「······うっ、ぐっ······ゴホッ···」
「無様だな、Lv.6。······あの女め。やはり、過大評価ではないか」
十八階層にある、冒険者の街リヴィラ。その街にある宿の一室で、赤髪の女が男に馬乗りになって首を掴む。
仲間──より協力者が正しいか?その女より忠告された、最近ランクアップしたとされる男が股下で苦しんでいる。あまりにも呆気なさすぎて拍子抜け。目当ての物は床に転がっており、仕事も楽に片付いた。
第一級なのに手を煩わなかった弱者。その点だけは高い評価を付けられる。
「さ、最後に、一つだけ······いいか、な······」
「? なんだ」
どうせいつでも楽に首をへし折れるのだ。一つぐらいなら死に逝く者の戯言を聞いてやる。
「窓」
「······窓?」
「うん、気を付けてね」
「っ!?コイツ───うぐっ!?」
怪物祭。
ダンジョンからモンスターを地上へと連れ出し、民衆の前でモンスターを手懐ける手法・
が、地上にモンスターを連れ出すのは些か危険ではないか、と思うかもしれない。モンスターを恐ろしいと思うのは万国共通で、ダンジョンの上にある
じゃあ、怪物祭はどの派閥が主催なのか。そう。
「俺が!!ガネーシャだぁぁぁぁ!!」
「ガネーシャ様サボってないで仕事してくれます!?」
「ぬっ!?子どもが俺を呼んでいる!!俺が誰だって!?そう、ガネーシャだぁぁぁぁ!!」
「仕事しろっつてんだよ主神このやろおおおおおう!!!!」
【ガネーシャ・ファミリア】である。彼らは都市の憲兵として民衆を守り、数年前の暗黒期には積極的に闇派閥と戦った。実績もあり貢献もしている。
また、この祭りは
それはいいとして、流石オラリオと言うべきか、ちょっとした
例えを挙げるなら、売られた喧嘩を買ったら酒造りに没頭する神の前髪がパッツンになったとか。他には、主神を探してただけなのに国家転覆を疑われた挙げ句理不尽にボコボコにされたとか。
そして現在、
「分かる、分かるぞ!ここは皆さんから教えてもらったところだ!」
「ちょっ、ベル君!?なんかそれ教育に良い本のセリフみたいだぜっ、てそれより僕の武器を受け取ってくれ!神である僕が土下座までしたんだぜ!?」
シルバーバック相手に無双する駆け出しがいたとかなんとか。
「こ、これが
「私達が苦戦したモンスターを、素手で圧倒······!?」
「【クベーラ・ファミリア】······」
また違う地区に現れ、一体だけで【ロキ・ファミリア】幹部を苦しめた新種を、
「ふむ、
「この人なんかヤバいこと言ってる!」
と、祭りでこんな一幕があったとメルティから魔道具を通して聞かされた俺は、泣く泣くダンジョンでモンスター退治をしていた。前話の対応のせいという口実で
チラリ、と隣に立つこの依頼の同行者を見る。
「【
「泣」
「なぜ泣く!?」
なんで筋肉質のむさい男と探索に行かねばならんのだ。どうせならもっと可愛い子がいいな!
───脳裏によぎる青髪の女。繰り出される罵詈雑言。
「貴方で充分です!!」
「うおお!?急に叫ぶなビックリする!!」
贅沢言ったら駄目だよね!!仕事は真面目にするべきだ!!
「うぉおおおおお!!」
「急にやる気!?でもなんか頼もしいぜ旦那!!行くぞぉおおお!!」
自棄気味の野郎二人は、なんか見たことないモンスターの群れに突貫するのだった。
依頼内容は至極単純で、目当てのアイテムを無事回収したらリヴィラにいる他の協力者に渡すというものだ。それで依頼は完了なのだが、
だから二人にそれとなく伝え、アイテムを俺が引き受けることにした。協力者の犬人の女は逃げるように去った。
そしてこのアイテム、モンスターっぽいのが入った水晶だか宝玉だかよく分からない球型の物体で、手に入れた場所はなんか見たことないモンスターで埋め尽くされていた。だからコレを狙うやつは絶対ヤベー奴なんだわ。ヤベー奴らと常日頃暮らしているから分かるんだ!
なので球型のアイテムを俺が引き受けることにし、彼らには依頼人に報告する形で、帰還してもらうことにした。そのアイテムが入ったカバンを怪しい人間に見えるよう受け取ったのだ、持っていない彼らを追うことはないだろう。
「おい」
「······」
「私を買え」
接近してきやがった。
そして冒頭に至る。
首を掴まれ、ミシミシと嫌な音が響く。凄い力だな、腕力だけならメルティ並みか?ならコイツは最低でもLv.6?いやアイツは魔力特化の魔導士だし比べるのは違うか。
まあ、いつでも振りほどけられるし大丈夫か。てかいい体だな、率直に言ってエロいです。
そろそろか。
「さ、最後に、一つだけ······いいか、な······」
「? なんだ」
聞いてくれるんだ。
「窓」
「······窓?」
「気を付けてね」
「っ!?コイツ───うぐっ!?」
首を掴む腕を簡単にどかしたことに驚いた女は、窓から飛来してくるナイフに反応が遅れた。
俺はすかさず相手の鳩尾を蹴り飛ばして距離を取り、スキルを発動する!
「ラァッ!!」
「! 【──】」
一瞬だけの
殴り飛ばしたのだが······。
「
殴り飛ばす直前に女から赤黒い魔力が展開され、拳が触れた瞬間から自身の力が減衰された感覚がある。減衰されたとしてもそれでもLv.7並みの力はあったはず。致命傷に至ってないが、重傷に持ち込めたと思う。
ひとまず俺を助けてくれた彼女に声を掛ける。
「助かったよ。あの作戦も上手くいって──」
「ん!」
「ごめんって、二度としない」
「ん!」
「帰ろっか」
「ん」
このアイテム、依頼人に渡すよりグレイに渡した方が良さそうだな。なんか大変なことが起きそう。勘だけど。
うわっ、開眼した!?
パッツン酒神。
弾いた剣が偶然庭いじりしていた酒神に飛来。綺麗にスパッと切れた。不変故に髪が伸びない。眷属が神酒を忘れて噴き出すレベル。引きこもりに拍車が掛かった。
主神を探していただけなのに。
キリオスにボコボコにされた。理不尽の権化。
魔法を使う赤髪の女。
保険として恩恵を与えられた。魔法とスキルが発現した。今のアイズが相手をすると、フィンによって助けられはするが間違いなく致命傷を負う。
【泥犬】が帰ったため、レフィーヤと追い掛けない。また、団長が帰ってなければ(帰ったことに気が付かなければ)原作同様食人花を暴れさせる。アイズはフィンの指揮のもと食人花の掃討作戦に加わる。掃討時【風】を使い、それに反応して奇襲されるが近くにフィン、リヴェリア、ヒリュテ姉妹がいるため、まあ、なんとかなる。
クロノ。
十八階層に偶然いた。お互いがお互いを見つけたから、合図を出したらナイフを投げるよう指示された。姉秘伝の毒付きナイフ。