この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!


【チートっぽいけどチートじゃない】
【主人公最強ではない】
【何でも許せる人向け】
これらを理解していただけると幸いです。




堕天使の歌、親としての意志、そして陽だまりの覚悟

 

 

 

 

♪【Diva in Abyss】♫

 

 

♪ You're imitation, Not imitation ♫

♪ You're imitation, No! No! No! No! ♫

♪ さあ楽しませて ♫

 

美音ではなく、『具現化』の"個性"にて超常世界には本来存在しない堕天使。

量子AIシステム『セイレーンデルタシステム』によって産み出されたヴァーチャロイドにして音楽ユニット【Yami_Q_ray】

 

本来存在するべき世界では『ウィンダミア』という星の遺跡にあり、盗み出された『星の歌い手』と呼ばれている細胞を生体ユニットとして組み込むことで実現させていた。

だが超常世界にそれらは存在せず、架空の想像物とも言える物。

それを美音は"個性"増幅装置によって増幅と活性化を果たした『具現化』にて、(コア)である『星の歌い手の細胞』部分を己自身として書き換え。

自身が(コア)として増幅と活性化した己の体力、生命力をエネルギーにし、幻神の記憶にて得た情報もあって【Yami_Q_ray】を具現化させることに成功したのだ。何度もいうが、これは"個性"増幅装置があってこそ真に成り立ち可能とさせた。

そして【Yami_Q_ray】はヴァーチャロイドであるため実体がない。それもあってこそなのだ。

 

【Yami_Q_ray】は闇の歌い手として、(ヴィラン)に相応しい歌を、【Diva in Abyss】を歌い始めていた。

そして美音が腕輪を装着している腕を前方に伸ばし、「行け」と言わんばかりに指を指せば、美音が乗っている『Sv-303』以外の他5機がその黒い装甲に水色とオレンジよりの赤のラインを浮かべさせながら4基を展開し、『高機動モード』の状態で一斉にヒーロー達へと発進した。

 

♪ この世界は退屈ね 幻滅しちゃうほど ♫

♪ すべて奪ってあげるわ 愛も 夢も 歌も 希望も ♫

♪ その声は 届かないわ ♫

♪ コエ ♫

 

悪夢の現場に降り注ぐ『Sv-303』の青いレーザーの猛攻撃。5機もいるためそれは大きな粒の雨とも言えてる様であり、AFOは自ら浮遊し巻き込まれないように移動するが、それ以外の前戦で戦っていたヒーローや後方で救助活動や負傷しているヒーローたちはその攻撃に襲われてしまう。

とても美しい5人の女性たちに、第三者視点で見れば見とれてしまうが、彼女たちが今行っているのは(ヴィラン)として闇の歌を歌い、ヒーローたちへの蹂躙だ。

 

「かの世界にて積み重ねて来た偉大なる人々の歴史(いさん)に、あなた達はどう太刀打ちするのかしら…? ねぇ……ヒーローッ!!!!

 

美音の殺意だけが籠められた瞳はそのまま殺気を放ち、同時に【Yami_Q_ray】が更に強く歌いだすとそれに共鳴し『Sv-303』は『ガウォーク』や『バトロイド』に一瞬で変形しながらヒーローたちを混乱させていった。

 

♪ バラバラに身体中を 生命(いのち)を 全てを ♫

♪ 興味はない 心なんて 今 蹴散らして ♫

 

「くっ! 【赫灼熱拳・ジェットバーン】!!!」

 

エンデヴァーが【赫灼熱拳・ジェットバーン】を『Sv-303』の1機の動きを予測し放つも、で戦闘機は、超常世界の戦闘機は通常だが美音が具現化させている戦闘機【マクロス】の世界線に存在する『可変戦闘機』。

エンデヴァーなどの攻撃は簡単に避けていく。

 

「周りの雑魚は表舞台の奴らにやらせればいい! 我々は(ヴィラン)である黒換美音を殺るぞ!!」

 

「「「了解!!」」」

 

「ッ! 待ちなさい!!」

 

公安直属ヒーローたちは『Sv-303』の攻撃を避けながら美音へと迷いなく駆け出して行った。

 

♪ 始まる -Destroy- 終わりの音が ♫

♪ 鳴り響いた 邪魔をしないで ♫

 

だがそれを『Sv-303』が許すはずなく、2機が『バトロイド』になり正確にレーザーを放つ。

同時に4基のエンジンにドッキングしていた小さい小型ゴーストがパージされ、羽虫のごとく飛び回りながら公安直属ヒーロー達へ攻撃を仕掛ける。

小型ゴーストも合わせたことで数はさらに増していた。

 

「分かれた!?」

 

「クッソ! 何でもアリかよあのクソガキの"個性"は!!」

 

♪ Like an Angel 細胞の奥から ♫

♪ 叫ぶように 歌う 破滅を ♫

 

【Yami_Q_ray】のエースボーカルの1人、『闇フレイア』がその赤い爪でヒーローたちに向けて指を指せば、『ファイター』に変形していた別の『Sv-303』2機がその命令に従い飛んで行く。

そして羽に付けられたミサイルをパージし、ヒーロー達へと飛ばした。

 

「ミサイル!?」

 

「避けろォ!!!」

 

ヒーローたちは足を止め、ミサイルを回避するために核方向へバラバラに駆け出す。

そして周囲へ放たれたミサイルがその着弾地点に着弾した瞬間、大爆発が起こり、煙幕と炎という爆破跡を作り出した。

 

「くぅ!!」

 

「なんて威力…!? 本当にあの娘は去年まで中学生だったのか!?」

 

「デタラメにも程がありますよ…!!」

 

その爆風に吹き飛ばされないよう耐えるヒーロー達。後方で救助活動をしている他ヒーローや警察、そして救助されている市民も必死に巻き込まれないようにしていた。

 

♪ Evil, Evil あなたも Evil, Evil ♫

♪ 本当はきっと願っているんでしょう ♫

♪ でも 嫌、嫌 嘘つき まだまだ ♫

♪ 足りないようね 痛みが ♫

 

(ヴィラン)は目的のためなら周辺の被害も厭わないものでもある。それと同じく【Yami_Q_ray】メンバーも気にせず、それぞれが踊っているように動きながら闇の歌を歌っていた。

 

「…ッ…はっ!!」

 

ヒーローたちは瓦礫を退かしたりなどをしながら立ち上がれば、身構えるも動けなかった。

それは、『Sv-303』が『バトロイド』で自分たちの目の前におり、そのライフルの銃口を差し向けていたからだ。

 

「くっ……やめるんだ天堕少女!! それ以上奴に加担してはダメだァ!!!」

 

オールマイトが血を吐きながら叫ぶも、その声は【Yami_Q_ray】の歌声にかき消され、美音に届くことはなかった。

 

「とても素敵な歌だよ美音くん。だけどオールマイトだけは僕にやらせてもらうよ? まだ嫌がらせをするための最高のカードを使っていないんだ」

 

「勝手にして。あんたの行いなんてこれっぽっちも興味ないから」

 

「辛辣だね」

 

美音に歌の感想と自分がやることを伝えるが、美音は見向きもせずに辛辣な言葉で返す。

それでも了承を得たのに違いはないため、AFOは少し離れた位置に向かい、同時に『転送』を使用したことでオールマイトの口から泥が吐き出され、そしてオールマイトは包み込まれてしまった。

 

「……せっかくこっちも再現して具現化させたんだ…タイミングを見て使わないと勿体ないわよね」

 

美音はボソボソと言いながら右腕だけに付けられている黄金の腕輪をそっと撫でた。

だが美音は気づかず感じてもいなかった……己自身の『黄金色』の瞳に浮かんでいる白き十字架の星が、左目だけが一瞬ノイズのように乱れたことを。

 

 

——◆——

 

 

乱れた記憶の世界。

ゲートを抜けて次に出た記憶の世界は、とても大きく薄暗くて広い場所だった。

そして壁には何かのデータ…いや、医学的なものみたいなのがズラーっと並んでいて、それ以外では手前から奥まで人1人入れるほどの大きいカプセルが無数に並んで置かれていた。

もうこれだけで嫌な予感しかしない。

足を動かして周りを見ながら進めば、中にはカプセルの中で調整を受けているであろう子供たちが裸で入っていた。

 

『こうやって人体実験していたってことか……』

 

奥に進んでいけば、1つのカプセルが蓋を開けだした。そしてその中に入れられていた、身体のあちこちにコードが繋がれている子供が流れ落ちる溶液と一緒に、地面に気力が一切ないまま倒れるように落ちた。するとその子供の傍に1人の白衣を着た老人が近寄って来た。

なんか歯車おじいさんと瓜二つレベルで似てるけど、眼鏡が違うから別人だろうか……。

 

「また失敗か……成長が止まり、腐り行くだけの死体と違い、幼すぎる身体にこの実験は酷じゃよ、先生」

 

おじいさんはそう言いながら振り返る。

『私』も奥を見れば、子供たちのいる施設にちょくちょく来ていたあの男性がいた。

 

「それでもだよドクター。駒はまだたくさんあるんだ。それに、大きな可能性がある子は少なくとも2人、そして——」

 

「ん? その娘は……」

 

「——あぁ、弟と同じで2つの"個性"が融合されたことで1つの"個性"として宿した子だよ」

 

「なんじゃと…?」

 

しかもその男性は眠っている美音を優しく抱きあげていた。ていうか今とんでもないこと言わなかった?

 

2つの"個性"が融合されたことで1つの"個性"として宿した……?

 

コイツは何を言っているんだ?

"個性"は1人1つまで、複数と言ってもそれは両親のが複合したようなものだ。

そして美音は『エネルギー変換』ってやつなはず……。

 

「まさか…お前さんの弟の"個性"『ワン・フォー・オール』と同じことが起きたというのか!?」

 

『『ワン・フォー・オール』……?』

 

【1人はみんなのために】って言葉だよね…そんな名前の"個性"があるの?

その"個性"の持ち主はコイツの弟だったの?てか弟居たの?

 

「お前さん、調整や改造の前に試しに与えたというのか?」

 

「あぁ、この子は他の子たちとどこか違うような気がしたんだ。だから試しに面白いがあまり使ってこなかった"個性"を与えてみたんだ。そしたらこうさ! 弟の生まれ変わりと言われたら信じてしまいそうだよ」

 

「だが弟の方はほぼ"無個性"と変わりない程に機能していなかった"個性"と与えた"個性"が混ざり合ったことで機能したんじゃろ? この娘の場合そういうのじゃなさそうじゃが……」

 

話について行けない……コイツら、本当に何なの?

 

「僕も何故普通に発現していた"個性"と与えた"個性"が弟のように混ざったか分からないが…なったことはなったんだ。だから、この子を改造せずに普通の人間のまま治せるかい?」

 

「この子らを脳無にするための実験や通常脳無のもあるから時間はかかるぞ。早くて1か月。それでも良いのなら構わんが」

 

「あぁ、頼むよ」

 

男性はそう言いながら美音を老人に預け、背を向けて奥に歩いて行く。

老人のほうは眠っている美音を見てから、別の方向へと歩いていった。

……そしてもう1つ、いや2つかな?気になってしょうがないものがある。

 

『……メドゥーゴルとマグニールも被害者だったなんて』

 

ある2つのカプセルを見れば、そこには神話や童話に出てくる神々のような"個性"を宿していた幼いメドゥーゴルとマグニールがそれぞれ入っていた。

でもまだ異形型とかそういうのじゃない。

きっとここで、あの姿に変えられたってことなんだよね……。

 

『もうゲートがある…』

 

そしてゲートがもう既に出現していた。

つまりここではもう何も進まないし起こらない……『私』はゲートに入っていった。

 

 

——◆——

 

 

♪ 黙って消えなさい ♫

♪ (わたしはひとりでいいの) ♫

♪ 闇は光よりも に ♫

 

崩れ、荒れ果てた家やビルなどと言った建物を椅子などに使用し、座ったり持たれたりしている【Yami_Q_ray】

その姿はまるで人間を見下ろしている堕天使。

『ガウォーク』で美音を乗せている『Sv-303』1機を除き、他5機は『ガウォーク』や『バトロイド』に変形しその場に止まり続けながら飛んでおり、小型ゴーストも美音たちを中心に飛び回っていた。

 

♪ 何を守りたいの ♫

♪ その弱い心じゃ自分さえも ♫

♪ 粉わ ♫

 

「クッソ、化け物め…!!」

 

「このままじゃ終わるぞ本当に!」

 

「応答してくれ上層部! 我々だけでは対処できない! (ヴィラン)は戦闘機を使用している!! こちらも軍隊を派遣できないか!?」

 

公安直属ヒーローは任務遂行のためにどうにかしようと、挙句の果てには軍まで要請しようとしている。

 

「くっ…装置の影響が大きいとはいえ、これはもう……」

 

「…ッ」

 

エッジショットも思わず口に出してしまう中、エンデヴァーはチラッとギアを見る。

ギアはエンデヴァーの目線も気づかずに腰を落とし、絶望の表情で美音を見つめていた。

 

「(もう、殺す以外に選択肢はないっていうの……?)」

 

"個性"増幅装置によってもはやAFOと異なるがそれでも同等の能力(ちから)を発揮している美音を見て、公安の言う通り殺す以外に止める手段がないのではないかとほぼ諦めの状態になっていた。

 

♪ 聴こえるメロディー ♫

♪ 耳をすまして ♫

♪ 教えない Destiny... ♫

 

美音は細目でヒーローたちを見る。

公安直属ヒーローらは元々殺す為とも言えるほどに、自身へ攻撃してきている。

だがそれを防ぎ、救けるために戦っていたギアたちも【Yami_Q_ray】まで具現化させて蹂躙しようとしていることから、もう術はないと思い始めてしまっていることを感じ取った美音は呆れていた。

 

「(結局、私は……)」

 

「——いい加減にしろ!!」

 

「ッ!?」

 

ギアはもう諦めようとした。

だが突然胸ぐらを掴まれ、引っ張られる。

驚き目を見開けば、ギアの目の前にはエンデヴァーがいた。

 

「貴様はそれでも、俺を超えてNo.2に上り詰めた実績を持つヒーローか!? 貴様は何度も他所(おれ)の家に首を突っ込んで、余計なことをしてきただろ!! 俺を苛立たせる程にあの娘のことを自慢して来ただろ!!!」

 

「炎、司……」

 

「俺に無駄に張り合おうとした貴様は、俺と違い本当にオールマイトに届く可能性が大きかった貴様が…なに自分の娘1人救えないでなに絶望しているんだァ!!!」

 

エンデヴァーの叫びにヒーローたちは驚き視線が集まる。

 

♪ 始まる -Destroy- 終わりの音が ♫

♪ 鳴り響いた 邪魔をしないで ♫

♪ Like an Angel 細胞の奥から ♫

♪ 叫ぶように 歌う 破滅を ♫

 

そんな中、ギアは涙を流しながら自身の胸ぐらをつかんでいるエンデヴァーを見ていた。

 

「…ハハッ、子に虐待とも言えるようなことをしていたあんたに、そんなこと言われるなんてね……」

 

「言っていろ。それで、貴様はどうする?」

 

ギアはエンデヴァーの腕を振り解き立ち上がる。

そして美音へと身体を向け、覚悟を決めた表情でしっかりと美音を見た。

 

「決まってる。愛娘を救ける……ヒーローとしてではなく、親として!! だから、力を貸して! 戦友ッ!!!

 

「ふんっ、これは今まで溜めたお前への借りを返すだけだ。いいなッ!!?」

 

「えぇッ!!!」

 

ギアは己の拳同士を思い切り殴り、軽い衝撃波を放つ。エンデヴァーもまた『ヘルフレイム』の炎を漏らす。元と現のNo.2タッグが今——

 

「行くよッ!」

 

「分かっているッ!!」

 

——駆け出した。

それを見た他の表舞台で活躍していたプロヒーローらも2人に続くように駆け出す。

ただ、公安直属ヒーローらは動くことはなかった。

 

♪ Evil, Evil あなたも Evil, Evil ♫

♪ 本当はもう気づいているんでしょう ♫

♪ でも 嫌、嫌 嘘つき まだまだ ♫

♪ 足りないようね 痛みが ♫

 

美音は向かってくるヒーローに向けて指を伸ばせば、それに従い『Sv-303』と小型ゴーストは飛んで行く。同時に美音は風の錬成陣を展開し、自身で浮き上がる。美音が離れたことで美音を乗せていた『Sv-303』もまたヒーロー達へと飛んで行った。

 

♪ Evil, Evil  Evil, Evil ♫

♪ (全てを今) ♫

♪ 止 使は ♫

♪ (覆い尽くす) ♫

♪ ほ  界 ♫

♪ 魅せてあげる ♫

 

 

  

 

 

『闇雲』『闇フレイア』『闇カナメ』『闇マキナ』『闇レイナ』

【Yami_Q_ray】として存在する彼女たちが歌いきり最後の決めポーズと同時に、あちこちでミサイルによる爆発が起こった。

 

「……今度は、『わたし』の番ね」

 

美音は黄金の腕輪を付けている右腕、その右手を胸元に添えるように重ねる。

するとチョーカー型の"個性"増幅装置が青き輝きをまた一段と強くさせながらその歌を奏でた。

 

 

——Rei shen shou jing rei zizzl(その歌で、全てを否定するために)——

 

 

美音は『神獣鏡(シェンショウジン)』の『聖詠』を口ずさんだ。

だがその『聖詠』に混められた意味は違う。

『小日向未来』の『聖詠』ではなく『黒換美音』としての『聖詠』として奏でられている。

瞬間、チョーカーの輝きを上回るほどの紫の輝きが美音の胸から溢れ出し、美音本人を包み込んだ。

黒いウェディングドレスが開け、残るのは黄金の腕輪と"個性"増幅装置のチョーカーのみ。

 

肌にピッタリと張り付く紫と白を基調とするバトルスーツを身に纏い、両脚には紫の厳つい機械装甲を装着。厳つい機械装甲の下には両足それぞれに脚を隠すほどの大きなドレスが伸び、後ろ腰のスラスターにはドレスより少し長い5本の大きなケーブルが伸びている。

両方の二の腕にもまたそれぞれケーブルが1本ずつ伸びている。

頭部にはヘッドホンと同時に額にひし形が付けられ頭部の横には左右対称でそれぞれ2本。

さらに後頭部から真ん中に1本の角のようなものが付けられ、後頭部の角からは腰より下まで布が伸びていき、右腕の黄金の腕輪と"個性"増幅装置のチョーカーもその上に改めて出現した。

 

 

シェンショウジン・ファウストローブ・Ver.『シェム・ハ』

 

 

美音が纏った『神獣鏡(シェンショウジン)』は『シンフォギア』ではない。神も纏った『ファウストローブ』

『シェンショウジン・ファウストローブ』だった。

そんな美音を見てヒーロー達は警戒し、ギアは向かいながらも焦りを出していた。

 

「……さぁ、"個性"という穢れを纏いし人類を、穢れなき純粋な人間に戻しましょう

 

神の力も再現しその"個性"にて【"個性"殺し】を纏った日陰は、深淵の奥のさらにその奥へと沈んでいく。

 

 

——◆——

 

 

混雑した記憶の世界。

 

『……』

 

ゲートを抜ければ、施設が一部破壊されたりして燃え上がっている。

大惨事状態みたいな場所の施設だった。

そして子供の死体が無残にも転がっていたり、まだ辛うじて息があるけどもう助からない状態の子でいっぱいだった。

 

『……美音』

 

『私』は道なりに進んでいく。

するとある1つの部屋で美音が頭を抱えながらそこにしゃがんでいた。

周りには死体の子供たちがいる。

でもほとんどは崩れた瓦礫などに巻き込まれたり、怪我はなくとも既に生気を感じさせない状態の子供だらけだった。

 

「痛い…痛い…! なんな、の…あた、ま…痛い! こんな、思い出…『わたし』、知らな、い……!」

 

『……ッ』

 

前世でよく転生系のも読んでいたからなんとなくわかる。前世の記憶が一気に流れ込んで思い出す瞬間、中にはその情報量の多さに頭が、脳がショートしてしまう程の激しい頭痛に襲われる時がある。

『私』も、今までの頭痛がきっと美音の物であったように、美音も『私』の記憶が完全に流れ込み始めた結果、こうなってしまっているのだろう。

 

「ぁ…あぁ!! 『わた、し』…は、ちが、『私』…? うぁぁああっ!!!」

 

抱えてる頭を上に上げる美音。

その瞬間『私』は見えた。

美音の『月白(げっぱく)色』のインナーカラーの髪が、外側の青黒と同じ色に変色しだし、左目もまた十字架の星の柄目が消えていき、色も『つつじ色』に変わり始めているところを。

だけど次の瞬間、とんでもなく大きな地響きが上から施設全体に伝わって来た。

それによって『私』も美音もよろけてしまう。

 

『上で何が……あっ!』

 

『私』が上を見上げている間に、美音は自身の頭を押さえながら『私』をすり抜けて、そのまま部屋を出ていった。

『私』もまた急いで部屋から飛び出し、美音を追いかける。そして上からの地響きが何度も続いて施設全体へ伝わってくる……真上で激しい戦いが繰り広げられているのだろうか?

すると今までで一番大きな地響きが起こり、美音は体勢を崩して壁に当たりそのまま腰が落ちてしまった。

 

『美音…!』

 

「…もう、わからないよ……」

 

美音が何かブツブツと独り言を言い始めた。

『私』はしっかりと聞くために傍に近寄り耳を澄ます。

 

「見覚えのない変な思い出(きおく)がたくさん出てきたり、身体の奥底で自分以外の何かがいて起きようとしたり……『わたし』、そんなに悪いことしたのかな……」

 

『  』

 

ここなんだ。

美音が前世の記憶を知ったのは。

『私』が覚醒したのは。

『私』たちが魂が別々の、憑依転生みたいな感じになってしまったのは。

 

『(これらの騒動がなければ……『私』は、『私』たちは……)』

 

 

「……——神様に、恋をしてた頃は…♪

 

 

『——えっ』

 

突然だった。

美音は途切れ途切れながらも、その幼い声で…震えた声で、あの歌を歌いだした。

そしてゆっくりと立ち上がり、壁に寄りかかりながら、その思い脚を動かして進んでいく。

同時に美音の目からは涙も零れ落ち、その涙が足跡のように地面に落ちていった。

『私』はそれを見ることしかできない。『私』は……——

 

『——ッ!?』

 

——突然施設が、記憶の世界が塵のように崩れていき、『私』は真っ暗な空間で落下し始めた。

するとあちこちで白い何かが現れ、その1つに『私』は不時着した。

 

『ッ……なに、これ…?』

 

頭を押さえながら周りを見渡せば、黒い空間に無数にある白い瓦礫のような足場と、これまで行った記憶の世界が見える巨大なゲート。

一部はまだ行ったこともないものもある。

そんな中、下から光が見えて見下ろせば、大きな光の球体が輝きながらそこにいた。

あれが何なのかは正直分からない……でも不思議とわかった。

 

『『"()()"()()』……?』

 

『"個性"因子』

"個性"所有者なら必ずある身体の一部であり"個性"の核のようなもの。

 

『まさか、ここって美音の…うんうん、『私』たちの記憶と身体の最深部的な場所?』

 

じゃないと今までの美音の記憶や『私』の前世と今世での今までの記憶がここに集まっているはずがない……。

 

『ッ!? ペンダントが…!?』

 

突然首にかけている『ギアペンダント』が赤く光りはじめて、光は底にある『"個性"因子』であろう光の球体へと光の線を伸ばした。

……そういうことか。

 

『美音を…()()()()()()()()()()()()()……』

 

上を見上げれば一番デカい記憶の世界が…いや、リアルタイムで今現実で起きていることが見えていた。美音の『私』たちの視点で、先生やプロヒーローたちに攻撃している……ヒーローとしてではなく、(ヴィラン)としての道を美音は進もうとしている。

そんなの、そんなのダメだ……だからこそなんだろう。あの子の救けを求める旋律を奏でていたのは……そしてそんな『私』に力を貸そうとしているのは——

 

『——あなただったんだね…ガングニール(立花響)

 

『私』がヒーローを目指すことで、大きな一歩となったのはやっぱり前世でアニメを、『立花響』の活躍を見ていたからだ。

友達が1人ぐらいで普段は1人ぼっちだった『私』にとって『立花響』はとても大きな憧れの存在。

ただ生き残れただけだっていうのに、周りから酷いことをされてきた彼女の心はとても強い。

普通なら心を病んで自殺、最悪復讐心を抱いてもおかしくない。

なのに彼女は元気で、人助けして、敵にすら手を伸ばせるほど心の器が大きく、まさに太陽と言える存在だった。

 

この『ギアペンダント』に『ガングニール』に実際は宿っていないだろう。

でも、それでも今『私』たちの意思関係なく『ガングニール』が導いているのなら、導いてくれているのなら!

 

『力を、あなたの『他者と手を繋ぐ力』を貸してほしい……! 『私』の憧れ(立花響)!!!

 

『私』は……『幻神()』は、そう言いながら今立っている瓦礫から飛び降りた。

そして『ギアペンダント』を両手で包むように握り、目を瞑りその胸に響き、聞こえだした歌を、はっきりと声に出した。

 

 

——Balwisyall nescell gungnir tron(あなたと繋がりたいから、その手を伸ばす)——

 

 

『ガングニール』の『聖詠』。

だけどその意味は違う。

『立花響』としての『ガングニール』の『聖詠』ではなく、『天堕幻神』としての『ガングニール』の『聖詠』を『幻神()』は歌った。

 

 

『——繋ぎ合えるよ。だって人は話し合える言葉が、繋ぎ合える手があるから』

 

 

背中に温かい何かが触れられた気がした。

憧れの声が聞こえた気がした。

その背中を押してくれた気がした。

幻神()』の覚悟を応援してくれた気がした。

 

——ありがとう。

 

幻神()』は光に包まれた。

 

 

肌にピッタリと張り付く黄色を基調とするバトルスーツを身に纏い、両腕両脚には白色と黄色の機械装甲であるガントレットとグリーブが装着。

 

SG-r03´Gungnir

 

頭部には白色と黄色のヘッドセットとブレードアンテナを装着。

 

SYSTEM ALL GREEN

NORMAL OPERATION

 

胸もとの『ギアペンダント』の左右だけがそれぞれ2本ずつ黄金へと変化。

最後に首元には足先まで伸びている白色のマフラー1本で巻かれていった。

 

 

シンフォギアシステム・ガングニール・Ver.XV

 

 

今この瞬間、『ガングニール』は転生者(少女)の想いに答えるべく、その姿をさらに向こうへ(Plus Ultra)と言わんばかりに進化させた。

 

『美音を…『美音(わたし)』を救けるために!!』

 

落下の進路先で何か黒単体の塊のようなものがいくつも出てきている。

きっと自動防衛的なもので、『幻神()』を止めようとしているのだろう。

 

だとしてもだ。

幻神()』はこの胸の歌を信じて…歌うッ!!

 

 

 

 







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