心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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107話 精霊女王?と魔王?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラミリスの言葉を理解するのに数分は掛かった気がする程、沈黙が続いた。

 

『アタシ、ちょっと頭が変になったのかしら?』

「頭じゃなくて耳かな?」

「なんですって⁉」

 

 しっかりと自分とライナの言葉が聞こえていたらしく、怒鳴りながら自分達の周りを飛び回ってくる。

 

「いやいやいやいや、子供達の現状を話したよな⁉ 冗談言ってる場合じゃないんだけど⁉」

「冗談じゃありませーん。本当です――‼」

 

 今度はリムルと顔を突き合わせて睨みあっている。

 

「魔王って設定は?」

「設定じゃありませんー‼」

「欲張ってると信用なくすぞ!」

「精霊の女王が堕落して魔王になっちゃったんですー‼」

『堕落って……』

「ちょっと! 呆れた顔で見ないでくれない! アンタはこの中でイッチバン気に入らないんだから! その目を止めなさいよ!」

『ふっ……』

「鼻で笑ったわね!』

 

 でも堕落と言われると……なんでだろう、なんとなく説得力がある気がする。

 だってラミリスって見るからに堕落してそうだもん。

 

「……わかった、いや、よくわからんけど。とりあえず飲み込むことにする」

「よろしぃ!」

 

 もうリムルは頭痛で頭が回らないとでも言うように額を抑えながら、ラミリスを改めて真剣に見つめる。

 

「……で? 協力してくれる気はあるのか?」

「……子供達の為にも、ここまで来て得た手掛かりなの……帰れって言われても、無理だから」

『そうね、アナタが無理だって言うなら、自分達で探すだけよ』

 

 ラミリスはさっきまでと違い、真顔で自分やリムル。それに子供達やライナの顔を見つめて静かに目を瞑る。

 

「精霊女王は聖なる者の導き手。勇者に精霊の加護を授ける役目も担っているんだよ」 

 

 精霊の加護ってなんだろう。

 そう考えている間にも、ラミリスの羽が輝きだして光の鱗粉みたいなものが、自分達の周りを覆っていく。

 

「いいよ。召喚に協力してあげる。せいぜいスゴイ精霊を呼び出すといいさ」

 

 クルンと楽しそうに飛び回って、ニコッと笑いながら子供達の周りを飛び回る。

 

 

 

 ==精霊の棲家というのは、この迷宮の奥地にあるらしく、そこへはラミリスの案内で連れて行ってもらえることになった。

 

 

 

 その道すがら、ちょっとテンペストの事やミリムとの出会いなどの話で盛り上がっていた。

 

「へぇ、アンタ達ってトレイニーちゃん達、三姉妹と知り合いなんだ」

「知ってるの?」

「知ってるも何も、昔仕えてくれてた子達だもん。ドライアドになったのは、多分だけどアタシの堕落の影響かな。昔は小さくて可愛い精霊だったんだよ」

『今のトレイニー達を見てると、想像し難いわね』

 

 ライナの呟きにリムルと自分は思わず頷いてしまう。

 

「元気そうで安心したよ。アタシもこんなんになってからは、会ってないからね」

「ん? まるでそんな姿じゃなかった言い方?」

「あら失礼ね。まぁ今の姿じゃあそう思われても仕方ないけどさ~」

 

 リムルの視線が「まるでこんなんじゃなかった時代があったみたいな言い草だ」と言わんばかりの目でラミリスを見ている。

 

「……アンタ、失礼なこと考えなかった?」

「いや全く」

 

 ラミリスにジト目で見られて慌てて否定しているが、絶対に考えていたと思う。

 

「今のラミリス様はまだお小さいけど、本来はもっと威厳のある御姿なのよ」

 

 ラミリスと一緒に居る妖精が説明を開始してくれる。

 

「ラミリス様は転生と成長を繰り返す魔王。前世の自我も記憶も受け継いでいるから、魔王の中で唯一世襲が許されているの」

 

 簡単に言えば、親の自我と記憶は継承しているけど、成長するまでは弱いらしい。

 

「ああ見えても、深い叡智を湛えられたお方なんだからね!」

「ははは」

「……叡智……」

『堕落してちゃダメじゃない?』

 

 

 そう言いながら、自分達はラミリスの方を見る。

 

「チョコレートあげるわ、ウィン先生の手作りよ!」

「えっ! いいの⁉ マジで!? もう返さないからね!」

 

 アリスにすっかり餌付けされているようにしか見えないけど……良いのかな。

 

「……叡智よ!」

 

 妖精さんが顔を背けながら胸を張ってキッパリと答える。

 ただし、ラミリスの方は見ていないけど。

 

「でも、賢さはともかく、ラミリスが話の分かる魔王でよかった?」

『それは言えてるわね。問答無用で追い出されてたら、こんなにすんなりとはいかなかったでしょうし。それだけ時間も掛ったはずよ』

「そうだな……しっかし、勇者になるべく召喚された子供達を助けるのに、魔王の手を借りるってのも、不思議な話だな」

「……たしかに?」

 

「さぁ着いたわよ。ここが、迷宮の最奥、精霊の棲家よ」

 

 ラミリス達に案内され、辿り着いた奥地には高い剣山のような岩山と、その剣山のてっぺんへと蛇行し、螺旋を描くように伸びている光の道がある広場へと出た。

 

 さて、ここからは誰から行くか……そう考えていたが、最初に動いたのはゲイルだった。

 

「先生、自分に何かあったら、アイツらを頼みます」

「ん? それは無理かな?」

「え? 何で――」

『ふふ、だってアナタに何かある前に、ウィンやリムルが助けに入るでしょう?』

「そうだな、こういうのは一蓮托生だ」

「ライナは下で守り?」

『オーケー、こっちは任せなさい』

 

 ゲイルと共にリムルと自分、そしてラミリスが付き添いながら光の道を上っていく。

 

 そう言って自分もリムルもゲイルの頭の上に手を置いて、ポンポンと撫でる。

 緊張していたゲイルも少し落ち着いたようで、上まで来ると少し広い光の足場があり、そこで膝をついてゲイルが祈りの姿勢を取る。

 

「祈ることに集中?」

「大丈夫だ、何があっても俺達が助けるよ」

「先生……はいっ!」

 

 そうして、自分達は少しだけゲイルの後ろへ下がる。

 

「……精霊ってのは、こんな風に祈るだけで現れるもんなのか?」

「この場所。精霊の棲家ならね」

「へぇ……不思議?」

「アタシから言わせれば、アンタやアイツの方が不思議よ」

 

 なんか知らないけどラミリスはジト目で自分とライナの事を見ながら言う。

 

「過去にここで上位精霊の呼び出しに成功した人間は?」

 

 リムルが話題を変えようとラミリスに話しかけるが、その内容が良くなかったのか、物凄い顔をしながら舌打ちしている。

 

「………………いるけど」

「精霊女王として、その顔はどうなの?」

「うるさいわね、コイツのせいで嫌なヤツの事を思い出したの! あの時はアイツはまだ少年だったんだけどさ。特定の人物を異世界から召喚する方法が知りたいとか言って、知識に通じる光の上位精霊を呼ぶために、ここへ来たわけよ」

 

 物凄く嫌そうに説明を続けてくれる。

 

「……で、召喚に成功した?」

「良かったじゃんか」

「良くない‼ その精霊って勇者の資質を持った相手にしか応じないんだよ。召喚に成功したってことはつまり、アイツが勇者だってこと」

「じゃあ、その少年に精霊の加護を授けた?」

「そう!それがアタシの役目だからね。なのにアイツ……」

「待った」

「来たみたい?」

 

 ゲイルの上に光の玉が集まり出している。

 

「上位精霊……には見えない?」

「んーと、あれは……」

「土属性?」

「へぇ……やっぱり分かるのね。そう、土属性の子が何体か来ているけど……みんな自我のない下位精霊だよ」

「下位精霊か……さてどうするか」

「ん~、リムルが取り込んで組み合わせちゃう?」

「あぁ! なるほどな! それなら……」

 

【大賢者‼ 出来そうか⁉】

〈解。ユニークスキル「変質者」により「統合」の実行が可能です〉

【それじゃあ、姿のイメージは自分がやる?】

【あぁ頼む、俺は精霊達の統合と自我や疑似人格の作成をやる。補助は頼んだぜ「大賢者」】

 

 自分とリムルはゲイルの隣まで行き、リムルは左肩、自分は右肩に手を乗せる。

 

「ゲイル、そのまま祈ってろ」

「自分達にまかせて?」

「は、はいっ」

 

 返事をしっかりと聞いたリムルが下位精霊達を一気に取り込んでいく。

 

「……「リンク」を繋いで……イメージ」

 

 土属性のゲイルなら守りというイメージと、騎士っぽい感じがするから鎧騎士が良いだろうか、そうして多分、リムルなら紳士的な感じにするだろう。

 

〈告。ユニークスキル「変質者」により下位精霊の「統合」が完了致しました。イフリートの自我情報を素に、疑似人格を作成し付与します〉

 

 取り込んだ精霊を統合したので、それを自分のイメージと擦り合わせ、リムルが外へと解放する。

 目の前には鎧騎士の疑似精霊が現れた。

 

〈……疑似上位精霊「地」が完成しました。ゲイル・ギブソンと「統合」しますか?〉

【もちろんyesだ】

 

「お願いね、「大賢者」さん」

「頼むぞ大賢者」

 

 リムルは肩に乗せていた手を背中に移動させて、両手で疑似上位精霊をゲイルに統合させるように憑依させていく。

 

 自分は少しだけゲイルと疑似上位精霊の地属性とのバイパスを繋ぐように手助けし、無理のないように馴染ませていく。

 

「目を開けていいぞゲイル」

「よく頑張った? 体内の魔素は安定した?」

「もう大丈夫だ」

「ん、これで未来も見れる」

 

 目を見開いたゲイルは自分とリムルの顔を眩しそうに見てくる。

 

「せ……先生」

 

 リムルの笑った笑顔は、もしかしたらシズさんによく似ていたので、それも会いまったのかゲイルの目尻に涙が溜まっている。

 

「喜ぶのはまだ早い?」

「あぁ、全員成功してから喜ぼう」

「……はいっ」

 

 そう言いながら、ゲイルを下まで送り届ける。

 

【上手くいって良かった】

【リムルなら出来るって思ったけど?】

【よせ、お前が居たから成功率だって上がったようなもんだ、正直、疑似上位精霊を創り出すなんて賭けは、お前が居たから出来たようなもんだぞ】

【自分はイメージ作りと、その後、精霊との力のバイパス繋ぎと安定化ぐらい? リムルが居なかったら疑似上位精霊なんて作り出せなかったよ?】

 

 実際、リムルだから下位精霊を取り込むことや「変質者」のスキルで「統合」なんて荒技が出来たんだし、誇って良いと思う。

 

 少し無理すれば、自分がしていたことはリムル一人でも出来ていたとも思うしね。

 

 

【はぁ、お前はもっと自分の能力を知るべきだな】

 

【ん? まぁ良く分かんないけどさ……ここで役立つのがシズさんの遺してくれたスキルっていうのは、ちょっと感動だよね?】

 

【あぁシズさんはやっぱり最後まで、凄い人だって思うよ】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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