この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
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「1年生の
「「「——えぇぇぇえええッ!?」」」
相澤先生がインターンに関しての説明を始めた。
だがそれは否定的な内容で、インターンに先輩からの話を聞いて期待していた皆は不満の声を漏らし始める。
「全寮制になった経緯から考えたらそうなるか……」
「ざまァ!!」
「参加できないからって……」
インターンができないという雰囲気に、仮免を獲得できず落としたことで絶対にインターンに行くことができず、皆より遅れを取ることが確定している爆豪くんは嬉しそうにしている。
「——が、今の保護下方針では強いヒーローは育たないと言う意見もあり、方針として『インターン受け入れ実績が多い事務所に限り、1年生の実施を許可する』という結論に至りました」
あからさまにふざけんなって感じで、血管がブチ切れるような音がこっちまで聞こえたのは気のせいだろう。うん。
「……クソがァ!!」
気のせいではなかった。うん。
それはそうとインターン……どうするかだよね。
お義母さんは"個性"奪われて"無個性"になり、公安に免許すら剥奪されて一般人扱いされてるからなぁ……でも公安のこともあるし、一応連絡しておこうかな。
——◆——
放課後。
私は屋上にこっそり来て、誰もいないのを確認してからお義母さんに電話を掛ける。
どうしてわざわざこんなことをするかというと、雄英内でも少なからず敵視してたりする人がいるし、公安のことで皆に心配かけたくないからだ。
『——インターンの受け入れ先?』
「うん、公安のアレもあるからお義母さんならそこら辺で何かわかるかなって……」
『なるほどね~……確かにあんのクソども、今でも可愛い可愛い愛娘であるゆぅちゃんを敵視して、いつでも処刑すらできるように動いてるかもだしねぇ……目良さんから内密に教えてもらったわよ。仮免でも上のクソどもがこっそり直属を3人も寄こして殺しに来たんだってね』
「……そう、だね」
今想えば、日陰と太陽がいなければ乗り越えられない壁だったかもしれないとしみじみするよ。
『気の弱いプロヒーローだといい様に使われる可能性があるからそこらのプロは無理ね………理不尽な要求であれど、跳ねのけるほどの胆力持ちが無難……ちょ~っと電話そのままで待ってね?』
電話越しのガサガサと物音が聞こえる……あ、なんかぶっ倒れる音とお義母さんの慌てる声が………家に帰った時に迎える状態がもう嫌な予感がする。
『……っと、ごめんね? こっちでいろいろと見てみたけど候補は10も満たないわね……私から直々に頼めるのはエンデヴァーと『ミルコ』ぐらいね。『ホークス』はインターンの受け入れはできるだろうけど、ちょっと公安のことで事情があるから難しいわね……」
まさかのトップ10内のヒーロー!?
エンデヴァーは多分息子である轟くんぐらいしか受け入れないだろうし、ミルコは……どうだろうか、サイドキックも取らない完全ソロプレイヤー的なヒーローだし。
ホークスは演習試験以降あってないけど……。
『あ、そういえばオールマイト繋がりで1人いたわ』
「えっ? オールマイト繋がり?」
『えぇ、オールマイトの元サイドキックである『サー・ナイトアイ』。私も現役の頃は何回か顔合わせしたりもあったし、オールマイトに聞いてみたら? 私からもナイトアイに直接お願いしてみるし』
サー・ナイトアイ……オールマイトの元サイドキックか…というかサイドキックいたんだオールマイト。
「わかった。ありがとう」
お礼を言い、電話を切る。
すると雄英からアナウンスが聞こえた。
『1年の天堕幻神さん、オールマイトがお呼びです。至急生徒指導室まで来てください。繰り返します…——』
「えっ」
まさかのオールマイトからのお呼び出しが流れていた。さっきの話のこともあるからちょうどいいけど、何故私を?とりあえず生徒指導室に行かないと……。
——◆——
何故に生徒指導室…まさか神野区のこともあるからインターンのことで個別指導的なのされるのでは?
と思いつつも生徒指導室に着き、返事をもらい扉を開ける。
「失礼しま~……って、出久くんに通形先輩?」
「やぁ! 待ってたんだよね!」
「私は緑谷少年のことで通形少年を呼んでいたが、通形少年は君に用があったみたいでね」
先輩が私に?
そう思い先輩に視線を向けると先輩は笑顔で答えて来た。
「ズバリ言うと! 実はサーに頼まれてね、
「……へ?」
「ど、どういうことですか通形先輩!?」
突然の発言に私は理解が追い付けずポカン。
そして出久くんは私以上に驚愕した。
「実は、サーは最近天堕さんのことを注目するようになっていたんだ。俺はその理由は分からないけど、頼まれてね!」
「そう、なんですか……」
オールマイト繋がりであり元サイドキックのサー・ナイトアイ……さっきお義母さんからも提案された人物がまさか誘ってくるなんて……。
「でっ、緑谷くんもサーの所に紹介するってことになったから君も一緒に! つっても君次第だけど、どうかな?」
「……実はお義母さ…ん”ん”ぅ”、ギアにもさっき相談して、オールマイト繋がりであり、自分も顔を合わせたことがあるナイトアイはどうだ? って勧められたんです。ギアもギアで連絡するとは言っていたので、お誘いを貰っているのであれば、是非行きたいです」
「なるほど、ならなおさらOKだね! 顔合わせの日は追って2人に連絡するよ!」
すんなり……というべきだろうか?
とりあえずサー・ナイトアイの所へインターンの了承を貰い次第ではあるけど、一度出向くことは確定した。お義母さんも連絡はしてくれているだろうけど、それでもまさか向こうからもお誘いを送っていたとは……何かあるのかな?
——◆——
週末。
雄英から電車で一時間。
私と出久くんは通形先輩の案内の元、ナイトアイ事務所に到着していた。
なのだが…——
「こ、ここが……」
「ナイトアイ事務所……」
「おいおい2人して角ばるなよ。よくないぜ?」
——私と出久くんは2人して緊張していた。
「あ、言いそびれてたけど、サーはとても厳しいんだよね」
「存じております! 自分にも他人にも厳しく、ストイックな仕事が有名なヒーロー! テレビ出演した時、モニター越しでもあの鋭いまなざし…ゾワッとしましたよ」
そんなにすごいのか……怖いなァ…だけど先輩は「それとは別にメディアにない顔がある」と言った。
「サーはユーモアを大切にする人だ。だから門前払いをされたくないのなら、会ってから話を終えるまでに1度でいい、
「「……へっ?」」
笑わ…せる…?
ユーモアって確か、人を笑顔で和ませる的なのだよね……先輩は説明しながら事務所に入っていき私たちもその後に続く。
「天堕さんはサーがインターンに指名したから、門前払いはないかもしれないけど、それでも俺ができるのは紹介まで。サーのお眼鏡に適うかは君ら次第さ」
にしても内装もキッチリしてる……そういう性格ってのが伝わる感じだ。
お義母さんもこれぐらいしてくれればいいのに……。
「さて、あのドアの先だ。強くなりたいなら己で開け!」
「「……はいッ!!」」
互いに見てから頷き、出久くんが先頭に立って、勢いよく扉を開けた。
「昨日お伝えした1年生とサーの指名した1年生、連れて来ましたよね!」
サー・ナイトアイ、いったいどんな——
「——アハハハハッ!!!!」
——どん、な……
「アハハハハッ!!!!」
「「——一体どんなッ!?」」
機械に縛り付けられ、全身をくすぐられてるプロヒーローであろう女性が1人。
「全く、大きな声出るじゃないか」
その正面にはスーツを着た男性……おそらくサー・ナイトアイであろう人がいた。
「一体何が…?」
「起きてるの…?」
強制的に笑わせられながら、やめてと懇願する女性。先輩は「サイドキックの『バブルガール』ユーモアが足りなかったようだね」と呟いていた。
「「ッ!?」」
すると私たちに気づいたサー・ナイトアイの視線がこっちへと向けられた。
その瞬間、迫力が全身から伝わってきた。
この人を、笑わせる…だと…?すると出久くんは急に自身の顔をいじり始めた。
やるんだな!?今、ここで!!
「——緑谷出久です!!」
「ふぁ!?」
オ、オールマイトの顔真似!?ど、どうやったらあの画風が違うと言える顔を再現することが出来るんだ!?この世界で、声真似を超えてまんまその声に変換することができる私でも、顔をあそこまで再現することはできない。
というか不可能だし、表情筋をどうやって動かしているんだ。
「オールマイトを、バカにしているのか?」
「う…っ!」
「(滑った…!!)」
ただでさえ迫力過ぎる目つきが、一気に出久くんへと向けられ、出久くんを睨みつけている。
出久くんはオールマイト顔のまま汗を流している
「貴様、その顔はなんだ? なんのつもりだ?」
「あっ、いや! その……」
「私をオールマイトの元サイドキックと知っての狼藉か?」
ナイトアイは出久くんへと歩み寄ると手を伸ばし——
「オールマイトにこんなシワはない」
——その顔真似に指摘をしだした。
「目元のシワは通常フェイスにて約0.6センチ。シルバーエイジからは約0.8センチ。今どきノンライセンスグッズでも何時代のオールマイトか識別できるよう作られる……そんなことも分からないのか?」
オ、オタクの領域の会話だ……オールマイトオタクではない私はその会話にちょっと引いたけど、それでも前世でのことならオタク染みだから何となくわかる。それに事務所でありながらオールマイトのグッズがあるし……重度のファンでありオタクなんだ。
「非常に不愉快だ、貴様はお引き取り願おう」
「——ビネガースーサイド事件、ご存知ないですか?」
ナイトアイがそう言い放つも、出久くんは負けじと食らいつく。
というか事件の話をし始めた。
隣で聞いていたけど、どうやら過去にオールマイトが解決した事件の1つらしく、『水質を変えられる』"個性"の中学生が溺れた事件みたい。
その中学生は周りの水をお酢に変えてしまうも、オールマイトはそこへ迷いなく飛び込んで救助。
結果オールマイトはお酢が目に染みて、シワシワの笑顔でインタビューを受けたそう……いやわかるかァ!!!
「僕はそこをチョイスしたつもりだったんです!」
「……もちろん知っている。私が組む以前の事件、読売テレビの番組『あの頃を振り返る』スペシャルでも少し触れていた」
「それですそれです!
「『お肌10歳若返ったよ』」
「それですッ!!!」
「貴様、試したのか…?」
話が自然と良くなっている…だとォ!?
確かにオタクだからこそ成り立ち、初対面でも一気に会話が成立して語り合うみたいなのはあるよ!
私は前世でそういう人はいなかったども!!というかなんかもう私、蚊帳の外になってる……というか、ナイトアイの声…あの『人でなし』と似た声をしている気がする……。
「……少し話し過ぎた」
ナイトアイはそう言い、私の方へと振り向いた。
来た…!!!
「し、指名を貰い来ました! あ、天堕幻神です!!」
「知っている。私がインターンの誘いをしたのだ。それに、あの人からも頼むと連絡を受けている」
あの人……きっとお義母さんのことだろう。
「だがインターンの誘いといっても、ユーモアがなければ意味がない。それに君とも話があるからな。2人揃って来たまえ」
ナイトアイは自分の机へと戻り着席する。
私と出久くんは急ぎナイトアイの前に移動した。
「さて……緑谷出久。君は今より強くなるため、私の元でインターンがしたいと聞いた」
「はい! お願いします!」
「学校から契約書は貰っているかね?」
「もちろん持ってきてます!」
出久くんは契約書をバックから取り出す。
私もそれを見て自分のを取り出した。
「この契約書に私の印鑑を押せば、インターン契約は成立となる」
「はい!」
「ヒーローインターンは一般企業の気軽な短期のインターンシップとは違う。最低1ヶ月以上の就労、それも有償だ。授業の多い1年生なら公欠も増える。クラスの皆とも一律には歩めん」
「分かっています! でも……みんなと歩みを合わせていては、トップにはなれない!」
チラッと顔を見れば、覚悟をもう決めている顔をしていた。
カッコいい……そう思っていると今度は私の方へ話を向けた。
「先も言ったが、私がインターンの誘いをしここに来ている。だがそれでも条件状況は同じ。それは分かっているな?」
「は、はい!」
「だが貴様の場合、神野区での行いが世間に大きな影響を与えている。良くも悪くもな」
痛いところを突いてくる……思わずウッとなっちゃうよ。そしてナイトアイは手に握るの印鑑を書類へと向けるも、押されることなく机に直接叩きつける。それを見た出久くんは「外しましたよ?」と聞き、私も頷く。
「押す気がないからな」
「「えぇっ!?」」
「貴様がここで働くメリットは承知した。だが私が貴様を雇うメリットは? サイドキック2名、インターン生1名で事足りてる事務所へ貴様を入れてどんな旨みがあるんだ?」
なんか正論を次々と突き付けてくる……いやそうなら何故私を指名した!?インターンのお誘いをしてきた!?何故!!!?
「貴様が我が社にどう利益となるのか、言葉でなく行動で示してみるといい」
ナイトアイはそう言いながら立ち上がり、3分と言った。
「3分以内に私から印鑑を取ってみよ。私の下でインターンを行いたいのなら、貴様が自分で判を押せ」
「えっ、え……」
「ユーモアでは欠片のセンスもない貴様にチャンスをやろうと言うのだ。どうだ、私は優しいだろう」
そして先輩とバブルガールには退出するよう指示した。
「あの、私は……」
「貴様もだ。2人と退出していろ。彼の後に交代で入りなさい」
「えっ? なんで……」
ギラッ!と睨まれて私は即座に自身のバッグを持って部屋を後にした。
インターン先はナイトアイ事務所……だろうか?
さぁ、うまくできるかわかりませんが出幻を始めようじゃないか諸君よ!!
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