心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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103話 意外な繋がりと縁

 

 

 

 

 

 

 

 

 暴れスカイドラゴンを撃退した日の夜。

 ミョルマイルの招待を受けて、王都の一等地にある高級酒処にやってきた。

 

 しかも、彼の口利きで今夜は貸し切りだそうだ。

 リムルと一緒にお店の料金表を見て、自分は固まり、リムルは噴き出していた。仮面を被っていた御陰でバレなかったと思いたい。

 

 まぁ、ミョルマイルの顔はニコニコとしていて、口には出さないだけでしっかりと聞こえていただろうし、覚えていそうだけどね。

 

「すごいのねぇ、これが先生の故郷で流行ってるの?」

「いや~、流行ってるっていうか……」

「調子づいて変な事をいうから……」

「うっ、お前だってちょっと乗ったろうが!」

「……楽しそうだったから、つい」

 

 そういうとリムルがニヤついた笑みを浮かべながら見つめてくるので、そっと別の場所へと視線を移動させる。

 

 実際、自分もリムルも言ってみただけなのに……まさか、本当にやるとは思わなかったのだ。これはいったい、いくらかかるんだろう。

 

 シャンパンタワーの頂点から注がれて綺麗に注がれていく様を見ながら思う。

 まぁ、今夜はミョルマイルの奢りなので、存分に堪能させてもらうとしよう。

 

「リムル様、ウィン様。お楽しみ頂けておりますかな?」

「ああ、お陰様でな」

「ん、楽しんでる?」

「それはよかった」

 

 そんな自分達の様子を壁際にたっている給仕係の人達がこそこそと話している。

 

「……ねぇ、VIP席の仮面の子と、女の子。店長がやけに腰低いけど、何者?」

「自由学園の先生方らしいよ。くれぐれも丁重にってお達しだ」

「へぇ……あのミョルマイル様が子供達に対してあんな気を遣うだなんて……」

「何か弱みでも握られてるのかね」

「ホレてたりして」

「あるかも」

 

 リムルは魔力感知で丸聞こえだろうし、自分も良く聞こえてしまっている。

 それにしてもミョルマイルって、このお店の店長なんだ。

 

「悪いな、大人の姿の方が体裁いいだろうに」

「お気になさらず、貴方の正体を伏せる方が大事ですからな」

「ありがとう?」

「なんのこれしき、お二人から命を救って頂いた身としては安いもんです」

 

 テンペストで商談をしてきたミョルマイルは、西方聖教会に身バレしたくないリムルの事情も汲んでくれている。

 

「さがっとれ」

 

 ミョルマイルは従業員達を下がらせる。

 

「そうだ、ウチの回復薬のことだが……スカイドラゴンの衝撃でずいぶん消費しただろ?  割れたり怪我人に使った分は補填する」

「どんどん配ってくれていいよ?」

 

 リムルと自分から言われて、何か納得したように「ふむふむ」と顎に手をあてて頷いている。

 

「なるほど。売り上げよりも宣伝効果を優先ですか……。料金は規定通りお支払いしますよ。あの薬を怪我人に使うと判断したのはワシですからな」

「助けたからって気にしなくても大丈夫だよ?」

「はっはっは、それはもちろん感謝しておりますが、ワシは遠慮しているわけではないのですよ。ただ、貴方達に投資したいと思ったのです」

 

 口角を上げながら、ニヤリと笑いながらリムルと自分を見てくる。

 

「今後、交易路の中心となるであろう魔国連邦、テンペスト。盟主である貴方様方とお近付きになれた、これが理由ではおかしいですかな?」

 

 ミョルマイルはゆっくりと手を差し出して、握手を求めるように手を伸ばしてきた。

 

「……いや、納得だ」

「強か、だね?」

「コレでも大商人ですからな」

 

 お互いに笑顔で握手を交わす。

 

「じゃあ今後とも、取引をよろしく頼むよ」

「こちらこそ、是非とも宜しくお願いします……それと、ウィン様。よろしければポーションだけでなく、美容品なるモノの話も、いつか扱わせて頂きたい。完成した折には是非ともお声がけを」

 

 ピクっと思わず反応してしまい、苦笑いでミョルマイルの方を見る。

 リムルの方からは、物凄く突き刺さる視線が飛んでくるが……今は無視しよう。

 

「では、ごゆっくり」

 

 手短に話をすませると、ミョルマイルはさっさと席を外して、去っていく。

 気のきく男であるが……自分にどうしろと? まぁ楽しめばいいかな。

 

 リムルはキレイなお姉さんが沢山いるお店だからか、少し浮かれているようだけど……その中に気になるエルフ……ダークエルフのお姉さんを見つけた。

 

 あの人は確か、カイジン達と楽しんでいた武装国家なる国にいたはずの、占いをやってくれたダークエルフのお姉さんだ。

 

 リムルも気付いたらしく、彼女の方にジッとみている。

 相手も気付いたのか、自分の事を覚えてくれていたのか手を振ってこちらに歩いてくる。

 

「えっと、なんでこんなところに?」

「ふふ、そうねぇ。ちょっと向こうでお話しません? スライムさんも」

 

 リムルの事にも気付いていたようで、こそっと耳打ちされた。

 

 すこし隅っこの方へと移動して、三人でソファーに座る。

 

「――すごいな。どうしてわかったんだ?」

「うふふ、エルフの直感……とだけ言っておきましょうか」

 

 リムルはなんかエルフ凄いっ的な感じでみているが……多分、種族的な能力かスキルが関係しているだろう。

 

「ドワルゴン以外で会えると思わなかったよ」

「私は他の子と違って旅人なの。ママのお店にはよくお世話になるんだけど、専属ってわけじゃないのよ」

 

 旅人ねぇ……下手すると、そういう方面の知識では自分もリムルも敵わない人なのではないだろうか。

 

「たまには故郷に帰ったりとか?」

「……スライムさん」

 

 ジッとリムルの顔を見ながら妖艶に微笑む。

 

「もしかして「エルフの故郷に行けばエルフ美人がいっぱいいるだろうし、今度何人かスカウトしてテンペストでも働いてもらおうかな」とか……考えてる?」

「っ! まっさか~」

「うふふ、冗談よ」

 

 さすがは占い師と言うべきだろうか、それとも、彼女だから見破れたのかもしれない。

 

「私の故郷は魔道王朝サリオンのはずれ、国境にある小さな村よ」

「へぇ……」

「たしか、図書館の本に載ってた? エルフの国で西方諸国の下の方にある?」

「えぇ、一応サリオンに属してるけど。どちらかというと、ウルグレイシアの方が身近かなぁ」

「ウルグレイシア?」

「……知らない、名前だけは本にも載ってたと思うけど……記述がなかった気がする?」

「ふふ、そうね。精霊信仰のさかんな国でね。私の占いも、精霊魔法の応用なのよ」

 

 精霊との繋がりが強い国。

 それは、いま自分達が何よりも欲している情報があるかもしれない。

 

「その占いで、隠された場所を見つけ出すことって出来るのか?」

「え、うん、できるけど……」

「ひとつ占ってもらいたい場所があるんだ。いくら払えばいい?」

 

 急に真剣に語り出すリムルと自分の様子を見て、ダークエルフのお姉さんは微笑みながら笑いかけてくれる。

 

「ただでいいわ」

「え?」

「いつかスライムさん達のところで働くことになった時、お給料ははずんでもらうから!」

「そんな事で良いなら、いくらでも!」

「あぁ、わかった!」

「それで? 占って欲しい場所は?」

「あぁ、精霊の棲家なんだけど……って、どうしたんだ?」

 

 リムルが言った場所を聞いて、目をパチクリさせているお姉さん。

 

「え? 精霊の棲家の場所を占ってほしいの?」

「もしかして、知ってる?」

「ん~……知ってるというより、あそこかなぁって感じなんだけどね」

「知ってるのか⁉」

「うん……入り口が移動してなければ、多分?」

 

 入り口が移り変わるっていうのなら、リムルが聞いてきたトレイニーさんの話と一致している。

 

 トレイニーさんも知らなかったのに、流石はエルフの国って事なのか。

 それとも精霊との繋がりが強い国だから、知っていることなのだろうか。

 

「スライムさん達が知らなかったのは仕方ないわよ。ウルグレイシアはサリオン以外と国交を結んでいないから、よその国で調べても、よくわからないと思う」

「ウルグレイシアにある? 精霊の棲家?」

「そ、さっき精霊信仰が盛んだっていったでしょう。国民は十歳で精霊と契約するきまりなの」

「へぇ……良いことを聞いた」

 

 子供達に上位精霊を宿すってのも、あながち突拍子もない話じゃなかった。

 

「……あのね二人共。どんな事情があるか私にはわからない。二人にとって、とても大切なことなんだって声色でわかる……でもね。精霊の棲家へ向かって、帰ってきた者はいないの」

 

 お姉さんが真剣な瞳で自分とリムルを見て言う。

 

「そうなんだ、でも……行くよ?」

「あぁ、約束があるんだ」

 

「ふ~、どうしても行くのなら見せてあげる……でも――、私とも約束して、必ず帰ってくるって」

 

 

「ん、もちろん」

「あぁ絶対に帰ってくるさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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