▲△▲▲△▲ 視点:リムル ▲△▲▲△▲
影移動でテンペストまで帰ってきて、最初に会ったのはシュナとシオンだった。
自分とウィン、ライナが住む家の掃除をしてくれていたらしい。
あとちょっとした管理をアウスやエリアがやってくれていたらしい。
お土産と称して、ギルド本部で食べたシュークリームを二人に食べさせて、これの再現をしてもらおうと思う。
「まぁ! なんて愛らしい形のお菓子でしょう」
「食べてみてくれ。作れそうなら、テンペストでも出してみたいんだ」
「はい、お任せください。これがシュークリムルというスイーツなのですね!」
「シュークリーム、な」
相変わらず、俺の名前に繋げたがるな。
『それで、ウィンはどうしたの?』
「あぁ、向こうで子供達の教師として魔法を教えてるよ」
『ふ~ん、遊んでる訳じゃないんだ? でも、こういう美味しいモノはしっかりと把握してるんだね~。ちゃんとウィンちゃんとリムル君は教師をしてるのかな?』
「やってるって。しっかり教師として教えてるんだぞ」
エリアは少し疑うような目で見てくるので、そっとシュークリームを下げようとする。
「そういう事を言ってると、コレは無しな」
『あぁ! 疑ってごめんなさい~』
『エリア……ウィンが帰ってこなくて寂しいのは分かるけど、リムルに当たらない』
『うぅ~、は~い』
「ウィンも一緒に帰ってくる予定だったんだけどな。子供達から好かれてるみたいでなぁ、今回は俺だけで勘弁してもらったんだよ」
『そういうことなら仕方ないね』
エリアはちょっと不貞腐れた感じで、すぐにシュークリームの方に手を伸ばして食べ始めた。
『ふぉ! おいひぃ~⁉』
『こら、食べながら喋らない』
……アウスも大変だなぁ。
「あれ? リムル様?」
「よぅ、ベニマル。お土産あるぞ」
次に現れたのはベニマルだった。
「いつの間に帰ってたんです?」
「ついさっきだよ。影移動で一時帰国だ」
ベニマルに続いて、ゴブタやハクロウも広間の方にやってきた。
「あ! リムル様っす‼」
「これはこれは……お出迎えもせず申し訳ないですじゃ」
「いいって、またすぐ戻らなきゃならんしな」
「そういえば、ウィン様が居ないっすね?」
「ウィンは子供達のところに残ってくれている」
『ちぇ、帰って来てねぇのかよ……。なんか甘い匂いがするが、このゴツゴツしたのはなんだ? 食い物、だよな?』
多分、ハクロウの訓練が終わったのだろう、続々と誰かしらが顔を出して、皆が集まってきた。
ヒータはウィンが居ないと聞いて寂しそうではあるが、シュークリームを見るとそっちに興味を注がれているようだ。
「まぁ食べてみてくれよ。美味いぞ」
その後は、どっから話が伝わったのか、リグルやガビル、リグルド達の方にも俺が帰ってきているという話が行き渡ったらしい。
ゲルド達は多分だが、まだ色々な作業をしているだろうから手の空いた者に呼びに行かせ、シュークリームの差し入れを渡そうと思う。
……うーん。ちょっと様子を見に帰ってきただけなんだがなぁ。
なんかすごい集まってきたな。
あとはゴブイチにもシュークリームを食べてもらえば、確実にテンペストでもシュークリームが食べられるようになるだろう。
「町の運営は順調か?」
「つつが無いですよ」
ベニマルはシュークリームを味わう様に食べながら答えてくれる。
「ユーラザニアの使者もいつも通りですし、工事の方はブルムンドから要請のあった簡易宿に着手しました」
大まかな事をベニマルが答えていると、リグルドも報告があると手を上げる。
「ブルムンドといえば……、そこからやってきた商人がハイポーションを大量購入していきましたな」
「ほう!」
フューズやベルヤード男爵辺りが、うまいこと宣伝してくれたみたいだな。
「商人の名は、ガルド・ミョルマイル。イングラシアにも向かうと言っておりました」
「へぇ、じゃああっちで出会えるかもな」
そんな話をしていると、シュナがちょっとうずうずした様子で、話しかけてくる。
「リムル様。リムル様やウィン様のお話もお聞かせください。人間の国で先生になられたとか」
……そうだな、皆に相談してみるか。
「実はな……」
==子供達のおかれた状況も含め、ここに集まってくれている者達に話す。
「なんと……魔素が安定せず肉体の崩壊を待つ子供達とは……かわいそうに……」
リグルドが涙を流し、布で涙をぬぐっている。
「気の毒だとは思うが、手を貸してどうにかなるもんなんですか?」
ベニマルの問いに、ハクロウは目を閉じながら答える。
「難しいでしょうな。膨大な魔素を安定させる程のスキルとなると、ユニーク級……。厳しい修行を課したととて、獲得できるとは限りませぬ」
……だよな。
「リグルド、シズさんを覚えているな?」
「は……、もちろんです」
「彼女は昔、生徒達と同じ状況だったが、魔素の安定に成功し長らえたんだよ」
「ふむ……その方法がわかればいいのですが……、今となっては調べることも……」
確かにシズさんはもう居ない……。
「……実は、見当ならついているんだ」
「え⁉」
「カギを握っているのは、イフリートとの融合だ」
「イフリート……炎系の精霊では王級に次ぐ上位精霊ですよね」
名前を聞いて、シュナが少し心配そうに聞いてくる。
「そうだ、シズさんは幼い頃、そいつを魔王レオンに憑依させられた。恐らくだが、イフリートが魔素を制御していたんじゃないかと思う」
というのが、大賢者とウィンが立てた推論だ。
「精霊といえば……アウス殿達ではダメなのですか?」
『ボク達? 確かに精霊って部類だけど……ボクらはウィンのお陰で姿があるようなものだし、カードに宿る精霊体っていう方が正しいからね。人には宿れないと思うよ。それに、召喚者の力、魔素や体力なんかを対価としてるから、無理じゃないかな?」
「なるほど、つまりリムル様は子供達に精霊を宿そうとお考えなのですね」
聞きなれた声ではあるが、さっきまで居なかったように思う人物が当然のように室内に居て、皆が驚いて声の主を見ている。
「トレイニーさんいたのかよ‼」
「はい、頂いております。シュークリーム。四つ目です」
食べた数を聞いて、ベニマルがバッとトレイニーさんの方を向く。
「とても良い案だと思いますよ。確かに精霊は魔素の扱いに長けています」
そう言いながら、四つ目を口に運んでいく。
「しかし、無視できない問題もあります」
「といいますと?」
意味深に語るトレイニーさんにリグルドが聞き返す。
「まず下位の精霊では、それほどの魔素は制御しきれないでしょう。ですが、上位精霊はその数も少なく……」
そう言いながら、トレイニーさんは手を前に差し出して、光の玉を作り、透明な羽がある綺麗な女性を呼び出す。
「……そちらは?」
「この子は私の契約精霊。「風の乙女」シルフィード。その名の通り「風」を司る上位精霊です。そこのあなた、ちょっとこの子に話しかけてごらんなさい」
そう言ってトレイニーさんがガビルに声をかける。
「えっ⁉ わ、我輩はガビルと申す者。ご機嫌はいかがかな?」
ジッと見つめた後、シルフィードはプイッとガビルから顔を背けて話しかけてくるなというような態度でトレイニーさんの後ろに隠れる。
「このように上位精霊は気まぐれです。気に入らなければ助力は望めないでしょう。ウィン様だったらシルフィードも喜んで力を貸すとは思いますが……」
ガビルはショックで畳に両手を付いて落ち込んでいる。
「せめて精霊の棲家へ行くことが出来れば、相性のいい精霊に出会えるかもしれませんが……」
「精霊の棲家?」
「精霊女王の統べる、別次元にある場所です。入り口は女王の意思ひとつで、引っ越ししてしまうので特定は困難でしょう。私が取り次げたら良かったのですが、現女王とは接点がないのです」
「そうか……」
「お役に立てず、申し訳ありません」
「いや、俺のやろうとしてることが間違ってないってわかっただけでも、収穫だ」
後は、どうやって精霊の棲家や精霊との接点を見つけるか、だな。
「さてと、じゃあそろそろ戻――」
なんかシオンがやけに怖い顔でシュークリームを眺めて居る。
「ど、どうしたシオン。やけに静かだと思ったら」
「このシュークリムル……これ以上食べたら工事現場のゲルド達の分が……っ! でもっ……でも、美味しくて。私はどうしたらいいのですかリムル様!」
平和だな、シオンは。
「食べていいよ、まだあるから」
「ほ、本当ですか⁉」
「では私も……」
「待った! トレイニー殿はもう4つ喰っただろ‼」
「若……」
そんな感じで騒いでいる所に、ゲルドもやってきた。
「リムル様が戻られたと聞いて……」
「よかったな、あと少し遅ければ、なくなっていた」
ソウエイがゲルドを出迎えて話している。
ここまで喜ばれると、買ってきた甲斐があるな。
今度また、他のも買ってこよう。
あの店はシュークリーム以外も美味いからな。
しかし、……ウィンが見つけてくれて助かった。
次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで
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