「ゼェ······ゼェ·····」
俺は肩で息をする。
俺の発言で激怒した第一級冒険者の【
また【フレイヤ・ファミリア】のしぶとさは治癒師ありきのものなので、これを先に潰した。睨まれながら倒れていく様は怖かったが、復活されたらたまったものじゃないので仕方なく。
今現在立っているのは、俺と第一級冒険者連中であり、俺含めて切り傷だらけの重症である。不在の【
「っ···、化物が···」
「我々相手にまだ余力がある···。なぜこの男は埋もれている···!」
それは天才共のせいです。影が薄くてごめんね、ほんと。
ちなみにデメテル様の安否は無視してる。元々この女神が発端で、そもそも俺の主神じゃないし!
「さてと、まだやるか?これ以上は止めておいた方がいい。───お互いのためにも、な?」
「「───ッッ!!」」
「「「「······舐め、るなッ!!」」」」
俺はあの聖女がいる治療院に行きたくないから言ったのに、これは
うーん、どうしたものか······せや!
「っし!このまま逃げ──」
「
「───」
たった一声で空気が変わった。たった一声で意識が変わる。
戦場特有の殺気まみれの重っ苦しい空気ではなく、人の在り方、魂そのものを肯定してくれるような甘くて優しい空気。それを拒絶できない、いや拒むのは無礼だろ女神の奴隷としてこの命を捧げると決意しただろキリオス達に追い付く?愚かすぎだろそんなことよりフレイヤ様フレイヤ様フレイヤ様フレ──
「
「───!!」
「私の眼を見なさい」
溺れていく身体が、思考ごと引き上げれる。目の前にいたのは
「フレイヤを信仰してもいい。私達を裏切ってもいい。でもそれは、
諦めそうになってもまた挑戦する。それを馬鹿の一つ覚えみたいに何度も何度も繰り返す。でもそれは···
「······えっとですね、アイツらに追い付くのは実はキツイと思っていたり······」
「
「うっ」
「神から見ても彼らは人の手に有り余る才能を持つ。故に孤独。そんな彼らは決して一人ぼっちになることはない。何故なら──
彼らを繋ぎ止める
クベーラは俺の胸に拳を当てて、ニッコリと微笑んだ。普段とのギャップがすごくて風邪引きそうですわ。
「と、言うわけでフレイヤ。私達は帰るわ」
「こんな惨事を引き起こしておいて、タダで帰すとでも?」
「貴方だって他者を巻き込むじゃない。被害を出そうがお構い無しに」
「私は
「そ。でも私は
うふふ、あははと二柱は笑う。
フレイヤ様は多少悪さしても都市最強だから(誰も文句言えないから)許される。対してクベーラは、そんな女神様を捩じ伏せられる眷属がいる、と主張する。
バッチバチですやん。
まあ、女神を守るだのなんだの言っておいて、やってることは女神の傀儡に成り下がること。ダンジョン探索ではなく女神に振り回されることを優先するオッタルと、強さを愚直に追い求めるキリオス。差が出るのは当然だよなぁ。クベーラにしては的を得た言い分···だ──···あ」
「「「───」」」
ピシリ、と微笑んだまま固まる美神フレイヤ。
鬼の形相になる【猛者】オッタル。
ぷくく、と笑いを堪える宝神クベーラ。
「あ、ははは···」
乾いた笑みが溢れる。そして察する。
おいおい死んだわ俺────
「······一応聞いとく。【火鉢亭】と【女主人】だったらどっちにする?」
「酒が美味しくて値段が高いほう」
「······なら、【火鉢──」
「【豊穣の女主人】で決定ね」
「······」
無事に敵拠点から脱け出した俺達は、酒場へと向かう。退院した時はまだ昼前だったのに、もう日が落ちかけている。病み上がりだから久方振りの私室で寝ようと思ったのに何て日だ···と心の内で嘆いた。
それとお冠(だったと思う)フレイヤ様から五体満足で逃げ出せたのは、一重にデメテル様のお陰だったりする。
『この子は
『···。···そうね。私好みじゃないし、それに
『『ふふふ』』
『良い感じに締めてるけど、私は私のお宝を勝手に連れ出した挙げ句汚く穢されたことを何一つ許してないわよ?···今度、
『······!ええ、
記憶がもう曖昧だけど、こんなやり取りをして解散したと思う。なんか各々のセリフに含みがあるやり取りだったけど、意味が全然分からないから気にしないことにする。
「ふふんふ~ん、ららら~♪」
笑顔で変な歌を口ずさむご機嫌な主神を見て、改めて気にしないことにした。
よっしゃ、今日は飲むぞぉ!退院祝いだッッ!!
「アイズ・ヴァレンシュタインに相応しくねぇ!!」
「······はぁぁ~···」
最悪な気分になった。
デメテルはドンパチが始まった辺りで屋敷内を彷徨き、クベーラが登場した辺りで戻ってきた。
重要な"何か"を伝えるためにフレイヤ邸を訪れました。伝えられました。