これは収納できるのか?   作:くーねるでぶる

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 オディロンに挨拶した後、オレたちはまだ冒険者ギルドの中に居た。

 

 今は丁度、昼食時だ。オレたちは、飲食スペースにあるテーブルを一つ占拠して、昼食を取る。もちろんだが、オレの奢りである。若い奴に金を出させるわけにはいかないというのもあるが、実は、もう一つ理由がある。クロエたちの稼ぎが芳しくないためだ。

 

「わたくしまでお金を払っていただくのは……」

「いいのいいの。叔父さんの奢りよ!」

 

 遠慮をするエレオノールに、スイートエンジェルクロエが、あっけらかんと言い放つ。クロエも美味しそうに羊肉を食べているし、たまには外食というのもいいな。

 

 クロエが幸せそうにしているだけで、オレはハッピーだね! 心がクロクロするんじゃー。

 

「うひょー! めっちゃ肉肉しい! うまそー!」

「王都のような内地で、まさか海の魚が食べれるなんてね」

「エビフリャー……!」

「リディ、アベルの奢りよ。お腹いっぱい食べていいからね」

「んっ……!」

 

 ジゼル、イザベル、リディのボロアパート組にも好評なようで、安心する。イザベルの言う通り、たらふく食べてもらいたい。

 

 思考を戻そう。

 

 オレたちが潜ったレベル2ダンジョン『ゴブリンの巣穴』。そこでの主なドロップアイテムは、貧相な棍棒だ。薪としての価値くらいしかない。当然だが、大した収入にはなりはしないのだ。

 

 そんな少ない報酬を六人で分けてしまえば……手元に残るのは、本当に子どものお小遣いほどの金額である。命を懸けた冒険の報酬としては、まったく釣り合わないほど少ないだろう。

 

「エビフリャー……」

 

 リディの悲しそうな声が上がる。見れば、リディの前に置かれた皿からは、エビフライだけ綺麗に消えていた。同じ皿に置かれたサラダには手を付けた様子が無い。

 

 オレは、無言で自分の皿にあったエビフライをリディの皿に乗せた。

 

「ん……。いい、の……?」

「おう。好きなだけ食え」

 

 オレが頷いて返すと、リディはほんのり笑顔を浮かべてフォークをエビフライに刺して持ち上げた。そのままハムッと小さな口で頬張る。まるで小動物みたいだな。

 

 なんだかリディを見ていると、クロエの幼い頃を思い出して、無限に甘やかしたくなるんだよなぁ。

 

「エビフライだ! エビフライをありったけ持ってこーい!」

 

 ほんわかした温かい気持ちを感じつつ、オレはエビフライのおかわりを注文する。

 

 そんなオレを、リディが目を真ん丸にしてキラキラした瞳で見ていた。

 

 分かる分かる。好物が無限に喰えるって、天国だよな。

 

 オレはリディの反応に気をよくし、また思考の海へと潜る。

 

 本当は、同じような難易度でも、もっと稼げるダンジョンというのは存在する。

 

 だが、そういったダンジョンは、やはり冒険者たちにも人気があり、モンスターの取り合いまで発生するほどらしい。そんな状態では、クロエたちを満足に鍛え上げることはできない。

 

 だからオレは、報酬が少ないのを覚悟した上で、鍛錬としてダンジョンに潜ることを主軸にダンジョンを選んだ。目先の金よりも、クロエたちの実力を上げることを選んだわけである。

 

 クロエたちの実力が上がり、挑戦するダンジョンのレベルが上がれば、自然と収入も増える。

 

 元々、低レベルダンジョンの稼ぎなんて、たかが知れているからな。クロエたちを鍛えて、一気に低レベル帯を駆け抜けてしまおうという作戦である。

 

 ちゃんと稼げるようになるまで、レベル4ダンジョンに挑戦できるようになるまで、この少ない収入でなんとか耐えてもらいたい。

 

 生活が困窮しそうなボロアパート組には既に援助を申し出たし、おそらく大丈夫だろうとは思う。

 

「ふむ……」

 

 まぁ、こんなところか?

 

 オレは今後の行動を緩く定め、顔を上げてクロエたちに目を向ける。

 

 無邪気にパクパクと食事を進めるクロエたち。なんだか、心が和む光景だな。

 

 こうして見ると、皆それぞれに食べ方にも特徴があるな。エレオノールやイザベルはお上品に、ジゼルはリスみたいに頬を膨らませて食べている。クロエとリディはその中間くらいか。

 

「さて」

 

 オレは軽く咳払いすると、口を開く。

 

「んじゃまあ、そろそろ次の課題にいくか」

「課題?」

「何をいたしますの?」

 

 食事の手を止め、疑問の顔を浮かべるクロエとエレオノール。

 

「今日やってもらうのは、情報収集だ。軍資金として、一人につき銀貨3枚を用意した。これで、次に行くダンジョンの情報を集めるんだ」

 

 冒険者ってのは、時に一つの情報が命を左右するほどシビアな世界に生きている。冒険者が挑むダンジョンの中には、いわゆる初見殺しのようなものがあることもあるのだ。百聞は一見に如かずなんて言葉もあるが、それは事前に集められる情報を軽視してもよい言い訳にはならない。

 

 たしかに、実際にダンジョンに潜らないと分からないものというのはある。だが、自分たちの集めた情報は、未知のダンジョンを照らし出す小さな灯となってくれるだろう。それは自信となり、勇気になる。決して軽視することはできない。

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