この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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オリジナル展開にして新章【終焉の翳と角笛の旋律】編、開幕です。




終焉の翳と角笛の旋律 編
UNTHINKABLE FOE


 

 

 

 

『お前のせいで終わったんだ』

『お前がいなければ平和の象徴は失われなかった』

『なんであんたが生きて、私たちが死ぬの』

『家族を返せ。居場所を返せ』

『ヒーローを気取っていたヴィランめ』

『お前は人殺しのヴィランだ』

 

 

――死で詫びろ! この人殺し!!!

 

 

「——はっ…!!」

 

壊理救出を終え、【S2CA】の負荷により眠り続け、悪夢によって魘されていた天墜幻神は目を覚ます。視界に真っ先に入ったのは暗い病室の天井。

幻神は汗がしみ込んでいる病衣の気持ち悪さも気にせず、身体を起こす。

 

「ゆ、め……?」

 

鮮明に覚えている先の夢。

だが夢にしてはどこかリアルさが大きく、()()()()()()()()()()()()()()()とも言えてしまうもの。

すれば、彼女の手に雫が落ちる。

 

「あれ、なん…で?」

 

なぜか幻神は涙を流していた。

それは悪夢が怖かったなどの単純な理由ではない。

もっと深く、それでいて大きな理由があるのだろう。だがその理由を幻神自身は知らない。知る術もまたない。

幻神はとりあえずと、ナースコールを手に取り、そのボタンを押そうとしたが、()()()()()()()()

 

「海……そこに誰かがいるの?」

 

幻神は顔を、視線を窓へ向ける。

彼女が目覚めたのは偶然か必然か真夜中。

当然自身の病室もまた、夜空から照らされる月明かりによる微かな光に照らされるのみ。

だが幻神は病衣を着たままベットから下り、静かに窓の傍まで移動し、窓を開けた。

 

 

——◆——

 

 

市営多古場海浜公園。

幻神が入院していた最寄り大学病院から遠く離れた場所。

そして不法投棄により廃棄物の溜まり場となっており、約1年前から今年に入るまで、誰かの手によって跡形もなく綺麗にされた浜辺。

幻神は『神獣鏡(シェンショウジン)』の【光学迷彩(ステルス)機能】にて誰にもバレないよう、そこに来ていた。

 

「(来ちゃったけど……何もない。それにしても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()())」

 

幻神がここに訪れた理由。

それは己に宿る"個性"『紡心(アクシア)』による指示にも近い呼びかけによるものだ。

紡心(アクシア)』は他の"個性"と異なり、稀に所有者にして使用者である幻神に呼びかけることがある。

何故そんなことが起き、出来るのかは彼女自身も真実を知らない。

 

「それにしても、夜の海って実際だとあまり見る機会ないからだけど、綺麗だな……」

 

幻神はギアを解除し、病衣の姿へと戻り浜辺を歩き出す。耳に入る音は波打つ音のみ。

 

「ッ!?」

 

されどその波を上回る、否かき消す大音が、爆発音と打ち上げられる波が幻神の近くで起きた。

 

「な、何……——!?」

 

驚愕する幻神。

すれば爆発し、打ち上げられる波が次々と発生しながら、自身の下へと向かってきている。

幻神は戸惑いながらも身構える。

 

「あれは…!」

 

だがその爆発が発生しながら自身の下へ向かってきているのか、すぐに理解した。

それは翡翠交じりのパーマがかかった白髪の長髪に大きめのアホ毛が特徴の、重傷な少女が息を荒くしながら走っていたからだ。

 

「ッ! 逃げ…てェ…!!」

 

(ヴィラン)に襲われてる一般人!?」

 

その少女は幻神を見つけた途端、逃げるよう呼び叫ぶ。

幻神は(ヴィラン)に襲われていると考え、胸元に手を添え、口ずさむ。

 

 

——Imyuteus amenohabakiri tron(剣を翼とし、無限の空へ羽撃く)——

 

 

口ずさむは幻神としての天羽々斬(アメノハバキリ)の『聖詠』

すればドクンッ!!!と心臓が高鳴り、蒼き輝きが溢れ、身を包み込ませる。

 

肌にピッタリと張り付く青を基調とするバトルスーツを身に纏い、腰後方部にスラスター、膝横に剣の鎧、膝下半分から脛に掛け、足首の左右外側に接合されている蒼き剣と鎧を装着。

 

SG-r01 Amenohabakiri

 

両腕に蒼く薄いガントレット、上腕には左右外部対称の鎧を装着。

頭部は下部に剣が接合されているヘッドセットを装着。

 

SYSTEM ALL GREEN

NORMAL OPERATION

 

胸元の『ギアペンダント』は左右が2本ずつ空色へ変化した。

 

 

シンフォギアシステム・天羽々斬・Ver.XV

 

 

天羽々斬(アメノハバキリ)を纏った幻神は足の剣、そのスラスターを展開させ飛びだす。

同時に- 天ノ逆鱗 -を発動させ盾とし爆発を防ぎ、少女を抱き寄せ進路をずらした。

 

「ッ! あ、あな…たは……!?」

 

掠れ、小さい声。

この少女はずっと狙われ、逃げ続けていたのだと幻神は瞬時に理解する。

 

「しっかり掴まってて! 絶対救けるから!!」

 

機動力であれば『シュルシャガナ』、全面的に対応するのであれば『ガングニール』が適任だろう。

されど天羽々斬(アメノハバキリ)を纏った。

その理由は——

 

「(来るッ!!)」

 

——迫りくる(ヴィラン)を迎撃する為である。

その狙い通り、爆発により打ち上げられた波の中から1人の人影が飛行しながら幻神たちへと閃光のごとく迫っていく。

幻神は剣を形成し、迎え撃つ。

すれば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ッ! その武器と武装は…!?」

 

幻神は(ヴィラン)の持つ蒼き双刃刀の武器と黄緑の輝きを漏らす黒緑のスラスターウィングの装甲を見た途端驚愕する。

それはまるで見覚えがあり、正体を知っているかのように。されど力み、押し返し飛ばす。

(ヴィラン)は弾き飛ばされるも、スラスターウィングを全開にすることで倒れることなく体勢を直し浜辺に着地する。

 

「……」

 

「あなたは……」

 

互いに対面する。

天羽々斬(アメノハバキリ)を纏い、少女を片腕にて脇に抱える幻神。そして黒緑のスラスターウィングに蒼き双刃刀を持ち、少女を狙っているであろう、目元をギザギザのラインとして赤い輝きを微かに漏らすバイザーを装着している(ヴィラン)

 

「(あのバイザーは『神獣鏡(シェンショウジン)』のシンフォギア…でもなんで……)」

 

「駄目…あの、人は……」

 

少女は戦いを避けて欲しいかのように、声を振り絞り喋る。

そんな少女をチラッと見た幻神は、今は撃退より少女を連れて撤退。並びに通報しプロを呼ぶことが先決だと考える。

否、それだけではない。

 

「(胸が…とても痛い……孤独感のような感情が溢れて、痛みとして身体中に広がり続けてる……)」

 

幻神は謎に発生する胸の痛みにも苦しんでおり、まともにやり合うのもままならないと捉えていたからだ。だがそんなのお構いなし、知らないとばかりに(ヴィラン)は、蒼き双刃刀を構え、スラスターウィングを起動させて一気に2人へと飛び立つ。

 

「…ッ」

 

♪ Ya-Haiya ナリワタレ Ya-Haiya テンヘト ♫

 

だがその考えすら実行する暇などない。

先の考えは撤回し、今すべきことは(ヴィラン)と思わしき人物から重症を負っている少女を守り撃退することこそが先決である。

 

♪ (Ya-Haiya-Haiya-ie Yaiye-Haiye- チカラヨカエラン) ♫

♪ (Ya-Haiya-Haiya-ie Yaiye-Haiye- アメノハバキリ Ya-i-ye ツルギヨウタエ) ♫

 

(ヴィラン)は蒼き双刃刀を熟練し使い慣れた裁きで振りかざす。対して幻神は蒼き剣にて双刃刀を再び受け打ち、足を力ませながら押されまいと耐える。

 

 

♪【Defender’Z Brand!】♫

 

 

♪ 舞い散る時の花に 幾夜も己を問う ♫

 

そして『風鳴翼』へと声帯を変換させ、奏で始めると同時に剣を持つ手に、腕に力を籠め再び弾き飛ばす。

 

♪ (Ya-ha-)低きに水は流れ (I-e-)人も同じく…無情に ♫

 

幻神は後方に飛び、少女をゆっくりと降ろす。

同時に剣を複数大剣として形成し囲うように地に突き刺し盾代わりにした。

 

♪ 崩れて消え去る(為す術なく) 無力の極みに(涙は枯れ) ♫

 

すればすぐさま足の剣からスラスターを展開させ、(ヴィラン)へと駆け出す。

 

♪ 否…然れども嘆きすら 断罪の刃へ変え ♫

 

(ヴィラン)も再び接近し、互いの刃をぶつけ合いながら駆け巡る。

 

♪ 一閃に願いを込め この四肢千切れようとも ♫

 

「…ッ(胸が痛む…!)」

 

戦えば戦うほど、幻神は孤独感によって心と身体を痛め続ける。

故に歌いながらと言えど、調子は悪くなり、十分な戦闘を繰り広げることが出来ずにいた。

 

♪ 防人(さきも)らん ♫

 

「(だとしても!!)」

 

負けるわけにはいかない。

そう強く思い、幻神は天羽々斬(アメノハバキリ)の力を強くさせる。

 

♪ 屍山血河(しざんけつが)幾許(いくばく)を築き敗れれば ♫

 

(ヴィラン)もまた目的のため負けられないのは同じこと。

故に一度距離を取り、蒼き双刃刀を持つ右手とは逆に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

♪ 命の火を外道から護ることが? ♫

 

次の瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「(この鞭は……!?)」

 

幻神はその鞭を避けるも驚愕する。

 

♪ 答えはあるのか? 光は射すのか? ♫

 

それでもと幻神はその鞭を掴み、逆に(ヴィラン)を自身の下へと引き寄せ、(ヴィラン)は引き寄せられる。

 

♪ (つるぎ)よ道を斬り開け…! ♫

 

蒼き剣、その刃の剣先を突き付けるように伸ばす。

されど(ヴィラン)もまた同じように蒼き双刃刀を突き立てる。

 

剣よォ!!!♪

 

そして互いの刃にて断ち切る。

金属音が大きく、二重音として鳴り響き、互いが蒼き剣と蒼き双刃刀を突き出したまますれ違い、立ち止まっている。

次の瞬間、互いの蒼き剣と蒼き双刃刀に亀裂が入り、最後には砕かれ崩れ落ちた。

 

「くっ…!」

 

「……」

 

互いに振り返り、幻神は蒼き剣のアームドギアを再び形成させ持ち構える。

対する(ヴィラン)左手に持つ白銀でありピンクのエネルギー状の鞭を構える。

 

「なんであの子を狙ってるの!? あなたは……誰、なの…?」

 

途中から言葉が詰まる。

その理由は、目の前の(ヴィラン)が見覚えのありすぎる武装と武器を形成させること。

そして己と同じ、インナーカラー含め全く同じ髪色をしており、長さは切るまでの自分と同じであること。だが彼女たちの戦闘が耳に入ったのか、遠くからゆっくりとパトカーのサイレン音が聞こえ始める。

 

「……」

 

(ヴィラン)は片耳、ヘッドギアに片手を当てる。

すればバイザーの赤いギザギザラインから輝きが微かに漏れ出し、スラスターウィングにて浮き始める。幻神は身構えるが、攻撃してくることもなければ少女の下へ向かうこともなく、ただ夜空の上空へと飛び立ち、その風景に溶け込むように姿を消えた。ただ茫然と見ることしかできなかった幻神は、サイレン音が大きく聞こえ始めた頃にハッと気づき、先の重傷の少女の下へ駆け出す。

 

「大丈夫…じゃないよね。とりあえず救急車を呼んで警察に事情を話さないと……」

 

幻神はまだ先の(ヴィラン)が奇襲を仕掛けてくる可能性も考え、天羽々斬(アメノハバキリ)を解かずに少女を抱き上げる。

その際、少女の首元からネックレスが垂れ落ちた。

 

「……ぇ」

 

そのネックレス……否——()()()()()()()を見た幻神は驚愕する。

 

「なんで……——」

 

何故ならばそのペンダントは——

 

 

「——なんで『ギアペンダント』があるの…!?」

 

 

——【戦姫絶唱シンフォギア】にのみ存在する『ギアペンダント』であるからだ。

そしてその後、警察並びに地域のプロヒーローが彼女たちの下へ現着した。

 

 

——◆——

 

 

~~~???~~~

 

『つまり飛んだという訳だね。()()()()()()

 

「はい。彼女もまた一緒に飛んだため同じ場所についている可能性は高いです。予め我々で大きく改良を加えたものを持たせているため、我々もすぐに追跡します」

 

止まる事、止むことを知らないのか、今だ降り続ける大雨。

そんな雨に打たれる大きな1つの屋敷内、その個室にて正装に身を包んだ金髪女性が、古風な固定電話にて話をしている。

 

『なら補給もできるね、糧が足りなければなおさら、終わりなき災禍に抗うためにも』

 

「……はい。小さなことでさえ必ず犠牲は出る。なればこそ、犠牲の上にしか、真の勝利は立たない。そして勝利とは、常に代償と引き換えに訪れるもの。ですね」

 

『だから糧にするのさ、多くの命を。僕たちは』

 

それを最後に受話器を戻す。

そして後方にて待機している黒服たちに命令した。

 

「戦闘に特化した"個性"持ちを最優先に人員を集め、進行準備を。私たちも行くわよ」

 

「「「ハッ!!!」」」

 

黒服たちは命令に従い、動き始める。

そんな中金髪女性は()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「破滅にして終焉……彼女がまだいたなら、打開策を多く出してくれたのかしらね」

 

そして雨が降り続ける外を、窓から見上げる。

その雨雲である空は——

 

 

——禍が形を成し、世界を蝕むような、黒く異質な亀裂が入っていた。

 

 

 

 





情報多すぎ?
なるべく物語の中で回収していきますよ。なるべくですがね。

それと新章の評判次第になりますが、実はいくつか他の案もあるんですよね。
でも原作が結構シリーズ的にアレだからこれがまた難しィ!!!それでもやるしかないけどね!!


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