この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!
仮免へ向けた訓練はあの日から今も続いており、みんな必殺技や
そして3日目、今日も今日とて特訓を続けていた。
「フッ!!」
『イチイバル』を纏っている私は、両手に握るクロスボウを構えてエネルギーの矢を速射で壁に放つ。
命中した壁は蜂の巣となり、粉々になった。
「ふぅ……」
一息して、『イチイバル』を纏ったまま私は近くにある瓦礫を椅子代わりにして座って休憩する。
解除して休んでもいいが、体力をなるべく節約するための癖はそう簡単には抜けない。そのため纏ったままである。
「(ここ最近、緑谷くんと話せてないな……)」
圧縮訓練が始まってからこの3日間…私は緑谷くんと朝の挨拶ぐらいでしか会話ができていない。
そもそもみんなが各々自分のことでいっぱいいっぱいなんだからそういうのがあっても当然だと思う。
でも心が寒いんだよなァ……。
「(自覚したと言っても、それをいざ行動に移すとなると別なんだよなぁ……)」
思わずため息が出てきてしまう。
必殺技は元々原作キャラたちのを使えるから問題ないし、"個性"伸ばしもあの戦いで、みんなよりも先に行っちゃったせいで、独走状態での"個性"伸ばしとして日々過ごすだけだった。
「…仮に美音が生きてたら、雑談でもできたのかな……」
過去は変わらないがそれでも可能性を、IFルートを想像してしまう。
それぐらい、私にとって美音は……。
「——天堕さん!!!」
「ウヒャアッ!?」
瞬間、後ろから大声で呼ばれて思わず声を裏返しながら驚いてしまった。
慌てて振り返れば、なぜか笑顔な緑谷くんがいた。
え、ちょっ…さっきまで君のことも考えてたから急に来られたら……。
「実は聞きたいことが、できればお願いがあるんだ!」
「ちょっ! わかった! わかったから! (ち、近いっ…!!!)」
緑谷くんを落ち着かせて話を聞けば、最近新しい戦闘スタイルを習得するために脚をメインとした戦法を学んでいるんだとか。
そこで脚をメインにしている飯田くんにいろいろと聞いているけど、飯田くんは『エンジン』の"個性"もあってこそ成り立つ技もあるから、『ガングニール』を纏って手足での肉弾戦をする私にも教わって参考にしたいだとか。
「近くで見て来たけど、それでも…その、林間合宿や神野での戦い方を見るに、まだまだ多くあると思って……」
「なるほど」
私のことを思って少し遠慮がちになりながら合宿と神野のことも含めて話をし、改めて私の肉弾戦法を参考にしたいと。なるほどなるほど……。
ドクンッ!!!と心臓が高鳴り、私は黄色い輝きに包まれた。
肌にピッタリと張り付く黄色と白を基調とするバトルスーツを身に纏い、両腕両脚には白色と黄色の機械装甲であるガントレットとグリーブが装着され、頭部には白色と黄色のヘッドセットとブレードアンテナを装着。
首元には足先まで伸びている白色のマフラーが伸びていった。
『ガングニール』を纏った私を見て緑谷くんは多少なりと驚いている。
そりゃあいきなり纏ったら驚くわな。
「私の場合は、緑谷くんの【フルカウル】の武器付きバージョンって感じだよ。それに、これらの機能はほとんど想像による架空にしか存在しない代物とかだし」
「そんなことないよ! 現に天堕さんの武装は、どれもノート一冊じゃ書ききれない程すごいもので一つの武装に一冊って感じなんだ! それに合宿で見せてくれたあのッ強化アップ的なやつはオールマイトをも匹敵する力で、神野での戦いはとても…とて、も………ご、ごめん! 無責任だった!!」
「そんな気にしないでよ。私は大丈夫! もう全部、しっかりと受け入れて、生きて進み続けるって決めたから!!」
緑谷くんが慌てて謝罪をしたが、私は気にしていないと言っておいた。
落ち込んでたら、美音に合わせる顔ないしね。
「じゃあとりあえず私なりの動きでやるけど、参考になるかわからないよ?」
「それでもいい! お願いします!!」
あぁ眩しい。
なんでこんな本当に太陽のように眩しいのこの人。ヤメテ惚れちゃう。
あ、もう惚れてたわ………………美音がいたら今頃ツッコんでくたりしてたのかな……。
「というか、というかって言い方もなんだけど、私の場合身体の柔軟性もあるから」
「身体が柔らかいってこと?」
「そっ。柔らかかったら脚を蹴るときの遠心力的なアレが、鞭を振る際の勢い的な……なんだろ、まぁしなやかな感じ的なので打てたりもできるって感じ?」
説明しながら試しに、片足を上げて思いっきり鞭で打つように振るう。
すると『ガングニール』の力も合わさって風圧が発生した。
「そうか! 飯田君は"個性"もあって勢いを出せてたけど、僕みたいなのがやるとなると柔軟さと遠心力とかそこらも必要になるのか!」
「そのノートとペンはどこから出したの……」
相変わらずドラ〇もんのようにどこからともなくノートとペンを取り出してガリガリと書き写していってる。
「あの! もしいいなら、さ、触ってもいいですか!?」
「ちょっ!? そんな顔を赤くしながら言われたらなんかこっちも勘違いしちゃうよ!!」
顔を赤くして、声もどんどん裏返りながらお願いをしてくる。
言い方に誤解が生まれそうだけど、装甲!装甲のことね!!とりあえずハイどうぞって感じで腕を伸ばす。それを見て緑谷くんは興奮気味にマジマジと見て触っていた。
「やっぱりすごいなぁ…これらを全部天堕さんの想像だけで作り上げた、架空にしか存在しないとも言える武装なんだから……」
待ってそれ言うのやめて。
私のはあくまで記憶なんです。
これらを考え、生み出したのは前世でのアニメーターとかそこらの製作者方であって、私は言い方を変えたらパクリみたいなものなんです…あぁ、前世での偉大な方々への罪悪感が押し寄せてくる……。
「……暖かい」
「へ?」
「ぇあっ!? な、なななななんでもな……ってあぁぁあぁああッ!!!」
緑谷くんがボソッと言った後、私が反応したのに驚いたと思ったら急に焦って距離を取って膝を着いて——
「大変申し訳ございませんでした!!」
「なんでェ!?」
——土下座をしてきた。
私は咄嗟に土下座している緑谷くんをやめさせて立ち上がらせる。
「暖かいって装甲のこと? 確かに熱が籠ったりしてるけど……」
「そ、そういうのじゃないんだ……その、気持ち悪いと思うけど……」
「…?」
「天堕さんと一緒にいると、とても暖かくなるんだ。まるで——」
「——陽だまりって感じで」
「………へぁ?」
陽だまり…?陽だまり……陽だまり!?
「えっ、ちょ、ま……ひ、陽だまりって……」
「ごめん! 気持ち悪いよね!! 本当にごめんなさい!! 本当に本当に申し訳——」
「あぁ!! そうやってすぐに土下座しようとしないで~!!」
『小日向未来』が『立花響』を太陽と呼び、『立花響』が『小日向未来』を陽だまりと呼ぶ関係。
私も美音も、緑谷くんのことを太陽のような人だと思ってたけど……ま、まさか緑谷くんも私を陽だまりと思ってたなんて……。
陽だまりと日陰は太陽あってこそ存在する。
何だろ…顔が熱くなってきた…。
「…? 天堕さん?」
「へっ!? な、ななななに!?」
「や、やっぱり気持ち悪いよね……?」
「えっ!? いやいやいや!! 全然! 思ってないから!! 驚いただけだから!!!」
私は今どんな顔をしているんだ。
ニヤけてる?それとも真っ赤になってる?困ってるような顔をしてしまってる?
「と、とにかく今は『ガングニール』の装甲と脚をメインにした戦法を学ぶことでしょ? ほら! やろうやろ~!」
「えっ、あ、う、うん!!」
恥ずかしいし気まずいけどやると言ったからにはやるしかない。
ええい!なんで自覚したのにこうも恥ずかしくなるんじゃ恋心というものはァ!!!
——◆——
いろいろと恥ずかしかった日から翌日。
今日も仮免へ向けて必死に頑張っていた。
「(やっぱりこういった地形だと『シュルシャガナ』の機動力はあまり発揮できないな……)」
『シュルシャガナ』を纏って特訓していた私は、武装している自身の身体を見てそう考えてた。
「あ、オイ! 上!!」
すると突然爆豪くんの焦り声が聞こえて、思わずバッ!と声のほうへ振り向く。
視界に映ったのは、壊れたコンクリートの瓦礫が下にいるオールマイトに向かって落ちていくところだった。
【——スマッシュッ!!!】
だけど次の瞬間、緑の稲妻を纏う閃光が瓦礫の目の前に現れ、その脚で瓦礫を一撃で蹴り壊した。
「大丈夫でしたかオールマイト!?」
「…あぁ! ……それと、正解だ」
「ッ! はいッ!!」
私はエクトプラズムに許可をもらい、集まりだしてるみんなのところへ向かった。
「何緑谷! サラッとすげえ破壊力出したな!」
「おめぇパンチャーだと思ってたぜ!」
「上鳴君、切島君! 破壊力は発目さん考案のこのソールのおかげだよ。飯田君に身体の使い方を教わってスタイルを変えたんだ。方向性が定まっただけでまだ付け焼刃だし、必殺技と呼べるものでもないんだけど……」
3人がそう話しているところに入れば、緑谷くんはそれに気づいて私にも見えるように、脚に装備してある黒い装甲を見せてくれた。
「いいや! 付け焼刃以上の効果があるよ、こと仮免試験ではね」
「へ?」
なんか意味ありげな言い方をしてきたなオールマイト。
「オールマイト、危ないんであまり近寄らないように」
「いや失敬、爆豪少年! すまなかった!」
「……ッチ! 気ィ付けろやオールマイトォ!!」
爆破しながら言うこと?
「というかこれ、私の『ガングニール』参考になったの?」
「なったよ! 実はこの足先の部分は天堕さんの『ガングニール』を参考に作ってもらったんだ! 『ガングニール』には劣るけど、それでも
マジですか。それをあの発目さんが作り上げたのか。
「発目さん、『ガングニール』をまとめたノートを見た途端とても興奮してて、「ぜひ本人に会いたいです!」って言ってたよ。というよりかは、天堕さんの纏う装備、全部見たいって……」
「絶対身体中舐め回す勢いで見られる予感しかしない」
「おいそこ! イチャイチャしてんじゃねぇ!!」
「皆真剣に訓練してんだよ! ふざけんじゃねェ!!」
上鳴くんと峰田くんが急にそんなこと言ってきて、私たちは2人して固まってしまった。
そして緑谷くんは【フルカウル】の速度で、私は『シュルシャガナ』の脚部の電ノコで一気に、互いに顔を赤くしながら距離を離した。
クッソ!何度も言うけど自覚はしてるのにどうしてこう…恥ずかしいんだ!!
(前世ではオタク染みた幻神は恋愛経験0なため、自覚してもそれとこれとは別でダメダメです)
「——そこまでだA組!!!」
次の瞬間、ブラドキングの声が聞こえた。
声のほうに視線を向けるとブラドキングを先頭にB組生徒全員が集まっていた。
「今日は午後から我々が
「B組…」
「うっそマジで!?」
あ、そうか……1年は仮免を目的にってことは当然B組も取るんだもんね。
納得だ。
「イレイザー、さっさとどくがいい」
「まだ10分弱ある。時間の使い方がなってないぞブラド」
先生方が話している間に、物間くんが前に出て来た。
「ねぇ知ってる? 仮免試験って半数が落ちるんだって! 君ら全員、落ちてよ!!」
ス、ストレートに言ってきたな……なんでこう彼は噛みついてくるんだ。
「つか物間の
「「『コピー』だから変に気をてらう必要はないのさ」って言ってた」
「てらってねぇつもりか」
ほんとにコメントに困るような
「しかし彼の意見はもっともだ。同じ試験である以上俺達は
「だからA組とB組は別会場で申し込みしてあるぞ」
「ヒーロー資格試験は毎年6月、9月に全国三ヶ所で一律に行われる。同校生徒での潰し合いを避ける為、どの学校でも時期や場所を分けて受験させるのがセオリーになってる」
まぁそりゃあ当然か。
同じ学校同士で潰し合いなんてしたら単純に関係が悪くなるのと、学校の実績としても半減しちゃうから、それらを避けるためにもって感じだよね。
「ホッ………直接手を下せないのが残念だ!!」
「ホッ、つったな」
「病名のある精神状態なんじゃないかな?」
もはや私たちは物間くんをどういう感じで見ればいいのかわからないんですが。
「どの学校でも……そうだよな。普通にスルーしてたけど、他校と合格を奪い合うんだ」
「しかも僕らは通常の修得過程を前倒ししてる……」
「そして1年の時点で仮免取るのは全国でも少数派だ。つまり……君達より訓練期間の長い者、未知の"個性"を持ち洗練してきた者が集うわけだ。試験内容は不明だが、明確な逆境であることは間違いない。意識しすぎるのも良くないが、忘れないようにな」
「「「はいッ!!!」」」
試験内容は不明……か。
私の場合は、皆以上に神野のこととかでアレだから……怖いな。
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