問題児集団を束ねてるのは間違ってる   作:新人作家

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第16話

 

 「······とまあ、これが十八階層でのあらましかなぁ」

 

 「ふむふむ」

 

 自分の本拠地に帰った俺は、任務で不気味な宝玉を手に入れたことを含む十八階層でのことをグレイに話した。

 

 ここ最近グレイはフラりと消えては戻る猫のような感じなので、本拠地に居てくれたのは幸運だった。お陰で早いうちから調べてもらえてる。

 

 そしてグレイ曰くこの宝玉は、やはりダンジョンで見つかる既存のモンスターとは違うらしく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 「これだけじゃあ分からないので、追加で欲しいッス」

 

 「ん、分かった」

 

 任務(クエスト)で行ったあの場所同様、新種が生息、或いは根付いている場所に宝玉があったのだ。似たような場所にまだ宝玉があるのかもしれない。

 

 一人じゃあしんどいので魔剣貰おう。メルティ誘ったら来るかな?殲滅力高いし。

 

 「それと団長氏」

 

 「んー?」

 

 「はい」

 

 「んー······て、籠手?」

 

 「魔法防御装置、魔力阻害装置等々を改良し工夫して合体させて作った、魔法による防御の影響を受けない腕鎧(ガントレット)。件の赤髪の女、団長氏のパンチを減退させたんスよね?それがありゃ100のパンチを100で与えられますよ」

 

 渡された鉄製の腕鎧は深紅を基調としており、肘手前までと長く頑丈に設計されていた。着けてみると中々良く、動きが全くといっていいほど阻害されない。何よりかっこいい。

 

 話したの今だよね?解析の片手間で作ったの?すごいね。

 

 「素材に拘ってますが、団長氏の攻撃に耐えられないかもしれないッス。甘く見積もって全力パンチ三発が限度ッスね」

 

 「いいね、問題ない」

 

 「そして専属武器の目処が付いたので、近いうちにお渡しするッス!」

 

 専属武器か。各々に合わせたグレイ謹製の特殊武装で、昔何回か使ったことがあるが······。キリオスが物理的にぶっ壊したり、メルティの魔力に耐えられなかったり、階層進出やランクアップとかで武器そのものが追い付けなくなったりしたんだっけ。

 

 それでもキリオスが認めるくらい効果は凄かった。グレイが言うのだ。次も期待できる。

 

 「よろしく頼むよ」

 

 「はいッス!」

 

 へへへ、と嬉しそうに笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ベルがサポーターを雇った?」

 

 「そうなんだよ、しかも女の子だぜ!?これって浮気じゃないか!?」

 

 「いや浮気って······貴方はベルの恋人じゃないですよね?」

 

 「そうだけどこれは浮気だよ!僕を差し置いて、他派閥の子と仲良くやってるんだから!」

 

 「それなら俺らとの修行も浮気に──」

 

 「う"わ"き"だ"よ"!!!!」

 

 「「ひぇ」」

 

 西のメインストリートにあるじゃが丸くんの屋台。そこで働くベルの主神こと、竈の女神(ヘスティア)に捕まった俺は、現在アルバイト中。従業員が風邪で休んだのでその穴埋めとして捕まったのだ。

 

 まあ、自派閥以外の誰かから頼られることが少ない俺からすれば、これは結構嬉しい。そして何より楽しいので別にいい。

 

 そして相談され中。すごい剣幕に客と俺は思わず情けない声を出した。

 

 「でもベル君は一人だし?何かあったらすごく心配だし?正直嬉しいなーとは思うんだよ?」

 

 「ならいいじゃないッスか。アイツに仲間ができるのは俺も賛成ですよ」

 

 背中合わせで戦う仲間じゃなくとも、サポーターならば討伐後の素材回収をやらなくていいメリットがある。優秀な子なら良いタイミングでポーション渡してくれたり、モンスターに牽制してくれたりするから、まだまだ危なっかしいベルには丁度いい。

 

 そういえば昔は外部から雇ってたっけ。基本的に下層以下まで連れていかれるので、メルティの顔に釣られた男(女)は初日で泣いて逃げ出した。数多のサポーターの心に深い傷を負わせたことで、ギルドから外部雇用の禁止を言い渡された。

 

 遠征では率先してグレイがやってくれている。モンスターと戦うより気が楽なんだとさ。

 

 「でも相手は女の子だぜ!?助け合って協力して手を繋ぐような甘々迷宮ラブロマンスな展開になったらどうするんだ!羨ましいッ!!」

 

 「嫉妬じゃないですか」

 

 ただでさえヴァレン某がいるってのにー!!と、声高々に吠えたところで店主にしばかれた。神をも恐れる所業に俺は戦慄した。

 

 「じゃが丸くん三つくださーい」

 

 「はーい。味はどうします?」

 

 「オススメお願いします」

 

 「んじゃ、プレーン、塩、ソースね」

 

 「んふ、なんかおじさん臭いチョイスですね」

 

 まだ二十代なのに······!

 

 地味に傷ついたことを悟られないように接客し、後ろに並ぶ客が前に出る。そして言葉を失う。

 

 黒い毛並みの猫人で、容姿は整っているが威圧的な雰囲気を醸し出してるせいか近寄りがたい印象を与える。殺気立っているせいか背中に携える銀槍がいつ飛び出してくるのかを考えてしまい、つい警戒してしまう。

 

 まあ、殺気立っているのは分かる。二年前不意打ちでぶちのめし、この間彼の本拠地で暴れたから。

 

 【女神の戦車】アレン・フローメル。

 

 この人にとって、俺(とキリオス)は怨敵同然なんだろうな。

 

 「おい」

 

 「は、はい。らっしゃせぇー······なんて······はは」

 

 「なんでもいい、適当に包め」

 

 「───は?」

 

 「チィッ!!早く包めって言ってんだよ!ヘタレ野郎!!」

 

 怖っっっっわ!!??

 

 確かに俺はこの人より強い。キリオスとだっていい勝負できる自負もある。だが怖い。誰がなんと言おうと、こういう威圧的で実力ある人は怖い。怖いものは怖い。

 

 そして俺はヘタレ野郎だったのか。

 

 「じゃあ、全種包んどくわ」

 

 「あぁ?二つ三つでいいだろうが」

 

 「いやいや、多分だけど雰囲気的にこういうのは買わないでしょ。女神様の遣いで来たんでしょ?味の好みとか知ってる?気分とかで味の好みとか変わるよ?うちのクベーラがそうだもん。今日の気分は?」

 

 俺は今、塩気の効いたしょっぱいもの食べたい。だからなんだ。

 

 「······」

  

 「全種類入れとけば、取り敢えず外れはないんじゃないのか?」

 

 「······チッ、それでいい」

 

 「ありがとうございましたー」

 

 隣のヘスティア様がせっせと詰め、手渡す。彼は雑に受け取った。

 

 「いつか借りを返すぞ」

 

 そういって立ち去っていった。

 

 ちなみにじゃが丸くんはプレーン味からソース味といった王道物、小豆クリームを始め杏仁豆腐味にハバネロ味という独走性に富んだもの含めて十種類はある。こんなものでも勇気を出して買う客がいるらしい。どこで冒険してるんだ。

 

 店主は追加でハバネロ味を揚げ始めた。買う客いるかなぁ?

 

 「塩とソース、あとハバネロ味くださーい」

 

 いたわ。

 




外部雇用禁止
 破格の報酬に加え、メルティの顔に釣られたサポーター達に起こった悲劇。下層以下のモンスターの恐ろしさに涙を流す者がたくさん現れ、中にはメルティとパーティ組みたいからとサポーターに扮した冒険者も。慣れない仕事に手間取りキリオスに激しく叱咤されトラウマ植え付けられた。以来その冒険者はサポーターに優しくなったとか。

怖いものは怖い。
 ただし、戦闘のスイッチがONになったら『なにがなんでも勝利する』に切り替わるため、臆せず戦える。難儀な性格をしている。アレンは自分に勝つ奴が自分を見てビビり散らす姿はクソムカつくので殺気立っている。
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