 

神野街。

その立ち並ぶビルの1つに巨大スクリーンが付けられており、そのモニターにはオールマイトたちの激しい戦いが報道のヘリによるカメラ映像でリアルタイムに映し出されていた。

それを街の人々は釘付けになり見ているが、混雑した人々の中に、少しばかり動いている……否、1人が暴れるように動いており、それを他の2人が抑えていた。

 

「放して飯田君!」

 

「駄目だ! 俺たちは戦うことを許されていないし行ったところで何になる!! 爆豪君の救出だって爆一で奇跡的とも言える成功なんだぞ!」

 

「でも!!」

 

「お、落ち着けって緑谷! 飯田も、周りに見られてるって…!」

 

その正体は緑谷と飯田だった。

緑谷は逃げ切ったは良いものの、未だに幻神を救けられなかったことを思い詰めていた。

そしてモニターに映る姿を見てすぐにさっき逃走したルートを逆走し戻ろうとしたのだ。

それにいち早く気付いた飯田は緑谷を必死に止めている。だがそれは周りにいる人々の視線を集めるには十分すぎるものだった。

切島に言われ2人は落ち着けば、周りの視線は再びモニターに戻される。

 

「いいか緑谷君! 何度も言うが僕たちは戦うことを許されない。資格がないんだ我々は! キミもわかっているはずだ!!!」

 

「でも……!」

 

「緑谷、気持ちはわかる。俺だって本当は戻って救けてやりてぇよ。でも、オールマイトたちが今いるんだ。大丈夫だって!」

 

飯田に正論を言われ、切島に励まされるがそれでも緑谷の顔は不安のままであり、そして悔しい表情をしながら俯いた。

 

「緑谷君…」

 

「——ずっと、聞こえてくるんだ」

 

「えっ?」

 

「胸の奥底から、天堕さんの……幻神の悲しい声が、歌のように聞こえてくるんだ……救けを求めてるんだ…!!

 

幻神にとって緑谷出久は同級生の中で一番友人としての関係を築き、ことある毎に学校で2人は良く話などをしていた。

これまでの事件でも2人一緒になることもあり、その際には一緒に乗り越えたりもした。

その結果、2人は無意識のうちに太陽と陽だまりとして感じていた。

そして幻神の歌は緑谷の胸の歌として届くという、本来あり得ないこと、一言で言えば【共鳴】を引き起こしていた。その共鳴は先ほども起こっていた。

美音の悲しき旋律、大いなる闇の歌は緑谷にだけ届いていた。一緒にいる飯田、切島、爆豪には一切その歌は届いていないのだ。

 

「歌って…何言ってんだよ?」

 

「……それよりも、天堕君はヒーローを裏切ったのか?」

 

「何言ってんだ飯田! 天堕が(ヴィラン)になるはずねェ! 操るみたいな"個性"で無理やり戦わされているんだよ! きっとそうだ! なァそうだろ爆豪!」

 

「俺が知るわけねェだろクソが………——この状況が続いたら、世間じゃァアイツはもう(ヴィラン)扱いになるかもな」

 

爆豪の言い分はあっている。

洗脳などで操られていようと、(ヴィラン)と肩を並べヒーローに立ちふさがったらそれは(ヴィラン)として認識されてもおかしくない。

最悪の場合、彼女の未来はもうないと言えるだろう。

 

 

——◆——

 

 

『……ここ、どこ?』

 

幼い私を探して早数年~ってノリは置いといて、今現在私は変な空間にいた。

なんかよくある悪役の使ってるのとか木の根や草が入り込んで廃墟的な感じになってる実験施設的なアレ?みたいな空間。

そうとしか言えない空間に私はいた。

わけがわからないよ。

なんで幼い私を探すだけでこんなあらゆる場所が繋がった迷路みたいになってるの?

人食い鬼と養殖として育てられてる人間の約束的冒険の漫画での、主人公と親友2が一緒に突入した異次元世界みたいな感じになってるの?

ねぇなんでなの?

 

『もう訳が分からない……早く目を覚ましてみんながどうとか知りたい…でも幼い私を放っておくこともできないし……』

 

ドボドボとしながら歩いていると、何かが落ちる音が聞こえた。

その音を頼りに歩き、ある一つの開けられた扉から紫の光が微かに漏れているのが見えた。

どうせまた転移的なの起きるんだろうなァって思っていってみたら、私は目を見開いた。

 

「怖い、怖いよォ…」

「パパとママどこなの、ここどこなの…?」

「痛いよ…誰か助けてよ…ヒーロー……」

 

そこには幼い私とも違う、小さな小さな幼児である少年少女たちがたくさんいた。

しかもみんながボロボロで重傷な子もいる。

手当はされてるけどそれでもひどいありさまだ。

私は後ずさりして思わず自身の口を押えてしまう。

 

『なん、なの…これ……』

 

 

「——『わたし』の記憶の世界だよ。『私』」

 

 

『——ッ!?』

 

後ろから私の声…それもまだ幼くて若い声が—とても悲しい(救けを求める)旋律(こえ)と一緒に聞こえた。

そのまま正面の中央の奥、倒れて苦しんでいたり、ピクリともしていない子供たちの真ん中、いつの間にかそこに幼い私が……瞳の色が『つつじ色』ではなく『黄金』に輝き、上下左右のまるで十字架の星のような柄目が瞳の中央部分あって、青みがかった黒髪の内側、インナーカラーが綺麗な『月白(げっぱく)色』で染まっている『私』が…病衣を着ている幼い『わたし』が冷たい細目で『私』を見ていた。

 

『『わたし』って……いや、ここが記憶の世界って……ならこれは、なんなの…?』

 

視線を少しずらし『わたし』の周囲にいる子供たちを見る。

これが記憶ってことは、幼い頃の『わたし』はいったい何を経験したんだ。

『私』は存在しない9歳以前の記憶を『わたし』は知っていて、今それを見せているのか?

『わたし』の周りにいる子供たちが『わたし』にしがみついて来ようとしている。

 

「これは『わたし』の()。この子たちの屍の上に『わたし』たちは立ってる。だからもう…ヒーローなんて目指さないで。すべてを『わたし』に委ねて……『私』」

 

『えっ、待って…それってどういう——』

 

『私』の言葉は最後まで言い切ることなく、突然足元がバッ!となくなって大穴になった。

『私』は何もできずにただ子供たちと共に落下していき、それを見下ろしている『わたし』を見ることしかできなかった。

 

 

 

 





同時進行と言えるかわかりませんが、それぞれがそれぞれで動いています。
そしてさらっと幻神(美音)とメドゥーゴルとマグニールの正体みたいなのがざっくり(?)ですが明かされました。うん、我ながらひっどい。
変態梅干し逮捕と同時に私も手錠で繋がれちゃうかもしれませんなァこれは。
もっと具体的な説明とか詳細を知りたいって方もいらっしゃると思いますが、最後のほうでの幻神と美音の会話で今後に明かされるかもですね…(遠い目)
ちなみに半分は美音の意志で戦ってるので、幻神自身は何もしてないしまだ夢の中って感じです。

まぁ次回も頑張ります。
正直こういう展開どうなの?って思う自分もいますが、応援されてますもん、期待に答えなきゃあいけないってやつですよ。

あと私の野望がもうじきだからだ…ここまで来たら何を言われようとやってやりますよ。
でも一応言っておきます。
この作品は【何でも許せる人向け】です。

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