問題児集団を束ねてるのは間違ってる   作:新人作家

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第18話

 

 「う······ぐぅ······っ」

 

 壁を突き破って突進してきた仲間と衝突したかと思えば、今度は飛んできた魔法の盾にされた【白髪鬼(ヴェンデッタ)】オリヴァス・アクト。苦悶の声を漏らす。

 

 直接攻撃された訳でもないのに、背骨を砕かれるような衝撃だった。後者に関しては魔力の残滓を散らつかせてるから恐らく【千の妖精(サウザンド・エルフ)】の魔法攻撃。高々Lv.3程度のはずだが、魔法種族(エルフ)だからか威力が高い。

 

 だがしかし、だ。二度に渡る連続的な負傷よりも、あの女──【神託の巫女(デルフォイ)】にしてやられた傷が痛むほどに疼く。再生こそしたが、()()()()()()()。あの女をこの手で殺すまで、受けた傷は永遠に消えないだろう。

 

 とは言っても、背骨にある神経をやられたせいか、まだ立てない。このままだと集まった第一級に負ける······が、食人花が囲うように集まってきた。石英(クォーツ)に巻き付き栄養補給をしていた巨花も同時に暴れだす。そのお陰で、連中は足踏みして近付いてこない。

 

 同胞(レヴィス)の指示だろうか?連中を足止めして回復の手伝いをしてくれるのなら先程の非礼はチャラにしてもい───い?

 

 「え······」

 

 「今の私と手負いのお前二人より······お前を吸収して強化した方が作戦遂行率が高いと判断した」

 

 レヴィスの言葉に、同胞がやろうとすることをオリヴァスは悟るが───()()()()()。一理あるし何よりそっちの方が悲願達成の成功率が高い。

 

 「······やれ」

 

 「?」

 

 「お前に、復讐も、彼女の悲願も、何もかもを託す······()()()()()()

 

 「すまんな、感謝する」

 

 オリヴァスの背中にそっと手を置いたレヴィスは、詠唱を始める。

 

 「【暴食の宴(喰らえ)】」

 

 「───【グラトニー】」

 

 超短文詠唱から解き放たれた魔法はレヴィスの片手を赤黒く照らし、オリヴァスの全てを奪うかのように生命力を喰らい、やがて塵になって消えた。

 

 

 

 

 

 

 「見たか、今の」

 

 「見ました」

 

 「ヤバイな」

 

 「ヤバイですね」

 

 「「······怖ぁ」」

 

 でっかい花を倒し、集まった食人花を蹴散らした俺達が見た光景に、【ヘルメス・ファミリア】とアイズ、援軍に来た【ロキ・ファミリア】の面々は言葉を失った。俺とナザレぐらいだった。言葉を発したのは。ふざけているように見えて、これでも本当にヤバイと感じている。いやマジで。

 

 「だって団長は、アレに首掴まれてたんですもんね」

 

 「うん、あの時発動されてたら······て、勝手に心を読まないで?無いでしょ、そんなスキル······無いよね?」

 

 十八階層でも先程の戦闘でも俺と【剣姫】相手に使っていたが、魔力だけを奪うような、ただの吸収系(ドレイン)かと思っていた。生命力を奪うのか?いやスキルによる一撃を減衰していたのを見るに、魔力も吸収するのだろう。

 

 あの時発動されてたらと思うと、心の底からゾッとする。干からびて塵になっていた。

 

 無法過ぎる。これが神々の言うチートだろうか?

 

 「でも」

 

 「ええ」 

 

 冒険者の特技は未知を既知に変え、絶望を希望へ繋げること。

 

 「「片手に気を付ければ問題ない!」」

 

 「「「!!」」」

 

 俺とナザレは飛び出した。それに驚く面々。

 

 「······私もッ!」

 

 「先に行ってんじゃねぇぞ、ヘタレ野郎ォッ!!」

 

 「──ッ!援護します!!」

 

 【剣姫】【凶狼】、そして【千の妖精】も負けじと後に続く。

 

 「私達は彼らの邪魔にならぬよう、周りの新種を排除します!!」

 

 「ならば私はウィリディスを守る!思い切りやるんだ!」

 

 【ヘルメス・ファミリア】と【白巫女】による援護で道が開ける。

 

 そうしてできるLv.6二人とLv.5一人、そしてLv.4一人による四人一斉攻撃。

 

 俺の拳が、ナザレの短剣が、【剣姫】の風が、【凶狼】の蹴りが······女を潰さんと繰り出される!

 

 「───()()

 

 「「「「!?」」」」

 

 繰り出されるもの全部が決定打になる訳じゃない。拳を躱し、短剣を折り、風を吸収し、蹴りを受ける。

 

 その鮮やかな動きに思わず呆けて、

 

 「ッ、不味──」

 

 「遅いぞ」

 

 「ぐがぁ!?」

 

 蹴り飛ばされた【凶狼】は地面をバウンドしながら転がる。骨が砕ける音がやけに響く。

 

 「()()が世話になったな」

 

 「ああぁぁっ!?」

 

 折れた短剣の刃をナザレに突き刺し、斜めに落とす。赤い鮮血が舞い散る。

 

 「次はアリア、お前だ」

 

 「なっ──ゔぐぅっ!!」

 

 アイズの内側に潜り込んで肘撃ちを炸裂し、耐えられず血反吐を吐く。地面に倒れ意識を手放した。

 

 「──【アルクス・レイ】!!」

 

 涙を流しながら、されど最大まで高めた魔法をぶつけるが、

 

 「美味い飯(良い魔法)だな」

 

 「な!?」

 

 かざした手が魔法を吸収した(喰らい尽くした)精神力枯渇(マインドダウン)もあってか、意識が朦朧となり膝をつく。

 

 【ヘルメス・ファミリア】は食人花の相手で手一杯。【白巫女】は【千の妖精】の介抱で動けない。残るは、

 

 「もう油断も侮りもない」

 

 残された俺はスキルを発動させる。一瞬じゃない、この先のことは一切考えない継続させる二段階昇華(ランクアップ)。だから今はLv.8。三段階目は切り札として使う!

 

 「行くぞ···!」

 

 「──さぁ、喰らい合おうか」

 

 剣を取り出した俺は、正真正銘の怪物へ向き合った。

 




グラトニー。
 超短文詠唱。触れたモノの生命力(魔力)を喰らう捕食魔法。また、発動中は喰らった者の実力・魔力・潜在能力に応じてステータスに補正が入る。ただし吸収量に依存する。

オリヴァス
実力→Lv.5程度
魔力→第二級以下。(自動再生に使用しているため元より減少している)
潜在能力→怪人の特性のため高い(魔石を捕食すればするほど強くなるから)
結果、強くなる。
また、レヴィスが【魔導】の発展アビリティに目覚めた場合、触れずとも展開した魔法陣の中に入った者の生命力を喰らえる。複数人でも可。ただし人数が多いと捕食時間が増加する。一人当たり五分掛かるなら、二人なら合わせて十分に増加みたいな。実際の時間は人の強さによる。

レヴィス倒すには短期決戦が有効。もっといえば一瞬で命奪うのが望ましい。

強くしすぎた。魔法うんぬん置いといて、魔石喰えばまだまだ強くなるから、第一次クノッソス進攻時のアイズ瞬殺されるちゃうやん。
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