心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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106話 ラミリス

 

 

 

 

 

 

 

 

 休憩していると、ラミリスがリムルと自分の事を睨んできた。

 

「ばぁ~っか。バカバカバカバカ、あんた達バカじゃ――」

 

 パンッとラミリスを蚊のように叩き潰すリムル。

 

「ラミリス様!?」

 

 他の妖精たちが叫び、心配そうにしているが助けようとはしなかった。

 

「きゅ~~~」

 

 叩き潰されたショックで気絶したので、そこからまた五分くらい時間を潰した。

 ちなみに、他の妖精はお菓子をプレゼントしたら、すぐに仲良くなった。

 

「あのね、アンタ達。ミリムって言ったら十大魔王の中でも、特に理不尽な存在なわけ」

 

 カサカサとチョコレートの入った包みを開きながら、お菓子を食べて説教ぽい説明を続け、リムルと自分は他の妖精達にも紅茶やお菓子をあげている。

 なんか、小動物の餌付けっぽいけど……気にしないようにしよう。

 

【なんで俺達がおやつの用意をしてんだよ……】

【まぁまぁ、こういう子は機嫌を取っておいて損はない?】

『変に癇癪を起こされた方が面倒よ』

 

 リムルは確かにという呟きながらも、納得いかなそうな顔をしている。

 

「力の権化みたいなアイツと可憐なアタシじゃ、ジャンルが違うの、比べる対象じゃないわけ!」

「……ん? でも、同じ「魔王」?」

「だよなぁ~」

 

 ちょっと引っ掛かって、疑問を浮かべながら呟いた言葉に、リムルも同じ気持ちだったらしく、自分の言ったことに同意する感じで頷く。

 

「そうだけど、違うの! 全っ然違うの‼ ドラゴンとスライムくらい違う‼」

 

 リムルのせいで、そこまで変わらないのではないかと思ってしまう。

 

『ウィン……コレと一緒にしちゃあダメだからね。他のスライム達が可哀想よ』

「おいコラどういう意味だ!」

『そのままの意味よ、アナタみたいなスライムが他に存在したらたまったもんじゃないでしょう』

 

 ライナの真顔でリムルに言い返すと、言われた本人も自覚があるらしく、何も言い返せずに自分の方を見てくる。

 

「こればかりは……ライナに同意?」

「おい! 助けろよ!」

『ふふん、少しは自身の異常性を意識しなさいよね』

 

 ライナは悪戯っ子の笑みでリムルに勝ち誇った顔を向けて笑う。

 

「アンタ達ね! アタシの話を聞きなさいよ! 十柱の魔王がみんな力自慢だったらキャラが立たないでしょーが‼ そんなのもう一人でいいじゃん‼」

「……確かに?」

「わかったわかった。じゃあ君は何に特化した魔王なんだ?」

 

 リムルが仕方なさそうに聞くと、ラミリスは胸をはって得意げな顔になる。

 

「知恵と美貌!」

 

 そう言った瞬間にリムルが蚊を潰すように、右手を振り下ろした。

 

「あぶぁ⁉ ちょっと、何すんのよ‼」

「いや、なんか渾身のドヤ顔にイラッとして、つい……」

『しょうがないんじゃないかしら、さっきから妙に腹が立つんだもの……ねぇ』

 

 ライナが意味深にラミリスの方を見ながら妖艶に微笑み、笑顔なのにラミリスに圧をかけているように感じる。

 

「確かにな、さっきから妙に腹が立つんだよな」

 

〈解。個体名ラミリスの「精神支配」に抵抗している影響です〉

 

「は? 「精神支配」?」

「精神支配? レジストってことは、ラミリスが何かしてるってこと?」

 

 自分達の視線が一気にラミリスに集まり、ラミリス本人は体を硬直させて自分達と目を合わせないように顔を背けだした。

 

「や……やめまーす」

 

 彼女がそう言うと、イライラしていた気持ちが急に落ち着いてくる。

 

 しばらく沈黙が続き、ライナはニコニコとラミリスを見つめ、リムルは――。

 

「そもそも、お前。ゴーレムで俺達を殺そうとしてたよな?」

 

 粘鋼糸でラミリスの体を簀巻きにして縛り付ける。

 

「ちょっとちょっと、なんでまだ怒ってんの⁉ 驚かせようとしただけだって! 妖精のかわいいイタズラだってー‼」

 

 そう叫びながら自分の方へと潤んだ瞳を向けて、助けるよう懇願してくる。

 

「……精霊の棲家を目指して帰って来た者はいないって聞いた?」

「迷子にでもなってんじゃないの? 遠い異国の出口に放り出してるから」

『それはそれでヒドイ話ね。まぁ同情はしないし、ここに来た者達の自己責任ね』

 

 まぁ確かに、ライナの言い方は少し冷たいとは思うがその通りだと思う。

 ラミリスからしたら家の中を荒らされているのと同じだろう。

 

「だいたいねぇ、アタシばっかり責められるって、ひどくない? あんたが壊した魔人形ってアタシの最高傑作だったんですけど⁉」

「そーよ」

「そーよ」

「そっちが試練とか言い出して襲ってきた? 自業自得?」

「なにも奪うことないじゃん! アンタ達の方が強いってのにさ。相手の気持ちも考えなさいよね!」

「いや、お前が言うなよ……分からんでもないが」

「あ、ヒドイ? リムルはどっちの味方なの?」

「アタシでしょう! アンタはさっさと返しなさいよ!」

「え~、自分だよねリムル? それと……イヤだ?」

「こっの~生意気な子ねぇ~」

「ふ~ん、何とでも? 襲ってきたそっちが悪い?」

 

 ラミリスがキーッと叫びながら、自分が作ったお菓子を強奪していく。

 

「あ、それは自分が作ったとっておき! 返してよ」

「ふ~んだ、それならアタシの最高傑作を返しなさい!」

 

『リムル、なんとかしてよ。似た者同士だから収拾が付かないわよ。争いごとは幼稚だけどね』

「間に立たされる俺の立場にもなってくれよなぁ」

『嫌よ面倒だもの……こういう生け贄は一人でいいのよ』

「お前も良い性格してるよな」

 

 なんかリムルが面倒くさそうにしながら、自分とラミリスの間に立つ。

 

「あら、コレは凄く美味しいじゃない!」

「あ~食べた!?」

「はいはいどうどう、落ち着けウィン」

「あ~もう。あんなに頑丈な外殻がたまたま手に入るなんて、滅多にないラッキーだったのに」

 

 ラミリスが美味しいお菓子をやけ食いしながら、止まらない手と気落ちする気持ちで忙しそうに肩を落としたり、美味しさに顔をうっとりさせたりしている。

 

「なんだ、最高傑作とか言ってたくせに外殻はどっかから盗ってきたのか」

「ちょっ……人聞きの悪いこと言わないでくれる!? あれがドワーフ王国の研究所で作られた魔装兵の試作品だったの! 残骸が捨てられていたから、アタシが再利用してあげたわけ!」

「なるほど、資源ゴミ泥棒?」

「アンタ、絶対にワザと言ってるわよね‼」

 

 それにしても「魔装兵」というのは、聞き覚えがある。

 カイジンが言ってた、功を焦ったベスターの話に出てきたヤツだ。

 たしか「魔装兵計画」がポシャったって話だったような気がする。

 

「……あれ? ということは、ドワーフの技師ですら失敗したモノを自己流で完成させたの? 凄いね」

「あら、あらあら、ふふ~ん。そうよ、わかってるじゃない。そういう賢いところは好感が持てるわねアンタ。胴体は良い線いってたけどね、心臓部の精霊魔道核がもーだめだめ。あれの動力は火の精霊が制御してるんだけど、そもそも通常の素材じゃ精霊に耐えられないわけよ――」

 

 あぁ、オタクの好きなモノを語る時に見せる感じの話が始まってしまった。

 リムルとライナの視線が何故か、「あぁ、確かに似た者同士」という感じで見てくる。

 

 ――物凄く解せない。

 

 ただ、これに関しては何か言い返したところでライナに言い負かされるのはまだしも、リムルにも言い負かされそうで、下手な事は言えない。

 

「可動部は水の――」

「ラミリスだっけ、すごいのはわかった。そんな君を見込んで頼みがある」

「はぁ? なんでアタシがアンタなんかの言うことを……」

 

 気持ちよく語っていた所を止められ、ちょっと機嫌が悪くなるラミリスに、リムルは笑顔で黒炎を手の上に作り出す。

 

「聞いてあげてもいい気がしてきたのであります‼」

「いやぁ助かるよ」

 

 ケラケラ笑うリムルに、ちょっとラミリスが可哀想に思えたので声を掛けることにした。

 

「……後で自分が話、聞いてあげる?」

「さすが心の友よ!」

 

 そんな様子を見ていたリムルが溜息を吐きながら、ラミリスに提案する。

 

「もちろん無料とは言わない。協力してくれたら俺が新しいゴーレムを用意しよう」

「マジで!?」

 

 提案を聞いたラミリスは目を輝かせながらも、すぐに取り繕うように咳払いする。

 

「……聞こうじゃないの」

 

 もうワクワクしている顔は誤魔化せていないが、素直な子だなと思う。

 

【ちょろいな】

 

【やっぱりお調子者っぽいね】

 

 

 

 そこからは子供達のことを話し、なぜ上位精霊に会いたいかの理由を語る。

 

「――はぁ~~、なるほどねぇ。この子たちも苦労してるんだねぇ」

 

「そんあわけで、どうしても上位精霊の協力が必要?」

「そのために精霊女王に取り次いでもらいたい。精霊に詳しいラミリスなら会ったことあるんじゃないか?」

 

 

 

「あれ? 言ってなかったけ? 精霊女王ってアタシのことだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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