この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!
雄英高校、門前。
そこにローブを羽織り、フードを深く被る少女がおり、その足を動かし、門を潜ろうとする。
しかし雄英の門は『雄英バリア』というセキュリティシステムがあり、
故に関係者以外入ることは不可能と言えるだろう。
そして少女は周りに溶け込むように、姿を薄くしていき、その場から消えた。
——◆——
ただでさえ内容が大きく理解するのに厳しいのに、さらに衝撃的な告白をしたイヴちゃん。
その告白に、相澤先生含め全員が絶句していた。
「ヒーローが、いない…?」
「敵の手によって日本を始め、異国含め多くのヒーローたちが命を落としていった。その敵は
結果で言えば、その敵によって元々いた
そして生き残った一般人や特異"個性"を持つ者たちも捕縛され続けている。
生き残ってるって言っても、自由に生きているわけではないから。
「それは……ヒーロー候補、学生たちもですか?」
「そうだよ。ヒーローを、正義を志し、掲げる人たちは漏れなく殺された………
「なんてひでぇことを……とても人のすることじゃねぇ!!!」
切島くんが拳を握り締めて叫ぶ。
他にも数人同じように思って頷いていた。
「一つ聞きたい。お前は先ほど、最後には生贄、糧として利用されると言っていたな? その意味は何だ? ただ惨殺されるだけではないのか?」
常闇くんがイヴちゃんに聞き出す。
年中厨二病な彼だから聞き取れたんだろうね。
「それは……私の世界に、敵とは別の脅威が、災禍がいるから」
「災禍…?」
「私含め、全員がそれを『終わりなき災禍』と呼んでる。まだ確証は低くて、可能性や仮説でしかないんだけど…その災禍が顕現しようとしてる」
終わりなき災禍……ここからは私も初めて聞く内容だ。
「私も詳しい詳細は知らない。でもある日に、彼女の想いに応えるように災禍は顕現せずに力を、その場にいたヒーローと
「無差別に殺戮って……」
「だけどある男が現れ、重傷を負いながらも災禍を一時的にだけど、封印することに成功した。災禍が完全に顕現する前に。だけど封印が解ければ、その瞬間に災禍は顕現する。そして今度は……その世界そのものを殺戮していく」
「まさに神の裁き……そして裁きに抗う人類というわけか」
神の裁き……てことは向こうには神様がいるってこと?一応存在するかわからないけど、私…正確には美音がだけど、『シェム・ハ』の腕輪も具現化させて『シェンショウジン・ファウストローブ』と一緒に纏ってはいたけど……本当に実在するのかな。
「てことは……その災禍を止めるためにヒーローが必要で、もう自分の世界にはいないから俺たちの世界に救けを求めに来たってことか?」
「でもよ、それだと最初に話してた敵はどうなんだ? その災禍ってやつの部下って感じにも思えねぇんだけど……」
「それは私もわからない……なんで災禍を封じたあの人が、ヒーローと
その敵と私と同じ力を扱っていた彼女は仲間なのは確かだ。そしてやってることはほぼ災禍と同じ……なのになんでその敵たちは災禍を封じた?
そもそも生贄って、糧ってなんだ?何の意味があるんだ?
「でも言えるのは、災禍と敵はお互い敵同士、それは私も同様、だから三つ巴と言ってもいい状態。でも、私の対抗手段はこれだけなのと、こうして逃げてここまでこれたのも奇跡に近い」
そういいながらイヴちゃんは首にかけて、胸の谷間で隠れていたギアペンダントを取り出し見せる。
「それは?」
「これが敵に対抗するための力。元々は彼女が想いと願いを込めて、私に託した形見みたいなものなんだけど……彼女の力が込められていてるから、起動させれば彼女の力を扱えるようになる。でもまだうまくいかなくて……」
「彼女って…?」
「………ごめん、それはまだ、言えない」
一瞬私を見てから目を逸らした。
まぁそうだろうね。そのギアペンダントの正体も、それを唯一知る人物も、この世界では私。
もし向こうの世界でも同じなら……。
「私一人じゃ太刀打ちできない……だからあなたたちの力が必要なの。特に——天堕幻神の力が」
その発言の瞬間、みんなの視線が私へ向けられた。
「なんで天堕だ……天堕、お前は事前に聞いていたんだろ? 何か知っているのか?」
「えっと…なんて説明したらいいのやらって感じで……」
「……その理由を言っても、頭がいっぱいでもうわからないだろうから今日はここまでにする。明日また時間があれば話すよ。みんながどうであれ、私には時間が惜しいから……こっちで進んでるように、向こうもまた時間が進んでるから」
それを最後にイヴちゃんは、既に教師たちで手配されているA組寮内の自分の部屋へと、足を動かし向かっていく。
残された私たち…正確には私以外のみんなは、さっきの話が本当かどうか、その内容がとんでもないことであることでいっぱいっぱいだった。
——◆——
A組寮内で手配されたイヴの部屋。
生徒たちが寮に初めて訪れた際の家具などが配置されており、自分の部屋作りの前の初期状態と言える。イヴはその部屋に入れば、まっすぐにベッドに仰向けになって転がった。
「………やっぱり、頑張って話しても信じてもらえないよね。世界を超える、複数世界があることなんて」
誰もいない空間で1人呟く。
そして胸の谷間で隠れているギアペンダントを取り出す。
「なんで…力の一部を私に託したの…? なんで、あなたはもういないの……■■さん」
目に涙が溜まり、たらりと重力に従い後頭部の方へと流れ落ちる。
イヴの本当の意味での真実を知る者は、この世界にはいない。
——◆——
雄英高校、会議室。
「以上が、本日聞かされた内容です」
「『並行世界』だけでもすごいのに、そのイヴさんの世界はヒーローがいないだなんて驚愕ね」
「あぁ、壊滅しているって言い方がなおさらだ」
そこでは雄英校で教師も務めているプロヒーローたちが集まっており、今回イヴが話した内容を相澤が即席でまとめた書類を配り、共有していた。
「超常、超人社会であるこの世界では、どんな力が、"個性"があってもおかしくない。だけど、『並行世界』の"個性"持ちが我々の世界に来たのには驚きさ」
「こっちに来た目的は、対抗手段がないがために、他世界のヒーローの力が必要と……」
「俺から言わせてもらいますと、そっちの問題はそっちの問題なんだから巻き込むなって思いますね」
イレイザーヘッドの言い分に納得する者もいる。
何しろ規模が違う。世界を超えるとは、この世から姿を完全に消すとも言える。
「オールマイト、どう思う?」
「……正直、信じられないと言えます。ですがオール・フォー・ワンがいる以上、そういった"個性"が存在してもおかしくないと思っています。もう引退した身ですが…救けられるのなら、救けたい」
元平和の象徴、No.1ヒーローであるが故。
オールマイトはイヴの話を信じられないが、信じている。何故なら教師たちは先に顔を合わせており、その際にオールマイトから見たイヴの表情は救けを求めているように見えていたからだ。
「そういえば、彼女と一番最初に接触したのは天堕さんだったわよね? しかもイヴさんが
「そうみたいだ。そして面会した時に既に話を聞いたらしい」
そこにプレゼント・マイクが「思ったんだけどよ」と挟む。
「仮によ……その
その発言を聞いた瞬間、全員が驚愕した。
だが同時に納得も行く。
イヴは己の世界から自分たちの世界に"個性"で飛んできたが、彼女は言っていない。
自分以外が世界を超えてきたことを。
それに当時の
だが最悪な可能性が今生まれた。
イヴを追跡してきた『並行世界』の
「そうでないことを願いたいが……警戒はしておかないとなだな」
それに大幅に強化された雄英バリアは黒霧のワープ系の"個性"でもない限り、侵入は不可能だと。
誰もがそう思っていた……思い込んでいた。
——◆——
夜、雄英敷地内。
各寮の玄関付近にはベンチが設置されており、そこに幻神は1人座っていたが、その表情、瞳はどこか上の空。
「(仮眠ですら、悪夢が出て来た……ほんっと最近目覚めが最悪だなぁ……)」
イヴの話の後、他の生徒たちはともかく、幻神自身は軽く仮眠を取っていた。
だがその仮眠ですら、突然見るようになった悪夢によって苦しみ、最悪な目覚めとして起こされている。
「(『並行世界』…悪夢……確かこの流れだと、大体の展開はゲームもやってたからわかる。だから信じられるのに…あまり信じたくない自分もいる)」
幻神の脳裏には、イヴと初めて出会った日でもあり、イヴを襲っていた
「(もし本当に『並行世界』の自分が実在するのなら、あの
瞬間、『
「「誰かが来ている」…? 『
——すれば幻神の耳にコツッ、コツッとゆっくりと歩く足音が耳に入り、その音のした方へすぐに振り向く。
教師の可能性もあるが、幻神はそうは思わず、警戒し身構える。
そして幻神の前に、音の正体が暗闇から姿を現す。
「ッ! あなたは…!!」
ローブを羽織りフードを深く被ることで身体を隠している
否……——幻神と似た力を使う少女が姿を現した。
イラスト描いた方がいいかなって最近思ってる時が多いんですよねぇ…アハハ。
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