『前方、高エネルギー反応!?』
『撃ちまくれぇぇぇ! サルボー!』
『波動砲チャージ確認! 回避、回避ぃぃぃ!!』
『やべぇよやべぇよ! リフレクター用意、急げ!』
『今のうちにスコア稼いでおけよー! こっちも全弾発射ぁ!』
『防壁出力最大!』
『あいさー』
『敵機発砲確にn――』
『え、ちょっ、まっ――』
『メインブースターがイカれただと! 狙ったか! よりによって海上で……クッ、ダメだ、飛べん! ……浸水だと! 馬鹿な、これが私の最後と言うか! 認めん、認められるか、こんなこと』
『これはかてませぬー……むねん――』
『オメガ11ヽ(0w0)ノイジェークト』
『ブレイク! ブレイクゥゥゥ!! ――ぎゃぁぁぁっ!!』
『浸水率99%!? 総員潜水服着用! ってもう遅いか!?』
『あぼーん』『ぎゃーん』『わきゃー』『むぎゅー』『にょわー』『あばばばばー』
<敵勢力の殲滅を確認――戦闘を終了します>
……。
「あー……やっぱりバトルロワイヤルで集中砲火してもR相手じゃ勝てないかぁ……戦闘時間は3分48秒。賭けはピッタリ賞で私の一人勝ちだね」
「あんなふざけたレーザービームをぶっぱされたらACだって落ちるわッ! フォースってなんだよなんで戦艦の主砲が直撃しても無傷なんだよ無理ゲーにも程があるだろ! 勝てるかあんなもんッ!!」
「陸戦機で海に出る方が悪い」
「そもそも宇宙進出組の戦闘能力はどれもイカレてるし最初から話にならんわよ」
「もうあいつらだけでいいんじゃないかな……」
「またラグナロックの一人勝ちかよ……」
「負けだ負けだー。あぁまったくこっちの鎮守府は平和だぜ」
「泊地なんだけどねー」
「まあ、天使のウォーヘッドじゃなくてまだよかったよなー」
「はっはっは、まったくだ」
「うんうん。は~い、とゆーわけでかいさーん! まいどありー」
がやがや。
わいわい。
「……なにこれ」
どうもラングです。
オーパーツやオーバーテクノロジーの艦娘や艦載機が集まる『果ての演習場(パラオ)』とやらに来たのはいいけど。
宇宙世紀生まれの私ですら欠片も理解できなさそうなウェポンが盛り沢山。
セイバーフィッシュみたいな小さな艦載機がヨルムンガンド以上の砲撃を行う世界ってなにさ。いったいどんな戦闘を想定されているの?
「ビーム防御には自信があるんだろ?」
「絶対無理」
志賀乃提督は不思議そうに言うけど、技術力が石器と銃器ぐらいには違う。
この世界の人にとってはSF系はどれも馴染みがなくてあんまりよくわからないんだろうけど。
あんなの受けたらビーム撹乱幕があっても溶けるどころか一瞬で蒸発して消滅する。
「お、紅い新入りちゃんだ。れっほー」
「れっほー?」
「あいつにとっての『やっほー』的な挨拶らしい」
「へー」
海上迷彩柄のマントをはためかせて軽空母みたいな艤装を装備した少女が走ってきた。
「志賀乃も隅に置けないねぇ……こんな面白い子を引き入れるなんてさ」
……面白い?
「褒めてるのか?」
「そのつもりだよ?」
「しれーかーん! 浮気はダメよー!」
「暁、そっち押さえて!」
「落ち着きなさいってば雷!」
「こういう時は鎮めるのが一番なのです。あと厄介事を押し付けてきた司令官はおしおきなのです」
ごすっ、がすっ、ばすっ。
なんか遠くで電が雷を地面に沈めていた。
黒い……というか怖い。
志賀乃提督の電とは全然違う。
「お前はあっちに帰れ。とばっちりはごめんだ」
「ちぇー」
謎の空母風司令官は駆逐艦の子達の元へと戻っていった。
あ、電が振るう魚雷をギリギリで避けてる。
「……どうして艦娘が司令官をやってるの?」
「俺もよくは知らん」
どういうことー。
「クズネツォフ級を基にした重航空巡洋艦らしいが……本人が言うにはこの世界にとってのイレギュラー要素でしかないそうだ」
「ん~? よくわかんないけど、航空機の運用ができるのなら空母でいいんじゃないの?」
「本人は否定してるしミサイルがある以上巡洋艦扱いらしい」
うん。そのあたりの基準とかさっぱりわからないわ。
そもそもマゼランだって後期型や改からはMSや艦載機の運用ができたけど戦艦扱いのままだったし。うちのムサイは元々搭載型の巡洋艦だから。
ジオンの空母と言えばドロスか……あれってビーム砲以外の武装ってあったかな?
……うーん。なにをもってして空母とするか、それによるね。
私の分類とかもどうしよう……。
「ラングよりもよっぽどバランスブレイクしてる奴らがいるってことを知ってもらえれば、今日はそれだけでいいんだよ。少しは気が楽になっただろ?」
「……どうして?」
別に悩んでいたりは……しているけど。
それを表に出した覚えはない。
「俺は提督だぜ?」
「どういう意味……?」
「さてな。で、どうだった? 悩んでるのが馬鹿らしくなるくらい凄い奴らだろ?」
「まぁ……あれはたしかにね。私なんて問題にならないくらいにぶっとんでたね」
「だろう?」
「うん……。ありがとね」
ここの人たちをフェンさんが見たらなんて言うかな……。
驚きながらも笑いながら戦いに突っ込んでいきそう。あの人こういう遊びとか好きそうだし。
艤装の最終調整……早く終わるといいな。
あぁ……私も早く戦いたい。
私は兵器。
壊し守り殺し……お国のために戦場で一瞬だけ咲く花火になる。
それが存在理由。
平和って、良いことのはずなのに……ね。
私も、いつかこんな平和な世界に馴染めるのかな……。
段々と話がどうにもならなくなっていきそう……やヴぁい。
<(゜∀。)な司令官は別の物語の主人公なので滅多に出しません。たぶん。
俺、免許取れたらレンタカーで富士急行くんだ……。