この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!

それと前々から当選して当たったヒロアカ原画展に行ってまいりました。
最高過ぎました。また行きたいけど当選もうできない……でもグッズは全部ではありませんが欲しいものは片っ端から買い占めました。
おかげで二桁言っちゃったっていうね☆悔いはない!(ちなみに一番戦ったの来年発注されるデクと死柄木のポスターと、黒デクのフィギュア)




ARCA NOISE

 

 

 

 

並行世界、地下。

 

「クソ…出せ!!」

 

地下牢獄とも言える牢の中に緑谷は手錠をされて囚われていた。

通常なら、既に自身が受け継いだ"個性"『OFA』の超パワーによって破壊し脱出できるがしない。

否、できないが正しい。

 

「"個性"が使えれば…!!」

 

何故なら彼の腕に着けられた手錠は、装着者の"個性"——"異能"を封じる特殊な効果が施されているためだ。手錠が外されればいつも通り発動出来ようが、その手錠が着けられている状態ではそれは不可能となり、脱出も、壁の破壊も実現できなくなる。

故に緑谷はただ鉄格子に体当たりをするしかなかった。

 

「地味目のわりに結構パワーあるぞアイツ、下手したら"無個性"のまま突破するんじゃね?」

 

「ありえないだろ。それに彼は我々の世界にもいた特異点だ。なるべく傷をつけずに見張っていろって命令なんだ。やばそうだったら眠らせる」

 

「そうだな。しっかし歌姫も目が腐ってるなぁ、こんな地味目に好意を抱くとは……いや、案外こういうタイプが好きなのか?」

 

看守と言えよう見張りが2人、椅子に座り少し離れた位置から緑谷を眺めている。

脱出は無理と確信しきっている2人は少々気になってはいるが、それでも少々の雑談を終え、その場を去って行った。

 

「はぁ…はぁ…! クソ…! (目が覚めたら牢獄の中で、幻神やイヴさんはどこにもいなかった。ここはどこなんだ。みんなは無事なのか? 確かめるために、救けるためにも脱出しなきゃいけないのに……"個性"を封じる拘束具なんて、そんな代物どうやってこいつらは…!)」

 

思い返すはイヴが明かした話。

あの時聞かされた内容は今でも鮮明に覚えている。

それほどまでに衝撃的な内容であり、昨夜襲撃してきた(ヴィラン)はまさに蹂躙するほどの強さを誇っていた。

 

「幻神…イヴさん…!」

 

大事な時に自分はその場にいない。

いても何もできず、結局見ていることしかできない。

 

「どうすれば…いいんだ……!!」

 

 

『——手伝ってあげる』

 

 

「——えっ?」

 

瞬間——緑谷出久に1つの音色が囁かれた。

すると彼を拘束する手錠と、牢獄の鍵が独りでに、勝手に解除された。

 

 

——◆——

 

 

アダム・ヴァイスハウプト

人でなしといわれ、言葉通り人を捨て去り、完全へとなり、敗北した敵。

 

「なんで、空想上のお前が……!?」

 

「言う通りさ、君の。空想上でしかないからね、僕は」

 

言いたいことがわかっているのか、表情を変えずニヤついたまま言ってきた。

どうやって?もしかしてイヴちゃんの"個性"で原作の世界から来たり……?

 

「違うよ、残念ながら。生まれも育ちもこの世界さ、僕は」

 

「……ッ」

 

何も言ってないのに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「手を離してやってくれ、蜂沼」

 

「えっ、いいんスか?」

 

「コラ、口調!」

 

「かまわないよ、どっちも。こちらなのだ、招き入れたのは」

 

すれば蜂沼は私の手を押さえていた自身の手を離し、言われた通り解放された。

どういうことだ、何を考えているこの人でなしは。

 

「ひどいなぁ、人でなしとは。まぁしょうがないか。同じ姿と声、口調だからね、君の知る僕と、今の僕は」

 

"個性"は……使えないか。

やっぱりこいつらのアジトであるここは、特定の人物に限り、力を行使することができるみたいだ。

敵を封じるならば味方から。とはまさにこのことか……。

 

「さて、話そうじゃないか。知りたいだろう? この世界のことを」

 

「……その前に聞かせろ。イヴちゃんはどうした?」

 

「角笛かい? 無事だしいるよ。彼女の使用していた部屋にね」

 

よかった…いや、よくはないだろうけど、無事で…後は合流して一度脱出を図って態勢を——

 

「特異点、彼もまたこの世界にいるよ。日陰と陽だまりを照らす太陽——緑谷出久が」

 

「——……はっ?」

 

いる…だと?出久くんが、この世界に…いる?

確かに、気を失う直前まで彼は隣にいたけど、それでも無事逃走してみんなのところへ行ったはずと思っていた……なのに、コイツは今、この世界にいるって…。

 

「どういうこと!?」

 

「通りだよ、言葉の。彼もまた必要なんだ、この世界に」

 

この世界に出久くんが必要だと…?どういう意味だ、どういうことだ?

何を企むこの人でなしは、コイツに従うこの人たちは…!?

 

「……不足だろう、口だけでは。だから見てもらうよ、僕たちの目的と、この世界のことを——」

 

「——局長!!」

 

瞬間、突如として背後の扉が大きく叩き開かれたと思ったら、男性の声が響いた。

振り返れば、ローブを羽織りフードを被る男性が1人、息を荒くして立っている。

 

「特異点が…特異点が脱走しました!」

 

「なんだと!?」

 

「ほう……"異能"を封じられているのにか」

 

特異点って……もしかして出久くんのことを言っているの!?

しかも脱走って、てことは彼は今この屋敷のどこかにいて、私たちを探しているってことなのか!?

 

「くっ!」

 

「おっと、だめっスよ~?」

 

「んなぁっ!?」

 

押さえられていないことを勝機と見て、すぐに開かれている扉を潜ろうと身体を動かすも、既に気づいていたのか、蜂沼が私を抑え始めた。

 

「……局長、いかがなさいますか?」

 

「まぁ彼とも話すんだ、どっちにしろ。だから見つけ出すんだ、特異点を。そして……連れて来い」

 

「承知しました。聞いたな? 直ちに他の者たちにも伝達させ、探し出せ! 私も出る!」

 

「了解!!」

 

彼らは脱走した出久くんの捜索に動き出した。

 

「——さて、起きて早々また寝てもらうよ、話すために。そして手を取ってもらうよ。僕たちのために」

 

「……ッ、う…ぁ……」

 

アダムはそう言いながら、私に近づき、私の顔に手をかざして錬成陣を出してきた。

そして私は、意識を手放した。

 

 

——◆——

 

 

同時刻。

 

「いたか!?」

「いやいない! この迷宮で俺たちが見つけられないってどうなってんだ奴は!?」

「ボケっとするな! 我々は入り口を全て把握しているんだ!! どっちにしても捕らえられる!!」

 

「…もう気づかれたのか!?」

 

牢獄を抜け出した緑谷は、牢獄が地下であったために、地下に広がる迷宮を彷徨っていた。

否、彷徨うはずだった。

 

「! こっちか」

 

緑谷は今、微かに聞こえる謎の音色に導かれて動いている。

最初こそ半信半疑であったが、牢獄や"個性"を封じる手錠を解除したことから、自身に聞こえる音色は何かしらの"個性"で自身にも姿を現さずに救けようとしている。

故に、緑谷は今は信じるしかないと考え、素直に従っていた。

 

「ッ! 今度はこっち!」

 

音色が方向を指すように伝え、緑谷は従う。

すれば先までいた道には追手が現れたが、既に緑谷を見失っている。

 

「ッ! 入口…だけど!」

 

緑谷は足を止め壁に寄り伺う。

そこには既に見張りが数人立っていた。

 

「(全員全く同じ格好で、顔もここからだとよく見えない。誰がどの"個性"なのか混乱させるために共通の恰好をしてるのか? 脱出するには突破するしかない。今は"個性"が使える。なら——)」

 

 

『——ダメだよ。こっちに来て』

 

 

「ッ! (また音! 入口は目の前なのに、こっちに行った方がいいのか?)」

 

再び緑谷に音色が囁かれる。

だがその音色は目の前の入口へではなく、別の道へ進むようにと奏でていた。

 

「……よし」

 

正面から強行突破。

それもいいことだが、出口に見張りがいるということは、すぐに合流できる近道的なのがあるはずだ。

緑谷はそう考え、今は音色の導く道に素直に従い、進むことにしようと決意した。

 

「おい! そっち来たか!?」

「いや来ていない。影すらなかったぞ?」

「クソ! なんで初めて来た奴がここをうまく利用できてるんだ!」

「こうなったら全ての入り口を包囲して待ち構えるんだ!!」

 

見張り、『並行世界』の(ヴィラン)はより活発に緑谷を捕えようと動き出す。

それでも、緑谷を見つけ出すことはできないだろう。だが例外、否、それすらも凌駕する者は必ず存在する。

 

「ッ! うぁ!?」

 

瞬間、走る緑谷の前方から弾丸が一発通過し、緑谷は紙一重で回避した。

緑谷はすぐに【フルカウル】を纏い警戒する。

すれば地下の中に足音が響き、その音は緑谷へと近づいていく。

 

「——どうやって脱出したかは分からないが、地上と違って地下はまだ"異能"封じが効かないからこその装置として作り上げた、拘束型の"異能"封じすらも突破してみせた。やはり特異点であるが故か、只者ではないのは確かね」

 

「ッ! お前は……!!」

 

その正体は『ラピス・フィロソフィカス・ファウストローブ』を纏う金髪女性。

彼女が握る拳銃、その銃口は緑谷へと向けられていた。

 

「おとなしくしてもらえるかしら? こちらとしても、あまり手荒いことはしたくないのよ」

 

「どの口が…!!」

 

「……まぁ、そうよね。いいわ。少しだけ運動した後にでも話せばいいし——ねッ!!!」

 

「くっ!!」

 

金髪女性は銃爪を引き弾丸を放つ。

緑谷はその攻撃を避けながら距離を詰めようと駆け出した。

 

「(そこで距離を詰める……やはり彼は、()()()()()()()()()()()()())」

 

【シュートスタイル・スマッシュ!!】

 

緑谷は金髪女性との距離を詰め、【シュートスタイル】を放ち、金髪女性は片腕で【シュートスタイル】を防ぐ。

 

「っ…! (想像以上に、重い…!!)」

 

衝突しあう片腕と片足。

【フルカウル】を纏い身体能力を上げているために、一般人では出し切れない力を極限まで引き上げることのできる緑谷。

対して金髪女性は『ラピス・フィロソフィカス・ファウストローブ』を纏い戦っている故なのかは不明だが、決定的に何かが違うために、金髪女性の足は少し下がり始めており、緑谷はそれを見逃さなかった。

 

「(このまま出力を上げて…押し切る!!!)」

 

「(ッチ! 仕方ない!)」

 

金髪女性は拳銃を握る片腕を器用に動かし、片腕だけで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そして肘部に武装されている銃口を緑谷へ向けて弾丸を放ち、緑谷は攻撃を中止し躱していった。

 

「(いける! 彼女は接近戦に弱い!)」

 

緑谷は好機と見なし、再度距離を詰めようとする。

だが金髪女性は先ほどセットした拳銃を差し向け、銃爪を引く。

すれば数弾放たれ、それは意図的に地面に命中した。

 

すると次の瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()

 

「なんだ…こいつらは…!?」

 

「……そう、あなたたちの世界を見て何となく察してたけど、やっぱりこういった模造品も作られていないのね。まぁ私たちが知るまで彼女も一切語っていなかったわけだから、納得はするわね。納得は」

 

 

名は——『ARCA(アルカ)NOISE(ノイズ)

 

 

此の世界には存在することはない。

否、許されないと言った方が正しい、人の手、錬金術師によって作られた【対象の無機物、有機物を関係なく分解する兵器】

本来は【戦姫絶唱シンフォギア】にのみ存在する敵の道いる中で最も使われ、最も脅威で、最も汎用性が高い殺戮兵器。

 

それが今、相交えない趙常世界。

それも『並行世界』の(ヴィラン)が召喚して見せた。

オリジナルと異なり通常兵器でも太刀打ちは可能だが、その分解する攻撃を受ければ最後、骨も残らず赤い塵となって死ぬ。

 

「……ッ」

 

一切知らない者は構わず突っ込むだろう。

だが緑谷は警戒し踏み込まなかった。

否、それだけではない。彼に囁く音色が制止させていたのだ。

 

「ほう…がむしゃらに突っ込んでくる愚か者ではないか。まぁ知っていたが……だが、来なければこちらも攻撃しないわけではないぞ?」

 

金髪女性が緑谷へ指を指せば、『アルカ・ノイズ』は動き出し緑谷へと駆け寄る。

 

 

『——攻撃を受け止めないで! 回避だけに専念して!』

 

 

「ッ!!」

 

『アルカ・ノイズ』が自身の白い手でもある触手を伸ばし攻撃する。

緑谷は囁く音色に従いその攻撃を避ける。

そして先ほど自身がいたところを見て驚愕した。

 

「壁を、抉ってた…!?」

 

「違う。正確には触れた部分を分解しただけだ」

 

「分解!?」

 

ご親切とばかりに金髪女性は『アルカ・ノイズ』の攻撃がどのような効果を持つのかを教えた。

それを聞いた緑谷は青ざめ悟った。

先の囁く音色が無ければ、今頃骨も残らず赤い粉となっていただろうと。

 

「だが『アルカ・ノイズ』とて分解以外にもやりようはある。彼を分解せず取り押さえなさい」

 

金髪女性の命令に従い、『アルカ・ノイズ』らは攻撃ではなく拘束のために緑谷へと動き出す。

 

「(どうする!? おそらくこっちから攻撃してもカウンターでやられる可能性が上がる。いやそもそも、触れたら分解ってことは身体全体がその力を兼ね備えている可能性だってあるんだぞ!? 下手したら脳無よりも強敵…全身が死柄木の『崩壊』やちさきの『オーバーホール』みたいな敵だ!!)」

 

生身での対抗は死につながる。

緑谷は必死に思考を動かし、切り抜ける手段を探り当てる。

だがそれよりも早く『アルカ・ノイズ』は触手を伸ばし緑谷の身体を巻き付けた。

 

「しまっ…! ……分解、されない?」

 

「さっきの命令通りよ。今の『アルカ・ノイズ』は分解の機能を切っている。だから今はただあなたを取り押さえているに過ぎない。まぁもう一度起動させればすぐに分解されるから、無理な抵抗はしないことを進めるわ」

 

無理に抵抗すれば即時に分解。

それは、今触れられている身体のあらゆる場所が、1秒も経たずに、瞬間、瞬時にということ。

 

「少々手荒になったことは詫びましょう。そしてこれからあなたに話すわ。局長の指示でもあるしね」

 

「……局長? それと何を話すんだ」

 

金髪女性は、()()()()()()()()()()()を取り出し、自身の足元に叩きつける。

すると青い錬成陣が展開され、地下通路であったその場所は錬成陣から浸食されるように風景を変えていった。

 

「な、なんだ…これ…」

 

「——見せてあげるわ。私たちの目的と、この世界の今の現状…そう、真実を」

 

変わった風景。

そこは戦いによって崩壊し、半壊滅状態。

否、今もなお戦いが繰り広げられている場所に——

 

——神野の悪夢、その当日の夜。

 

——映し出されるは現場だけではなく、当時、その地に立ち戦った者たちもまた映し出されていた。

 

 

——大きな分岐点が今、明かされる。

 

 





次回、ついに並行世界に起きた事態が明かされます(…多分)。

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