心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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始まりと仲間と大同盟
1話 転生と竜とスライム~そして魔女⁉


 

異世界転生

 1話 転生と竜とスライム~そして魔女⁉

 

 

「××さん! し――っ! 聞いてる⁉」

 

(いや、わりぃ……上手く聞こえんのよなぁ)

 

 周りがすっごく五月蠅いし、視界の端には自分を瀕死に追いやった犯人がスタッフに取り押さえられているのは見えるんだけどね。ちょっとしたカードゲームの大会が大惨事だぁね。

 子供に負けたからって大人げなく大暴れして、その子供を庇ってカッコ良く助けたかったんだがなぁ。

 

(現実は…… 上手くいかないもんだ)

 

 ずっと声を掛け続けている子はカードショップで仲良くなったデュエリスト仲間だ。

 もう一人の年が割と近いヤツは携帯片手に救急車でも呼んでるんだろうけど、ちょっと打ち所が悪かったのか、割と駄目っぽいんだよね。

 

「わりぃんだけどさぁ、PCのデータとか、秘蔵っ子達の処理を頼むよ」

「ば――ねぇっ‼ いま――からしっかり意識保ってろ‼」

「はは、何言ってか分かんねぇが……、まぁ、なんだ。遊戯王仲間としてさ、自分のデッキを託して良いかなぁ」

「自分で使え‼ 俺はメタ――デッキなんて使い辛いんだよ」

「僕もです‼」

 

(とか言いつつ、何だかんだ使ってくれるくせに。つうか30過ぎたら魔法使いになれるんじゃないのかよ。年なんかとりたくないし、自分が使ってたカード達みたいに可愛い子に……)

 

 

《確認しました。不老の体(少女)を作成します》

《確認しました。エクストラスキル「魔女」を獲得》

《続いて、エクストラスキル「賢者」を獲得》

 

(なんだ? アニメでも見過ぎたのか、もう一人の僕でもいんのかよ? まぁ、結局は別個体の魂だったけどな)

 

《――確認しました。ユニークスキル「自己像幻視」並びに、「生霊の魂」を獲得……成功しました》

 

(せっかく新しく組んだ子達でデュエルしたかったなぁ)

 

《――確認しました。エクストラスキル「決闘者」を取得……成功しました》

 

(アテムや遊戯ほどじゃあ無いにしても、今大会のデュエリストキングとして、最後はしっかり務めたかったな)

 

《――確認しました。「決闘者」を「遊戯王」へと進化させます……失敗しました》

 

(さっきから五月蠅いな~、最後くらいは静かにしてくれよな。もう好きにして良いから)

 

《――確認しました。「賢者」を生贄に「決闘者」をユニークスキル「遊戯王」と進化……成功しました」

《――続いて――――――――》

《――――――――》

 

 

 

 

 

        ―――――――★☆★☆――――――――

 

 

 

 

『お~い、起きてほしんだけど~』

 

 なんか、明るくコロコロとした可愛い声が聞こえる。

 

「……聞こえる? あれ? 死んだんじゃなかったのか?」

『あ~、そっちの記憶は良く解んないけどさ、このまま寝てたら本当に天に召されちゃうよ~』

「声は聞こえど、何も見えない……ん? つうか、何処? ここ?」

『さぁ? 魔素が濃い洞窟内っていうのしか分かんないね』

 

 すぐ近くに水場でもあるのか、水滴が滴っている音が妙に響いて聞こえる。

 

 明かりも無い中じゃあ真っ暗なのは当たり前か……。

 

「っていうかさ、居るなら出てきて欲しいんだけど……」

『本体はアナタでしょう。そっちが気を失ってたらアタシは何にもできなかったの!』

 

 駄目だな、彼女の話では要領を得ないぞ。

 

 すぐに半透明の美少女……が、現れ……ライナちゃんに似ている。

 

『ほら、コレで少しは明るくなったでしょう……なによ? そんな驚いた顔してさ』

「いや、え? あれ? ん~……おちつけ。ビークールだ」

 

 ラマーズ法で深呼吸しながら、心を落ち着かせる。

 なんかライナちゃんに似ている美少女が呆れ眼で見つめてくるが、とりあえずは無視だ。

 

 ふと何時もの感覚で歩こうとしたら、物凄い違和感が体全体を襲う。

 

 なんか手を小さいし、地面は近い、おまけにさっきから声も高めで可愛らしい。

 だみ声とは言わないが、元々の声は確かにハスキーではあったはずなのに、さらっと長い髪のポニーテールで緑色のサラサラ髪だ……これは、まさか⁉ ひょっとするのだろうか。

 

 急いで近場にあった水に、ライナちゃんっぽい美少女が照らし出してくれた光を頼りに自分の顔を見る。

 

「ウィンちゃんじゃん……はっ! 自分の体も女の子⁉」

『何を当たり前な事を言ってるのよ。アタシが女なんだから、アナタも女性でしょう』

 

 マイブラザーを使うことなく女になるとはな。

 

 洞窟の中だからどれだけ打ちひしがれていたかは分からないが、此処に居ても良い事は無さそうだし、いい加減にライナちゃんっぽい美少女が痺れを切らせて、体を勝手に使い始めた。

 

「何処に行くの?」

『とりあえずは、あっちかな? なんか魔素が濃いし、妙な光源があるっぽいから』

 

 自分には良く解らない、「魔素」なるモノが彼女には分かるらしい。

 

【ぬ? なんだ。今日は珍客が多いな】

【なんだ、誰か来たのか? ヴェルドラさんの知り合いか?】

【いや、知らんな……だが、面白そうなヤツだぞ】

 

「ひっ! 食べないでください、美味しくないですから!」

【食わんし、食えんわ⁉】

【落ち着けよ、お嬢ちゃん】

『……なんか、ごめん』

 

「きゅ~~」

 

【ヴェルドラさんが大声出すから、気絶しちゃったじゃん】

【魔女だと言うのに軟弱な】

『いやいや、無理があると思うの』

 

 

―――――――――――☆★☆★―――――――――――

 

 

 

 

【なるほどな~、俺と同じ転生者か‼ しかも同郷か】

 

 スライムさんがすっごく嬉しそうに喋りかけてくる。

 自分が気絶しているあいだ、動けはしないがライナちゃんが代わってこちらの現状を説明してくれていた。

 見た目は怖いが、案外とツンデレ竜のヴェルドラさんは面白い方だった。

 

【よし、此処で会ったの何かの縁だしさ。皆で友達にならないか?】

【な! す、スライムの分際でトモダチだと⁉】

【い、いや。嫌ならいいんだけど……】

 

 なんだかんだヴェルドラさんって寂しがり屋っぽいし。人間も好きそうなんだよなぁ。

 自分にも結構気を使ってくれているのが良く解る。

 

「それって、自分達も良いの?」

『友達は多い方が楽しい事も沢山できるしね』

【もちろんだぞ(この美少女は何だかほっとけないしな)。ヴェルドラさんが嫌なら俺達だけで】

 

 チラチラとヴェルドラさんの方を見ながら……煽っている。

 

【馬鹿お前!誰も嫌だなどと言っておらぬだろうが‼】

【え、そう?じゃあどうする?】

【そうじゃなぁ……どうしてもと言うなら、考えてやっても……】

 

 物凄くソワソワしながら、片目でこちらの様子を見ているヴェルドラさん。

 

「どうしても……(こんな強そうな人と知り合いなら、色々と助けてもらえそうだし)」

『どうしても、だよ! 一緒に楽しく遊ぼう』

【どうしても、だ。決定な】

 

 スライムさんやライナちゃんと被って、自分達はヴェルドラさんを誘惑する。

 

【嫌なら絶交、二度と来ない】

 

 本心ではないだろうが、言い回しなんかが上手いな、このスライムさん。

 

【ちょっ! し、仕方ないな】

 

 そっと前足の爪を伸ばして握手する。

 

【我が友達になってやるわ】

【おう、よろしくな】

「はい、よろしくおねがいします」

『わ~い、初めてのお友達が二人もできたよ』

 

 ライナちゃんや、彼等は人ではないんだがね……スライムさんは元は人だけど。

 

『それで、どうしてヴェルドラさんとやらは封印されてるの?』

【それがさ、女勇者さまに見とれて負けたんだってさ】

【違うと言うとるだろうが⁉】

 

 必死に否定してるけど、どうにもスライムさんが言っている事の方が正しそうだ。

 

【そんな目で我を見るでない‼】

 

「……というか、封印って?」

【ん? お前は気付いてないのか】

 

【そういえば、もう一人声が聞こえるが姿が見えないぞ】

 

 三者三様の疑問が頭の上に浮かんでいる様だ。

 

「もう一人の声の主は、言うなればもう一人の僕的な存在です」

【……そりゃあ、ネタ的な方か?】

 

 微妙な空気を作り出してしまったが、スライムさんも遊戯王は知っているらしい。

 

「いや、ガチですね。こっちで生まれてから一緒だし助けてもらってます」

『ふふ~ん、感謝してよね』

【我も知らぬスキルとは、やはり面白い奴だな】

 

 ヴェルドラさんが物凄く興奮気味に見てくるが、もう性格を知ってしまったせいか怖いと言う感情が全く起きないし。

 

「封印されてるって事は、此処から出れない?」

『ん~、このままじゃあ可哀想だよね』

【まぁ気にするな、確かに暇で暇でしょうがないがな】

 

 何とかしてあげたいけれど、勇者様が作ったらしい「無限牢獄」なるスキルをどうこう出来るほど、自分に力があるとは思えない。

 

(こっちの世界じゃあ生まれたばかりみたいなもんだしな)

『流石に、手に負えないね』

 

【おいこらスライム、自分のスキルとばかり話してないで少しは参加せんか】

【まぁまぁちょっと聞いた感じだと「無限牢獄」の内と外から解析できれば解除できるかもしれないってさ】

【む、しかし我のスキルは我と共に封印されて使えぬぞ】

『あ~、ヴェルドラさんは情報だけあげれば良いんじゃない?』

【正解! 解析は俺の方でやるらしいから】

【それには時間が掛かろう。同郷の者には会えたようだが、外の世界は早く見てみたいのだろう? それに魔女の方を此処に閉じ込めておくわけにもいくまい】

 

 魔素があれば別に死にはしないが……確かに、何十、何百年と洞窟生活は厳しいな。

 

【うん、だから提案だ。ヴェルドラ、お前……俺の胃袋に入る気ない?】

「え、それって封印ごとヴェルドラさんを食べちゃうの⁉」

『スライム君、お腹壊すよ』

【くく、クハハ。クハハハハハッ‼】

 

 なんとも楽しそうに笑い、口角をクイっと上げてスライムさんを見つめる。

 

【面白い、ぜひやってくれ。お前に我の全てを委ねる】

「そんな簡単に信じちゃって良いの?」

 

 思わず呟いてしまって言葉に、ヴェルドラさんは何の迷いもなく。

【無論だ】

 と、答えてくれた。

 

【ここでお前達の帰りを寂しく待つよりも、共に「無限牢獄」を破る方が遥かに面白そうだからな!】

 

 ライナちゃんがヴェルドラさんの言葉を聞いた瞬間からニヤニヤしだした。

 

『寂しいんだ~』

【寂しがり屋さんだからな、じゃあ今から「捕食者」でお前を食うけど】

 

 そういって真丸ボディが崩れて、ヴェルドラさんを覆うように広がる。

 

【おっと、その前にお前達に名をやろう。お前達も我ら共通の名を考えよ、同格ということを魂に刻むのだ】

『あ、悪いけど同格の名前は貰うけど、アタシの名前はこの子に付けてもらうから』

【ふむ、よかろう】

 

「共通の名前て……名字みたいなものかな?」

【たぶんな。う~んどうするか】

「暴風でしょう……嵐って感じだよね、ならさ――」

【うん“テンペスト”とかどうだ】

「“テンペスト”とかどうかな」

 

 なんか……しばらく沈黙が続く。

 

【素晴らしい響きだ。今日から我はヴェルドラ=テンペストだ】

 

 物凄く嬉しいのか、羽を広げて嵐の様な風が吹き荒れる。

 

【なんでお前は平気なんだよ⁉】

「風系統はある程度は操れるから、かな?」

 

 自分でもちょっと無意識でやってたから、気付かなかった。

 スライムさんは今にも飛ばされそうな感じで必死に地面に張り付いている。

 吹き飛ばされそうなスライムさんを少し庇う様に立つと、やっとほっと一息ついて落ち着いてくれたようだ。

 

【スライムのお前には“リムル”の名を授ける。リムル=テンペストを名乗るがよい】

 

 スライムさんの色がより濃くなって急激に魔素が増えている。

 

【そして魔女、お前は“ウィン”の名を授ける。ウィン=テンペストを名乗るのだ】

 

 リムルは知っているかは微妙だけど、ヴェルドラさんは知らないはず。

 なのに、キャラの名前そのままに名付けてくれるとはね。

 

『ねぇ、アタシの名前、ウィンが決めてよね』

「自分がウィンなんだ……だったら、やっぱりライナって名前しかないね」

 

 ニコッと微笑んで半透明な体で、物凄く嬉しそうに抱き着いて来た。

 

【では頼んだぞ、友よ】

【さっさと「無限牢獄」から脱出して来いよ? ヴェルドラ】

「待ってるからね」

『暇な時間があったら、アタシも手伝ってあげる』

【そんなに待たせず、相まみえようぞ。リムル、ウィン。それにライナとやらもな】

 

 リムルの捕食でさっきまで騒がしい程の存在感が、一瞬にしていなくなってしまう。

 

 

「ちょっと、寂しくなるね」

【だな。まぁすぐに出てくるさ、きっとな】

『そうかな~、案外さ、リムルの中が気持ち良かったり面白いとかで遊んでそうじゃない? 解析も最低限しか進まなそう』

 

 そんなことは無いと……言えない気がしてきた。

 

 

 

 

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