心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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 ここからはちょこちょこ視点が変わって物語が進みます。



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111話 思惑と始まり

 

 

 

 

 

    ▲△▲△視点:ヒータ △▲△▲

 

 

 

 

 魔国連邦、テンペストの首都リムルからウィン達が子供達を救うと旅立って、かなりの日数が経ったように感じる。

 

 

「――というわけでな、子供達のことは無事に解決した。そろそろ先生業も一段落って感じだ」

「それを聞いて安心しましたよ。では、すぐにでもお戻りに?」

 

 いまはベニマルが通信水晶を使い、リムルと連絡をしている。

 

「いや、子供達に精霊が馴染んだのを確認するまではこっちにいるつもりだ。もう少しだけ留守を頼む」

「承知しました」

『ふ~ん……まだそっちに居るんだ』

 

 自分の態度をベニマルが見て、苦笑いをしている。

 

「悪いなヒータ。ウィンをずっとこっちに置いちゃってさ」

『まっ、ウィンだしね。子供達に掛かりっきりになるのは分かるし良いけどよ』

 

 寂しいなんて、絶対に言わねぇけど。

 最近は子供達っていう生徒の面倒を主に見てるせいか、オレ達と喋る時間とか擦れ違いで会えなかったりが多い気がするけどな。

 

「次はちゃんとこの場にウィンも連れて来るから勘弁してやってくれ」

『だから、別に忙しいなら良いっての』

 

 なんかリムルに気を使われるのは、妙にイラつく。別に、ウィンといっつも一緒に居るから嫉妬している訳じゃない。

 それならライナの方が……いや、どっちも変わらねぇ気がしてきたな……。

 

「あ~、そっちは変わりないか」

 

 リムルが露骨に話題を変えやがった。

 オレも少し遅れて気がついたが、なんか半目でリムルを睨んでいたらしい。

 

「ええ、皆元気ですよ。大きな問題も起きてません」

『変わった事といったらアレだ。少し前にヨウム達がまた街に来たぜ。あと知らない顔の女が増えてたな』

「あぁ、確かに新顔が一人、増えていましたね」

「新顔? へぇ……」

「なんでも失言したヨウムを叩きのめしたのが切っ掛けだとか」

 

 ちょっと知らない顔が居たから探りを入れたら、ヨウムのヤツが知らない女に負けていたって言うんだから、驚きだ。

 少なくともハクロウ爺の稽古を受けているヨウムが、そうそうやられる様なヤワな鍛え方をしていないのに、負けたという。

 

「えっ⁉ ヨウムが負かされたのか⁉」

『どうせ、その女性の色香にでもやられたんじゃねぇ~の』

 

 多少は胸もあるみたいだしな……。

 

「たいしたもんだな、その新人。戦士系か?」

「いや、俺は直接話しちゃいないんですが、魔導師だと聞きました」

『あぁ、ウィザードだ。名前はミュウランって美人だよ』

「今じゃ奴らの軍事顧問だとか」

 

 あの一団は良くも悪くもヨウムが中心だからなぁ。

 ヨウムが絆されてるんだとしたら、ちょっと面倒だが軍事顧問までしてるってなると、下手に警戒するのもダメだとアウスに釘を刺されちまった。

 

「なるほどね~。いまヨウム達は何してるんだ?」

『今の時間なら、ハクロウ爺んところで稽古に混じってるんじゃないか?』

 

 

 そっちに行ってるなら、レイが居るし大丈夫だろう。

 

 

 

 ▽▼▽▼視点:ヒータ(End)▼▽▼▽

 

 

 ▲△▲△視点:レイ ▲△▲△

 

 

 

 警備隊メンバーを集めての実技演習。

 

 今日のメインはゴブタですが……相変わらずゴブタはよく分からないですね。

 

「あ、あれはヨウムですね」

 

 崖の上に人影が見えたので警戒してみると、そこには英雄として鍛えていたヨウムとその仲間達……あの美人さんはどちら様でしょうかね。

 

 知らない人間……ん? 人間ですかね、なんか妙な気配を感じますが、知らない女性が居るのは確かです。

 

「おー、やってるやってる。相変わらず厳しいね、師匠は」

 

 自分でも目で追えるのがやっとの速度で剣を棒きれのように振り回していますが……ゴブタは頑張って捌いている……あ、クリーンヒットしましたね。

 

 あの速度の剣を捌けるのは今ではゴブタと私だけでしょう。

 私だけじゃなく、ヨウムの存在に気付いた人が多くなってきました。

 

「ヨウムじゃねぇか!」

「おおグルーシス……ってなんて有り様だよ」

 

 グルーシスは無駄な攻め気があったせいで、要らぬダメージが多いだけですけどね。

 

「ったく……、ハクロウ殿は正真正銘の鬼だな」

 

 ピクっと気にしていないフリをしている様子ですが、しっかりとハクロウお爺ちゃんの耳がグルーシスの言葉を聞いている様子がわかりますね。

 

「なんだユーラザニアの戦士ともあろうもんが、情けねぇな」

「うるせぇよ」

 

 ヨウム達の方へとグルーシスが向かうと、知らない女性にも気付いたみたい。

 

「……と、そちらは?」

「ああ。こいつはミュウランだ。今ウチで一番の手練れだ」

「一番? ってことは……」

「なんだよ、お前。こんな線の細ぇ女に負けたのか? 情けねぇのはどっちだよ」

「お? なんだよてめぇ。じゃあお前も戦ってみるんだな。万が一、ミュウランが負けたらお前のこと兄貴って呼んでやるよ」

 

 へぇ……ヨウムがやられたと……修行不足? いや、不意や搦め手にやられたと見るべきでしょうかね。

 

「おいおい英雄サマがそんなこと言っていいのか? 良いだろう、もしもその女が俺に勝てたなら、俺はお前の舎弟になってやる」

「ほ――!? 言ったな、撤回するなよ⁉ というわけだ、やっちまえミュウラン!」

「……あのねぇ」

 

 頭に手をあてて、ミュウランと呼ばれた女性が呆れている様子……気持ちはお察ししますが……ヨウムを負かしたという手腕は気になる所です。

 

 チラッとハクロウお爺ちゃんを見ると、手出しはせずに見守る感じで居ろとの指示がありました。

 

「このケンカ、私が受ける理由がどこにもないんだけど?」

「理由ならある。お前が侮られるのは、俺が我慢ならねぇ! それ理由だ‼」

 

 そう真っ正面から全力でヨウムに言われ、ミュウランも悪い気はしないのでしょうね……気恥ずかしそうに、少しだけ頬を赤らめている様子。

 

「……もう」

 

 なんというか、ライナやウィンが恥ずかしがって他所を向く仕草に似ていますね。

 

「お、やるのか?」

「仕方ないでしょ。ウチの団長のご所望だもの。先に言っておくけど、私は魔道師だから、そのつもりでかかって来なさい」

「へっ、ご忠告どうも」

 

 そんなやり取りをしているもんだから、ゴブタや他の警備隊メンバーがグルーシスやヨウム、そしてミュウランに気を取られていますね。

 

「こら、よそ見してると……アナタ達、やられますよ?」

 

 自分が一振り、加減して薙ぎ払うように木刀を振ると、全員にクリティカルヒットしました……気を抜き過ぎです。

 

「まったくじゃ。レイの言う通り。よそ見とは、余裕じゃのうゴブタ」

「あっ⁉」

 

 背後からハクロウお爺ちゃんがゴブタの脳天に木刀を振り下ろした。

 

 ぱっか――んっと良い音が響き渡り、ゴブタの悲鳴が空に向かって行きました。

 

「ぎゃっふんっす」

 

 

 グルーシスとミュウランの模擬戦は……あっけなくもミュウランの勝利で終わりました。上手くグルーシスを誘導し、落とし穴に嵌め、動けなくして終了。

 

 相手を舐めたグルーシスにも、色々な問題はありますが……ミュウランの方が上だというのは確かなようです。

 

 

 

「……ふっ。ぶははははっ。ほら見やがれ、いいザマじゃねぇか!」

 

 穴に埋められ、肩から上しか出ていないグルーシスを思いっきり笑っているヨウムに、ちょっと呆れながらミュウランは横目で見ています。

 

 

「面白いから人呼んで来ようぜミュウラン」

「それでも英雄かっ! 早く手ぇ貸せ‼」

「まぁ反省目的ならば良いですね。今回は相手を舐め過ぎたグルーシスの悪いクセです」

 

 とは言っても、これ以上は可哀想ですかね……。

 

「へっ? レイの姐さん! ちょっとなにしようとしてます!」

 

 面倒なので地面ごと吹き飛ばせば良いでしょう。

 

「これも修行。反省しなさい」

「まってく――――」

 

 思いっきり叩きつけて、グルーシスを空高く地面ごと浮かせてあげましたが……。

 

「やり過ぎました?」

 

 

「ふむ、力加減がいまいちかのぅ。少しヤツの周りに土が残っとるぞ」

 

 

 ハクロウお爺ちゃんが仕上げとばかりに、グルーシスの動きを封じていた土の塊を切り落とす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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