この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!

ユアネクストのDVD届いてテンションがハァイ↑になってます。


約束したから、通過させてもらいます!

 

 

 

 

住宅街エリアに着いた私は、『ガングニール』を纏ったまま、道路のど真ん中を歩く。

1541人中先着で100人だけを通過者とするのが今回の第一次試験。

にもかかわらず、私が来た住宅街エリアは人っ子一人いない状態だ。

偶然にも低い確率で誰も来なかった……ってのは絶対にない。

そして私がここに来た時から……既に答えは出てる。

 

『えぇ、スタートまでまもなく残り10秒、カウントダウンします……10、9、8、7——』

 

多対一なら、美音の記憶と体験。

そしてAFOと脳無との戦いである程度身に染みてる。

 

『6、5——』

 

それに住宅街エリアなんて、本当のヒーロー活動なら絶対に通る道だし、100%ある場所でもある。

 

『4、3——』

 

そして公安は私をずっと冷たい目で見てる。

説明中も一部のサングラスをかけたガードマン的な人たちは、サングラスで目は見えなかったものの、私への視線は感じていた。

 

『2、1——』

 

それに、会場に入る前から既に他校は私を敵視している。きっと他校たちは、きっと数人のトップに入るプロたちとあの時だけ渡り合うことのできた私を……——

 

 

『——スタート!!!』

 

 

——一斉に狙ってくるはず!!!

そして開始の合図が鳴ったと同時に全方位から一斉に、私を取り囲むように何十…いや何百といった他校たちが私へ向かってきた。

 

「天堕幻神を落とすまでの一時的休戦と共闘!!」

「一斉にかかれ!! あのバケモンを倒してやるぞォ!!!」

 

やっぱり組んできたか。

みんながみんな一斉にボールを1つだけ投げてくる。

 

 

♪【撃槍・ガングニール】♫

 

 

♪ 絶対に…離さないこの繋いだ手は ♫

 

1つと言っても、相手は何百といるからその数も尋常じゃない。

 

♪ こんなにほら(あった)かいんだ ヒトの作る温もりは ♫

 

けどそれに対し私は2本のマフラーを操作しながら、身体ごと回転し全てを弾き返した。

 

「嘘だろ!? 全部はじき返しやがった!!」

「バケモンって言ってもアイツは雄英生! 当然それらの対策もしてくるか……!!」

 

♪ 難しい言葉なんて いらないよ ♫

 

「ッチ! だけどこっちの数は相手が1人に対しその百倍…! 一斉に取り掛かれ! 今だけは一抜けしても文句なしだからな!」

「アイツを攻撃して動きを制限させるんだ! その後でも的は当てられる!!」

 

♪ 今わかる 共鳴するBrave minds ♫

 

悪いけど、落ちる(負ける)わけにはいかないの。

大切な人(たいよう)と……約束したから!!

 

♪ ぐっとぐっとみなぎってく 止めどなく溢れていく ♫

 

私が身構え、戦闘態勢に入ると2、3人が一気に私へ向かってくる。

 

♪ 紡ぎ合いたい魂 100万の気持ち…さぁ ♫

 

私はそれを避けていき、1人1人を確認していく。

 

♪ ぶっ飛べこのエナジーよ ♫

 

するとまた1人、襲い掛かって来た。

 

解放全開ィ!!!♪

 

「ゴホッ!!?」

 

私は片足を道路が抉れる強さで踏み込み、右手をその相手の腹へ放った。

 

♪ イっちゃえHeartのゼンブで ♫

 

「この…! 歌いながら戦うってなめた真似しやがって!!」

「やれ!!」

「「おうッ!!!」」

 

遠距離、中距離系の"個性"持ちが、水や炎、さらには弾丸のようなものや物体そのものを投擲してくる。

 

♪ 進む事以外 答えなんて あるわけがない ♫

 

体育祭や神野で『ガングニール』の存在は世界に広まっているから、きっと「あの姿は肉弾の近距離特化」だと確信しているのは確かだ。

 

♪ 見つけたんだよ 心の帰る場所 ♫

 

だけど私は炎や水、弾丸と言った攻撃は避けていきながら、大きな物体は拳や足で全て凹む勢いで殴り、別の方向へ吹き飛ばす。

 

♪ Yes届け!全身全霊この想いよ ♫

 

そして一気に駆け出し、何人もの他校の生徒たちを痕が残らないよう火力を抑えつつ殴っていく!

 

♪ 響け!胸の鼓動!未来の先へ… ♫

 

「このぉ!!!」

「ヒーロー気取りの(ヴィラン)がァ!!」

 

ヒーロー気取りの(ヴィラン)か…そうだね、私はそうだ。

(ヴィラン)によって力を手に入れて、(ヴィラン)によってその力を覚醒させて、美音とも出会い今がある。

でも…それでも私のことを(ヴィラン)と言わず家族だと、友達だと言ってくれる大切な家族が、友達たちがいる。

 

そして私のことを陽だまりと思って、太陽のように暖かい笑顔を向けてくれる想い人がいる!!!

 

ガタイのデカい生徒が一気に私の方へ向かってきて、ガッチガチの金属でコーティングされたであろう巨大な腕を構える。

対する私は『ガングニール』の右ガントレットをブースターへと変形させて、腰のスラスターを全開でブーストさせて一気に飛び、右腕を突き出した。

 

「オラァ!!!」

 

「ハァ!!!」

 

互いの攻撃がぶつかり合い、衝撃波を激しく散らせながら押し合う。

そして私が押し切りそのまま吹き飛ばした。

吹き飛ばされたガタイのデカい生徒は少し離れた位置で後ろに倒れて止まり、右腕はひび割れていた。

 

「よし!」

 

だけど、着地した途端地面から根がいきなり道路を突き破って生えて、とても速いスピードで伸びていき、私の身体を縛り付けた。

 

「なっ!? くっ…! か、固い…!!」

 

「捕えたぞ!!」

「奴のターゲットは特別仕様で武装しても消えない! 一気に攻めて確実に動きを止めてからアウトするぞ!! 一つでも当てれば奴の落ちる確率はグンと上がる!!」

「一気にかかれェ!!」

 

ここまで他校同士で連携取れるの…!?いや、共通の敵であり、絶対倒さなきゃいけないという目の前の目的がすべて一致している…+、私の情報は筒抜けなのときっとわかりやすい程度にお互いの"個性"の詳細を話し合っていた可能性がある…!!

 

「(落ち着け…出来るはずだ。美音は私にすべてを託していったんだ……だからこそ、出来るはずだ…!!)」

 

目を閉じ、身体の力を抜いて……奥底で炎のように揺らめき、銀河以上に輝いている『紡心(アクシア)』を感じろ。

 

「ッ!?」

「な、なんだ!?」

「地震…?」

 

だけど突然地面から振動が伝わり、地震のようなものを感じた。

 

「(誰かの"個性"…? でも、おかげで周りの人たちが一瞬他に意識を向けた…!!!)」

 

私は片足を上に上げて、パワージャッキを起動と同時に振り下ろした瞬間に足元を破壊。

道路だった瓦礫や破片が上に飛ぶ中、私はそのままその足元にある根っこを見つける。

私は更にスラスターの片方だけを噴射させて身体を捻る。自分自身を高速回転して根っこを無理やり引きちぎるように引っこ抜いた。

 

「嘘だろ!? そんな無理やりなやり方で!?」

「早くするぞ! 長引けば俺たちが合格できなくなるんだぞ!!」

 

明らかに焦ってる。

私が手ごわいのと同時に、自分たちの合格のことも考えてる。

引っこ抜いた身体に絡みついている根っこを取ろうとするも、それをさせまいと絶え間なく攻撃が迫って来て、それを必死に避けていく。

 

「攻撃し続けろ! 避けることだけに集中させるんだ! その回避の際に生まれる隙を狙え!!」

 

「もう! しつこい!!」

 

両腕を力んで、無理やり身体に絡みついている根っこをブチ破いた。

 

「テメェこそ抵抗せずにおとなしくやられやがれェ!!!」

 

「断る!!!」

 

「この女がァ!!」

 

攻撃を避けて、脚でアッパーを決める。

そのまま立て続けて手足を向かってくる奴らに放って抵抗した。

 

「この——…ッ!?」

 

そして1人が接近してきたが、次の瞬間——

 

「……風?」

 

——突然風が吹き始めていき、その風は強く、そして次第には私のも含めすべてのボールを、ボールだけを巻き上げていった。

 

「な、なんだ!?」

「おいアレ!」

 

他校たちも慌てており、1人がある方向を指した。

私もそっちに視線を向ければ、ビルの上に1人の生徒が立って、風を引き起こしていた。

あれって確か、相澤先生が言っていた士傑の夜嵐イナサ…!!

 

「俺、ヒーローって熱血だと思うんです! 皆さんの戦い、熱いっス!! 俺、熱いの好きっス!!」

 

「士傑高校!? アイツも1人か!?」

「何言ってんだアイツ? いや気持ちはわかるけど…」

「待て! 俺たち全員ボールあいつに取られてるぞ!? これじゃあアイツはおろかあの女にも何も——」

 

全員がボールを取られてなお、向こうはすべてのボールを持って"個性"を使用している……てことは!!!

 

「あの天堕幻神さんもいますし、この猛烈に熱い戦い! 俺も交ぜてくださいッ!!!」

 

「まずい!」

 

私は咄嗟に、目の前にいる生徒を突き飛ばしてから大きく距離を放した。

 

「よろしく…——」

 

そして夜嵐イナサは手を振り下げると同時に頭を下げて……——

 

 

「——お願いしまァすッ!!」

 

 

——全てのボールを他校の生徒全員へと投擲した。

私は大きく距離を離した結果、こっちには飛んできてないけど他校たちは成すすべなく、ボールの激しい雨に襲われている。

風と共に収まるけど、勢いが強すぎたのか土煙が立ち昇りまくっていた。

そして土煙の中から見えるのは無数の赤い光……。

 

『うおっ!? だ、脱落者120名…!? 1人で120名を脱落させて通過した……!』

 

120名……!?

あれだけの数をあんな、挨拶の勢いだけで…!?

 

『えぇ…さて、ちょっとびっくりして目が覚めてまいりました。ここからどんどん来そうです。皆さん、早めに頑張ってくださ~い!』

 

「うっそ、でしょ……!?」

 

他校と組んでまで私を落とそうとしてきたあの数を、たった一瞬で……いや、待て。

 

「クッソ!」

「あっぶねぇ…咄嗟に地面抉って防いでなきゃ落ちてた……」

 

僅かにだけど、数人から数十人辺りはまだ無事みたいだった。

 

「さっきのでとんでもねぇ数がやられたが…逆に考えればあの士傑生徒はもう合格して乱入はしてこない!」

「数が減ったがそれでもやることに変わりなし!!」

「行くよ!!」

 

生き残った人たちは一斉に私へと再び向かってくる。

 

 

♪【正義を信じて、握り締めて】♫

 

 

♪ くしゃくしゃした君の泣き顔も ♫

 

「なっ!?」

 

私はそれを両腕のガントレットで全て受け止めて歌う。

 

♪ 青空(そら)のような笑い顔も ♫

 

パワージャッキを両方起動させて、スラスターも噴射前に入る。

 

♪ 絶対に(守りたい)抱け(強く) ♫

 

そして腕を振るい弾き返してからスラスターを噴射し、両足で彼らを吹き飛ばす。

 

Love song!!!!♪

 

飛ばされた後を追うように更に私も飛び出す。

 

♪ 響け響け(ハートよ) 熱く歌う(ハートよ) ♫

 

そしてガントレットをブラスターへと変えてパイルバンカーを起動させるために中のエンジンを回転させる。

 

♪ へいき(へっちゃら) 奏でてゆこう ♫

 

そのまま腹部をぶん殴り、パイルバンカーを起動させて一気に追い打ちのように吹き飛ばした。

 

♪ 例え命(枯れても) 手と手繋ぐ(温もりが) ♫

 

神野以降、私の"個性"と私自身の大幅な成長…そしてあの戦いの経験で1つの『シンフォギア』を纏ったまま、別の『シンフォギア』のアームドギアを生み出す(すべ)

 

♪ ナニカ残し ナニカ伝い 未来見上げ ♫

 

奥底で燃え上がる『紡心(アクシア)』。

その中にある『天羽々斬(アメノハバキリ)』に意識を集中。

アームドギアだけを短剣として複数具現化させる。

 

♪ 凛と立ってきっと花は 流星を待つだろう…! ♫

 

そして短剣を彼らの影にガントレットとのパイルバンカーの勢いを利用して投げ飛ばし、地面に深く突き刺した。

 

- 影縫い -

 

「う、動けないっ!?」

「どうなって…拘束はされてないのに…!?」

 

私は『ガングニール』を纏ったままボールを取り出し、- 影縫い -によって動けない人たちは近付いてきている私をこれでもかというほどに睨んでいた。

 

「あなた達が私に向ける気持ち、思いがわかるとは言いません。でも、それと同じように私の気持ちもあなた達にはわかるはずありません」

 

「……偉そうにお説教か」

 

「違います。ただ、たとえあなた達のように否定する人だらけでも、私は……この胸の歌を信じて、日陰との約束を忘れず、太陽と共に進み続ける。それだけです!

 

私はターゲットにボールをゆっくりと当てていき、2人を脱落させた。

すると私の身体についているターゲットは脱落の赤とは対照的に、青く光った。

 

『おっ! 先ほどに続き2人目の通過者が出ました~どんどん来てくださいね~』

 

受信するの早いな……っと、とりあえず一次試験は突破か……。

 

『通過者ハ控室ヘ移動シテクダサイ』

 

ターゲットからそう指示され、私は『ガングニール』を解除してその場を去り、ターゲットに指示された試験通過者用控室へと向かった。

 

 

——◆——

 

 

控室に着けば、さっきとんでもない風と共に120人も脱落させた夜嵐イナサが、私より一足先についていたようだ。

そして彼は私に気づいた途端駆け寄って来た

 

「会場とさっきの試験ぶりでっスね天堕さん!!」

 

「ど、どうも……」

 

なんだろう…ちょっと苦手意識があるんだよなァこの人。あ、公安の人……ターゲットはあっちで外すの?はい分かりました。

 

「自分ヒーロー名は『レップウ』なんスけど! 天堕さんのヒーロー名はどんな名前なんスか!?」

 

ターゲットを外している間にも夜嵐は話しかけてくる。

そしてその内容を聞いて私は思わず手を止めた。

 

「(ヒーロー…名……)」

 

本当なら職場体験前に決めて提出していてるはずのものを、爆豪くんと私の2人だけが未だ未定でここまで来ている。

自分が胸を張って名乗る名前が決まり次第先生に報告する予定だったけど、ここまでいろいろとありすぎてすっかり忘れてしまっていた……。

 

「(…美音……)」

 

私は美音を脳裏に浮かんでしまう。

美音だったらどんな名前を付けたのだろうか…世の中、自分の名前をそのままか"個性"に関連する名前、あだ名をそのまま使用したりする人がいる。

でも私のこの力は自分の"個性"であるけど、同時に原作キャラである彼女たちの力を借りているとも言えるから…結局胸を張って名乗るのが難しい。

 

「(『紡心(アクシア)』……)」

 

まるで意志があるかのように、私の悩んでいる気持ちに呼応するように、一瞬胸の奥でドクンッと心臓が通常の鼓動とは別で軽く鳴った。

 

「どうしたんスか?」

 

「いや、なんでもないよ」

 

にしても……私の場合はいろいろあれだけど、それでも雄英生をあそこまで狙ってきたんだ。

他の皆は大丈夫だろうか……。

 

 

——◆——

 

 

通過者のアナウンスは控室でも聞こえるけど、それが誰なのかはわからない。

他校の生徒が次々と来ているけど、私以外の雄英は誰も来ていない。

モニターはあるけど映されてないから、戦況はわからない……。

 

「天堕」

 

「ッ!」

 

すると後ろから聞き慣れた声で私を呼ぶ声が聞こえ、私はバッと振り返る。

そこには左右非対称の紅白頭である轟くんがいた。

 

「轟くん! 通過者したんだね!」

 

「あぁ、そういうお前も随分と早かったみたいだな。てっきり緑谷たちと行動していると思ったんだが……いつ通過したんだ。他の奴らはどうした?」

 

「えっと…私は私でアレだから轟くんや爆豪くんと同じで単独行動したんだ。案の定…というかそれ以上の数で他校たちが攻めてきてね。途中士傑校の夜嵐イナサが乱入して来たけど、何とか突破したって感じ」

 

「そうか…お前はいろんな方面で目立ってたからな。大変だったろ」

 

「うん。ほんとに……」

 

遠い目をしてしまう。

まぁ大体予想はしていたけど、それでも大変だった。彼には救われたって感じだよ。

 

「あ、ターゲットは外すためのキーが奥にあるから、ボールバッグと一緒に返却棚に戻しておいてだって」

 

「あぁ、わかった」

 

轟くんは奥へと向かっていく。

A組はこれで2人……他校の人達も通過していってるから、100人なんてあっという間だ。

 

『——絶対通過してよ。幻神!』

 

「(約束通り、ちゃんと通過したよ……信じて待ってるから…絶対通過してよ。みんな…出久くん…!!!)」

 

私はただ、友達である皆と、太陽である出久くんが無事に通過してくることを祈るしかなかった。

 

 

 

 






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