この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様(前回の分も含め)、竜人機様、誤字報告ありがとうございます!


【チートっぽいけどチートじゃない】
【主人公最強ではない】
【何でも許せる人向け】
これらを理解していただけると幸いです。




2人の歌姫(しょうじょ)による歌合戦、開幕!!

 

 

 

 

神野街。

ビルに付けられた巨大スクリーンにて神野区の現在状況がlive映像で映し出されている

 

『み、皆さん見えますでしょうか? 拉致されヒーローを裏切り、(ヴィラン)へ堕ちたはずの雄英生徒、天堕幻神さんが……ふ、2人います!! これはどういうことなのでしょうか!? これも(ヴィラン)の仕業なのでしょうか!? 悪夢のようなこの状態は、いったい何を引き起こし、我々に何を見せようとしているのでしょうか!?』

 

リポーターの困惑を隠せない声が流れる中、映像にはシェンショウジン・ファウストローブを纏う『黒換美音』とBURNING・EX-DRIVEを纏う『天堕幻神』が映し出されており、それを見た人々は困惑している。

 

「なにが、どうなってんだ…? 天堕は本当は双子だったてことか!?」

 

「分からない……一体全体、天堕君の身に何が起きているんだ……!」

 

幻神を良く知る緑谷たちもまた動揺を隠せないでいた。

 

「(なんなんだ…この胸の奥から湧き上がる熱のような感じは……救けを求めてるような歌と、救けたいって想いの歌が、2つの歌が胸から流れ込んでくる感覚は…!!)」

 

緑谷は1人、美音と幻神のそれぞれが宿している胸の歌を感じており、彼は無意識に自身の心臓部分の上の服を強く握っていた。

 

 

——◆——

 

 

旧脳無格納庫。

悪夢とも言われているその現場には今、女王のような紫の輝きシェンショウジン・ファウストローブを纏う歌姫。

天使のような黄色の輝きBURNING・EX-DRIVEを纏う歌姫。

同一人物でありながらその纏うギアは違く、瞳の色、髪のインナーカラーや裾が違うという点だけだ。

 

「これは驚いた…まさか君は、あの日生まれたもう1人の美音くん……天堕幻神か!」

 

「記憶で見たのと随分容姿が変わったね。スーツの人……いいえ、オール・フォー・ワン!!」

 

AFOを見た幻神は、記憶の世界で見た容姿と違うことに少し驚いていた。

 

「僕のことも知ったのか…! (にしても、どうやって現実、物理的に分裂した? 魂や感情の亀裂によって多重人格になるという事例は存在する。その人格によっては肉体にまでも影響を与えることも。だが、美音くんと天堕幻神の場合は、それ以上に肉体そのものが別々になった、いわば自分自身を複製したようなもの。こんなことが出来るなんて……"個性"増幅装置の機能(ちから)がそれを可能にさせたのか?)」

 

AFOが美音と幻神の身に起きたことを考えている中、幻神は美音へと視線を移せば、美音は幻神を睨んでいた。

 

「そんな奇跡、ご都合展開が起きるわけ……——」

 

「——ない! そうだね。それが現実であり、理不尽でいっぱいで、何もうまくいかないほうが多いのが現実だから……」

 

「……ッ」

 

「でも、そういうことが起きたっていいんだ。『幻神()』のように好まない人もたくさんいる! でも…それでもッ! 『幻神()』は…『美音(わたし)』と手を繋ぎ合いたい! わかり合いたい! 正面切って、話し合いたいッ!!

 

幻神は正面から美音に叫ぶ。

それを聞いた美音はその表情に感情がぐちゃぐちゃになっていた。

 

話し合い…? ……じゃあなんで…じゃあなんでッ!! 『美音(わたし)』の家族は! 『美音(わたし)』と同じ悲劇を味わったあの子たちはみんな殺されたの!? なんで、なんでヒーローは救けてくれなかったのよッ!! なんであの子たちだけ殺されて、『美音(わたし)』だけ生かされたのよッ!!!」

 

美音の激情。

それに呼応し、"個性"増幅装置のチョーカーの青き輝きか、赤くなり始める。

 

「……確かにそうだね。『美音(わたし)』のあの悲劇の記憶を見て、『美音(わたし)』以外にもたくさんの子供たちがオール・フォー・ワンの自分勝手な駒を作るための実験台にされて、命を落としていったのを知ったよ」

 

「「「ッ!?」」」

 

幻神の話すその内容にその場にいる全員が驚愕した。

 

「だったら『幻神()』だってわかるはずよッ! (ヴィラン)は、あのクソ野郎は『美音と幻神(わたしたち)』全員を自分の都合のいい駒でしか見ていないッ!! ヒーローたちは、公安委員会は(ヴィラン)として『美音と幻神(わたしたち)』を見て殺しに来ているッ!! どちらかの道を選んで進んでも結局『美音と幻神(わたしたち)』に未来は……明日を照らす光はないのよッ!!!

 

美音の言葉に呼応しシェンショウジン・ファウストローブが輝きだす。

同時に【Yami_Q_ray】も指を指すと『Sv-303』が向かって行き、一斉に幻神へと攻撃した。

だが幻神は動くことなく、しっかりと攻撃の奥にいる美音を見ている。

そして次の瞬間、『Sv-303』の攻撃が幻神の元に着弾し爆発した。

だが爆破による煙幕がすぐに吹き飛ばされるように晴れていき、幻神は平然と立っている。

そして幻神は己の右手を美音へと伸ばし固く握る。

 

「……だったら掴む…この手でッ! 未来を、明日を照らす光を……そして、美音(わたし)』の手をッ!!

 

幻神はBURNING・EX-DRIVEの陽のごとく輝くガングニールの翼を広げる。

同時に胸元のひし形になっているギアペンダントが黄色から始まり、ピンクと順番に輝いた。そして『Sv-303』が2機接近し、『バトロイド』に変形して殴り掛かる——

 

「なっ!?」

 

——が、その2機は一瞬にして縦に、真っ二つに一刀両断されて破壊された。

それを見た美音も、ヒーローたちも絶句している。

あんなに自分たちが手こずらせた兵器をいとも簡単に倒したことに。

 

「『幻神と美音(私たち)』は別々であるけど、それでも1つの身体に2つの魂で、『美音(わたし)』が『幻神()』の記憶を見て知り尽くしたように……『幻神()』もまた、さっきまでずっと『美音(わたし)』の記憶を見て、自分なりに『美音(わたし)』を知った……だからこそ、全てとは言えないけどわかるよ。『美音(わたし)』の気持ちが!! だって『幻神と美音(私たち)』は、()()()()()()()"()()"()()()()()()()()()()ッ!!!

 

幻神の右手には1本の青く輝く(つるぎ)が握られている。

 

アームドギア・天羽々斬(アメノハバキリ)ッ!!」

 

その(つるぎ)の正体は天羽々斬(アメノハバキリ)のアームドギア。

本来はその『シンフォギア』を纏ってこそ出せるアームドギア。

だが今は"個性"増幅装置によって活性化と増幅を繰り返し、今もなお起動し続けている装置の力によって、2人はアームドギア単体での具現化も可能にしている。それは美音だけにあらず、幻神もまたBURNING・EX-DRIVEを纏いながら他『シンフォギア』のアームドギア、さらには【X-DRIVE】としてのアームドギアなどと言った武器を多数扱えるようになっていたのだ。

 

「(きっと合宿の頃の『幻神()』だったら瞬殺の負けイベみたいなものだ。でも、『美音(わたし)』の付けている"個性"増幅装置のおかげで今だけは、()()()()『可変戦闘機』にも正面から戦えるッ!! ここだけオール・フォー・ワンに感謝しなきゃだね。まぁ一生言わないけど!)」

 

幻神は左手を前に突き出すように掲げる。

するとその左手に赤い輝きが集まっていき、その形をハッキリとさせた。

 

アームドギア・イチイバルッ!!」

 

具現化され、握られたのはイチイバルのアームドギアである拳銃だった。

 

「幻神!!」

 

ギアの叫びに気づき顔を向ければ、幻神の視線の先にはギアと他ヒーローたちがいる。

 

「……大丈夫だよ。先生(おかあさん)

 

「ッ!」

 

己の心配をしているであろう義理母に幻神は微笑みながら呟き返し、美音に視線を戻してから、ついに翼を広げて羽ばたき飛び上がった。

 

「くっ!!」

 

美音はシェンショウジンの輝きをビットから放射させる。

幻神はそれを避けていき、天羽々斬(アメノハバキリ)のアームドギアを振り下ろす。

対して美音は光束の刀剣で受け止めて互いに押し合い、そのまま戦場の直上にて2人は激しく飛び回りながら戦闘を始めた。

 

「(美音くんも予想外の事態か……いや、身体は1つで魂は2つ…多重人格者であり、おそらく美音くん自身が発現させていた"個性"と、あの日僕が与えた"個性"の2つの能力あってこそ成り立った技……条件が揃ったからこそできたことというべきか)」

 

AFOは美音と幻神に起きたことを自分なりに考え、考察しながら右手を幻神へと向ける。

 

「すまないな天堕幻神(にせもの)。君は——」

 

そして腕は肥大化していき、複数"個性"を放射しようとした瞬間、AFOはすぐに腕を幻神とは別の方向に向けて放った。

放たれたその空気、衝撃波は何かに衝突し、分散されるように飛んで行く。

 

「——てっきり君は彼女たちを止めに行くと思ったんだが……」

 

その衝撃波に押し負け吹き飛ばされるも、すぐに体勢を直して着地し、AFOに対して身構える。

 

()()()()()()()()()ね? でも、今あの子は、あの子たちは互いにぶつかり合って、歌で語り合おうとしている……私には、いいえ、ここにいる私たちにはこれっぽっちもわかりえないやり方で、あの子たちは本気でぶつかり合おうとしているッ!!」

 

その正体はギアだった。

そしてギアもまたプロヒーロー。

本来だったら未成年であり資格未取得者が"個性"を使い、戦闘を行うのは法律で禁止されているため止めなければならない。

同時に既に公安委員会によって黒換美音基天堕幻神は(ヴィラン)扱いされている。

だからこそなおさらなのだ。だがギアはそうしない。その答えはシンプルで簡単だ。

 

()()()()()()! あの子たちの戦いの邪魔をさせない! あんたも、公安も止めるッ!!!」

 

ギアはAFOへ駆け出す。

対するAFOは"個性"を使い迎え撃った。

 

「……(本当だったら美音くんと一緒にオールマイトに止めを刺す予定だったが、まぁいい。どうせほっといても消えゆく残りカス同然の残り火だ。先にこの女の"個性"を奪うのもいいかもしれないね)」

 

AFOは秘かに悪だくみを企み、他公安直属以外のヒーローたちはギアに加勢した。

 

 

——◆——

 

 

♪【PERFECT SYMPHONY】♫

 

 

戦場の直上。

ヒーローらとAFOが交戦している中、遠目から見れば、それは黄色と紫の輝きが激しく飛び回っており、ぶつかり合う瞬間には(つるぎ)の打ち合う金属音が鳴り響く。それでもなお2つの輝きは飛び回っており、同時に『6人の装者』+『1人の錬金術師』の計7人の歌声が響き渡っていた。

 

それは、繋ぎ合うために。

 

♪ なぜ空は唄を零したか? ♫

♪ なぜ人は言葉を持ったか? ♫

♪ それは分かり合いたいという ♫

 

「くぅ!!」

 

「…ッ!!」

 

美音の装備しているシェム・ハの腕輪から出る光束の刀剣と、幻神の右手に持つ天羽々斬(アメノハバキリ)のアームドギアである剣が、火花を散らせながら押し合い、2人はそのまま飛び回る。

 

♪ 心の…寂しさからだった ♫

 

そして大きく弾き飛べば、幻神は左手に持つイチイバルのアームドギアの銃爪を引き、1発で一気に数弾放ち、放たれた銃弾はホーミングして美音へ飛んで行く。

美音はそれを飛びながら回避していき、最後には黄金の錬成陣を3重に展開し防御した。

 

「(このまま…!) 『四大元素(アリストテレス)』!!」

 

美音は『四大元素(アリストテレス)』を展開し、そのまますべての元素を幻神へ放つ。

 

♪ 一人ぼっちだとメロディは ♫

♪ 意味をなさずに 泣くだけ ♫

 

「ッ! お願いッ! アガートラームッ!!」

 

幻神はアガートラームの名を叫べば、彼女の背面から白銀の輝きが3つ現れ、逆三角形としてシールドを展開した。

そしてそのまま『四大元素(アリストテレス)』の攻撃を防御する。

 

「ッ……!」

 

♪ 「愛とは何か? 夢とは何か?」 ♫

♪ 抗い生きて来た よ ♫

 

だが押されて行き、アガートラームのシールドにも罅が入っていく。

 

♪ 集いし7つの音階は 姿へ ♫

 

幻神はその間に天羽々斬(アメノハバキリ)のアームドギアを消し、両手でイチイバルのアームドギアを握る。

すると幻神の後方に巨大な拳銃が具現化され、銃口にエネルギーが集まり始める。

 

- FIREWIND GLINT -

 

「ッ! 守りなさいッ!」

 

♪ 爆ぜる星々の産声 宇宙(そら)風 ♫

 

幻神の後方にある巨大な拳銃から- FIREWIND GLINT -が放たれ、『四大元素(アリストテレス)』をも貫きながら美音へと向かって行く。

それに対し美音はシェンショウジンの輝きによるシールド+黄金錬成陣のシールド+『Sv-303』2機を身をもって盾にさせるという三大構えのような三重防御で防いだが『Sv-303』は両機とも完全破壊。黄金錬成陣も砕かれ、シェンショウジンの輝きによるシールドもひび割れまで行ったが、耐えきった。

 

「…ッ(いわば善の自分と戦っている感覚ね……気持ち悪い…さっさと分解して——)」

 

♪ 聞こえるか? この鼓動 ♫

♪ 聴こえるか? この希望 ♫

 

そして美音は腕輪から光束の刀剣を出し、そこに火の錬成陣から放射する炎を付与させ、燃え上がる赤き刀剣へと変えた。

 

「(嘘でしょッ!?)」

 

「燃え尽きろォォオオッ!!!」

 

そしてシェンショウジンの浮遊機能+風の錬成陣で一気に加速。

僅か1秒ほどで幻神へと距離を詰めた。

 

「ハァッ!!」

 

そして赤き刀剣を振るうが、肉が切れる音は鳴ることはなく、代わりに金属音が響いた。

 

「チッ!!」

 

♪ 燃え煌めけ 最後の唄 ♫

 

「このぉ!!」

 

美音の赤き刀剣を、幻神は咄嗟にイガリマのアームドギアを具現化させることで防御していた。

互いに弾け飛ぶように離れると幻神はイガリマのアームドギアを回しに回し続けて、美音へと振るう。すると刃から緑の斬撃が無数に飛び、美音へと向かっていった。

 

♪ この世界は繋がる…君を愛す力がある! ♫

♪ 何百、何千、何万と ♫

♪ 負けても生きること諦めない ♫

 

- 愚焔・PぇtttE炉 -

 

向かってくる- 愚焔・PぇtttE炉 -を美音は赤き刀剣で全て斬り落としていく。

その間に小型ゴーストが幻神へと向かっていきレーザーを放つが、幻神はそれらを避けながらイガリマのアームドギアを消した。

 

アームドギア・シュルシャガナッ!!」

 

幻神の両手にそれぞれピンクの輝きが集まり、それはそれぞれ大きく円状になり、チャクラム型のアームドギアが具現化された。

するとアームドギアから繋がるようにチャクラムの形をしたピンクの輝きが現れていき、幻神はそれを振り返り際に両方とも小型ゴーストへ投擲した。

 

♪ この世界は羽撃たく…唄を羽根に変えながら! ♫

  

♪ 全部を出し切るんだ ♫

  

♪ 束ねて重ねた手で ♫

 

- 終Ω式 連環墜光斬 -

 

- 終Ω式 連環墜光斬 -を小型ゴーストは躱していくが、それもむなしく、命中し、すべてが破壊され爆破する。

 

♪ 正義を信じて 花咲け勇気よ ♫

 

爆破による煙幕で視界が塞がる中、幻神は真っすぐ美音へと距離を詰めていく。

 

…! 救うんだ未来をォォォオオオッ!!!♪

 

「ッ!」

 

そしてその右手を、拳を、ガングニールの拳を握り締めながら突き出した。

それを美音は光束の刀剣で受け止める。

ぶつかり合う衝撃波は凄まじく、地上から近い位置で飛んでいるため地上までその衝撃波は伝播し、一部の瓦礫や土などは打ち上げられる。

同時に一部ヒーローの戦闘服(コスチューム)や市民の衣服などが揺れていた。

 

「……なら、綺麗な花には毒があるッ!!」

 

幻神のターン(うた)が終わったことにより、今度は美音が、【Yami_Q_ray】が歌い始めた。

 

それは、否定するために。

 

 

——◆——

 

 

同時刻、地上。

幻神と美音がまだ歌うことなく激しい戦闘を空中で繰り広げている中、地上ではプロたち総出でAFOを相手していた。

 

「【ジェットバーン】ッ!!」

 

「『空気押し出し』」

 

エンデヴァーが【赫灼熱拳・ジェットバーン】を放てばAFOは『空気押し出し』という"個性"を使い、空気にて炎を打ち消す。

 

「ハァッ!!」

 

エッジショットは自身の足などを薄く細く伸ばしAFOへ攻撃するも、AFOは簡単に避けていく。

 

「【フォースアップ・ファウスト】ッ!!」

 

「『衝撃反転』」

 

そしてギアの拳が、【フォースアップ・ファウスト】がAFOの左腕に命中するも、その攻撃は『衝撃反転』により、AFO自身も4段階喰らったが、同じダメージをギア自身も跳ね返されて自身の腕に伝わり負傷してしまった。

 

「ぐぁっ!?」

 

「(放った攻撃を、そのまま同じ威力を後からおまけで放つ"個性"。使用者の力が弱ければ弱い。強ければ強い。という"沼個性"にも"強個性"にもなり得る"個性"。素の身体能力をオールマイト並みに鍛え上げたからこそ輝く『衝撃波』……) その"個性"、僕がもっとうまく扱ってあげるよ!」

 

「ッ!」

 

そのままAFOはギアへ手を伸ばし、頭部を掴もうとする。だがその手を黄色い脚が蹴ることでずらされ、頭部の横をかすめた。

 

「志村の友人か」

 

「"個性"も奪わせんしこれ以上好きにはさせんぞッ!!」

 

オールマイトと公安直属ヒーローら以外の、戦いを得意とするプロたちはAFOを捕らえるべく、止めるべく駆け出す。

それ以外のヒーローたちは救助に専念している。

 

「(皆が時間を稼いでくれている…! 早く、早く溜めるんだ……ッ!! それに——)」

 

そんな中、オールマイトは険しい顔をしながら己の右腕に『OFA』の残り火を、そのすべてを溜めることに専念していた。

同時にチラッと視線を夜空へと向ける。

 

「(——これ以上、彼女たちを戦わせるわけには……!!)」

 

視線の先である夜空ではまるで別次元、違う世界の場所でしか起き得ない戦闘と歌と輝きが起こっていた。

 

 

——◆——

 

 

♪【綺麗な花には毒がある】♫

 

 

♪ ドクドク どうせ今から奴隷よ ♫

♪ カミカミ カッコつけても No No No No ♫

♪ ダラダラ だってその手にあるでしょ ♫

♪ 地獄の招待状 ♫

 

美音の命令により【綺麗な花には毒がある】を歌い始める【Yami_Q_ray】。

それによって全て壊されたはずの『Sv-303』が新たに2機具現化され、幻神へとミサイルを放つ。

 

♪ デレデレ Dead endね 多分もう ♫

♪ ジトジト じっとしてても有象無象 ♫

♪ アウアウ あっという間にこの世は ♫

♪ 不徳の収監場(しゅうかんじょう) ♫

 

幻神は自身へ向かってくるミサイルをアームドギア・イチイバルで連射型のクロスボウを両手に具現化させる。

クロスボウに赤い矢、クラスター弾としての性質を持った大型のクリスタル状をセットした。

 

- GIGA ZEPPELIN -

 

そして- GIGA ZEPPELIN -を放ち、ミサイルを通り抜けたクリスタルは細かく、小さくバラバラになって全てがミサイルへと向かって撃ち落としていく。

 

「ッ! 【Yami_Q_ray】…!!」

 

幻神が周りを見渡せば、【Yami_Q_ray】が飛び回りながら歌い、幻神へ攻撃しろと『Sv-303』へ命令していた。

 

♪ だけど だけど だけどあなた ♫

♪ 知りもせずに ♫

♪ 嘘の愛で 昇天している ♫

 

「ならっ!!」

 

幻神はシュルシャガナイガリマアガートラームのアームドギアを具現化させ、全てを放つ1つに融合させる。

すると3つのアームドギアが完全に融合し、1体の巨大な人型兵器へと変わった。

 

「それはおかしいでしょッ!?」

 

「『幻神()』も初見の時そうやってリアクションしたッ!」

 

それを見た美音は思わず叫び、幻神も同感の声を上げる。そんな中巨大人型アームドギアは『Sv-303』へ自ら向かって行き、殴りかかる。

『Sv-303』は応戦しようとライフルを構えるが、それよりも速くその拳が胴体を貫き破壊した。

 

 燃えて 抱いて 泣いて 悔いて 

♪ 骨の髄まで ♫

 砕いて しゃぶって 

♪ 堕落させて ♫

 

だがもう1機の『Sv-303』が巨大人型アームドギアの背後に回り、ゼロ距離でライフルのレーザーを放ち破壊。

そしてすぐに幻神へと振り返るが、幻神は既に天羽々斬(アメノハバキリ)のアームドギアを、超巨大な大剣として具現化させており、その剣の刃からは蒼炎が燃え上がっていた。

 

「ハァッ!!!」

 

その大剣を振り下ろし、『Sv-303』を完全に両断。そのまま美音へと一気に羽ばたき加速して向かって行く。

 

♪ 清  て ♫

♪ 思ってたでしょ ♫

♪ 駄  は ♫

♪ 毒があるのよ ♫

 

「このぉッ!!」

 

美音は6つの巨大なシェンショウジン・ファウストローブのビットを出し、全てが膨大な紫の輝きを放った。

 

- 破邪 -

 

天羽々斬(アメノハバキリ)ガングニールの力を…!!」

 

迫りくる- 破邪 -

対して幻神は天羽々斬(アメノハバキリ)のアームドギアにガングニールの力を集中させる。

すると燃え上がる蒼炎は色を変えていき、陽のような明るい橙色へと変異し、さらに燃え上がった。

 

この剣は今ッ! 手を繋ぎ一緒に羽ばたくための翼としてェッ!!

 

そして幻神は翼を広げ、燃え上がる橙色の剣と共に自ら回転し、- 破邪 -へと突撃する。

 

「(『ガングニール』の効果を『天羽々斬(アメノハバキリ)』に付与させたって言うの!?)」

 

だがシェンショウジンの輝きによりアームドギアはひびが入り、砕かれてしまう。

その間に美音はシェム・ハの腕輪から光束の刀剣を出し、反対の左腕には弦をドリルのように巻きつけて変換、装備した。

そして幻神は爆発するが、その煙幕から抜け出して美音へと向かう。

その際、右腕はガングニールのガントレットが変形し、槍先だけの大槍の半分の状態になっている。左腕はガントレットそのものがアガートラームへと変化し、白銀にピンクの刃が伸びていた。

 

「ハァッ!!」

 

「ヤァッ!!」

 

2人の両手に装備している武器がぶつかり合う。

 

「くっ…! お願い! もうやめて『美音(わたし)』!!」

 

「…ッ」

 

互いに押し合いながら幻神は美音に話しかける。

それを聞いた美音は歯を食いしばりながら険しい顔になる。

 

「……何度も言わせないでよ。公安と世間は『美音(わたし)』を、『美音と幻神(わたしたち)』を認めない……どっちにしても最後には首輪をつけられて檻の中ッ! 『幻神()』だってわかってるはずよ…この先に明るい未来はないッ! 深淵のように落ちていくしかない真っ暗な絶望しかないのよッ!!!」

 

「そんなことない! 過去は確かに変わらないけど、未来はまだわからない! 決定されていようと…自分で掴むことができるッ! 未来は可能性の塊で、やらないと掴みたい未来も掴めないんだよッ!!」

 

「前世では平凡でオタクな人生を過ごしていたただの死人の癖に、偉そうに語らないでッ!!!」

 

幻神は必死に言葉を掛けるも、美音は聞く耳を持たない。

 

確かに『幻神()』は死人だけど、今こうして生きてる……『美音(わたし)』を救けるために存在しているッ! 言葉も、手もあるッ!!

 

だから…それが偉そうだっていうのよッ!!

 

そして2人は叫ぶ——

 

 

——【ANIMA】ッ!!!

 

——【怪物】ッ!!!

 

 

——奏でる次の歌を。

そして2人の想いに"個性"と"個性"増幅装置は呼応し輝きを増した。

 

 

 

 





前回の幻神が【BURNING・EX-DRIVE】を纏えた理由を説明。
幻神が【BURNING・EX-DRIVE】を纏えたのには——

1.二重人格であり、本来の主人格の美音が表に出て"個性"の全ての機能を解除。

2.幻神が記憶世界で美音の全てを知り、幻神が美音の本心に気づいたこと。

3.幻神が美音の本人に気づき、なおのこと手を繋ぎ合って救けたいと決意。

4.幻神の想いに『ガングニール』をはじめとする他5つの『シンフォギア』が応える。

5.同時に"個性"そのものが幻神にも応え、所有権の一部を幻神が入手。

6."個性"増幅装置と、美音と幻神の想いに呼応し、増幅と活性化が止まることなく続いている。

——これらの条件があの瞬間だけ揃う。
結果、幻神は【BURNING・EX-DRIVE】と現実での分裂をあの瞬間だけ可能にさせ、実行と成功を果たしました。
大きな決定点はAFOによる"個性"増幅装置の装着と起動です。

正確なことは、幻神は人に近しいが、完全に人とは言えない。
正式名称『ホムンクルス』として自身の一時的な依り代(からだ)を作り出した。
原作でやられた『キャロル』が己の記憶を転写・複製する為の身体を参考に幻神が『具現化』にて再現したということ。
だがこれは、詳細はまだ隠されているがあまりにも危険行為。
1歩間違えれば美音の言う通り、消滅の恐れがある荒技でもあるんです。

もっと詳しい詳細は今後の物語での中、もしくは活動報告の方で纏めようかなと考えております。
あとなんか幻神と美音の戦いだけ見るとヒロアカ要素がないな……こりゃあやべぇ…速く終わらせたいけど、うぅ……!!

最後に、戦姫絶唱シンフォギア第一期の再放送おめでとう&ありがとう!
当時は一期だけテレビ放送で未視聴だったから嬉しい!それでは皆様よいお年を!

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