青い幽霊   作:ツナマヨ完全体

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第2話

「で、僕はここに来たと?七神首席行政官」

 

「はい、そうなりますね。あとリンで構いません」

 

エレベーターの中で僕がここに来るまでの経緯を、現在のキヴォトスの状況に連邦生徒会長の失踪について簡単に説明してもらった

 

「分かった、で僕は何をすれば良いんだ?そのサンクトゥムタワーを何とか出来るような専門的な知識は持っていないけど」

 

「それは…着きましたね、すいませんがそれはおいおい説明させて頂き「ちょっと待って、代行! 見つけた、待っていたわよ! 連邦生徒会長を呼んで来て!」はぁ…」

 

リンがやけに嫌そうな顔をして溜息を吐く

目前に4人の少女が向かってくる

 

「主席行政官、お待ちしておりました」

 

「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が現在の状況について納得のいく回答を要求されています」

 

「トリニティ自警団です、連邦生徒会長に直談判を――」

 

エレベーターの扉が開くと4人の女子がとっかかってくる

 

「あぁ……面倒な人たちに捕まってしまいましたね、まぁ理由は分かり切っていますが」

 

「分かっているなら何とかしなさいよ!数千もの学園自治区が混乱に陥っているのよ!?この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」

 

「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱走したという情報もありました」

 

「スケバンのような不良たちが、投稿中のうちの生徒達を襲う頻度も最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」

 

「戦車やヘリコプターなど、出所のわからない武器の不法流通も2000%以上増加しています。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」

 

「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの? どうして何週間も姿を見せないの、今すぐに会わせて!…あら?隣の大人の方は?」

 

自然と出たのか、それともわざとか、リンは全員に聞こえるような大きな溜息を吐き、小さな舌打ちをする

 

「連邦生徒会長は今席についておりません。正直に言いますと行方不明になりました」

 

「「「「!!」」」」

 

「結論から言うと『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です」

「認証を迂回できる方法を探していましたが、先ほどまでそのような方法は見つかっていませんでした」

 

「それでは、今は方法があるということですか?」

 

「はい。この先生こそがフィクサーとなってくれるはずです」

 

「!?」

 

「!」

 

「この方が?」

 

「…僕も、何をすれば良いのか聞けてなかったんだが」

 

「こちらの方は、永井ケイ先生。これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」

 

「行方不明になった連邦生徒会長が指名?ますますこんがらがってきたじゃないの…」

 

「そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと…」

 

「誰がうるさいって!?わ、私は早瀬ユウカ!覚えておいてください、先生!」

 

「分かった、頭に入れておくよ」

 

「…先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げたある部活の担当顧問としてこちらに来る予定でした」

「連邦捜査部『シャーレ』」

「単なる部活でなく、一種の超法規的機関」

「連邦組織の為、キヴォトスに存在する全ての生徒たちを、制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で制約なしに、戦闘を行うことも可能です」

「なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは分かりませんが…」

「シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。今はほとんど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に『とある物』を持ち込んでいます」

「先生を、そこにお連れしなければなりません」

「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど…」

 

床に敷かれた小さい機械からエルフのように尖った耳、小さな白い角、そしてピンク色の髪を持った少女の姿が投影される

 

「シャーレの部室?……ああ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど」

 

「大騒ぎ…?」

 

「矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ」

 

「……うん?」

 

「連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたい。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ」

「それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?」

「まあでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な…あっ、先輩、お昼のデリバリーが来たから、また連絡するね」

 

ブツッ、と通話の切れる音がする

リンが青筋を立て、静かに怒っている

 

「あ〜…深呼吸でもするか?」

 

「…だ、大丈夫です。……少々問題が発生しましたが大したことではありません」

 

リンが鋭い目つきで4人を見る

 

「な、何?どうして私たちを見つめてるの?」

 

「ちょうどここに、各学園を代表する立派で暇そうな方々がいるので私は心強いです」

 

「……えっ?」

 

「キヴォトスの正常化の為に、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう」

 

リンが建物の出口に早歩きで向かう

 

「緒、ちょっと待って!何処に行くのよ!」

 

 

「な、なに、これ!?」

 

建物の外に出ると、周囲は黒煙が立ち込めていた

辺りから銃声が鳴り響いている

 

「何で私たちが不良と戦わなければいけないの!?」

 

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためにはあの部室の奪還が必要ですから…」

 

「それは聞いたけど…私、これでもうちの学校では生徒会に所属しててそれなりの扱いなんだけど!何で私が……!」

 

辺りを見回していると、ヘルメットを被った生徒が1人、こちらに…早瀬ユウカに銃口を向けていることが分かる

 

「早瀬、危ないッ!!」

 

咄嗟に体当たりをして、早瀬を射線から外す

 

「ぐあっ、」

 

乾いた銃声が鳴り響き、永井の着ていたシャツの脇腹が赤く染まる

次いで腕、脚へと着弾する

 

「うっ…ゴポッ」

 

咳とともに血が口から飛び出す

脇腹を撃たれた時に消化器が傷付いたのだろう

 

「せ、先生!?血が…!!」

 

「どいてください!私が応急処置を…」

 

「…無駄だ、鋭い痛み…ホローポイント弾だろう」

 

「そんな…どうすれ」

 

再度、乾いた銃声が響く

今度は狙いは反れずに、しっかりと

 

永井の頭を捉えていた

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