紅の流星   作:河灯 泉

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(´・ω・`)わぁいガンオン楽しいぃぃぃ。


初陣と殲滅

「あー……暇だ」

 

 だる~ん、と机に突っ伏して伸びている私。

 重巡洋艦が駆逐艦の子達にする授業的なものに参加させてもらったのだが、どうにも相性がよくない。

 

 酸素魚雷と通常魚雷の違いって?

 入射角ってなに? 曲射弾道って?

 摩擦? 重力? 空気抵抗?

 

 インストールされてはいるけどその整理が付いていないので頭がこんがらがってくる。

 

 ちなみに私のミサイルも他所の提督さんから融通してもらえることになり、開発による資源の枯渇はあまり考えなくてもよくなったそうだ。

 宇宙戦艦の艦娘がいる将官って凄いね……。

 っていうか、どこで使うのこの知識……もとい、記憶? 記録?

 

「寝ちゃダメなのです、ラングちゃん」

 

「起きなさーい! 死者の目覚めするわよー!」

 

「あれはやめて!?」

 

「迷惑にも程があるのよ!」

 

 わいのわいの。

 なぜか第六駆逐隊の子達に囲まれた。

 

 ちなみにいまは休み時間なので問題ない。

 

「あぁ~……戦いがしたーい」

 

 戦闘狂ではなかったはずなんだけど、どうしてだろう。

 無性に力を振るいたくなってきた。

 そういえば。こっちの私ってまともな戦闘をしたことがまだないんだよね。

 

「平和は、嫌いかい?」

 

 響ちゃんが話しかけてきた。

 その瞳に映る感情は……なんだろう?

 歴戦の戦士の顔だ。

 こんな顔をした人を見たことがある。

 ア・バオア・クーに向かう途中で出会った、最新鋭機じゃなくてザクに好んで乗っていた人たちに似ている。

 おじさまの表情って言ったら怒りそうだから言わないけど。

 

「一時の休息は、大切だよ」

 

「……うん」

 

 なんか諭された。

 わかってはいるつもり。

 艦娘は女子で、女の子で、人間と変わらないところだってある。

 心を持たないただの無機物兵器とは違うって。

 

 でも、ね……

 

 

 

 それでも、やっぱり。

 

 ――私という存在は、どこまでいっても、兵器なのよ。

 

 

 

 

 

『ドヴェードヴェードヴェ!!』

 

 心臓に悪い奇妙なアラート音。

 

 でも、それが余計に心を昂ぶらせてくれる。

 

 私のこの手が真っ赤に燃える!

 勝利を掴めと轟き叫ぶッ!

 

 ――まぁ、物理的に燃えないただの冷たいアームなんだけどね!

 

 

 

 というわけで。

 

「特務艦隊、ビグラング……出港します!」

 

 主力艦隊は別の海域に出払っており、残る駆逐艦の子達は休暇と遠征でほとんどが出られないそうだ。授業は出撃の合間にやっているだけらしい。

 なので、

 

「特務艦隊、フェン……出るぞ!」

 

「お子様言うな!」「不死鳥の名は伊達じゃない」「はーい!」「!すでのな」

 

 私とフェンさん、それと護衛である第6駆逐隊の子達で敵艦隊を迎撃する。

 明け方遠征から帰ってきたばかりだっていうのに文句一つ言わずに付いてきてくれた子達。

 とても、ありがたい。

 

 哨戒機の報告によると敵の数は6隻。

 重巡1、軽巡1、駆逐4の水雷戦隊編成。

 サイズだけならほぼ互角。

 戦力差は……数十倍はあるかな。オーパーツな私とフェンさんがいるから。

 

「2時の方向! 敵重巡、軽巡の水上機を確認したわ!」

「主砲の射程外だね。どうする?」

「よっぽど近くに来ない限り撃っても当たらないわよ? 無視しましょ」

「沈んだ敵は助けたいけど、墜ちた敵は海の藻屑にしたいっておかしいですか?」

 

「ちょっと待って最後のなに!?」

 

 プラーズマー。

 

「……え? なにか言いましたか?」

 

 電ちゃんはきょとんとして、不思議そうにこっちを見つめる。

 ……幻聴だったのかな。

 そう思ってフェンさんを見ると、

 

「残念だが、私も射程外だ」

 

 そう、真面目な顔で言われた。

 陸戦MSだもんね。接近戦に特化しているんだから仕方ないね。

 

 さっきのはきっと気のせいだ。

 実戦慣れしていないから緊張でおかしくなっているだけなんだ。そうに違いない。

 深呼吸。

 

 ……よし。

 

「トリアーエズ……もとい、とりあえずふぁいあー!」

 

 メガ粒子砲を敵機が飛んでいる空にぶっ放す。

 私の対艦ミサイルはあんな小型目標に当てられるようなものではないし、ガトリング砲は射程外。

 

 大気圏内でビーム兵器をぶっ放していいのかって?

 

 ……さぁ?

 なにかあっても妖精さんがいるから大丈夫でしょ。設定的にも、物理学的にも。

 荷電粒子砲じゃなくてメガ粒子砲だし。

 

 大気によって多少減衰はするが、メガ粒子砲は水中でなければ減衰率がかなり低いので紙装甲の航空機を落とすには十分だ。

 電磁装甲とか斥力防壁とかがあるどこぞの宇宙船様方には効果がなかったけどね。SF怖い。

 一筋の光線が青い空を切り裂き、黒い敵機を飲み込む。放射している僅かな時間で少しだけ頭を傾げてもう1機もなぎ払う。爆発すら起こさず蒸発させる。

 

「よぅしっ、2機撃墜!」

 

「見事」

 

 パチパチパチと拍手をしてくれるフェンさん。

 ちょっと照れる。

 

 6駆の子達は口を開けてぽかんとしている。

 ちょっと可愛い。

 

「単縦陣! 行っくぞー!」

 

 調子に乗った私を先頭に、フェンさん、6駆と続く一列の陣形。

 速度はおよそ30ノット。

 実艦ならともかく艦娘に陣形の効果がどれほどあるのか……なんていった疑問は華麗にスルーしよう。世界に消されちゃうので。

 気になるじゃない。砲の位置とかさ?

 

 私の艤装はほぼ左右対称になっており、頭に乗っているビグロのガトリング砲の射角は正面から真横まで。少しくらいなら上向きにもできるから近接対空防御もできる。

 メガ粒子砲は当然正面だけ。私自身が動けばなぎ払えるけど。

 スカートに内蔵されている対艦ミサイルは正面から真横まで。

 宇宙戦艦のお方から頂いた外付けトルピードミサイルランチャーは発射口であるランチャーの部分がグルングルン回るので全方位対応。背中のバックパックみたいな擬装の両脇に設置されている。

 アームは……私の腕が動く範囲だけなら正面のみだけど、これはちょっとなんとも言えない。艤装の稼動範囲自体は結構あるし。身体が壊れるとしても、動かせないわけじゃないだろう。

 

 ……うーむ。

 

 こうして見ると……私って遠距離から味方を砲撃支援するものなんじゃないかな。

 いやまぁ最前線補給廠として運用されるものだったからそりゃそうなんだけど。

 この地上……というか海上でもそう動くべきなのか。

 

 支援対象艦載機(オッゴ)がいないから突っ込むしかないのに?

 

 ……あぁ。

 

 そうか。

 そうだね。

 そうだよね。

 

 よし。

 とりあえず戦闘しよう。考えていても良い事なんてなにもないもの。

 

「敵艦見ゆ! 撃滅する!」

「コンバットオプションオープン、アクティブモジュールオンライン……イグニッション!」

「攻撃するからね!」「無駄だね」「てーっ!」「!すでのな」

 

 さてさて。

 何分持つかな?

 

 

 

= * * * * * * * * * * =

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヒトヨンマルマル、パラオ泊地近隣警戒哨戒機が敵水雷戦隊を確認。

 

 ヒトヨンフタマル、志賀乃少佐の特務艦隊が迎撃出撃。

 

 ヒトヨンゴーマル、敵水雷戦隊の殲滅を確認。

 

 ヒトゴーヒトゴー、特務艦隊の帰港を確認。損害は皆無との事です。

 

 

 

 ええ。任務は無事遂行されました。

 

 ビグラング、フェンリルザクの戦果は上々であると推測されます。

 資源効率はやや重めだとの報告が上がっていますが。

 観測妖精からは特に問題はないと。はい。

 

 それと、彼女から月資源の要求が……はい、了解しました。手配しておきます。

 

 報告は以上です』




(´・ω・`)という夢を見たのさ。
私の錬度カラーフェンリルザクが強化を待ってるの……。あといい加減青葉区エースでビグラング出してほしいわ。

最近はEVE Onlineに夢中。

ハイスクールD×Dっぽいのと東京喰種っぽいのを数話書いて放置中。気が向いたらちゃんと書いて投稿するかもしれない。
ダンまちも真面目に頑張れば結構書けるような気はするんだけどなー。
あとあと、ガンゲイルオンラインもちょっと書いてみたい。しぐさわ先生は偉大。

(自分でこう言う……もとい、書くのはどうかと思うけど。面白いモノにできるとはあまり思っていない。せめて楽しけりゃまぁいいかな)

書き手としてエタることはあっても、読み手として飽きることはない。

15/08/14 誤字修正。 擬装→艤装
この手の変換は注意しているつもりでも気付かないから困る……。
15/08/28 誤字修正。 トリエアーズ→トリアーエズ
んな適当な名前じゃなかったような気がするなと思っていたのに本当に適当な名前だった。なんだろうこの気持ち。いや、初代の命名方式なんてみんなそうだけどさ。

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