ラブライブリスタートシリーズ ラブライブカーニバル リンクス 作:しゅみタロス
静岡の沼津から東京に帰る前夜の事、俺達は沼津でのライブを見事成功させた。初めての夏のフェスイベントだけあって熱気は凄まじく、オーディエンスは活気に溢れていた。そんな中、このライブを手掛けた俺はただ横で見ているだけだったのだが市長の挨拶に絡まれた結果、ステージに登壇する事になった。反面ステージに上がる事はこれが初めてで持ったマイクは若干震えながらも平静を保ちつつ、オーディエンスの前で市長の質問に答えていた。横で若干高坂さんの笑い声が聞こえてくる事があったため緊張している事がバレバレだったのかもしれない。ああ、こんな姿高坂さんに晒すとか男として情けないなぁ、俺。そう思いながらも最後の挨拶をしてトークを閉じると同時に歓声が聞こえ、少なくとも自分の気持ちや意気込みは伝わったと思う。
だがこのイベントはライブだけのイベントではない。会場内には多くの屋台が軒を連ね、焼ける鉄板の匂いと音がライブ会場を賑わせ、多くの人たちが食べ物やゲームの景品を手にイベントを楽しんでいる。言わばここで行われているのは音楽フェスは夏祭りの要素も含んでいる。
それなら楽しく遊ぶしかない、俺はそう思うと屋台へと足を運んだ。
心咲「すごい熱気だな……地元の夏祭りだけあって人も多い」
そう思いつつ歩いていると……
穂乃果「あ、いたいた、心咲君!!」
心咲「あ、高坂さん。やっぱり来てたんだな」
穂乃果「私だけじゃなくてミューズのメンバー皆こっちで遊んでるよ」
心咲「やっぱ考える事は同じか、どうする?一人じゃ危ないし一緒に周るか?」
穂乃果「え?良いの?」
心咲「ああ、高坂さんには色々と……ご褒美とか、あげたいし……」
穂乃果「そうなんだ……じゃあ、一緒に行こ」
心咲「いくらでも」
正直今ナチュラルに一緒に行こうとか言ってしまったがこれ言わばデートのそれなんだよな。そりゃあ、驚いて当然だ。恋仲でもない男と一緒に祭りを周ろうとか軽率過ぎる発言だよな。ああ、また俺やっちゃたな。変な風に思われていないだろうか?
穂乃果「心咲君、お腹空いてない?あれ美味しそうだから買いに行こうよ」
高坂さんはそう言うと海鮮焼きそばの屋台に指を指す。
心咲「おお、良いな。ついでにお好み焼きとかりんご飴も買って行こう」
穂乃果「いいね!!一緒に食べよう!!」
深く考えても仕方ない、今だけは邪な考えはせず、この祭りを楽しむとしよう。
心咲モグモグ「旨いな、エビとかイカが入ってる焼きそばとか絶対東京にはないよ」
穂乃果「お好み焼きも美味しいよ、キャベツあま~い」
買った物を近くのフリースペースで食べる、だが周囲には何かとカップルが多く、空気感は少し照れくさいが今は考えないようにしよう。そう考えながらりんご飴のビニールを剥がす。
すると……
穂乃果「心咲君、さっきからあまり目を合わせてくれないけど……何か怒ってるの?」
突然言われた言葉に思わず目が覚める、この状況で無心になりすぎたのか高坂さんに不安の色が出ている。
心咲「い、いや違うんだ。ただ、ちょっと男心にな……」
穂乃果「やっぱり、私が何か……」
心咲「だから違うんだ、その……
高坂さんと二人きりでお祭りデートなんて、平常心じゃいられないんだよ……」
穂乃果「え……」
我ながらカッコ悪いこと言ってしまった……平常心じゃいられないのは本当だがこんな本音を聞いたら誰だってヘタレとか言われて当然だよな……こんな根性無しになってしまったのもある意味健全男子になってしまった弊害か。こんな俺、高坂さんはきっと……
穂乃果「良かった……」
心咲「???」
穂乃果「心咲君も、デートだって思ってたんだね」
心咲「高坂さん……」
穂乃果「穂乃果もね、そう思ってたから……あまり意識しすぎると、嬉しくてニヤニヤしちゃいそうだったからずっと考えないようにしてた。でも、嬉しい反面心咲君が凄く思い詰めた顔してたから……不安になっちゃて……」
心咲「ええ……」
似た者同士かよっと思ってしまうぐらい理由が全く俺と同じ、やっぱり、意識してたんだな……。
心咲「ごめん、心配かけちゃったな……。正直な話、俺達には少し早い話だと思ってたから」
穂乃果「早い話?」
心咲「ああ、いつか、本当のデート、出来たら良いなって……」
穂乃果「本当のデート……」
心咲「……」ガリッ
りんご飴を齧ると同時にこれ以上は話が続かなかった、言うべき発言じゃ無かったかもな、これ……
そうして状況の中、こっちに誰かがやって来た。
ことり「あ、2人ともこんな所に居たんだね」
海未「随分と楽しんでるご様子で」
穂乃果「うん、一緒に周ってたよね」
心咲「十分楽しんでるよ」
すると園田さんは紙袋を見せる。
海未「線香花火を射的で貰ったのでこれからミューズの皆でやりましょう」
心咲「それは面白そうだ、高坂さん、行こう」
穂乃果「うん、行こう」
そう言うと高坂さんは俺の手を握る。
楽しそうな高坂さんの気持ちを察しつつ、俺は手を引かれて前へと進んだ。