TS生徒と、親友と。 作:沸騰ターミナル
至らぬ点がございます。
お気をつけて。
───親友が、居なくなった。
唯一無二の、親友が。
その日は、この地域では珍しく大雪だった。
前日まで、
そんな、彼が。
消えた。
一晩で。
一つの痕跡も残さず。
もちろん皆、必死に探した。
ハルの家族は勿論、僕の家族や知り合いも協力してくれて。
警察も動き出して、大事になって。
1週間、1ヶ月と過ぎ。
捜査が、打ち切られた。
見つからなかった。
泣いた。
叫んだ。
引きこもった。
普段はしない、物に当たったりもした。
───僕は。
諦められなかった。
日課のポスター張りをしながら、道を歩く。
ハルが消えて3年が経った。
...まだ、見つかっていない。
...ずっと前から頭では分かっている。
もうハルは居ない。
例えあの時生きていたとしても、これだけ時間が経てば生きている可能性は限りなく0に近い。
でも。
それを受け入れてしまえば、僕はもう動けないだろう。
「...ただいま」
誰の返事も待たず、2階へと足早に向かう。
この3年間、家族と会話していない。
今の僕に、そんな余裕は無い。
向こうから話しかけて来ないのは、僕を気遣っているのか、あるいは───
「...はぁ」
服も着替えず、ベッドに横になる。
「...ぁ」
ふと窓を見れば、雪が降っている。
...珍しい、大雪だ。
「さっきまで、降ってなかったのに...」
───思えば。
ハルが消えた時も、こんな雪だったっけ。
...なんだか...
この雪...見てると...
ねむ───
───
───僕と、もう1人しかいない電車。
「─────────」
血まみれの女性が話している。
...何を言っているのか、よく分からない。
「─────────」
でも。
分からなくても、
だから。
「任せて」
「...!」
...正直、僕にその役が務まるとは到底思えないけど。
「──────」
でも、できる限り頑張るから。
「───お願いします。先生」
「分かった」
「...ぅ、ぁあ?」
「...お目覚めになりましたか、先生」
...なんだ...?
「こ、こは...?」
...見覚えが無い部屋。
見覚えのある...人。
「───リンちゃん?」
「誰がリンちゃんですか。...はい?なぜ、私の名前を...」
あ、ミスったっぽい。
「あ、え、あ、えぇ〜っとその、そう!名札を見たの!」
「は、はぁ...」
怪訝な顔をするリン。
「...まぁ、いいでしょう。それよりも重要なことがありますので」
そう言って歩き出したリン。
...着いてこいということなのだろう。流れ的に。
素直について行けば、キヴォトスの現状について説明された。
...うん、僕の知ってるブルアカと同じ状況だね。
正直なところ、まだ実感がわかないけど...これが夢でないなら、そういうことなんだろう。
...僕が、先生かぁ。
すこし、いやかなり、荷が重いなぁ...
...もしここに居るのがハルだったら、どうするのかな。
いつもみたいに、気合とテンションで乗り切るのかな。
それとも僕みたいに、ネガティブな思考をしたりするのかな。
...ハルがネガティブになってるところを想像したら、なんだか元気が出てきた。
.....ハル。
もう一度、会いたいよ...
僕たちが乗っていたエレベーターが、開く。
心の整理は済んだ。
僕とリンを
そしてその少し後ろの壁にもたれてかかっている少女...あれ?
誰?
僕を見るなり目を見開いて固まった少女をよく見る。
身長は僕より頭1つ分小さいから、140cm辺りかな?
髪は深い緑色で、両目も同じく深めの緑。
制服はミレニアムの制服だね。しかもデフォルトの。
武器は...何アレ。人が持つ武器では無い事は確か。
そしてその胸は平坦であった。
...ダメだ、これだけ情報を整理しても分からない。
もしかしてモブ生徒?いやでもこのタイミングでモブ生徒は───
「──────アキ?」
────────────。
思考が、停止する。
だって
その名前は
ひとりしか──────
ぎこちない動作で、視線を上げる。
───緑髪の少女と、目が合う。
あ、ぁああぁ。
───その日、僕は──────
ようやくだ。
ここに。
ここに、居たんだ...!
「───ハル...!!!」
───親友と、再会した。