心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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104話 精霊の棲家とホットチョコレート

 

 

 

 

 

 

 

 占いのお姉さんに聞いた方角と、大体の場所を目安にして空の上から探索中だ。

 

【上から見ると、殆どが森って感じ?】

【おいおい、しっかり探してくれよ】

【リムルの方は何か見つけた?】

【いや、まだ何にもないな】

 

 ウルグレイシアの国民が契約の儀式を行うのは、大抵が町の中央にある祭壇らしい。そして、お姉さん曰く、その祭壇に上位精霊が現れることはないのだと言っていた。

 

 上位精霊と契約を結びたいのなら、精霊の棲家へ行くしかない。

 

 トレイニーさんは魔素を制御させるのなら、上位精霊でなければ駄目だと言っていたらしい。それなら、行かないという選択肢なんて存在しない。

 

 ちなみに、留守番はライナにしてもらっている。

 今はリムルと一緒に一日も早く精霊の棲家を探し当てる為に、自分は風を操りながら、広範囲で探索をしている。

 

【あっ! リムル! 占いのお姉さんに見せてもらった場所があったよ!】

【マジかっ⁉ すぐにそっちに行く‼】

 

 リムルが来るまで少し待機して、ハンドサインでこの下だとリムルに知らせながら一緒に降りていく。

 

 巨大な木に埋まる様に階段と大きな扉がある。

 上からただ探しても見るからないのは納得だし、なんか普通に歩いてくるのも難しいようだ。

 

「……ここが、精霊の棲家」

「その入り口?」

「さて、ちょっと手伝ってくれよ」

「ワープポータルの魔法陣?」

「あぁ、流石に子供達を背負いながら連れて来るのは無理だからな」

「じゃ、任せといて」

 

 杖に魔力を纏わせて、ベスターから教わった「拠点移動」の魔法陣を描いていく。

 

「さすがウィン。俺よりも速いな」

「まぁ魔法陣はよく使うから? これくらいならすぐだよ」

 

 ひとまず目的の場所は見つけたし、イングラシアに戻って子供達を連れて来る算段をたてないといけない。細かいことはユウキに丸投げしてしまえば、後は課外授業という事で外へ連れ出せるはずだ。

 

 

 

 ==リムルと自分で分担して、子供達を課外授業で外まで連れて行けるように準備をしていたら、いつの間にか夜になっていた。

 

 

 

 

 自由学園の寮でリムルと一息ついて、必要な書類を片付けていると。

 コンコン――と、部屋をノックされる。

 

「はい?」

「……ん? アリスとクロエ?」

「どうしたんだ、こんな夜中に」

 

 二人共、パジャマ姿で浮かない顔をしている。

 クロエもアリスも大好きな本やぬいぐるみを、ギュッと抱きしめている。

 

【なんてこった、まさか人生初の夜這いがされる側で、しかもこんな美幼女二人からとは】

『あら、アタシも居るわよ?』

【リムルのノリって……偶に分からないね】

『というより、おじさんね』

 

 何時もの様にふざけてみるが、彼女達の顔色は暗いままだ。

 

「……先生、私たち……」

「明日も……。大丈夫だよね?」

 

 潤んだ目の端には、涙が少し溜まっている。

 自分とライナ、そしてリムルもなにも言わずに部屋から出る。

 

「食堂、行こう?」

「あぁ美味いもん頼むぜ」

『そういえば、ミョルマイルから貰ったモノがあるのよ。それで何か頼むわね』

「先生……」

「なんで、何もいわないのよ」

「今は一緒に美味しいモノで気分を変えよう?」

 

 自分はアリスの頭を撫でて、リムルはクロエの方を撫で、ライナは二人の背を優しく叩きながら、食堂の方へと一緒に歩いて行く。

 

 彼女達が言う「明日も大丈夫か」という問い。

 もちろん何が言いたいのかは、わかっている。

 不安になるのも無理はない、「明日も生きていられるか」だ。

 ここで優しい言葉を言うだけで、彼女達が安心できるわけがないだろう。それに、今の雰囲気のままでは、きっと自分やリムルが何を言ったところで届くとも思えない。

 

 まずは重くなってしまっている心と雰囲気を軽くしてあげなければ、始まらない。

 

 食堂に入ると、すぐに牛鹿の乳を温め、店長が持ってきたというチョコもどきを、溶かして混ぜていく。

 

「はい、できた?」

「お~、さすがウィン」

『はい、熱いから気をつけて飲みなさいね』

 

 ライナはクロエとアリスにコップを渡す。

 二人は席に座りながら、コップの中に息を吹きかけながら、ゆっくりとホットチョコレートを少し飲む。

 

 味にも驚いたのか、クロエとアリスはお互いに見合ってから夢中でホットチョコレートをコクコクと口に含んでいく。

 

「不安な夜はホットチョコレートに限るな」

「というより、甘いモノ?」

『うん美味しい。ちょっと腕を上げたんじゃない』

「う~ん、ミョルマイルがくれたモノが良かったんじゃないかな?」

「はは、でも美味しいのは確かだぞ。お前たちの分もあるぞ? ケンヤ、リョウタ、ゲイル。入って来いよ」

 

 食堂の扉を少しだけ開いて、こちらの様子を見ている三人にリムルが声をかける。

 

「うぇ、ばれてる‼」

「ふふ、気付かないと思った?」

『冷めちゃうわよ』

 

 ライナがちょっとだけ茶化しながら言うと、三人は慌てて入って来た。

 三人分のも用意して、机に並べる。

 

「うめーっ、なにコレうめーっ」

 

 ケンヤは終始興奮しながら、がっついて食べていく。

 

「懐かしい味がするな」

 

 ゲイルの方は、似た味を知っているのか懐かしみながら楽しんでいるようだ。

 

「あちっ! 火傷した……」

 

 リョウタはどうやら猫舌なのか、熱いのは苦手らしい。

 

「飲みながらでいいから聞いてくれ。明日の課外授業についてだ」

 

 リムルは壁に寄り掛かりながら生徒達に声を掛ける。

 

「明日はどこで?」

「ウルグレイシア共和国。ウルグ自然公園?」

「ウル……え? 外国ですか?」

 

 ゲイルが驚きながら自分とリムルを見やる。

 

「ケンちゃん、知ってる?」

 

 リョウタはケンヤに聞くが、悩む様子もなくホットチョコレートを書き込んでいる。

 

「知らね」

「正確な場所は、精霊の棲家?」

『あら、見つけたのね』

「精霊の……棲家?」

「ってことは、精霊がいるの!」

 

 クロエとアリスの表情が明るくなっていっている。

 

「あぁ、迷宮だがな。そこに皆を連れて行く」

「迷宮!? そ、そんな所に行って大丈夫なのかよ!」

 

 ケンヤはちょっと不安そうに聞くが、ライナが挑発するように笑う。

 

『あら、アタシ達が守ってあげるから大丈夫よ』

「ということは、ライナさんも来てくれるんですか!」

「べ、別に怖がってねぇからな!」

 

 リョウタは初めてライナも付いて来るってことで驚き、ケンヤの方はライナの笑みにムッとして、思わず言い返しているようだ。

 

「まっ、そういう訳だからしっかり準備しておくんだぞ」

「だから、明日も未来も大丈夫だよ。明日も、未来もね」

 

 そう言いながらクロエとアリスの頭を撫でてあげると、二人共小さく頷いてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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