この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
前回も含め、ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!
【チートっぽいけどチートじゃない】
【主人公最強ではない】
【何でも許せる人向け】
これらを理解していただけると幸いです。
「あぁぁ…あぁ!! ぁぁああぁあぁ…ッ!!!」
悪夢の現場に、1人の少女の泣き叫びが響き渡る。
「天堕少女……」
「幻神……」
ヒーローたちは脳無の相手で精一杯だが、ギアとオールマイトだけは幻神をしっかりと見ていた。
「美音…美音ェ…!!」
「…
AFOは、美音が奏でた歌で何をしたのか理解した。
同時に魔王として君臨する自身の隣で、闇の歌を奏でる大いなる闇の歌い手がいなくなったことに素っ気ない雰囲気で悲しんだ。
「オール・フォー・ワン…貴様は……」
「ん?」
「貴様は今、天堕少女の…いや!
オールマイトは怒りを露にし、涙を流しながらマッスルフォームである己の右腕に黄色い稲妻を走らせる。美音が奏でた最初で最後の
「(これまでの行いを、きっと彼女は胸を辛くしながらしていたのだ……)」
『——未来は……明日を照らす光はないのよッ!!!』
「(それでも彼女は求めていたんだ…! 我々に救けを! そして天堕少女に救われ、全てを彼女に託した…ッ!!!) 我々もまたッ!! 黒換少女の想いを無駄にしないッ!! 貴様をここで、必ず倒すッ!!!!」
そんなオールマイトの言葉によって伝播するかのように、周りにいるヒーローたちも次々と苦戦していたはずの脳無を圧していった。
「脳無をオールマイトへ向かわせるなッ!」
「戦えるものは前戦に! 我々よりも辛い中戦った彼女の意思を、想いを無駄にするなァ!!」
そしてオールマイトの隣にグラントリノが立つ。
「俊典! 脳無は他のヒーローが相手してくれている! ワシらはこのままオール・フォー・ワンをぶっ飛ばして、今度こそ嬢ちゃんの為にも終らせるぞッ!!」
「はいッ!!!」
平和の象徴は、今度こそ終わらせるべく拳を握る。
「ふんっ…まぁいい……」
AFOは異常なほどに肥大化した右腕を構え、そして浮遊系の"個性"にて距離をオールマイトへと一気に……——
「なにっ!?」
——向かわず、幻神の方へ向かって行った。
——◆——
ポタポタと地面の落ち、染みついていく涙。
幻神はただただ泣くことしかできなかった。
救けるために手を伸ばしたのに。
やっと繋ぎ合えたはずなのに。
繋いだ手は、もうない。
残るのは彼女の身体と"個性"、記憶と言った魂以外の全て。どんなに心の奥底、精神的なもので呼びかけるも応えが帰ってくることも、これまであった頭痛もなくなっている。
これらだけで十分に確信できる。できてしまうのだ……。
「ぁぁ、あぁぁああ…ぁぁあっ!!!」
——記憶だけじゃなくて、言葉で話して知りたかった。
——一緒にたくさんの歌を歌いたかった。
——恥ずかしいけど恋バナとか、いろんなことをしたかった。
だがそれらはもう叶わない。
身体も、"個性"も、全てが幻神へ渡り、美音はいないのだから。
『——生きて…わたしのヒーロー……』
想いを込めた歌と共に、残していった最後の言葉。
「……ッ!」
そして幻神は思い出す。
最後の言葉と共に見た美音の顔。
あの瞬間、美音の顔は今までで一番と言えるであろう、最高の笑顔だった。
涙を流していたとはいえ、後悔が一切なく、曇りなき眼で、最高の笑顔。
「……ッ」
周りが激しい戦争の音で鳴り響く中、幻神は身体を動かし、ゆっくりと立ち上がる。
だがその現実をすぐに受け入れ、前に進むなんて簡単なことではない。
幻神は拭いても拭いても溢れ出る涙で顔を濡らしながら、両手を胸元前に移動させギュッと手を握った。
「……?」
だが幻神は気付く。
己の奥底から感じる心臓の鼓動と共に流れ込んでくるメロディを。
とても暖かく、誰かに抱きしめられてるかのような感覚が内側から流れ込み、全体に広がっていくのを。
「……そっか、美音はもう…悔いのない人生として受け入れて…全部私に……」
幻神は泣きながらにぎこちなく微笑む。
「うん…生きるよ美音……私、生きて生きて、生き尽くすよ…!!!!」
瞬間、首に着けられている"個性"増幅装置が七色と共に輝き始めた。
「だから、私の我儘に付き合ってくれる…『具現化』……うんうん——」
「——『
その言葉に呼応し幻神の身体にオーラのような形で七色の輝きが漏れ出す。
そして輝きは、輝きの状態のまま『ガングニール』の形へとなり始めた。
「…私は…ッ!!!」
幻神は息を吸う……だがそこに、AFOが迫って来た。
「(美音くんは失えど、『ワン・フォー・オール』とほぼ同種と言える"個性"とその"個性"に唯一定着している肉体は残っている…! ならば、僕の夢のために最後の手段として回収を——)」
AFOは普通の状態である左手を幻神へ伸ばす。
美音でなくなった今、幻神にやったところで泥ワープは難しい。
であれば眠らせてからとAFOは考えていた。
だがその手を幻神は躱し、振り返りながら歌う。
「バルウィシェル……ッ!!」
「なっ!?」
AFOは、美音が消滅した今幻神もある意味戦意喪失と言えると思っており、すぐに終わる事だろうと思っていた。
だがその予想は外れる。
「ネスケル……ッ!!!」
瞬間、輝きから部品が次々と具現化されていき、幻神の纏う漆黒のウェディングドレスが消えて光輝き、バトルスーツを身に付けると同時に身体へ装着されて行く。
「ガングニィィイル……ッ!!!!」
それは怒りや悲しみを乗せていない。
ただ救けたかった……否、救け、救けてくれた大切な家族、親友、姉妹とも言えるもう1人の歌姫の
「トロォォオオオンッ!!!!!」
——受け継ぎ、その
「なっ——ぐっ!!!」
『ガングニール』のギアを纏った幻神は拳を振り抜き、AFOの左腕を通り抜けてその左頬に重い一撃を命中させた。
「うぅぉぉぉおおおッ!!!!」
ガントレットが瞬時にブースターとして変形し、パイルバンカーを起動させて打ち込む。同時にエネルギーを噴射させてそのままAFOを殴り飛ばした。
AFOは殴り飛ばされるが、すぐに足を地に着けて地を抉りながらも倒れずに耐えきった。
「…驚いた……まさか装置も壊れていないどころか君の想いに呼応し、さらにその機能を発揮させるとはね……」
AFOは殴られた自身の左頬をそっと撫でながらそう呟く。だがすぐにその手を横へ伸ばし広げる。
「だがその姿はこれまで調べた君のデータから見るに、通常型と言えるだろう。先ほどまでの美音くんと君が纏っていた全く異なる、女王とも天使とも、化け物とも言えるあの姿と力には大きく劣っている。そうだろう?」
「……ッ」
幻神は顰めながらも各部から溜まった熱気を逃がす。だがAFOが言うことも合っており、図星を突かれたとも言えるため幻神は返す言葉がなかった。
もう一度【EX-DRIVE】をするには【絶唱】を奏でなければいけない。
仮に【絶唱】を歌えば、精神世界のバックファイアを受けずに行けたのとは違い、完全にその肉体に受け、死ぬ恐れがあるだろう。
機能、能力と言った全てが桁違いに跳ね上がっていた時とは違い、劣ってしまっている今、AFO以前に脳無の相手すら難しいかもしれない。
「だとしても……」
「ん?」
幻神の身体に七色の輝きが再び漏れ出す。
「私は…進み続けるッ!!!」
その決意を、覚悟を決めた叫びは大きく、周囲にいるヒーロー、その現場にいる人々にまで届く。
それを聞いた彼らは驚愕の表情を露にする中、幻神は固く握り、胸元に添えるようにする。
「"個性"増幅装置、全機能及び出力……
呼応し、チョーカー型の"個性"増幅装置は『
その中には炎が揺らいでおり、同時に白色マフラーの裾が【BURNING・EX-DRIVE】のように燃え上がる。だがその色は『シンフォギア』の七色の音色、輝きだった。
「なっ!? 装置そのものまでも変形…いや、進化した言うのか!?」
ただ"個性"を増幅、活性化させるためだけの装置は、まるで『シンフォギア』のように変形し、新たな形へと成り立った。
そんなこと、実現不可能だとAFOは驚愕しているが、今実際に現実で起きている。
デヴィット・シールドが開発した"個性"増幅装置。
トリガーと言った薬物と違い、機械的に人体への影響を与えず"個性"を増幅させる事が出来る発明品。
だがそれが出来てしまえば、超人社会の構造は激変するだろう。
それを恐れた各国政府は試作段階の状態発明品と研究データを全て没収と凍結を行った。
だがその装置を使えば、オールマイトを蘇らせることができるとデヴィットは思っていた。
彼は犯罪に手を染めてしまったとはいえ、人々の平和の象徴であるオールマイトの…ヒーローのために行った。そんな彼の想いは今、形と結果は違えど叶っている。
天堕幻神という少女の力となって今、その最高であり最凶の発明品は、最高の舞台で輝いているのだ。
「(…歌って、進むよ……美音がくれた想いを、託していった未来を、私だけじゃなく…太陽と、一緒に夢を志すみんなと一緒にッ!!!)」
『——頑張って、わたしのヒーロー』
——頑張るよ、私のヒーロー。
♪ わたしが わたしの手で ♫
♪ 繋がる ミライ 掴む ♫
♪ 君のその想いを 無駄にしないように… ♫
その歌声と共に現場に輝きが、無限に輝く色鮮やかな光が地上から溢れ出し、ゆっくりと夜空へと浮遊していく。
「ならこちらも強引に行くよ…天堕幻神ァ!!!」
AFOの指示に従い、一部脳無が幻神へと向かって行く。
♪ 凸凹な衝動から ジグザグで繊細な
脳無は幻神を攻撃するも、幻神は歌いながらその攻撃をよけ、的確に顔を、弱点である脳に拳を貫く。
♪ (歩きだしたら)もう護れないの? ♫
そして脚部のパワージャッキと合わせて一気に駆け出す。
「脳無を一撃で…!? (何故だ、先ほどまでの桁違いの状態…形態ではないはずだ…!!)」
♪ 信じてきたものを裂く 侵襲者は ♫
AFOは空気系の"個性"を複数同時発動し、衝撃波を放つ。
♪ 心の真ん中潜り込んだ ♫
幻神は右腕のガントレットを変形させ、ブースターとしてその衝撃波を殴った。
♪ 星屑から零れた勇気(愛を) ♫
再びパワージャッキを起動させ、地面に突き刺しその場でもがく。
「(どうなっている…"個性"増幅装置と言えど、最初の美音くんには到底及ばないはずだ……彼女の中で一体何が起きている…あの時、美音くんは自身と彼女を置き換えただけではないのか?)」
♪ 星の数だけ(君を) 思い出すから ♫
そして幻神は衝撃波をかき消し、一気にAFOへと向かい再び拳を突き出す。
♪ 憂う涙は 強さ呼ぶんだ ♫
対するAFOも右腕の肥大化した腕を突き出し、互いの拳をぶつけた。
AFOは困惑しているが、その実力の差はまだ大きく、幻神はそのまま押し返されてしまい、殴り飛ばされるも、幻神はすぐに体勢を立て直し着地する。
♪ わたしが わたしの手で(Get over) ♫
そして再び駆け出し、拳を、その輝きを、想いを。
全てを乗せてAFOに放つ。
♪ 繋がる ミライ 掴む(In spades) ♫
何度反撃を食らい、吹き飛ばされ、傷を負おうとも幻神は怯むことなく歌い、進み、その手を伸ばす。
♪ 遠回りが全て 引き付けてくれた ♫
「…ッ(なんだ…この、
AFOは、感覚系"個性"にて幻神を確認するが、その姿がなぜか全盛期の頃のオールマイトと重なって見えていた。
♪ 悲しみごと抱えて歌う声は ♫
幻神はスラスターの勢いで平行に飛びながら向かい、己の拳を突き出す。
その際、幻神の進行先に青、赤、白、ピンク、緑、紫そして黄色……——七つの輪っかの形をした音波が現れる。
♪ 誰よりも強いわたしへ(変わる Carry out) ♫
「貫けェェェエエエッ!!!」
そのまま歌に合わせて振動する輪っかの音波の中を通り抜く。
すると音波はエネルギーとなり幻神の右手に集まっていき、幻神は最速で、最短で、真っすぐに、一直線にAFOへ向かって行った。
♪ 響かせた決意 掲げて…! ♫
AFOも再び右腕を突き出し、2人の拳はぶつかり合う。
「『衝撃反転』+『衝撃波』!!」
AFOは『衝撃反転』にて幻神の衝撃全てを返し、更にギアから奪った『衝撃波』を乗せ、その反転され返された衝撃を5回も幻神の腕に味わわせた。
「ぐ…ッ!!!」
ガントレットにひびが入るも、『シンフォギア』と美音の想いの輝きが筋繊維や骨などへのダメージを辛うじて回避させている。
「ならば…!」
AFOの右腕の肘に穴が開き、そこから空気がジェットのように噴射される。
更に複数"個性"を重ねたことで、幻神は一歩及ばず、またも殴り返され、吹き飛ばされた。
「……」
それでも歌が止まることはなく、その歌声は、その現場だけに飽き足らず、美音の
——◆——
神野街。
『皆様聞こえるでしょうか…! もう訳が分からない状況の現場で天堕幻神は歌い続けています…その歌声が不思議と聴こえてきています…!』
リポーターの声も聞こえるが、幻神の歌声もはっきりと聴こえている状況。
人々もその歌に魅了されていた。
♪ 闇雲に突き放した それでも手を取ってくれた ♫
♪ (包み込むような) 温もり今も… ♫
「なんだこの温かい歌声…」
「あの子、裏切ったんじゃないの?」
「そもそももう片方はどうなったんだ……?」
「でも、この歌、さっきの綺麗な歌と違って、別の意味で暖かい……!」
「あぁ…! なんかよくわかんねぇが、
困惑、混乱もしている人もいれば、その歌声に心を奪われ、不思議と彼女は敵ではないと思う人々も現れ始める。
♪ 凍結して動かない 時計の針 ♫
♪ 少しずつ溶けて 答えを知った ♫
「やっぱり…やっぱり天堕は裏切ってなかったんだッ! アイツもアイツで頑張ってんだよッ!!」
「あぁ…! 同じヒーローを志す者として、信じてはいたが、こうしてしっかり知れてとても安心だ!」
「……」
切島と飯田は良かったと安心混じりの喜びを出している中、爆豪は黙っている。
そしてその眼はモニターに映る現場の状況ではなく、隣にいる緑谷へ向けられていた。
♪ 幻でも君を感じて(今日も) ♫
♪ まだ出来ることに(気づき) わかり合えたら ♫
「(僕の中にも不思議と、希望が…歌が溢れてきてる…!!)」
緑谷は片目から一滴の涙を流す。
♪ 奪う連鎖は もう断つんだ ♫
そしてその顔は笑っていた。
——◆——
旧脳無格納庫現場。
「聴こえる…ッ! みんなの歌がッ!!!」
「なに…?」
♪ わたしじゃ見つからない(There’s no way) ♫
♪ 君がくれた奇跡(Hand in hand) ♫
美音の想いを受け取り、美音の全てを受け継いだ幻神は、これまでと違い、"個性"に宿る全ての力を扱えるようになった。
同時に"個性"増幅装置が付けられ、今もその機能は幻神の力もあってさらに強くなり、同時に装置は幻神の"個性"を高みへ導いている。
そして今、幻神の歌声は世界へ響き渡り、その歌声は人々の、1人1人の歌声となって幻神へ返っていき、"個性"に留まらず、その歌までもが増幅されている。
今この瞬間だけの奇跡。
今この瞬間だけの歌。
この瞬間にだけ、多すぎるほどの条件が揃い、幻神は一時的にさらなる高みへ踏み入れることが許された。許されたのだ。
そう、たった1人の少女の
♪ 救われた
♪ 引きずるより 差し伸べて得たもの ♫
そして右腕のガントレットが変形し、中からひし形のクリスタルを展開。
そこに周辺の、世界に出現している輝きが集まっていく。
「これは……お前が恐怖に堕とし、自分の願望の世界を作るという野望を許さない……そして、諦めない人々の想いの
「そうか……だがそれを僕にはなったところで何になる? 君は資格を持っていない。僕を倒したとして、結果としては世間では犯罪者となり、正当防衛なんて言い訳はもう手遅れ。君は僕と一緒にいる他に選択肢はないんだ!」
♪ 何が大切かわかった(揺るがないLink up) ♫
♪ わたしらしく 頂に歌え…! ♫
皮肉で、残酷で、クソが付くほどの真実。
それを理由にAFOは幻神の行動を制限させようとした。そしてそれを聞いた資格を持つプロたちも顔を顰めさせ、すぐに脳無を倒し幻神へ加勢しに行きたいと思っている。
「——…だとしても」
「——…?」
だが幻神は落ち着いており、その顔は笑っている。
幻神とて法のことはしっかりと義母であるギアから教わっていた。
だからこそ、こんなことをしても自分は結局は、世間は賛否両論的になる可能性もあるかもしれないが、公安からすれば犯罪者扱いまっしぐらと言えてしまう。ではなぜ幻神は歌い、こうして人々の想いを集めたのか。
♪ 後悔、疑心、償い ♫
「資格のない私でもやり方はある……」
♪ 見失い戻った場所 ♫
「みんなが美音の
♪ 遠回りが全て 引き付けてくれた ♫
「だからこそ、私は私の、そしてみんなの想いを込めたこの歌を届ける!!」
♪ 悲しみごと抱えて歌う声は ♫
「この歌は、みんなの想いが籠った——」
♪ 誰よりも強いわたしへ(変わるCarry out) ♫
「——みんなの【絶唱】ッ!!!」
♪ 響かせた決意 掲げて…! ♫
「全部…受け取れぇぇぇぇえええええッッ!!!!」
幻神へと集まった七色の輝きだけにあらず、無限なる音色の輝き。
幻神はその輝きを、自身の想いと応えてくれた人々の想いを、そのすべてを迷うことなく、
無限なる音色の輝きは音波の輪っかを通って、戦場を駆け巡っていく。
それをAFOは止めようとするも、無限なる音色の輝きは止まることなく、進んでいき夜空へ一度駆け上がる。
旋回し、流れ星のごとく落下。
そして——
——オールマイトに命中した。
「ぐッ!! こ、これは…ッ!?」
「俊典ッ! お前、身体が…!!」
隣にいたグラントリノが驚愕する。
それはオールマイトに命中し、そのまま輝きは身体の中へ入っていく。
そして身体から七色の輝きとして溢れ出し、オーラとして纏わり始めると同時に、オールマイト自身の身体がみるみると筋肉を、超人的肉体へと戻り始めていたからだ。
「ッ! まさか天堕少女…先ほどの輝くエネルギーを私に…
オールマイトは己の中のものを感じ、気付いた。
緑谷へ譲渡させた"個性"『OFA』の染みついた残りの力…消えかけていた『残り火』が大きく再燃していくのを。
そう、幻神は自身と応えてくれた人々の想いと言える【絶唱】にて、オールマイトの消えかけていた力を一時的に蘇らせているのだ。
想いの輝きが全てオールマイトへ移り終わった時には、オールマイトは全身マッスルフォームへと戻っていた。同時にオールマイトの身体からは七色の輝きが炎のように燃え上がり溢れている。
「天堕少女……」
「私は、私たちは願う……あなたの、そして人々を守る
全てをオールマイトへ託した幻神は、装置のおかげもあって体力、生命力はまだ問題ないが、『ガングニール』は同じ輝き、エネルギーとなってオールマイトの元へ向かったため、元のウェディングドレス姿に戻っていた。
それでも幻神の顔は後悔をしておらず、むしろ行ってくれと言わんばかりの表情をしている。
「(とても辛いことが起きてしまったのにもかかわらず、君は……! 黒換少女だけでなく、天堕少女、君もまた……!)」
オールマイトは己の右腕を見て固く握る。
同時に身体に溢れ、揺らめく輝きがその色を強くさせる。そして顔を上げ、誰もが知り、安心できる顔…笑顔を見せた。
「感謝する天堕少女! 君が託してくれた皆の想い、無駄にはしないッ!!!」
オールマイトは脚に力を入れ、一瞬でAFOの元へ駆け出し、それを見た幻神は微笑んだ。
そして幻神は一度目を瞑る。
すると、輝きが装置から溢れ始め、身体全体へと広がっていく。
先ほどすべて託したはずのの輝き、否、その輝きは皆の想いではない。
その正体は、幻神へ託した美音の想いだった。
「ここからはラストスパート……最後の最後までこのliveを、命懸けで楽しもうッ!!!」
輝きは衣装へと一瞬で変化。
それはまるで戦隊、ライダーのような……言い方を変えれば【絶対live!!!!!!】にてラストに登場する衣装——
——『フレイア・ヴィオン』の
♪ あきらめない あきらめない ♫
♪ あきらめないAi Ai Ai A どこまでも ♫
そして歌う。
命の歌を…この戦いを終わらせる……——
前回の美音に関して、まさか美音があんなにも光に向かって生きて欲しいと思っている方々がいて驚きと後悔の念がすごいです(だって、感想が過去最多だもん…やばいもん)
ゴホンッ!さて、最後のアレを見てわかる通り次回、もしくは次々回あたりでついに神野区が終わります…終わらせたいです。
どうか皆様、最後までお付き合いください。
余談ですが、やっと幻神の"個性"の本当の名前明かせられました。
"個性"『
名前が違うだけで能力に変化なし。
名前の意味は、そのままアクシアの意味で、『大切なもの』や『価値のあるもの』となっています。
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