この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!

【超時空歌姫オーディション2025】私も女だったら受けたかったな…ちなみに妹はせっかくだからと受けるみたいです(嘘だと思うけどガチでマジです)

あと社会人生活しんどすぎて更新ペース落ちに落ち続けちゃう……。



初めてのインターン活動

 

 

 

 

部屋を退出し待機してから凄い音を最後に3分が経過した。

 

「失礼します!」

 

「終わりました? 最後に凄い音立ててましたけど」

 

先輩たちが勢いよく扉を開けた。

その部屋は物や書類が散乱しており、壁や天井のあちこちに足跡が付いていた。

そして出久くんは床に手をついて動かず、印鑑はナイトアイの手に握られたまま……つまりは。

 

「彼は採用だ、ミリオ」

 

「やったァ!」

 

「ッ!? なぜですか!? 全く達成出来てないですけど!」

 

「印鑑を取り自分で押せと言ったが、できなければ不採用とは言ってない」

 

それって……試したってわけか?

でも、なんでわざわざそんなことを……。

 

「喜んでいるところ申し訳ないが、ミリオとバブルガールは緑谷を連れて再び退場を。今度は貴様の番だ」

 

ナイトアイはそういいながら私を見て来た。

私は思わず唾を飲み込む。

通形先輩とバブルガールは、荷物をまとめた出久くんを連れてせっせと再び部屋を後にする。

残ったのは私とナイトアイだけだ。

 

「貴様はあの神野区で、オール・フォー・ワンに利用されたと言えど、自分の意志でオールマイトを、ヒーローを蹂躙しようとしていた」

 

「……それは、そうですけど」

 

バッグを床にそっと置き、身構えながら片手を胸元に添える。

 

「オール・フォー・ワンと同等…そして奴をも凌駕し、我々すら未知すぎる兵器を具現化させる。貴様のその想像力、大きすぎる知識はどこで手に入れた?」

 

「……ッ」

 

前世からの知識+【戦姫絶唱シンフォギア】と【マクロスシリーズ】はオタクだからですよ。

なんてことは言えないし信じてもらえない……。

 

「だんまりか……何か言えないわけでもあるのか」

 

「……話すわけにはいきませんし、話す気は毛頭ありません」

 

私は静かにナイトアイを見つめて、声を低くして答える。

その答え方にナイトアイは目を鋭くさせて来て、私も同じように鋭くした。

 

「——あなた方が知るにはあまりにも早すぎる知識……とだけ言っておきます」

 

『シンフォギア』や『ファウストローブ』

【マクロス】の『バルキリー』などの技術、知識はあまりにも現代社会とは似て非なるもの。

錬金術だって、"個性"に似ているけど、それでも根本は違うんだ。

それらを前世からのオタク知識+"個性"で自分なりにオリジナルに近しく再現しての具現化。

それでも、私すらまだハッキリと分からないことはたくさんある。

美音だってこれまで私の記憶を通して見て、それらを知って再現したんだ。

 

この超人社会の技術も確かにすごいよ。

もしかしたら再現できるんじゃないかってぐらいには思えるよ。

でも『シンフォギア』は原作では『櫻井了子』が『シンフォギアシステム』を開発し、消滅した結果もう『シンフォギア』の開発はできていない。

『バルキリー』も元々は地球にやって来た異星人の宇宙艦、『エイリアン・スターシップ・1』……ASS-1のテクノロジーを解析、修復したことで、それらが『マクロス』や『バルキリー』を生み出した。

 

「断言できることなのか」

 

「はい。使用している私が言っても説得力はありませんが、それでも……私ですらまだ未知数すぎることなんです」

 

"個性"が未だそのすべてが未解明で謎が多い様に……他の異なる世界の力や技術、それらに関する歴史が全て解明したと言ったら嘘になるようにね。

 

「………現在、貴様は立場上はヒーロー側に近いだろうがまだ一部、公安は貴様を(ヴィラン)として敵視している。そして象徴なき今、人々は微かな光ではなく眩い光を求めている」

 

「遮るようで申し訳ないけど、つまりは私が人々を笑顔にし、安心させられるか。ってことですよね」

 

「そうだ。養子とはいえ貴様の性格はギアに似ているからな。だがそれでもあの事件でのこともある。だからこそ私は、私個人として貴様をこのインターンで見極める」

 

ナイトアイは印鑑を手に、私の契約書に押した。

 

「貴様が未だオール・フォー・ワンの差し向けた内通者という疑いも完全に晴れているわけではない。そこらも理解した故でヒーローを目指すのであれば、期待以上に応え、ユーモアな社会を築け。貴様で言うなら…そう、歌でな」

 

「(……優しいのか優しくないのか)」

 

自分にも他人にも厳しいって聞いてたけど、わからなくなってきちゃった……その後、出久くんたちを呼び戻し、改めて私たちのナイトアイでのインターンの採用が決まった。

 

 

——◆——

 

 

夕方、A組寮共有スペース。

 

「インターン先決まったんだ! よかったね2人とも!」

 

「おめでとう緑谷君天堕君! 俺も、うかうかしてられないな!」

 

私と出久くんのインターンが決まったことを共有スペースにて皆に報告したら賞賛の言葉を贈ってくれた。

 

「緑谷は通形先輩の推薦。天堕は本人からの誘いでのサー・ナイトアイの事務所だからな、本当にすげぇよ!」

 

あくまで私を自分なりに見極めるためである……なんて言えないよね。

 

「学校側から『ガンヘッド』さんインターンの実績が少ないからダメやって言われた……」

 

「私も…『セルキー』さんの所に行きたかったわ」

 

「『フォースカインド』さん、インターン募集してねぇんだもんな」

 

私たちのインターンが決まったことで皆の話題もインターンとなり、お茶子ちゃん、梅雨ちゃん、切島くんがそうぼやく。

 

「仕方ないよ、職場体験と違ってインターンは実践。もし何かあった場合——」

 

「——プロ側の責任問題に発展する」

 

相澤先生がいつの間にいたのか、割って会話に入って来た。

 

「リスクを承知のうえでインターンを受け入れるプロこそ本物。常闇、その本物からインターンの誘いが来ている。九州で活動するホークスだ」

 

「ホークス!? ヒーローランキング3位の!?」

 

「流石だな……」

 

「確か演習試験の時、天堕がその試験の相手として戦ったよな?」

 

常闇くんはまさかのあのホークスからの誘いとはすごいな。

 

「どうする、常闇」

 

「謹んで受諾を」

 

「わかった。後でインターン手続き用の書類を渡す。九州に行く日が決まったら教えろ、公欠扱いにしておく」

 

トップ3からのインターンの誘いって普通にすごいよな。まぁ私もお義母さん経由でインターンのことでも候補にいたけど……。

 

「それから切島。ビッグ3の天喰がお前に会いたいそうだ。麗日と蛙吹にも波動から話があるらしい。明日にでも会って話を聞いて来い。以上だ」

 

相澤先生は伝えることを伝えたのか早々に立ち去っていった。

 

「天喰先輩、何の用だろ」

 

「やはり、インターン絡みの話ではないかしら?」

 

「嘘!? もしそうなら期待してまう!!」

 

お~お~一気にインターンの誘いとかが来ましたな。まるでウイルス感染拡大みたいじゃないですの。他の皆も盛り上がってるし。

 

「明日まで待てねぇ! 俺、今から3年の寮に行ってくる!」

 

「お茶子ちゃん、私たちも行きましょ!」

 

「うん!」

 

3人は期待を胸に膨らませながら、3年の寮へと向かって行った。

 

「「……」」

 

周りがいろいろと話で盛り上がってる中、私はチラッと出久くんを見れば、出久くんは真剣な顔をしながら俯いている。

私は誘いで、色々と聞かれたりして見極めるという意味も込めて採用されたけど、出久くんの場合はなんだろうか……なんでわざわざあんなことをナイトアイはしたのだろうか……?

 

 

——◆——

 

 

翌日、インターン活動初日。

私たちは朝早くから戦闘服(コスチューム)に身を包み、ナイトアイの事務所に集合していた。

 

「本日はパトロール兼監視。私とバブルガール、ミリオと緑谷と天堕の二手に分かれて行う」

 

「監視……」

 

「ナイトアイ事務所は今極秘の調査中なんだよ」

 

「極秘の調査…?」

 

ナイトアイが見せて来た資料にはペスト医師のようなマスクをしている男性の横写真が添付されていた。

 

「『死穢八斎會(しえはっさいかい)』という小さな指定(ヴィラン)団体だ。ここの若頭、いわゆるナンバー2である『治崎』という男が妙な動きを見せ始めた。ペストマスクがトレードマークだ」

 

「でも指定(ヴィラン)団体って警察の監視下にあるから大人しいイメージですけど……」

 

「過去に大解体されてるからね。でもこの治崎って奴は、そんな連中をどういう訳か集め始めてる。最近あの(ヴィラン)連合とも接触を図ったわ。顛末(てんまつ)は不明だけど」

 

(ヴィラン)連合!?」

 

「(てことはメドゥーゴルとマグニールも……)」

 

もし死穢八斎會と(ヴィラン)連合が本当に繋がりがあるのだとしたら、あの2人もいる可能性は高い……もし会えるのなら、私は2人を……!

 

「ただ奴が何か悪事を企んでいるという証拠は掴めない。そのために八斎會は黒に近いグレー、(ヴィラン)扱いができない。我がナイトアイ事務所が狙うのは奴らの尻尾、くれぐれも向こうに気取られないように」

 

「「「イエッサー!!!」」」

 

 

——◆——

 

 

通形先輩の案内も兼ねて、私たちは街のパトロールをしている。

その道中、すれ違う人たちに雄英体育祭や私は神野のこともあって、すっごく見られたりしていた。

 

「き、緊張する…」

 

その中で私はともかく、出久くんは緊張していた。

 

「パトロールくらい職場体験でやってるよね? もしかして(ヴィラン)連合の襲撃がトラウマ?」

 

「いえ、諸事情で基本活動が未経験なもので……」

 

「私はアレなこともあって、もう慣れちゃってますけどね……」

 

「へぇ、けど大丈夫。今回実際にホシを監視するのはサーたちで、俺たちは周辺区域のパトロール。色々教えるよ! 着いておいでよォ!」

 

そう言いながらノリを上げるためにも腕を振りまくる先輩。

元気だなぁ……その一方で出久くんは何か思い詰めてるような表情になっている。

 

「そういやさ、俺たちヒーロー名教えてなかったよね、お互いに」

 

「あっ、確かに……僕は『デク』です!」

 

「デク? 木偶? いいのそれ??」

 

「いいんです!」

 

先輩は私にも大丈夫なのかと聞いて来たけど、本人がそれでいいのならそれでいいのだ。

私は後から聞いたけど、意味を変えてもらったらしいし。

 

「私のヒーロー名はアカシアです」

 

「えっ!? 幻神決めてたの!?」

 

「言ってなかったっけ?」

 

私もヒーロー名をつげば、先輩より先に出久くんが食いついた。

 

「だってヒーロー名を決める時は幻神はいなくて、その後も未定だって言ってたから!」

 

「あ~そうだったっけ?」

 

ごめんと謝りながら頭を掻く。

 

「俺のヒーロー名は『ルミリオン』! 全てとまではいかないが100万、『オール』ではなく『ミリオン』を救う人間になれるようにルミリオンと命名した。戦闘服(コスチューム)を纏って街に出れば、俺たちはヒーローだ。油断はするなよ2人とも」

 

「「はい!!」」

 

全てではなく100万か…ちゃんと自分のことを分かったうえでのヒーロー名、すごいな。

 

「——ぁ!」

 

そう思っていたら、路地から急に白髪の女の子が飛び出して来て、出久くんにぶつかった。

 

「あぁ、ごめんね! ぶつかっちゃって…怪我はない?」

 

よろけて尻餅をついてしまっている女の子をすぐに心配してしゃがむ。

その女の子は片額にだけ、角が生えていた。

 

「…? 立てない?」

 

立ち上がろうとしない女の子を見て、出久くんは優しく立ち上がらせようとする。

だけどよく見れば、その女の子の手足は包帯で異様なほどに処置されたように巻かれていた。

 

「ダメじゃないか。ヒーローに迷惑かけちゃあ」

 

男性の声が奥から聞こえて視線をそっちに向ける。

すると路地から出て来た人物に絶句した。

 

「——帰るぞ、『壊理』」

 

死穢八斎會若頭…『治崎廻』……。

 

「うちの娘がすみませんね、ヒーロー。遊び盛りで怪我が多いんですよ、困ったものです」

 

ナイトアイが追っている男…まさかいきなり遭遇するなんて。

 

「またフードとマスク外れちゃってるぜ。サイズ調整ミスってんじゃないのか?」

 

「君も表情強ばってるよ。緊張するかもだけど、ヒーローってのは笑顔が大切だぞ」

 

「あ…」

 

「…ッ」

 

ルミリオンに言われ、ハッと気づいた。

表情に出てしまっていた…これじゃ調査に支障が出ちゃう……。

 

「その素敵なマスクは八斎會の方ですね? ここらじゃ有名ですよね」

 

「えぇ、マスクは気になさらず。汚れに敏感でして」

 

だからってそんなマスクにするか?

特徴的すぎるというか、本当にペスト医師のマスクにする意味が分からない。

いや、それ以上に今この子のことを娘って……。

 

「3人とも初めて見るヒーローだ」

 

「そうなんです。まだ新人なんで緊張しちゃって。さっ、そろそろ行こうか。まだ見ぬ未来へ向かおうぜ!」

 

「どこの事務所の所属なんです?」

 

「学生ですよ! 所属だなんておこがましいくらいのヒヨっ子でして、職場体験で色々回らせてもらってるんです。では我々、昼までにこの区画を回らないといけないので!」

 

ルミリオンは平然を装って歩き出そうとする。

悟られぬよう、今だけは一時撤退するという訳か…今はそれが最善の選択なんだろう。

 

「私たちも行こう」

 

「あ、うん——」

 

 

「——い…行かないで……」

 

 

微かにだがそんな声が聞こえた。

思わず振り返れば、壊理って女の子は出久くんにしがみついている。

 

「あの、娘さん…怯えてますけど……」

 

出久くんが一歩踏み込んだ。

 

「叱りつけた後なので」

 

マスクで全ては見えないが一瞬、治崎の表情が曇った。ただの娘…ってわけではないのは確かかも。

ルミリオンは「行こう」って言ってるけど、今ここでこの子を見捨てるって選択はもうない。

なにより、今一瞬だけど……この子が幼い美音と重なって見えたから…!!

 

「いやでも、遊び盛りって感じの包帯じゃないですよね……」

 

「よく転ぶんですよ」

 

「お言葉ですが…こんな小さな子が声も出さず震えて怯えるのはおかしいです。私、そういった子たちは訳あってよくわかってるんです」

 

私が間に入って言えば、治崎は私を見て目を細くする。

こっちはこの子のような何かをされた子たちを記憶で全て知っている……だからこそわかる。

この子の様子は、普通とは違うんだと。

 

「——この子に……何してるんですか?」

 

「……全くヒーローは人の機微に敏感ですね…わかりました。恥ずかしい話です。人目につくし、こちらに来てもらえますか?」

 

治崎は路地へと振り返り、歩みだす。

私たちは互いに顔を見て頷き合ってから、出久くんが壊理ちゃんを抱えて、3人でその後に続いて路地へと歩みだす。

 

「実は、最近壊理について悩んでいまして、何を言っても反抗ばかりで……」

 

「子育て…ですか? 大変ですね」

 

「えぇ、難解ですよ子供は。自分が何者かになる、なれると…本気で思ってる」

 

全身にゾワッと殺気を感じた。

そして次の瞬間、壊理ちゃんは出久くんから離れて治崎の下へ戻っていった。

 

「いつもこうなんです。すみません、悩みまで聞いてもらって。ご迷惑おかけしました。ではお仕事頑張って」

 

「待って——…ッ!?」

 

出久くんが追いかけようとしたが、そこをルミリオンに止められてしまう。

 

「追わないよ。気付かなかったかい?」

 

「えっ?」

 

「…殺意、ですか?」

 

「あぁ、殺意を見せ付けてあの子を釣り寄せた。深追いすれば余計に捉え辛くなる。サーの指示を仰ごう」

 

冷静に、今最善の選択をしての行動……ルミリオンの行動は正しい。

 

「……行こう、出久くん」

 

「…ッ」

 

雨が降り始めてる中、私たちはナイトアイたちと合流する為、背を向けた。

 

 

——◆——

 

 

死穢八斎會、本部地下通路。

 

「最近の若者は一段と病んでるな…『玄野』、風呂の用意しろ」

 

「へい」

 

その通路を先の路地から壊理を連れて戻った治崎と、壊理を抱えている玄野と呼ばれた顔全体をペストマスクとフードで隠している男が歩いている。

その道中組員の1人がおり、壊理を逃がしてしまった本人であるのか、治崎に焦りながらの謝罪をしているが、その言葉が終わることなく、治崎の素手が付けられた瞬間、血を飛び散らせながら即死した。

 

「掃除もだ」

 

「へい」

 

壊理は目を瞑り、両耳を両手で抑えながら今の瞬間を見ないよう、聞かないようにしている。

そして治崎は身体から蕁麻疹が出ていた。

 

「忌々しい…英雄症候群の病人ども……(だが、収穫もあった)」

 

治崎の脳裏には、幻神が映し出される。

 

「(【"個性"殺し】……イレイザーヘッドや壊理とも異なり、"個性"にて"個性"を完全消滅させる"個性"…必ず、手に入れてやる……)」

 

正確には幻神ではない。

彼女の"個性"『紡心(アクシア)』の中にある『神獣鏡(シェンショウジン)』…【"個性"殺し】だけに注目していた。

 

 

 

 







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