レヴィスの蹂躙が始まって少し後のこと。オラリオのとある屋敷で、神とその眷属は団欒していた。
「それでね、それでね?骨董屋にペンダントがあってね?それが伝説の妖精一族、クラウロアの紋章だったの!」
「そうか」
「偽物だと思うよね?でもね?私は全知だから間違えないの。色褪せていた箇所はかなりあったけど、線なんか細かい部分がかなり似てたし、それでね?」
「そうか」
「お値段は30万(ぼったくり価格)だったけど、あまりにレアな物だから宝神である私は購入を決意したの!いや~いい買い物をしたわ!あ、財布スッカラカンだから
「そう──え······」
(力づくで追い払ったら
「「······!」」
物の寿命?新調したばかりだったはず。贋作掴まされた?いや結構人気の店だからそれはないはず。自分等のファミリアに喧嘩売るとは思えないし。
だとすれば。
「「······コーネリウス?」」
ナザレからキナ臭いと連絡を貰ったがあの後連絡はない。嫌な予感がするが、まさかな。
「う、ぐ·······団長···」
「しゃ、喋るな!お前が持ってたすげぇ回復薬で傷は塞がったけど······それでも重傷なんだぞ!」
肋骨ごと肩から脇腹にかけて裂かれたナザレは、薬による治療で目を覚ます。それでも血を流し過ぎたせいで身体が動かない。気絶してからどれだけ時間が経過した?団長はどうなっている?
「············じょ······じょう、きょう······は···?」
「だから喋るなって!······あぁもう!お前と【剣姫】、【凶狼】は回復薬でなんとか一命を取り留めたけど、お前と同じで動けない。状況は······最悪だよ」
「彼が倒れたら、我々は全滅です」
ルルネに次いでアスフィが喋る。ナザレは彼女達が見る方向に視線を移す。また気を失いそうになるほど瞼が重かったが、その光景を見た瞬間眠気が覚めて目を見開いた。
「オオォォォォォッッ!!」
肉片が飛ぶ。骨が砕ける。鮮血が舞う。
地面を踏み潰しながら、二人の獣が殴り合う。油断も慢心も侮りもなく、鍛練とこれまでの戦いで培われた技はあれど、駆け引きもなかった。ただ、限界が来るまで両者は殴り合っていた。
「······うぷ」
Lv.2の上級冒険者であっても激戦の重圧に耐えきれず吐き気を催し、人もモンスターも誰も近付けなかった。
ブチブチと嫌な音を立てながら、コーネリウスの血管が千切れ血を噴き出す。一本だけではない。時間が経過するとともに二本三本と。
強化系スキルはリスクが付きまとう。体力、もしくは
それでも止まらず自壊してまで攻撃を仕掛けるコーネリウス。彼が援軍だと知らされた当初は人選ミスだと思ったが、ここまで強かったのかと【ヘルメス・ファミリア】は評価を改める。それと同時に畏怖を覚えた。
対するレヴィスは防御を捨てていた。殴られたとしても自前の再生能力と、相手の魔力含めた生命力を喰らい尽くす魔法があるからだ。最初はLv.8相手に劣勢に立たされていた。しかし、レヴィス本来の粘り強さと
「······ゴフッ!」
はずだった。
それでも余裕はない。貰う
「──フッ、ハハハハハハッッ!!」
そもそもコーネリウスの評価は最低辺だった。気を付けろと言っていた一部を除く利害の一致から組んでいる闇派閥、同胞であるオリヴァス、たまに会話を交わす
それが今やそう思える相手となっている。自分と対等以上に戦える相手に、生きるか死ぬかの死闘に喜ぶようになった。
「······」
目の前の相手を殺すことだけ考えているような、なんだか
この時間がもっと続くように願っている。だから、
殴る!殴る!!殴る!!!殴──
無情にも願いは届かない。
「──っ!?」
脚を踏み込んだ瞬間、
ここで第三階位の擬似Lv.9を発動。Lv.8に擬似的に成って攻撃を繰り返していたコーネリウスが動き出す!力を籠めるのは右腕だ。
(······すまん、
顔面に迫る拳は、まるでスローモーションのように流れる。焼け石に水だと思うが、最後の抵抗とばかりに捕食魔法で奴の右腕を触る。
殴り飛ばされたレヴィスは
コーネリウス・アイルゼンヴァハの粘り勝ちである。
改めて春姫さんはチートだと思う。