紅の流星   作:河灯 泉

2 / 10
方針もなんも決まってないのでどう転んでいくのか……。


散策からの戦闘

「ステータス?」

 

 頭の中には色々な情報があった。

 

 そのひとつが自分の情報だ。

 

 数値の基準とかよくわからないが、こう記されている。

 

 耐久:500

 

 火力:250

 

 雷装:50

 

 対空:75

 

 装甲:正面150・側面75・背面50・下部10

 

 対潜:5

 

 索敵:80

 

 運:15

 

 回避:60

 

 搭載:4

 

 速力:超高速

 

 射程:超長

 

 

 

 ……うん。

 

 たぶん弱くはない。

 

 というより装甲とかものすごい極端だよね。下部のシールドが実戦に間に合わなかったから下が弱くなっちゃったんだけど。

 私の最後もそこを衝かれた攻撃だったし、ここはどうにかしてカバーしていかないと。

 

 ビグロの機動性がなくなっているが、それでもこの世界の基準では相当すばしっこい部類に入るみたい。

 重くてもそれを上回るパワーがあるからね。

 ……脳筋とか言うなし。

 

 それにしても。

 ミノフスキー粒子がないからか、すごく遠くまで知覚できる。

 センサー類はあまり性能がよくないのだが、この世界では上等な方なのだろう。なんとなく、わかる。

 

(正面より艦影……?)

 

 艦というには小さいが、私がこの人間サイズになっているため相手も艦とみたほうがよさそうだ。

 生身で海を走る人間が存在する世界なら別だが。

 

(数は……1か。仲間とはぐれたのかな?)

 

 このままだと数分で目視できる距離になるだろうが、避けるべきか。

 

「でも同族だったら会っておきたいし……ひとりは寂しいもんね」

 

 敵だったら潰せばいいだけのこと。

 

 そう思い、私は進む。

 

(いやなに自然に海の上を滑っているの!?」

 

 後半は思わず口に出た。

 

 まぁ、段々とスムーズに動けるようになっているので結果おーらい。

 

 調子に乗ってステップをしようとする。

 もちろんこけた。

 頭から海に突っ込――まず、海の上でヘッドスライディング。

 

「不思議ね……潜ろうと思えば潜れるとは思うけど」

 

 その後ちゃんと浮かべるのか。

 

 たぶん、無理。

 もう少し重力に慣れたらできるかもしれないが。

 

「……見えた」

 

 それは黒かった。

 そして、グロかった。

 

 ミサイルのような図体。

 青く爛々と光るふたつの目。

 大きく裂けて私すらも飲み込めそうな口とごつごつした歯。

 

「会話でき……ないよね?」

 

 人を見た目で判断してはいけません。

 

(人ですらない場合はどうすればいいのですか先生……)

 

 あちらも私に気付いたようだ。

 こっちに向かって突進してくる。

 

「敵意しかないので……自衛しますか」

 

 大義名分というものです。意味はないだろうけど。

 

 奴の口から砲のようなものが出てきた。

 のんきに観察していると撃ってきた。

 

 当たらない。

 

 どうやら私の足を止めるために撃っているようで狙いが精確ではない。

 

「補給ができないことを考えるとあまり無駄弾は撃たないほうがよさそうね?」

 

 ……。

 

 独り言って、空しい。

 

 gggggyyyyyyyyiii!!

 

 なんとも言いがたい雄叫びを上げながら奴が大口開けて跳んできた。

 

「パーンチ!」

 

 拳を握り、連動してアームをぐーに。

 素早く右に回りこんで横っ面を殴ってみた。

 

 漫画のように吹っ飛び、海面に叩きつけられ、沈んだ。

 

「……あれ?」

 

 もう終わり?

 

 周囲を警戒して浮かんでくるのを待つが、なにもない。

 沈んだあたりから赤いオイルのようなものと緑色の蛍光塗料のようなものが海に滲む。環境汚染にならないよね……?

 やられたふりをして潜っている可能性は否定できないが、それならもうとっくに攻撃しているはずだろう。私は下に潜られると無力なのだから。

 

「あっけないなー」

 

 あれで無傷だったらメガ粒子砲を試そうと思っていたのだが。

 

 それより問題なのは、奴の武装が実弾だったことだ。

 

 私はビーム兵器に対して圧倒的な防御力を誇るが、実弾はあまり想定されていないのだ。だからこそボールの180mmキャノンでも痛かったのだが。

 

 それにしても。

 

「あれはいったいなんだったんだろう?」

 

 呟く。

 答えるものがいないとわかっていても。

 口にすることで確認する。

 

「お腹空いた……」

 

 核で動く私には燃料というものはいまのところまだ必要ないが、なぜ飢餓?

 

「空腹?」

 

 じゃあやっぱり人間になっているのかな?

 

「でも人間はあんなに力ないし?」

 

 ついでに、海で浮かばない。

 艤装は……サイコミュとかあったし脳に繋いだりなんかすれば意識して動かすこともできるのではないか。

 

(じゃあここは未来?)

 

 否定。

 さっきの敵の武装は私から見ると旧式以下の性能。

 殴った時の感触を思い出し、その装甲を考えると61式戦車にすら撃破されるだろう。

 そもそもの陸と海という違いはあるが。

 

(でも足があった。ということは陸上でも動けるのかな?)

 

 考えるのは後回し。

 ひとまず、陸地を探すことにする。

 

 海で潜水艦なんかに見つかったら反撃手段が乏しい私では危険だからだ。

 

「できればどのくらいの時代のどんな世界なのかわかればいいんだけどなぁ」

 

 ここが元の世界、宇宙世紀だとは思わない。

 あんな変な生き物なのかわからないモノは宇宙世紀には存在しないからだ。

 

(私が知らないだけ、とかじゃないことを祈ろう)

 

 あとできれば連邦みたいな組織がないことも。

 

 あんな組織に保護を求めたらろくなことにならないと思う。

 捕虜もまともに扱えない軍だもの。

 ……ジオンもそうだけど。

 

(反応?)

 

 2時の方向。

 数は……4。

 

「さっきの奴と同じモノだったらどうしよ……」

 

 メガ粒子砲を撃てば殲滅することは容易だが、あまり撃ちたくない。私の中でなにかが「疲れるから乱発はしないように」と囁いているのだ。

 

 ……疲れるだけなら別に撃ってもいいような気がしてきた。

 

「撃ちたくない……撃たせないで」

 

 好き好んで疲れたくはないもの。

 

 撃たれたら仕方ないから撃つけど。

 

 別に忌避感も嫌悪感もない。

 その否定は兵器である自己の否定に直結するから。

 

「んー?」

 

 向こうはまだ気付いていないようだが、さっきのとは反応が違う気がする。

 水平線に目を凝らすと……見えた。

 

 人型?

 

「お仲間かな?だとすれば嬉しいな」

 

 そろそろ話し相手がほしいと思っていたのだ。

 いい加減独り言だけだと飽きる。

 

「おーい!」

 

 手をぶんぶん振って存在をアピールする。

 

 これでスルーされたらメガ粒子砲を撃ってでも気付かせるつもりだったが、幸いなことに気付いてもらえた。

 

 先頭にいるのは小さな少女。

 その後ろに続くのも小さな子達。

 

(私も他人のこと小さいとか言えないけど)

 

 頭身を考えると私はあまり大きいほうではないはず。

 胸も全然ないし……。

 

「とりあえず……同類なのかな?」

 

 撃たなくてよかった、と思いながら私は少女たちに向かって進む。

 微速前進。




少女たちって誰でしょうね。私の嫁は6駆ですが。
でも他の隊も書いてみたいし……どうしようかな。

で。続きましたね。
短いですけど。

どんなキャラにするか定まっていないのでブレブレです。

……そういえば主人公の名前まだ出てないわ!?

誤字脱字、その他思うことあったら感想とかどうぞ。

15/03/12 耐久とか雷装とか少し修正。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。