機動戦士 ガッターロボ號   作:しんしー

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第14話 ガッター復活!

 『アイダホ』の作戦指令室では、緊急の作戦会議が開かれていた。

 ゴウたち戦闘メカのパイロットたちも集められている。

 アイダホの副長は一同の顔を見回してから口を開いた。

 

「敵の移動基地ドラゴントータスはラコン河を渓谷沿いに時速50キロで南下しています。総重量が我が艦アイダホの10倍…火力も10倍あると、いや、それ以上あるとみていいでしょう」

 

 艦長は状況を説明する副長の顔を見た。

 

「つまり…まともに立ち向かうのは無理、と?」

「傷を負わせても一掃されるでしょう。我が艦がドラゴントータスと戦う手段は一つしかありません。敵が今のスピードで進めばあと34時間で河のぶつかるサーモンパークと呼ばれる渓谷にぶつかります」

「よし。そこで勝負をかける」

 

 艦長が柔和な顔で宣言した。

 

「だが、それまでに我が艦が敵に発見されれば終わりだ」

「ええい、まどろっこしいぜ!」

 

 シュワルツがテーブルを叩きながら怒鳴った。

 

「そんなもんは核を使ってぶっ飛ばしちまえばいいんだ。ドカンとな!」

「おいおい…空軍さんは短絡的だな。南極条約ってのを知らないわけじゃなかろう?」

 

 ボブ・ホフナー中尉が溜息をつきながら呆れた声で突っ込んだ。

 

「条約違反をしたら奴ら、地球中にばらまかれた『マンジュウ』を一斉に爆発させるぜ。世界の主要都市は全部吹っ飛んじまう」

「知るか! みんな吹っ飛ばしちまえ!」

「落ち着けよ、シュワルツ!」

 

 ゴウがシュワルツをたしなめた。

 その顔も苦く歪んでいる。

 

「なんだと、宇宙のサルが誰にもの言ってやがる!」

 

 シュワルツがゴウの胸ぐらを掴んで吠えた。

 

「やめてください、シュワルツ少尉。今は作戦会議中です」

 

 ミチルダの言葉にシュワルツは渋々手を離した。

 61式戦車から変形する戦闘メカ『SG-25ブラント』を駆るシャフナー中尉が、先の戦闘で戦死した。

 そのことが、シュワルツを苛立たせていることは皆が承知していた。

 

「いいか、諸君」

 

 艦長が作戦指令室にいるすべての兵士たちの顔を見渡し、覚悟の檄を飛ばす。

 

「我々の作戦に失敗は許されん! 我々の前には勝利か死しかないー!」

 

 その時、アイダホの巨体が激しい振動と爆風に襲われた。

 

「何事だ」

 

 艦長が問いただした。

 

「北北西10キロの地点に…高熱源体が落ちました! 直径100メートル、消失!」

「なんだと? 何が起きてる?」

 

 アイダホの兵士の返答にゴウが問うた。

 

「わかりません…いや、メガ粒子砲の一撃です。成層圏…高度2万メートルからの爆撃です!」

 

 その言葉が終わらないうちに、再び爆風と衝撃がアイダホを揺さぶった。

 

「第2撃、来ました! 北北西7キロに着弾!」

「このアイダホの位置がばれたのか?」

 

 シュワルツが皆の心の内を代弁するかのように言った。

 

「いや、これは無差別攻撃だ。ドラゴントータスの進路上にあるものすべてを焼き尽くす気だ。だが、今このアイダホを発見されるわけにはいかん!」

 

 艦長が叫んだ。

 しかし、今のゴウたちに打てる手はない。

 その時、コンソールパネルを凝視していたオペレーターの一人が冷静に口を開いた。

 

「成層圏の熱源体の発射元と思われる物体に、なにかが接近しています!」

「なんだと?!」

 

 いち早くゴウが反応する。

 

「接近している飛行物体…友軍の『ミデア輸送機』です。全体が黄色い! 地球の海にすむサカナ…ハコフグに似ています! データ照合…該当する機体は登録されていません!」

「ハコフグ?」

 

 ミチルダが呟いた。

 

 

「なんか知ってるのか、ミチルダ?」

 

 ゴウの問いかけにミチルダが答える。

 

「ジン大佐から聞いたことがあります。ガッターの地上での運用を考慮して、ミデア輸送機を改造したガッター専用の航空母艦というべき機体を開発していると」

 

 

 高度一万五千メートル。

 ジェット推進の限界と言える高度をハコフグは宇宙に向けて上昇を続けていた。

 機体は激しく振動し、いつ分解するかわからない。

 だがそれでも、ハコフグは上昇することをあきらめなかった。

 

『ソノバ技師長、もういい。ここから先はガッターが行く!』

 

 ガッターのコクピットからガイが叫んだ。

 

「大丈夫だ、ガッターを少しでも宇宙に連れて行ってやる。君は焦らず待機していろ」

 

 ソノバ技師長は握りしめた拳に脂汗をかきながら冷静に回答した。

 

「…しかし技師長、腑に落ちませんね」

 

 ナント整備士の問いかけにソノバ技師長は頷いた。

 

「ああ。百歩譲って大気圏内で射程20キロのメガ粒子砲は理解できる…だが、このミノフスキー粒子の影響下でこれだけの超長距離射撃を成功させる技術…普通に考えれば70年は先の技術だ。モビルビーストといいジオンのやつら、これだけの科学技術をどうやって開発したんだ?」

「技師長! ハコフグ、限界です!」

 

 パイロットが激しく震える操縦桿を必死で押さえつけながら叫んだ。

 

「よし、ハコフグの腹を開けろ。ガイ、ガッター発進だ」

「承知! あとは任せてくれ」

 

 ソノバ技師長の言葉にガイはガッターの出力レバーをゆっくり押し込んだ。

 損傷個所を全て修理され、そしてさらなる強さを手に入れるべく改修されたガッター號のデュアルアイに瞳が宿る。

 

『ガイ、本来ならガッター翔で出動したいところだがハコフグの中で換装することはできない。パイロットも君一人では空中での換装も無理だ。このままガッター號で行ってくれ』

「わかってる。大丈夫ですよ技師長、絶対に何とかする」

『さらに云うならフルアーマー化での空中戦は想定外だ。パワーは保証するが命の保証はしない。頼むぞ』

「任せろ!」

『ガッター発進3秒前。2、1、発進!』

 

 ドワォ!

 

 ハコフグの腹からガッター號が放出された。

 その胸部、腰部、そして脚部には巨大なプロテクターが装着されている。

 胸部で巨大なVを描く装甲は光をばらまくように輝いていた。 

 G鉱石…ガンダリウム鉱石で造られたガッターロボの新たなる力。

 追加されたミノフスキー・イヨネスコ型プラズマ・ボムス動力炉は重量を増したスーパーガッター號をなんなく飛翔させる。

 

「うおおおおーーっ!」

 

 ガイの雄叫びとともに、ガッターロボは炎の矢となって天へと駆け上った。

 

 

 成層圏からのメガ粒子砲の一撃はアイダホの2キロの距離まで近づいていた。

 

「次か、その次がやばいな…」

 

 シュワルツの言葉に、指令室のすべての者が唾を呑む。

 

「大丈夫だ…ガッターが必ず何とかする…!」

 

 

 ゴウの思いを背負ってスーパーガッター號は成層圏を翔び、ついにモニターにモビルビーストを捕らえた。

 巨大な2門のメガ粒子砲を蝙蝠のような胴体が繋いでいる。

 左のメガ粒子砲が発光した。

 地上へ向けて光が飛ぶ。

 20キロ離れた地表で、放たれた光はアイダホの左舷1,5キロに着弾した。

 続けて、右の砲身に蓄えられたメガ粒子が溢れ出し、解放される瞬間を待っている。

 

「うおおおお!」

 

 ガイはスロットル全開でモビルビーストに突貫した。

 高熱のメガ粒子が放出される瞬間、スーパーガッター號の体当たりがモビルビーストを砕いた。

 

「間に合ったか…?!」

 

 アイダホの作戦指令室…息を呑む静けさのなかで、オペレーターの声が静かに響いた。

 

「メガ粒子のエネルギー体、南南西50キロの距離に着弾…上空のモビルビーストも消失しました」

 

 作戦指令室に安堵のため息が満ちた。

 通信機がノイズ混じりの声を届ける。

 

「こちら連邦宇宙軍特務部隊、ガイ・ダイドー少尉だ。成層圏での任務を終え地上へ落下中。宇宙からの脅威は消え去りました。作戦を遂行してください…そして、ゴウとミチルダに伝えてくれ。ガッターロボは完全復活したと!」

 

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