心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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101話 ピクニックとドラゴン

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、ピクニックということでリムルと子供達には先に予定の場所へと行ってもらっている。

 

「あ、店長! 来ましたよ」

「おう、今日は弁当を頼まれてんだ」

 

 お髭の似合うダンディなコック長の帽子を被っている、体格が無駄に良い店主が包みを持って出迎えてくれる。

 

「今日も偉いな。迷わずにこれたか?」

「や、だからね。自分は教師としてしっかり自立してるよ?」

「はっはっは、そうかそうか。頑張れよ未来の教師。じゃこれ、皆の分の弁当な。ちゃーんとリムルの旦那に届けてくれよ」

「む~、だからなぜ自分は子供扱い? リムルと変わらないのに?」

「悪い悪い、どうも見ても子供にしか見えないからよ」

 

 軽く頭をポンポンと撫でられながら、お弁当箱を渡される。

 

「それじゃ、しっかり届けるんだぞ」

「ん、大丈夫だから」

「おっことすんじゃねーぞー」

 

 絶対に信じてくれてないよね。

 リムルはちょっと背丈や成長した姿みたいな感じで来たので、大人という認識になるのはむりないだろうけど……アレは、ズルいと思う。

 

「はぁ、落ち込んでないでさっさと行こう」

 

 杖を取り出して、低空で浮きながら一気に進んで行く。

 

 

 

 ==街から出て、離れた位置に子供達とリムルが稽古をしている様子が見えてくる。

 

 

  

 街から離れていると言っても、大きな防壁は少し小高い丘からも良く見えるくらいしか離れてはいないけどね。

 

「お、ウィンが来たな」

 

 リムルがいち早く気付いて、自分の方へと手を振っている。

 

「隙あり!」

 

 ケンヤがリムルの後ろから斬りかかっているが、軽く横へと移動して躱しながらリムルがケンヤの頭を小突いた。

 

「まだまだだなぁ~」

「くっそ~」

「というか、ウィン先生。飛んでない?」

「すご~い。私も飛び出い!」

 

 お弁当を杖から外して、リムルに渡す。

 

「そのうち、飛べるくらい強くなったら教えてあげる?」

「ほんとう?」

「約束よ! 絶対だからね」

 

 クロエとアリスが駆け寄って、キラキラした目を向けながら言う。

 今日はピクニックではあるが……学校側には、野外授業と称しているので、郊外で模擬戦をしている訳だ。

 

 これなら、学校からでもちゃんと模擬戦をしていたと言えるし、ピクニックとして休んでいても、文句は言われない。

 

「くぁーっ、やっぱ運動のアトのメシうめ――っ」

 

 ケンヤは本当に良く動き回っているので、お腹が減っているようだ。

 他の皆もお弁当を美味しそうに食べてくれている。

 

 リムルと考えた事ではあるが、焼け石に水だとしても、魔素を発散できればいいと思い、定期的に模擬戦をやっている。

 時間稼ぎだとしても、何もせずにいるよりは遥かにマシだ。

 今は、リムルと一緒に上位精霊を探すことを交代で行っている。

 

「だいたいさー、先生達は強過ぎなんだよ」

 

 ケンヤがサンドイッチにかぶりつきながら、負けた悔しさをリムルに向けて言う。

 

「あれ? 自分も?」

「それはそう、むしろリムル先生の方が優しいまである」

 

 クロエにジト目で見られながら言われてしまう。

 

「え~、リムル先生は女の子にもっと手加減するもんでしょー。その点で言えば、ウィン先生はちゃんと手加減してくれてるわよ」

「その代わり、俺達には手加減がねぇじゃねぇか!」

「……それも、遊びのような魔法にやられるのは、精神的に来るんですよね」

 

 クロエに替わってゲイルが半目で睨んでくるし、ケンヤはリムルと変わらない様子で自分の方にも文句を言ってくる。

 ちなみにリョウタは終始頷いて、皆の言葉を肯定しているようだ。

 

「ねぇ、先生と勇者様。どっちが強いかな?」

 

 リョウタが思い出したついでという感じで、皆に聞く。

 

「そんなの、勇者様に決まってるじゃないの」

 

 アリスは即答で勇者様だと答えるが、クロエは少しずれた視線でチラッとリムルや自分の方へと目を向ける。

 

「私は先生達の方が好き」

 

 クロエは少し恥ずかしそうに言うが……最後の方に「特に――」と小さい声で言っていたが、アリスが遮るように大声を出したので、最後の方が聞き取れなかった。

 

「ウィン先生はともかく、こんなのにマサユキ様が負けるはずないもん!」

 

 そういえば、ヴェルドラは勇者に封印されたんだよね……。確か300年前って言っていたと思う。

 さすがに別人だとは思うけど。

 

 それにしても、マサユキとはね。

 

「マサユキってのが勇者の名前なのか?」

「先生、勇者様を知らないの⁉」

 

 生徒達全員が驚いている。

 その様子をリムルと一緒に顔を合わせて見合ってしまう。

 

「もしかして、ウィン先生も知らない感じ?」

「知らない?」

 

 第二の驚きで、ケンヤやゲイルが大きな口を開けて驚いている。

 

「とても強いんですよ!」

「金髪でね、すっごくカッコイイんだから!」

 

 日本人っぽい名前なのに、金髪なんだ。

 というか、アリスは本物を見たことないんじゃないかな。

 

【たしかミリムがヨウムに言ってたよな?】

【うん「あれは魔王と同じで特別なそんざい」って】

 

 だから「勇者」ではなく「英雄」を名乗れと言われていた。

 勇者と名乗れば因果が巡る……だったけかな。

 

 ということはだ……子供達も知っている勇者マサユキというのは、本物の勇者だという事になるだろう。

 

 リムルと一緒に考えにふけっていると。

 

 グッギャアアァアァア――。

 

 物凄く大きな鳴き声を上げながら、空を飛んで行く存在がいた。

 

「ドラゴン!?」

 

 リムルが驚きながら、その鳴き声の主を見上げる。

 

「結構、大きいね。それに数は二体……番かな?」

 

【おい、あれなんだ大賢者】

〈解。スカイドラゴンです。脅威度は、カラミティ〉

 

 厄災級の天空竜とは、良い名前だね。

 

〈カリュブディスと同じランク帯の上位龍族です〉

 

 リムルの問いに答えてくれている「大賢者」さんの説明を聞いている内に、スカイドラゴンの一体が低空を飛び、街へ入る為の門に並んでいたであろう人達へ向けて、ブレスを放った。

 

 スカイドラゴン達が飛び回る下にはパニックになった人々がいる。

 

「なによ、あれ……」

「王都に入ろうとしてる人達を狙ってますね」

「先生ぇ……あの人たち、死んじゃうの?」

 

 クロエがリムルにしがみ付いて、震えながら聞く。

 

「ランガ、子供達を守っててくれ」

「主よ、自分が行ってガブっと食らわせて来ましょうか?」

「いいや、俺とウィンが行くよ。子供達にもカッコいい所を見せてやらないとな」

「なるほど」

 

 なんかランガが納得しているが、絶対にそれだけが理由じゃない。

 

「よく言う、自分よりも舐められてるから、良い所を見せたいだけ?」

「うるさい」

 

 そうやって少し揶揄っていると、子供達が心配そうな顔をしている。

 

「先生! そりゃあ先生達は強いけどさ。ドラゴンには勝てっこないって!」

 

 ケンヤが叫ぶように言う。

 

「そうだよ」

「あんた達が死んじゃったら、誰が私達を助けてくれるって言うのよ!」

 

 リョウタやアリスもケンヤに続いて、心配そうに抱き着いてくる。

 

「ふふ、勝てない相手に無暗に突っ込むバカじゃないから、大丈夫?」

「そうそう、しっかりと俺達の活躍を見とけよ。そんでもって、改めて先生たちの強さってヤツを教えてやるからよ」

 

 そう言ってリムルは大きなコウモリの翼を広げる。

 

「わっ⁉」

「もうちょっとゆっくり羽ばたいて?」

「早くしないと、お前が飛び出して行きそうだからな」

「……否定はしない?」

 

 今もドラゴン達は王都の周りにいる一般の人達を弄ぶように攻撃を続けている。

 

「ああいうのを見ると、つい怒ってあげたくなる?」

「う、ウィン先生?」

 

 アリスが不安げに掴んでいた手を取って、笑顔で頭を撫でてあげる。

 

「大丈夫、すぐに戻る? コレ、お守り」

「カード?」

 

 アリスに渡したのは{ガスタの神裔ピリカ}……どうもガスタというカードは、ウィンである今の自分には使い辛いカードのテーマだ。

 

「そ、ランガと一緒でなにかあればきっと守ってくれる?」

 

 そういうと、しっかりとカードを胸に抱きしめながら頷いてアリスはやっと自分を放してくれる。

 

 

 

 

 リムルは翼で空を飛び、自分は杖に乗ってもう一体のドラゴンの方へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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