この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!




MACROSS QUARTER

 

 

 

 

旧神野区跡地。

 

黒く異質にして禍々しい巨大な亀裂は、徐々に亀裂を広げていき、中心には穴として奥に黒い空間を開き、そしてゆっくりと泥が溢れ始めてもいる……そんな終わりなき災禍が空中に存在している。

その終わりなき災禍へ向けて、否、向かっている黄緑の輝き1つと、白銀の閃光が3つあり、まるで呼び寄せるかの如く、地響きと雷鳴が混ざったような異音が世界に響いていた。

 

「呼ンデル、呼ンデル」

 

「私タチノ母、原初」

 

アルビノである故に真っ白な幼女たちは、その背に輪っかを広げ飛びながら、暗示、もしくは洗脳のように呟く。

一方少女(ヴィラン)、否、この世界、『並行世界』の住人である黒換ミネもまた、己の背に武装する『()()()()()()()()()()()()()()で向かいながら呟いていた。

 

()()()()()()()()()……」

 

遷音速とも言える速度、故に羽織姿を隠していたローブマントははだけ飛び、彼女の…夜空を印象付ける青黒に月を思わせる月白色のインナーカラーの長髪。

だが黄金の中に星を思わせる模様があるその瞳は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

——◆——

 

 

()()()()()()()()()

巨大な地下空間に、人工の光に照らされる巨大な艦があった。

 

「全艦、発進シークエンスを開始!」

「反応炉充填開始、臨界点まで300秒!」

「慣性制御システム、演算処理始動!」

「開放まで60秒!」

 

その艦橋から、複数のオペレーターの矢継ぎ早な報告が響き渡っており、艦の上にいる者たちも作業を急ぐ形で勤しんでいる。

 

「第1主機、始動! 第2・第3も追随!」

「制御流体、規定圧へ上昇中!」

「慣性制御、安定域に突入!」

「重力アンカー解除! 拘束ボルト、全ブロック解放!」

 

巨大な艦が震えだし、直上の天井からも小さな石などが落ち始める。

 

「弾薬庫、フルロード完了! 複数異能保管、全ユニット装填済み!」

「飛行型『アルカ・ノイズ』、カタパルトに待機!」

「外部フィールド解除! ゲート全開放!」

 

瞬間——天井が左右に大きく開き始め、雨雲越しの光と降り注ぎ続ける雨が艦に当たり始め、艦もその姿を真に見せ始めた。

それを艦橋に連れ込まれていた緑谷たちは困惑、否、幻神だけは目の前の光景、状況を信じられずにいた。

だがそんな幻神たちのことは気にすることなく、アリスたちは動いている。

しかし、それでもと、緑谷はアリスに問うた。

 

「何を、する気なんだ?」

 

すればアリスは緑谷たちへ振り向き、答える。

 

「本当はもっと手順を踏める予定だったけど、終わりなき災禍が想定をはるかに上回っている。それでも、これだけはわかってほしい。私たちは終わりなき災禍を止めるために、この身を悪に染めたってことを」

 

己がしてきた悪行により、自身の世界のヒーローたちの殲滅をしてきた。

故にヒーローは既にいない。にもかかわらずアリスたちは終わりなき災禍を止めるため動いている。

幻神と緑谷、そしてイヴはその行動の意味を理解できず、今アリスが放った言葉の意味も理解が出来なかった。

 

「ヒーローは確かに人々のために行動し、戦う。だけど、それでも正義には限度がある。だからこそ、限度を知らない…いいえ、限度なんてはなっから関係ない悪に——(ヴィラン)になることを私たちは選んだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それを最後にアリスは再び前を向き、オペレーターの報告に再び応答し始める。

 

「エネルギー充填100%! 全システムオールグリーン!」

「コンタクト完了! 行けますッ!!!」

 

「ならばよし! 行くわよ——」

 

 

「——『マクロス・クォーター』! 発進ッ!!!」

 

 

叫びとともに、地下の地についていた艦は、艦底は重力を無視し、雨雲の空が見える天井、その外へ向けて浮上を始め、ついに地上から空へと飛び上がる。

 

「——なんで『マクロス・クォーター』があるのぉぉッ!!!!?」

 

その一方で、我慢できずとうとう幻神は絶叫した。

『ファウストローブ』や『アルカ・ノイズ』だけでなく、『並行世界』の敵と言えるかもはや分からないアリスたちは、幻神しか知り得ない『マクロス・クォーター』までも再現し現実に建造して見せたのだから。

 

「幻神…これ、知ってるの?」

 

「へっ!? あ、いや…その……な、なんて言いますか…」

 

ゴニョゴニョと言葉が詰まる幻神。

それはこれらは全部、他の物同様『並行世界』のユウカ、彼女の前世の記憶を見て再現したもの。

それ以前に『マクロス・クォーター』を大きさ含めて完全に再現するアリスたちの技術力が異常と言えるだろう。

幻神と緑谷の世界では、記憶が見られていないのもあるが、これらは再現されていないどころか、建造のけの字も入っていないのであるから。

 

「この世界の天堕ユウカの記憶、まぁ言い換えれば彼女の"個性"故に考えられた空想の物を私たちなりに再現した代物よ。本人が直接具現化するのに比べれば私たちのなんて可愛いものでしょ?」

 

「(いや出来ませんよォ!?こんなビッグなものは、『紡心(アクシア)』を持ってしても無理ですよ!? いやまぁ"個性"増幅装置があったときは『Sv-303 ヴ』を具現化できていましたけど、何なら闇もできていましたけども!!)」

 

幻神は顔と声に出さないよう必死に抑えながら、ただただ心の中でツッコむことしかできなかった。

 

「まぁいいわ。進路は旧神野区爆心地!! 局長は別で後から合流すると言ったわ! その間、私たちで何としても終わりなき災禍を止める!! 既に歌姫たちは接触してしまっている可能性が十分ある故、どっちにしても出し惜しみ不要!! 我々はヒーローではない! (ヴィラン)だ!! (ヴィラン)だからこそやれることがある!!! 行くわよ!!!」

 

「「「了解ッ!!!!」」」

 

地上から十分な距離を離した『マクロス・クォーター』は推進器を噴射させ、旧神野区爆心地——終わりなき災禍へ向け、全速力で進行を始めた。

 

 

——◆——

 

 

???

薄暗いその部屋にアダムは踏み込み、ある一つの写真立てを手に取り見つめる。

 

「……時が来たよ、君の言う通り」

 

その写真を見つめるアダムは呟く。

 

「……何時かは来たるこの日のために、しなくてもいいことを、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。全ては、終わりなき災禍を欺くために」

 

だがその顔はどこか、寂しさを漏らしながらも決心している表情だった。

 

 

——◆——

 

 

旧神野区爆心地跡地。

かつては街があり、平和の象徴と悪の象徴、魔王が衝突した場所にして、今は核ミサイルによって荒れ地となっている。

そして爆心地の最も大きな跡地、クレーターには泥が、中心に穴がゆっくりと空けられ始めている、黒く異質な禍々しい巨大な亀裂が、中央の空中にはクレーターの周辺には破損した4本の亀裂が入り、微量ながらも輝きを漏らす3本の柱が置かれていた。

 

「旧神野区爆心地エリアに進入!」

 

「終わりなき災禍の直上に歌姫並びに異能格納型幼体の姿を光学で確認!」

 

画面がアップされれば、空中でひび割れている穴の、終わりなき災禍の上に黒換ミネと異能格納型幼体らが浮いていた。

 

「『アルカ・ノイズ』の射出準備! 既に出来ている個体から射出を!!」

 

『『アルカ・ノイズ』カタパルトに固定完了、各機、完了次第射出を』

 

アナウンスと共に、『マクロス・クォーター』のカタパルトに既に固定されていた『アルカ・ノイズ』から、次々に射出されていき、格納庫からまた別の『アルカ・ノイズ』がカタパルトへと移動していく。

 

「主砲斉射用意!! 炎系異能弾装填! なんとしても終わりなき災禍の復活と歌姫たちの接触を防ぐのよ!!」

 

アリスの指揮により、『マクロス・クォーター』に搭載されている各砲台が終わりなき災禍へと標準を向けならが、主砲内部にて特殊な液体が装填される。同時に推進器からエネルギーが最大に放射され、その巨体で出せる最速で終わりなき災禍へと向かい飛行する。

 

「装填完了! いつでも撃てます!!」

 

「ならば撃てェ!!!」

 

瞬間、主砲から装填された炎系異能弾が、赤いエネルギー弾が一斉に放射される。

そのエネルギー弾は真っすぐ終わりなき災禍へと飛来し、空けられている穴へと入った瞬間爆発。

それでも『マクロス・クォーター』は止まることなく、立て続けとばかりに溜めては放ち続けている。

だが次の瞬間、主砲の一つが大破する。

 

「主砲被弾により大破!! 損害不明!!」

 

「9時方向に反応検知! 異能格納型幼体『α』です!!」

 

「なんだと!?」

 

アリス並びに、幻神と緑谷もつられる形で9時方向へ顔を向ける。

すれば舷窓越しに1人の小さなアルビノの白い姿をした異能格納型幼体が、背に天使を思わせるリングを出しながら『マクロス・クォーター』と同等の速度で飛行していた。

そして異能格納型幼体αが、自身の片手をかざした瞬間、無数に掛け合わせられた"異能"が『マクロス・クォーター』へと放たれ、一瞬にして被弾し爆発する。

 

「アンチ"異能"装置を——ぐっ!!」

 

アリスは急ぎ、『マクロス・クォーター』から一定の範囲内の"個性"——"異能"を封じる装置を起動させるために指揮を取ろうとするも、αからの立て続けの攻撃を被弾していまうことで妨害されてしまう。

 

「ダメです! アンチ"異能"装置の起動をする暇がありません!!」

 

「チッ……勝負を挑むのなら上等!! 左舷砲撃戦用意! αをけん制しつつ、終わりなき災禍へ急ぐ!!」

 

「ッ!? 待ってください! 相手は子供なんですよ!?」

 

『マクロス・クォーター』の主砲を異能格納型幼体αへ向け、放とうとすることに緑谷は黙っていられず叫びだす。

立場がどうであれ、相手は最近救ったばかりの壊理と同じぐらいの年頃の少女である故だ。

それでもアリス達は問答無用でエネルギー弾を連射型に切り替えて攻撃を始めた。

 

異能格納型幼体αは自身へ放たれたエネルギー弾、その全てを躱したり、複数の"異能"を駆使して弾き飛ばしたりして回避していく。

それを見た緑谷と幻神は絶句した。

 

「隊長! 異能格納型幼体の『β』と『γ』にも動きが!! αとは別に、12時方向と3時方向から接近してきます!!」

 

「泥エリアに入ったから総攻撃で沈める気か……『アルカ・ノイズ』は!?」

 

「全個体ダウン!! 泥に飲み込まれてしまっています!!」

 

「ッチ! やはり『アルカ・ノイズ』でも泥の突破は無理か……」

 

「攻撃来ます!!」

 

三方向から、複数の"異能"による総攻撃。

それをもろに受ける『マクロス・クォーター』だが、それでも耐え、真っ直ぐ飛行し続ける。

それを見ていた幻神は、自身の手を強く握りしめ——

 

「幻神!?」

 

——廊下へ駆け出て、それを見た緑谷は急ぎ後を追うために駆け出した。

 

「あ、アリスさん…もしかしてなんスけど……」

 

「わかってるわ。すぐに用意を!!」

 

その行動を蜂沼とアリスは理解しており、すぐにマイクに向け作業員に指示を出した。

 

 

——◆——

 

 

旧神野区爆心地。

封印をこじ開けようとする終わりなき災禍の直上、そこにスラスターウィングを纏う黒換ミネが浮遊している。

そんな彼女は感じ取る。()()()()()()1()()()()()()()()()()1()()()()()()

瞬間、終わりなき災禍から異音が響き渡る。

耳にしたミネは己が宿る"異能"を纏う装甲とは別に発動を始め、異能格納型幼体の後に続き飛ばした。

 

 

——◆——

 

 

発進カタパルト、そこに一人の影が飛び出し固定されていた。

 

『4番発進ゲート展開。緊急コード登録1541、天堕幻神をカタパルトへ』

『カタパルト、進路クリア。天堕幻神、発進スタンバイ』

 

本来『戦闘機』を射出するためのものであるが、趙常世界にとっては異能保持者を直接射出するようにも作られているため、人間単体での射出を可能にしている。

故に、彼女は己の両足をカタパルトに固定していた。

 

——もういろいろとありすぎて頭の収拾が追いつかない……。

 

——何でも許せる人向け用の本だとしても、これは異常だ。

 

——だから……だからもう、今はこれ一つだけを考えて動く!!!

 

 

——Killter Ichaival tron(同じ辛き思いをさせない為に)——

 

 

己自身の『聖詠』を歌を口ずさむ。

瞬間、心臓が大きく高鳴り、幻神は赤い輝きに包み込まれる。

 

肌にピッタリと張り付く赤を基調とするバトルスーツを身に纏い、両足には赤と白のストッキングとヒール、両腕には装甲が薄いガントレットを装着。

 

SG-r02 Ichaival

 

後腰には尖ったリボン、ウィングののような大きなスラスターを装着し、連動するかのように正面が開いた輪っか型の装甲が展開し装着。

頭部には上面に3枚の装甲、左右中央に楕円型にその上下に六角形の筒に似た装甲を装着。

 

SYSTEM ALL GREEN

NORMAL OPERATION

 

胸もとの『ギアペンダント』の左右だけがそれぞれ2本ずつルビーピンクへと変化した。

 

 

イチイバル・Ver.XV

 

 

イチイバルを纏った私は瞬時にガントレットを変形させてリボルバーとしてのアームドギアを形成させる。

 

今の幻神の思考はただ一つ、『並行世界』であろうと……——

 

「絶対救けるから……お姉ちゃん!」

 

——姉である黒換ミネを救うこと。ただそれだけだ。

 

イチイバルを纏った幻神は己の背にミサイルを2つ、両手のガントレットを変形させクロスボウを形成する。

そしてミサイルを推進機代わりとし、足を曲げて身構える。

 

イチイバル維持、神獣鏡(シェンショウジン)、浮遊機能展開、起動」

 

イチイバルを纏ったまま、神獣鏡(シェンショウジン)に搭載されている浮遊機能を発動させる。

 

「アカシア、出ますッ!!」

 

同時にカタパルトは動きだし、幻神もまたミサイルを点火する。

 

「うぅ…!!!」

 

そして勢いにもがきながらもカタパルトから射出され、ミサイルの推進機と神獣鏡(シェンショウジン)の浮遊機能にて飛行を始める。

 

「(人間用のカタパルトとか、というかこういうのって【地球侵略を目論む小さな緑の宇宙人】のアニメか【擬人化した艦】のアニメぐらいしか見たことないってのに……) ……ッ!?」

 

心の中で現状にツッコミを入れている中、前方から黄緑の輝きが閃光の如く幻神へ接近する。

その正体を見た幻神は驚愕し防御態勢に入った瞬間に、衝突した。

 

「うぅ…! ミネ!!」

 

正体はスラスターウィングの装甲を纏い、大剣に形状変化した馬上槍を両手で握る『並行世界』の黒換ミネ。

 

「邪魔、シナイデ……!」

 

「くぅ!! だとしても!!」

 

弾け合い、幻神は心を痛めながらエネルギーの矢を放つ。ミネは矢をすべて弾き、再び接近し、攻撃を繰り出す。

 

 

オール・フォー・ワンの手によって運命を定められた姉妹は、世界を超えて再び衝突する。

 

 

 

 





余談ですが、イヴの世界であり、美音が生きた世界線の『並行世界』超常世界の技術は幻神たちの世界より少しだけ進んでおり、『並行世界』の幻神の前世の記憶と、壊理ちゃんから作り出された消失弾のように、DNAや血液などから"個性"の力の一部を兵器として作り出した結果、『マクロス・クォーター』はオリジナルに限りなく近く、それでいて自分たちが使えるよう改造を施した上で建造されています。

幻神自身が自ら具現化させたものより劣等型でもあるため、これが本家と戦えば一発で完全体はします。あくまで超常世界で作り出された艦と思ってください(ここら辺の説明難しくて、言葉にできません…うぅ…)

なんかテンポ早くない?
オリジナル編を長く過ぎるとダメなので、なるはやも含めてます。ご了承ください。


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