青い幽霊   作:ツナマヨ完全体

3 / 3
第3話

先生の頭部に、一発の鉛弾がぶつかる

頭蓋が吹き飛び、中身が見える

ゲームでよく見るような赤黒いもの…ではなく、意外に明るいピンク色をしていた

ぐちゃぐちゃにくずれたそれの破片が、私の頬に当たる

生あたたかい、嫌な感触がする

 

それは、先生の死を知覚させるには、十分な出来事だった

 

「かひゅっ」

 

叫びそうになる…が、喉が空回りする

本当に怖い時は声が出せないというのは、どうやら本当らしい

膝が震え、体を支えられなくなり崩れ落ちる

 

全く接点のない初対面の私を助けてくれる、きっと優しい大人

 

後悔、罪悪感、自己嫌悪に支配される

何度も、何度も何度も頭の中で言い訳をする

 

ふと、顔を上げる

 

先生の頭から、脇腹から、腕から、脚から

黒い粒子のような、煙のようなものが出ていた

 

 

強い痛みを覚えながら起き上がる

 

 

「あ〜、痛い。すごく痛い。こんなことなら庇わなきゃ良かったか?

 

「え…先生…?何で生きて…」

 

「亜人だよ、ニュースで見たことあるだろ?…というか何で皆銃持ってるんだよ、銃刀法はどうなってるんだ」

 

「あ、亜人?何言ってるんですか?」

 

「キヴォトスの外では常識なのかもしれませんが…ここキヴォトスでは亜人、と称される存在は確認されておりません」

「銃も、キヴォトスでは携帯をするのが当たり前とされています」

 

「そ、それより!先生は大丈夫なんですか?」

 

「問題ない。僕は、不死身なんだ」

 

 

「あの不良たちを倒してシャーレの部室に行けば良いんだよな?」

 

「はい、その認識で問題ありません」

 

「それなら、僕が戦術指揮を執る」

 

「えっ!?」

 

「先生ご自身が、ですか?」

 

「しかし……」

 

「さっき言っただろ、死なないって」

「ただでさえ人を殺したというのに、その死んだ人間が生き返ったんだ」

「今不良たちは混乱に陥ってるはず。僕が前線に出て混乱を広げ、そこを叩く」

 

「そんな戦い方をすれば、先生は…」

 

「数回…いや、数十回か死ぬだろうな」

 

「そんなの許容出来ません!」

 

「それじゃあ何か良い策があるのか?」

「君たちだって銃で撃たれればひとたまりもないハズだ」

「僕の命は君たちのよりもずっと軽い、掛けるならこっちだ」

 

「え?」

 

「は?」

 

「…先生、私達別に銃で撃たれても特に問題ありませんよ?」

 

「はぁ…?」

 

 

「その輪っか…ヘイローのお陰で耐久力が飛躍していると…」

 

「はい、そうなります」

 

マジかよ…いよいよ本格的に無駄死じゃないか、庇わなきゃ良かった…

 

「何か言いました?」

 

「いや、何も」

 

「まあ、そういうことなので先生は前線に出なくて大丈夫です!あとさっきは助けてくれてありがとうございました!」

 

「どういたしまして…なんか怒ってるか?」

 

「そりゃ怒りますよ!死なないからって命を粗末にしないでください!目の前で死なれたら私たちも目覚めが悪いです!」

 

「そうか、じゃあ極力死なないようにする…が、戦術指揮はさせて貰うぞ」

 

「えぇ!?」

「先生、さっきの話ちゃんと聞いていましたか!?」

 

「分かってる。後方で指揮をするだけだ」

「それなら問題ないだろ?」

 

「まあ、それなら…」

 

「分かりました、これより先生の指揮に従います」

 

「生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね。よろしくお願いします」

 

「よし!じゃあ行ってみましょうか!」

 

 

「確認できる範囲で敵は10人、目前に2人、以降4人、4人と続いている」

「各個撃破を意識して行くぞ」

 

「「「「了解(しました)!」」」」

 

「早瀬、シールドを張って前に。守月と羽川は早瀬の後ろから向かって右の不良から倒してくれ」

 

「行きます!攻撃が私に命中する確率は…極めて低い!」

 

ユウカが前に乗り出し、バリアを張る

不良生徒2人は彼女を集中砲火する…が、後ろの2人に成すすべ無く倒される

 

「シールドが回復するまで早瀬は不良を肉壁に、2人はそれぞれ遮蔽に隠れて守月は手前に閃光爆弾を、羽川は奥の不良を狙撃してくれ」

 

「に、肉壁!?」

 

「早く」

 

「わ、分かりましたッ!」

 

「天罰の光を!」

 

前2人の不良が視界を奪われ、その隙にユウカに倒される

 

「おい!2人ともやられちまったぞ!」

 

「マズい、こうなったら“アレ”の連絡をして後ろに合流を…!」

 

「逃しません」

 

ハスミの撃った弾丸が逃げようとした不良を捉え、一撃で気絶させる

 

「すみません、1人逃しました」

 

「その程度なら問題ない。早瀬、肉壁の耐久力が危ういから交換しておけ。念の為火宮は注射器を」

 

「…何というか、先生容赦無いわね」

 

「一度自分を殺されているんです。この位しても許されるでしょう」

 

「余計なこと言ってないで早く進め」

 

「分かりましたよ…前3人、後ろ2人ですね。どうします?」

 

「早瀬は十分接近してから肉壁を前3人に向けて投げて揺動を、そのまま突っ込んで各個撃破。守月は後ろ2人に閃光爆弾を、次いで羽川の狙撃で各個撃破だ。火宮は守月に注射をしてくれ」

 

「分かりました…行きます!」

 

「腰を抜かさせてあげましょう!」

 

「目標補足…撃ち抜く!」

 

 

「なんだか、戦闘がいつもよりやりやすかった気がします」

 

「……やっぱり、そうよね」

 

「先生の指揮のおかげで普段よりずっと戦いやすかったです」

 

「なるほど…これが先生の力。まあ、連邦生徒会長が選んだ方だから当たり前か」

 

「それでは次の」

 

瞬間、地鳴りと重機を動かすような重苦しい機械音が響く

 

「……うん?この音は…」

 

「気を付けてください!巡航戦車です!」

 

巨大なクルセイダーが路駐してある普通車を踏み潰しながら、大きな砲塔をこちらに向け、唸りを上げていた

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。