心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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105話 精霊の棲家と迷宮

 

 

 

 

 

 

 

 ワープポータルを使って、子供達と一緒に精霊の棲家と言われる迷宮の前に立つ。

 

「うわぁ~、でっけ~」

「はいはいケンヤ、はしゃがない。少なくとも俺やウィン達の後ろに居てくれよ」

『アタシの前には居てね』

 

 編成的には先頭がリムルで真ん中が自分、後ろにライナという感じで並んでいる。リムルとライナの間に子供達がいる感じだ。

 

 あまり外へと出れなかったのに、今は自分とリムルが居れば色々な所に出歩ける、しかも今回の課外授業と称した遠出は、外国というから子供達のテンションは高い。

 

「ここって、大丈夫なの? ちゃんと守ってよね」

 

 アリスが興奮と不安が入り混じった感じで自分の袖をつまんで引っ張る。

 

「安全とは言えないけど、自分達がいるから大丈夫かな?」

「あ、安全じゃないの!?」

『まぁ迷宮だからね、安全ではないでしょうよ』

「ランガも居るし、大丈夫だよ」

「はっ! 全力でお守りいたしますぞ主!」

 

 ランガもヤル気十分といった感じで、リムルに擦り寄っている。

 

 重たい扉をリムルが開いていき、子供達のペースに合わせながらのんびりと進んで行く。罠や危ない場所の探知はランガと自分が気を付けながら進んでいるが……特に何事もなく奥へと進んで行く。

 

 気付かない間に、声がそこかしこからきこえてくるようになった。

 

「うふふ」

「おやおや」

 

 小さな存在が飛び回りながら、こっちの様子を観察しているようだ。

 

「先生ぇ……」

 

 クロエがリムルにしがみ付いて、アリスも自分の方へと寄ってきて服を掴んでいる。

 

「聞こえるか? こちらに敵意はない。用が済めば直ぐに立ち去る」

「良ければどこに上位精霊がいるか、教えてもらえないかな?」

 

 自分とリムルが問いかけると、声の主達は面白そうに笑っている。

 

「あはは、おもしろい」

「いいよ」

「教えてあげても」

 

 終始笑っていた者達の雰囲気が変わった。

 

「ただし、試練に打ち勝ったらね」

 

 そう言い終わると後ろから大きな足音を立てて、歩いてくる影が出てきた。

 

『あら? さっきまで影も形もなかったように思ったけど?』

「ライナさん、ゴーレムです!」

 

 魔人形……しっかりと機械っぽい見た目で、傀儡とはまた違うようだ。

 

「ねぇ……リムル」

「なん……おい、ウィン? お前」

「アレちょうだい」

「いやいや、なに目を輝かせてんだよ!」

 

 一つ目がギョロっと動くとリムルのほう目掛けて拳を振り下ろしてきた。近くに居たクロエやアリスを庇いながら、リムルは後ろに下がるが、自分は前へと進む。

 

「ちょ! ウィン先生!」

 

 地面を抉る程の威力だが、真っすぐ過ぎる。

 風の防壁で横に流すようにしながら、力を逃がしてそのまま足を払う感じで魔人形をクルンっと半回転させ、拳は空中を殴るようにして魔人形が転がった。

 

「おお……って! ウィンのヤツがあんなに生き生きと戦闘に参加するのは初めて見るぞ」

『しょうがないわよ。まだ手に入れてない種族っぽいヤツが出てきたんだもの』

「そういう問題か?」

 

 転ばされて怒ったのか、すぐに起き上がって目の部分が妙に光り出している。

 

「試練って、倒すことで合ってるよね?」

 

 声の主に話しかけると、笑いながら答えてくれる。

 

「そうだよ」

「できるかな、できるかな」

「その子はとっても強いよ」

 

 強いと言われても、なんかあんまりピンとこない。

 これならカリュブディスとか、ミリムの方が遥かに強いし。

 

「じゃあ、貰っても……構わないよね?」

「え?」

「命を取られる訳じゃないし、別にお人形さんがなくなるだけだもんね」

「いや、ちょっと!」

「それに、殺しに来てる時点で、拒否権はない?」

 

 そう言うと、なんか声の主が戸惑いと驚きの声を上げている。

 

「きっと機械族? この見た目なら間違いないはず……ふふ、これでレイをもっと強くしてあげられるかもしれない」

 

 御巫達や自分達の霊使いと違って、閃刀姫テーマのレイにはどうしたって機械族が必要不可欠なのに、今まで機械族らしきモノに出会わなかったせいで、機械族の条件解放はされていなかった。

 

「ちょ! あげないからね!」

 

 なんか声の主が叫びながら訴えているが、気にしない。

 

「やっぱり相手のモンスターを奪うならコレだよね」

 

 カードを一枚取り出し、魔素を籠め始める。

 

「ちょっと、早くあのヤバいやつを倒しなさい!」

 

 魔人形が暴れ回るので風霊術で動きを封じるように、身体を宙に浮かせてやる。

 

「暴れられると危ないから、大人しくしててほしいな。それに貰うって言った? ふふ、強引にでも、ね」

 

 しっかりと魔素を練れたようだし、いいかな。

 そこまで変わった動きもない。これ以上は時間の無駄だろう。

 

「さて、{大捕り物}発動」

 

 カードから縄やさすまた、なんか十手まであるが、相手の動きを封じて強引に自分の手前へと連れてくる。

 

「へ? えっ⁉ なにそれ! なんか命令きかないし! なんで!?」

「それじゃあ、コレクト?」

 

 魔人形の足元に魔法陣を展開させてカードの中へと引きずり込んでいく。

 

「あっ、リムル……腕だけでもいる?」

「あ、あぁ。じゃあ貰おう、かな」

 

 なんか知らないがリムルが若干だが引いている。

 リムルなら体の一部でもあれば、何かしら「大賢者」さんが解析してくれるだろう。

 

「なぁ、ウィン先生だけは怒らせないようにしようぜ」

「アレ別に怒ってないよね?」

「笑顔で怒られそうで怖いよね」

『安心しなさい、きっとアナタ達と居て怒られる事はあっても、怒ることは早々ないわよ。あったとしたら、アナタ達が相当な事をしたって時じゃない?』

「むしろお前達と一緒になって怒られる方が想像し易いからな」

 

 リムルの呆れ交じりの言葉にアリスがポカンと口を開けながら頷く。

 

「あ~、たしかにそうかも?」

 

 呟くように言うアリス。

 

「うん、なんか想像できる」

 

 クロエまで頷いている。

 

「ちょっと! 嘘でしょう! アタシのエレメンタルコロッサスが⁉ 奪われたっていうの! どうやって!?」

「やった! やっぱり機械族!」

 

 ショックを受けている声の主には悪いが、自分の方はカードに書かれている種族名に「機械族」と書かれている事の方が嬉しい。

 カチッと条件解除の影響か、自然と機械族も今後は扱えるようになったのが解る。

 

「さっさと姿を現せ、隠れてる場所はわかってる」

 

 リムルが崩れた柱の物陰を睨みながら、強い言葉を放つ。

 

「ウィンの様に、俺は優しくないからな……お前を直接、燃やし尽くしてもいいんだぞ」

 

 リムルは手の平に黒い炎を作り出しながら、声の主に脅しをかけている。

 

「はいはいはいはい!? たった今、恥ずかしながらやって参りました」

 

 物陰から飛び出して来たのは、妖精の女の子だった。

 

「我こそは偉大なりゅ――」

 

 あ、舌を噛んで空中で悶えている。

 顔に手をあててプルプル震えながら、リムルの顔を前を漂う。

 

「……大丈夫か?」

 

 ちょっと待ってと手を出しながら、しばらく待ってあげる。

 

「我こそは偉大なる十大魔王が一柱! “迷宮妖精”のラミリスである。さぁ、跪くがいい‼」

 

 キラキラと己に光を纏わせて、子供達を魅了していくが、リムルやライナはシラケた目でラミリスの事を見ている。

 しかし……なんだろう。

 こういうテンションというかノリを見ていると、初めて会った時のガビルを思い出すのは自分やリムルだけではないだろう。

 

「十大魔王の一柱? もっとマシな嘘をつくべき?」

 

 自分が呆れながら言うと、ラミリスがなんかムキになってこっちに飛んで来た。

 

「は――――ッ‼? いるのよねー、よく知らないから、とりあえず否定するヤツぅー」

 

 アヒルの様に口先を尖らせて拗ねるラミリス。

 

「確かに十大魔王のことは良く知らない?」

「ほらねー」

「でも、俺達には友達にいるんだよ。ミリムって魔王が……あいつのデタラメさを見てるとどうにも……」

 

 なんかラミリスが自分とリムルに指先をプルプルと震えさせながら向けてくる。

 

「あああぁぁあ。ミリムの友達……!? もももももしかして、アンタ達。テンペストだかいう国を興したリムルとかいうスライムとウィンっていう風使いの魔女?」

「ん、大体合ってる?」

 

 正確には風霊術だけどね。

 

「……そうだけど」

「あああ、やっぱり‼ この前久々に来て友達が出来たとか自慢しやがったから鼻で笑って追い返したのに……‼」

 

 

 なんか急にラミリスが取り乱し出した。

 周りにいる精霊達も彼女を宥めようと頑張っている。

 

「……自分達、何かした?」

 

「いや、アレはただの自爆だろう?」

『というか、さっきからなんかムカムカするのよねぇ……何でかしら?』

「あ、ライナも? 自分も……」

「そういや、俺もだな」

 

 

 とりあえず、ラミリスが落ち着くまで待つことにしよう。

 この精霊達がいるなら、あんまり危険はないだろう。

 気持ちを落ち着けるためにも、甘いモノだよね。

 

「ちょっと休憩しよう?」

「それもそうだな、なんか時間かかりそうだし」

『それじゃあ、準備しちゃうわね』

 

 ピクニック気分で、自分が作ったお菓子なんかも取り出して生徒達とティータイムだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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