心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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112話 乙女心と裏の糸

 

 

 

 

 

 

 

   ▲△▲△視点:アウス▲△▲△

 

 

 

 

 久しぶりに帰ってきたヨウム達を迎える歓迎会で盛り上がっている面々は何時も通り。

 

「――ったく、まいったぜ」

 

 お酒のジョッキを机に強く置くグルーシス。

 

 グルーシスは無様に負けたという報告をレイから聞いていたが、どうやら本当らしい。彼もそれなりに実力がある人物なのに、それよりも上。

 それも魔法使いというのだから……。

 

「まさか落とし穴から抜けられなくなる、なんてよ」

「単純な魔法の組み合わせよ。大したものじゃないわ」

 

 シレッと言いながらミュウランもお酒をチマチマと飲んでいる。

 

「いやいや、あれは大したもんっすよ!」

 

 ゴブタがミュウランとヨウムの間に生えるように割って入る。

 

「ゴブタ」

「自分は確信したっす。姐さんの魔法があれば……あのジジイも倒せると!」

「おいおいジジイってハクロウ殿のことか?」

「シッ、声がデカイっす‼」

「なんか作戦でもあんのかよ」

 

 そんか事を密かに話し合っているが、こちらには丸聞こえなんだよねぇ。

 

『だそうだよハクロウ殿?』

「ふむ……少しは成長したか見てみるのも一興ですかのぅ」

『それじゃあ、ミュウランの方もよろしくお願いして良いかな?』

「えぇ、お任せください」

『といっても、上手く誤魔化されそうだけどね』

「ほっほっほ。その辺はアウス殿達が助けてくれるとありがたいのですがのう」

『はいはい、っと。どっか行くみたいし……ちょっと行ってくるよ』

 

 彼女の様子を見ていると、何というか矛盾してるんだよねぇ。

 楽しそうにヨウムの仲間と話しているのは本当っぽい。

 

 でも、ちょっと変な動きをしている事もある……。

 はぁ、こういうのはライナの方が向いているんだけどね。

 

「ミュウラン。酔い覚ましもいいが、夜風は冷えるぞ」

「え、ええ……」

 

 そう言いながらヨウムがミュウランにマントを差し出している。

 意外だね、もうちょっと鈍感系の男だと思っていたんだけど……ウィンやリムルが英雄に推すだけは、あるね。

 

「おお、今夜は月がキレイだな」

「……ヨウム、私、本当は……」

 

 何かを言おうとしたミュウランが急に止まり、お店の外へと走り出していってしまった。

 

 

「おい、ミュウラン!?」

 

 

『……なんだろう、あの感じからして思い止まったのかな?』

『う~ん、その割には変な感じだった気がするよねぇ。偶にウィンとリムルが「思念伝達」で喋ってる感じに似てるかもぉ』

『ちょっとエリア……自分の持ち場はどうしたの?』

『今はレイちゃんがいるし、大丈夫でしょう。それになんか恋愛的な波動を感じたし♪』

 

 空を飛びながらミュウランを観察していたら、そっとボクの隣にエリアがよって来ていた。そして、ヨウムとミュウランを見ながらニコニコの笑みを向けている。

 

『でも、そういうのを邪魔する存在って、やっぱいるんだねぇ』

『あのね……不確定なエリアの勘に頼る訳にはいかないんだけど』

『ぶ~、アウスはもうちょっと頭の中を柔らかくすべきだと思います!』

 

 ジト目でエリアを見つめていると、ふくれっ面で文句を言われてしまう。

 

『っと、そんな無駄話してないで追うよ』

『は~い』

 

 

 森の方へと走っていったミュウランが息を落ち着けるように、少し木の根元に座る。

 

「……わざわざ、ご連絡くださるとは、何事でございましょう」

 

 そう呟くように言うと、口を固く閉じて胸元に手をあわせて黙ってしまう。

 

『やっぱ、誰かと話してるっぽいね』

『相手は分からないけどね……』

 

 急に不安そうに、ちょっと頬が赤くなっている。

 

「……それは私が用済みという、ことでしょうか?」

 

 一人だと思ってか、所々が口に出てしまっている彼女の言葉に思わずエリアと顔を見合わせてしまう。

 

「最後……ですか?」

 

 ミュウランは胸の前で握っている手に力が入っていくのが分かる。

 急に出ていったミュウランを追ってきたヨウムに気付いて、彼女がヨウムの方を振り返って見た表情は……物凄く絶望に近い顔をしていた。

 

「大丈夫か? どうしたんだよ、急に走りだしたりして……」

「なんでも、ないわ」

「いや、お前……はぁ、とりあえず戻ろうぜ」

「えぇ、ちょっと外の空気を吸いに来ただけだから、すぐに戻るわよ」

 

 ミュウランの様子が変だとヨウムも気付いているようだが、特に掘り下げるようなことを聞かず、心配そうにミュウランの背を見ながら来た道を戻って行く。

 

『……どう思う?』

『そりゃ、恋路の邪魔をしている奴がいるんでしょう?』

『その恋愛脳をどうにかしてよ……好物なのは分かったからさ』

『人の恋路は見ていて楽しいからねぇ……ただ、それを利用する悪党っていうのは、ちょっと要らないかなぁ~って思う。甘酸っぱくてキュンキュンする感じが良いのにぃ』

『はぁ、まぁ大体は同じって事で良いかな? あの様子を見るに、きっと弱みは彼女自身と……ヨウム達、かな』

『そうじゃないかな。だって、この街に来た当初の彼女ってヨウム達と楽しそうに話してたもん。きっとさ、居心地が良かったんじゃない』

 

 その感じは分かる気がする。

 

『はぁ……どうしたもんかね……リムルとウィンが帰って来てから決めるか……少なくと彼女の様子は報告しておいた方が良いだろうし。あぁ~、面倒だよ、こういうの』

『私はミュウランちゃんて可愛いと思うし、なにか困ってるんなら助けてあげたいんだけどなぁ~』

『エリアは彼女とヨウムの関係が行き着く先が見たいだけでしょう』

『そうともいう……でも、あんなに辛そうな顔をしてる子は放っておけないっていうのは、間違いなく本心だよ』

 

 最後の一言は、真剣な表情でミュウランの背中を見ながら言う。

 きっとエリアと同じ様な事を、ウィンも言うだろうなって考えてしまった。

 

『全く……リムルやウィンが居ないだけでも厄介なのに……後手に回って良いことなんてないんだけどな』

 

 それでもエリアと同じ気持ちになってしまった自分の気持ちにも、嘘は付きたくはない。

 良く分からない相手が居ることは確かだ。

 

 とにかく、最悪にならないように努めるしかない。

 

 テンペストに住まう、皆の笑顔が好きなのはウィンも自分も一緒だからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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 今日はちょっと短めです_(._.)_

 最近は暑すぎて大変ですが、皆さまも体調管理にはお気をつけてお越しくださいませ。

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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