この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!
サイドキックたちが先に救護所へ向かって行く中、ギャングオルカは立ち止まっている。
そして眼を細め、通信機に手をかざした。
「あれはそちらの指示か?」
『いえ、正直僕もここまでするとは思いませんでしたよ……僕はなるべく資格者を見極めるために配属されるとだけ聞かされていたので……』
「我々も、一緒に待機してた時は、命令で同じことをすると本人たちに聞いていたが……」
ギャングオルカの脳裏には嫌なことが浮かんでいる。激しい戦闘を繰り広げているのは、仮免許取得のため試験を受けている最中だった幻神。
そしてその幻神を集中狙いする公安直属ヒーローの3人。救助者も、他生徒も気にもとめずにただただ幻神だけを狙っている。
『僕以外の誰か…最悪は、
「本当だったらすぐにでも止めたほうがいいだろうが……時間も半分を過ぎている。この状態で中止となっちゃ別で問題。なんなら彼らがこれらを踏まえてさらに対策出来てしまうからな……」
『まぁ、これらの実際の現場ではよくある事です。候補生である彼らがどう行動するか、見守り、ちゃんと合格か不合格か見極めます』
「了解した。彼女には申し訳ないが、切り抜けてもらうしかない。我々も我々で動くぞ!」
通信を切り、ギャングオルカ並びにサイドキックたちは、
——◆——
「くっ!!!」
『イガリマ』のアームドギアを持ち、『シュルシャガナ』の脚部の電ノコで滑走し攻撃を避けていく。
3人のうち、2人が男性で1人が女性。
そして男性の方はどっちも近距離をメインとした"個性"と戦闘。
女性の方は植物を生やして中、遠距離をメインとした攻撃且つサポートをしていた。
「ッ!」
そして目の前に拳を構えた直属ヒーローが現れる。
「フンッ!」
そのまま拳を突き出してくる。
それに対し私はツインテールコンテナを変形させ、アームを出して巨大な円盤の刃を出してそのまま盾として防いだ。
だけど『シュルシャガナ』のグリーブ…ヒールは踏ん張りが効かないせいで、グググ!と押され始めている。
「ぐぅ…!!」
「あの時とは我々も違う……——」
「ハッ…!」
横から音が聞こえてチラッと見れば、剣を持ったヒーローが振りかざして来ていた。
「——貴様対策は、十分してきた!!」
咄嗟にアームドギアで剣を防ぐも、2対1、それも相手はプロであるが故に力にも差があり、さらに押されて行ってしまっている。
「(こうなったら『イチイバル』のミサイルを——)」
すると地面から太い根が急に生えて、私の身体を巻き付き、一本の先が尖っている根が、私のうなじにプスッ!と刺してきた。
「ッ! ぅあ……!!!?」
次の瞬間、身体中の力が抜けていき、そのまま私は2人に押し切られ、地面に埋め込む勢いで殴り潰されてしまった。
「(これは…毒…!?)」
しかも麻痺系の…身体が動かせない…。
「貴様はヒーローに相応しくない」
「…!」
「世間では賛否両論になっているが…貴様のせいで命を落とした者がいることを、なぜ貴様は自覚していない」
………。
「爆豪勝己はともかく、貴様は…貴様の行った行為が、オールマイトを真に追い詰めた。それは真実。だからこそ貴様は生かしておけない」
…………。
「一次試験でも貴様を敵視する生徒はいただろう。それぐらい貴様は、ヒーローではなく
……………ッ。
「貴様を信じる同じ雄英生徒は理解できない。アイツらも心の中では貴様を
……………ッ!!
瞬間、ツインテールコンテナを展開し、そこから電ノコを連射する。
【- α式・百輪廻 -】
直属ヒーローたちはそれを避けながら一度距離を放していった。
その間に私は未だに麻痺している身体を、ギアを使って無理やり起こし、立ち上がらせる。
「……確かに、あなた達の言う通りだよ」
俯いたまま、私は彼らの発言を認める。
「でも、それでも私を…私と美音の存在を認めて、心配してくれる人たちがいる……」
胸元に片手を添える。
「美音だって最後には手を取って、一緒に歌ってくれた……!」
すると『シュルシャガナ』のギアが白銀へと輝き始める。
「そして、私のことを陽だまりと言って、太陽のような笑顔を向けてくれる
切り替え武装、『シュルシャガナ』から『アガートラーム』…否、『アガートラーム』に!!
「私のことは好きに言えばいい……だけど!! 美音や私の大切な人たちを侮辱するようなことだけは、許さないッ!!!!」
そして奏でる。
私自身としての『アガートラーム』の『聖詠』を。
ドクンッ!!!と心臓が高鳴り、白銀の輝きに包まれる。
肌にピッタリと張り付く水色と白を基調とするバトルスーツを身に纏い、両腕は左右統一ではなく、左腕にのみ肩まで鎧。
両足は膝はバトルスーツだけのまま、足首から下が鎧のようなヒールを履き、臑はそれより薄い鎧を装着。
腰部は左右横に鎧、右側にのみ腰マントを伸ばす。
王冠のようなデザインのヘッドセットを装着。
最後に胸もとの『ギアペンダント』の左右だけがそれぞれ2本ずつ薄ピンクへと変化した。
白銀の輝きが消え、【戦姫絶唱シンフォギアXV】での『アガートラーム』の
「切り替えての武装……もうできるようになったのか!」
「でも結局は情報にある装甲。さっきので麻痺も解かれてしまっているけど、それでも我々が有利なのに変わりないわ」
「このまま作戦通り続行するぞ!!」
公安直属ヒーローたちは一斉に襲い掛かかってくる。
♪ 「手の届く場所だけを守れればいい」 ♫
『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』へと声帯を変え、歌い始める。
拳主体のヒーローの攻撃を避け、剣を持つほうを、逆手に持つアームドギアである短剣でぶつけ合う。
♪ それしかわたしには出来ない ♫
地面から生える根の攻撃も避けていく。
そのままアームドギアを蛇腹状に展開して振るい、根を切断していく。
♪ 弱い自分だからこそ目に見える分の ♫
♪ 幸せが掴めればそれでよかった ♫
それでもやはりというべきか、プロであり、公安直属なだけあってそう言った戦いにも長けているヒーローである3人は立ち回りが凄まじい。
それに3対1……一次試験の他校とはともかく、彼ら相手には厳しいか。
拳が迫り、左腕の鎧で防ぐも押され、地面を抉りながらも耐える。
「(まず狙うは広範囲かつ中、遠距離メインのあの人…!!)」
距離を保って"個性"を使用している女性の直属ヒーローを見る。
♪ だけど
2人の剣と拳を避け、迷うことなく女性の元へと駆け出す。
「ッ! 狙いを定めたか!!」
「奴を止めろ!!」
♪ 世界ってのが「可能性は
「言われなくとも、止めるわッ!!」
根を多く自身の周りに生やして守るようにし、更に別で生やして針で刺すかのように伸ばしてきた。
私はそれを蛇腹状のアームドギアを振るい、切り分けながら向かって行った。
♪ チクショウ…!とまた吠える空が ♫
♪ わたしにはある限り ♫
そして攻撃範囲内に入りアームドギアを短剣に戻す。目の前にいる女性ヒーローはその目がアームドギアに向けられていて、アームドギアで攻撃してこないようにしようとしていた。
♪ どんな敵に踏み躙られ 例え腕が折れても ♫
だけどそれはそうさせるための囮。
「ゴッ!?」
私は銀腕の鎧が装着されている左腕を握り、女性ヒーローを覆う根を潜り抜けて、その拳を顔面に突き出した。
♪ (Go hard…Go hard!) 折られた腕ごと殴ってやろう ♫
そのまま押し切り、殴り飛ばす。
女性ヒーローは地面に身体をぶつけ、そのまま後方へと転がっていく。
♪ (Go hard…Go hard!) 敵に負けたっていい ♫
畳みかけるために更に距離を詰めていくも、根を生やして防御をメインとして自身に更に多く覆って行った。
「(なら!)」
私はアームドギアを左腕の鎧にセットして砲身に変形させる。
♪ 自分には負けぬことが わたしの炎なんだッ! ♫
そしてその砲身の先端を更に変形させて、2本の槍を伸ばしてから高速回転させ、白銀の輝きを漏らしながら突っ込んでいく。
高速回転し先端が1つとなっている白銀のドリルはそのまま根の壁を貫いていった。
「調子乗るな!!」
「このガキィ!!」
私は白銀のドリルを止めてすぐに跳躍して両サイドから迫る拳と剣の攻撃をかわした。
「このぉ!!」
剣を持つ方が剣を振るうと、斬撃が飛んでくる。
だから剣を持っての戦闘……そういう系の"個性"というわけか。
♪ 1000の傷…また増える痛みを耐えて ♫
♪ 今に生きることに誇りを ♫
アームドギアを出してその斬撃を弾き飛ばす。
そのまま着地すれば拳のほうが一気に距離を詰めてきて突き出してくる。
♪ 飛び立ったその過去も忘れてはいけない ♫
♪ 胸に秘め明日への力と変えろ ♫
私はそれを両腕をクロスして防いでもがく。
「(パワーは、向こうの方が上……!!)」
それでも負けるわけにはいかない。
この人たちにだけは、負けたくない!!!
♪ どんなに外れない重き 鋼鉄の枷だって ♫
♪ 強くなれる その為のナニカだと 鎖ごと背負え ♫
「ガッ!」
片足で顎を蹴り上げ、そのまま身体を宙でねじるように1回転してから、その脚を…ヒールの先を腹に突き刺すように蹴り飛ばした。
だけど吹き飛ばされた方とすれ違うように剣のほうが距離を詰めて剣を振り翳してくる。
アームドギアで受け止めると同時に鎧からもう1本、アームドギアを出して空いている左手で逆手に掴む。
♪ 逃げずに剣を振り翳せる ♫
「貴様はその力で何をする! 悪行か! それとも偽りの正義の真似事か!?」
「その理由は一つだッ!!!!♪」
そして身体全体を使って反撃をし、致命傷にならないよう意識しながら相手の身体に斬りつけていく。
♪ 愛す仲間、家族、絆 全の力で守り ♫
途中、地面から根が一気に多く伸びて私に迫ってくるけど、それらも避けていき全てを断ち切っていく。
♪ (Go hard…Go hard!) 未来へ凛々しく抗いながら ♫
「コイツ! 動きが良くなって……!!」
「オール・フォー・ワンから生まれた…化け物がァ!!!」
優先度を変更。
目の前にいる剣持ちが今目の前にいる。だから!!
♪ (Go hard…Go hard!) 不安を希望に変えて ♫
相手の剣を踏み台にして距離を少し放すと同時に両手に逆手に持つアームドギアからピンク交じりの白銀の輝きの斬撃を十字架として放つ。
「なっ!?」
その十字架はそのまま剣のほうを拘束して動けなくした。その隙に私は両方のアームドギアの刀身からピンク交じりの白銀の輝きを漏らしながら駆け出して距離を詰めていく。
♪ 震えても向かうことだ! ♫
「さあわたしよ…穿てェッ!!!!♪」
そして身体にアームドギアを振るいクロス状に斬りつけた。
「がァァァ!!!」
剣持ちの公安直属ヒーローは大げさに叫ぶが、致命傷は避けてある。
でもダメージ的には大きいからその影響だろう。だってそのまま後ろにいる私に振り返ることなくだらんと持たれてきたのだから。
そして最終的には横にずれて地面に鈍い音を立てながら倒れた。
「嘘でしょ…」
「貴様ァ……!!」
「はぁ…! はぁ…! はぁ…! (何でそっちが恨んでくるの……!!)」
私は息を荒くしながら立ち上がり、仲間がやられたことに対しての怒りを露にしているのか睨んできている残りの直属ヒーローを、逆に睨み返した。
「(成長の結果で大幅に消耗が軽減されているとはいえ、消耗しているのに変わりない。早くこの人たちも気絶とかさせて、皆の加勢に行かないと……!!)」
拳のほうが駆け出してきて、女性の方も根を生やしてくる。それに対して私もアームドギアを構えて正面から駆け出していった。
——◆——
時刻は戻り、幻神が『アガートラーム』を纏い始めた頃。ギャングオルカ率いるサイドキックたちの相手をしている他ヒーロー候補の受験生たち。
だがその状況は最悪と言っていいものだった。
その理由は主に2人による口喧嘩からだ。
その2人は轟焦凍と夜嵐イナサ。
彼らは
愚か過ぎるあまり、ギャングオルカも「論外」だと呟くレベル。
結果としてうまくやれば相性がいい"個性"であろうと連携がうまくいかず、風も炎も
その際傑物学園であり、ギャングオルカの超音波によって麻痺してしまった真堂の元に炎が飛んで行く。だが間一髪の所で緑谷が駆け付け、救出したことで命中することはなかった。
それでも緑谷は「何を…してんだよ!!」と2人に叫び、2人は全くその通りと自覚していた。
そして結果として、2人はギャングオルカの超音波によって身体が麻痺し、地に伏してしまっていた。
己の過ちに気づいた2人は、動けずとも取り返さんと強く思い、足搔くために"個性"を使う。
「(炎と…!!)」
「(風で…!!)」
「「(——閉じ込めろッ!!!)」」
2人はお互いの炎と風を使い、炎の渦を作ることで熱風牢獄とさせ、ギャングオルカを閉じ込めた。
シャチっぽいことが陸上でも出来るというギャングオルカの"個性"『シャチ』。
その結果、炎などで乾燥してしまうためある意味では弱点とも言える。
それを知っているサイドキックは、風よりも炎を止めることを優先し、轟に向けてサポートアイテムの『セメントガン』を放つ。
対しまだ同時発動が上手くいかなくとも、動けない今はそれが関係なく、自身の防御として氷結を生み出した。
「【スマッシュッ!!】」
サイドキックたちがギャングオルカの救出を優先するか考えている間に、緑谷が現れ【シュートスタイル】にて
緑谷に続き、避難誘導を終えた尾白たちも加勢していった。そんな中、蛙吹が緑谷に叫ぶ。
「緑谷ちゃん! ここは私たちに任せて幻神ちゃんの加勢に行ってあげて!!」
「ッ! でも…——」
「天堕が相手してるのもプロ、それも凄腕が3人だ! 俺たちも粗方済んだらすぐに加勢する! 行けッ!!」
蛙吹だけでなく、他のクラスメイト達にも言われる。尾白たちは気づいていた。
公安直属ヒーローの3人が幻神を狙い、離れた位置で戦闘している最中、ずっと緑谷が気に掛けていたのを。
「ごめん! ありがとう!!」
緑谷は皆に謝罪とお礼を言い、そして【フルカウル】を駆使して一気に幻神と公安直属ヒーローらが交戦している場所へと駆け出していった。
もう大体察してる。
あと私が何度か言った可能性がありますが、一応改めて。基本の『シンフォギア』のギアは【GX】と【AXZ】ですが、『ガングニール』『アガートラーム』のような文字色のは【XV】のギアデザインです。
そして次回も二次試験続きます(まさか長引いて区切ることになるとは思いもよらなかった……)
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