心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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12話 開拓、新天地、冒険者?

 

 

 

 

 

 

 

 ゴブリン達の村に戻って来てまず最初にしっかりと休んで、それから……約半日くらいだろうか。もうよく覚えていないが、ライナとアウスによるお説教とお願い事として、それぞれに一日、自分を好き放題に可愛がって良いという条件の下で解放された。

 

 その間にゴブリン達が着ている衣服がしっかりと改善されていき、女性は可愛らしくもしっかりと防御力が付与されているらしい服装になった。

 

 ちなみに、ゴブタだが嵐牙狼の召喚に成功していたらしい。というのもドワーフ王国に置いていかれそうになった時、怖い兵士達に囲まれたゴブタの脳内で一つの願いで満たされたらしい。この場から逃げたいと。

 

 その瞬間に嵐牙狼の召喚に成功。リムルの話ではおそらく「思念伝達」や嵐牙狼の持つ「影移動」の合わせ技だと思うとのことだ。

 

 意外にも天才肌なのかもしれない。

 

 ただ――スキルを誰かに伝授するような説明は壊滅的で、説明が全て擬音語と感覚的表現の為、教えてもらう側の全員が解らないという顔をしている。

 

 

『はいアウス。次はアナタの時間ね。アタシは周りの子達を手伝ってくるから』

「ん、ありがとう』

 

 自分は何も言わず、ただぬいぐるみの様にライナからアウスへと抱っこされたり、膝枕をしてあげたり、逆にしてもらったりという感じだ。

 

「おーい、リムルの旦那!」

 

 カイジンさん――カイジンが斧を肩に担ぎながら歩いてくる。

 

「お、終わったか?」

「あぁ、移動先の伐採はとりあえず終わったぜ。あとは移ってからボチボチ開拓するとしようや。あ~……ウィン嬢の方も頼むぜ」

「そうか」

 

『ん、まかせて』

「カイジンさん、助けてくれても――」

「おいおい、呼び捨てで良いっての。むしろウィン嬢とリムルの旦那は俺達より偉い立場に居るって事を忘れるなよ」

 

「りむる~」

「――さすが仕事が早いなカイジン」

「俺の打った斧だからな、当然よ。それに早く全員の寝床を確保しなきゃならんしな」

「ははは……」

「この意気地なし」

 

 この二人がなぜ露骨に自分を無視したように話をしているかというと……ライナとアウスによる圧のせいである。

 しかも、二人が開拓の手伝いをしてくれている内容も結構重要なポジションであるため下手に機嫌を損ねられず、逆らえない。

 リムルは更に自分と一緒にお説教をされて、それがトラウマレベルになっているらしい。機嫌が良い今の状態を維持したい彼等にとって、自分は生贄ということだ。

 

 話にも出てきたが全員の寝床を確保する為にアウスの地霊術が一役も二役もあるし、ライナによる光霊術も衣服や作業をする効率化に役に立っている。

 

 まぁ、問題はそれだけじゃあないんだけどね。

 

 がやがやと、進化しているゴブリン達に混じって数多くの小さなゴブリン達が居るのだ。それも何百という単位でリムルが必死に名付けをしている。

 

「さすがはリムル様とウィン様ですな。お二人の噂を聞いて庇護を求めて近隣の小鬼村から集まってきていますよ」

 

 帰ってきてビックリ、人口が一気に増えているのだから。

 

「……これ、どれくらいいるの?」

〈解。およそ、500名です〉

「ごひゃ……」

 

 初めは村に住むスペースが無いから全員住むのは不可能って事でお引き取り願おうかと考えたが、追い返した場合にゴブリン達がどうなるのか。リムルが「大賢者」さんに意見を聞いたところ。

 

〈解。ヴェルドラの消失により、ジュラの森は知恵ある魔物達の覇権争いが始まっています。進化前の小鬼族では淘汰されるでしょう〉

 

 ヴェルドラさんの消失は自分達二人が密接に係わっている事から、追い返すという選択肢は無いに等しくなった。

 

「リムル……頑張る?」

「はぁ……わかった、来たい者は来い。その代わり裏切りは許さんからそのつもりで! ウィンは一緒に名付けだからな」

 

 さすがに多すぎるから、リムルと二人で名付けをおこなっていた。

 自分の方が早めに終わり、作業禁止とお願い事を一緒に叶えるという事で、ライナとアウスに午前午後と別れて独占されている。

 

『ん、ウィンは良い匂いがするね』

「あんまり嗅がないでよ~」

『だめ。今の内に堪能しておく』

 

 ライナも朝から抱き着いて放さなかったが、アウスも同じ感じでピッタリとくっ付いて離れてくれそうにないな。

 

 

 ==名付けが終わって2日。 

 

 

 

「我が主よ!」

「お、おうどうしたランガ」

「測量を終えたミルド達を連れ帰ってまいりました」

「そうか、ご苦労だったな」

「はっ!」

 

 ランガの事だからリムルに会いたくて飛ばしてきたんだろう。ミルド達の顔色が物凄い事になっている。足取りもフラフラだ。

 

「ランガ……」

「ウィン様? どうかしましたでしょうか?」

「早く戻って来たい気持ちは解る……けど、誰かを乗せている時は自分が一緒じゃあ無い時とかにスピードの出し過ぎはダメ」

「……はっ」

 

 ランガの尻尾が分かり易くしゅんと垂れていく。

 

「俺でも「粘糸」を使わないと吹っ飛ばされるからな。ウィンの言う通り気を付ける様にな。まぁ、俺やウィンが居る時は好きに飛ばして構わないからさ」

「はい、ありがとうございます」

 

 尻尾をブンブンと回して風を巻き起こすが、自分が居る範囲ではそよ風に変えてあげられる。それが分かってから、ランガは自分の近くだと感情的に動く事が多くなった。

 

 たまに悪戯でリムルの方にはランガが起こした風をのままに流して、吹き飛ぶ姿を見て距離を測ったりている。

 

「さてと、それじゃあ出発するか。いざ、新天地へ」

 

 歩きやすくした道を、ゴブリン達の先頭を歩く。

 

 

 

 

     ★☆★☆  ★☆★☆

 

 

 

 

 ==数日は経過して、大体の家屋がしっかりと建って町らしくなってきた。

 

 

 色々と忙し過ぎて、久しぶりのゆっくりとした休暇でリムルと散策している時だった。

 なにか大きな物音を鳴らしながら移動している影があった。

 

 コツコツと集めていた魔素を使って足りなかったポイント分を「カード作成」に回し、頑張って霊獣のカードを引き当てたのだ。

 

 精霊獣の一匹で雷族の鳥型。「精霊獣カンナホーク」という子だ。

 後もう一匹の子も居るけど、その他の霊獣達は出てこなかった。やっぱり融合系カードは出てこないのか、何か別の条件があるのかはまだ分からない。

 あるいは、ウィンという自分がサイキック族にでも進化しなければ、霊獣テーマの子達は現れてくれないのかもしれない。

 

 ただ、ペンデュラムカードの子達も居るんだよね……扱いはどうなるのだろう。

 

 そんな訳で、自分とリムルで空を飛んでいる訳だが……まさか、変な事態に出くわすとは思わなかったな。

 

「アレってアリか?」

「多分ね、ジャイアントアントだっけ? 巣が近くに出来たからどうしようかって話し合ってた案件があったはず?」

「追われてるのは、人間だな。冒険者か」

「ねぇ、どっかで見たことない?」

「あ~、たしかに見たことがる気がするな……でも、何処でだっけ?」

 

 逃げている最中に一人が立ち止まって急に炎を纏い始めた。

 

「扱いになれてるなら良いんだけど……」

「危なくなったら助けるか」

「そうだね。もし火事になったら危ないから……どうしようかな、火霊使いでいこう」

「なんで水霊使いじゃないんだよ」

「鎮火するより、火その物を操って消す方が楽でしょう? 種火になって後に山火事なんて洒落にならないからね。こっちなら火の気配があればすぐに気付ける」

「なるほど、じゃあ俺は遠慮なくスキルを放てるな」

「巻き添えにしないでよ」

「雷系にするから、それならカンナホークが対応してくれるだろう」

 

 クァーっと可愛く鳴きながら、「仕方ないなぁ」という感じで返事をしてくれる。

 

 立ち止まった人は白色の服装で、仮面を被っている女性だった。

 すごく立ち回りが上手いし、戦い慣れている様子だ。

 

 

「シズさん、まだだ! 倒しきれていない奴が……っ⁉」

 

 動きはよかったけど、なんか焦っているのか力の制限か条件か、立ち止まってふらついている後ろに巨大妖蟻が迫っている。

 

「しかたないな」

「いってらっしゃい」

 

 リムルがカンナホークの背から飛び降りた。

 

「――伏せろ」

 

 リムルが警告すると、仮面の女性が地面に転がる様に避ける。

 

 それと同時にリムルが巨大妖蟻に黒い雷を落とす。

 急いで回避したからか、女性の仮面が飛んでいった。

 

「シズさん、大丈夫か‼」

 

 仲間の冒険者達が女性に近寄っていく。

 

「今の、黒い稲妻……みたいだったよな?」

「一体誰が……」

 

 男性二人は周りを警戒しつつ、もう一人の女の子は仮面を被っていた女性によっていって治療でもしている感じだ。

 

「うおおぉ、びっくりした……」

「手加減してあの威力?」

「あぁ、このスキルも封印決定だな」

「はい、あの人が落とした仮面だよ」

「おぉ、サンキュー」

 

 リムルが落とした雷で砂煙が舞っている中にそっと降り立ち、仮面を拾ってリムルに渡す。続いてすぐにカンナホークが降り立ち、周りの煙が一気に吹き飛ばされた。

 

「……スライム?」

「それに、女児?」

「むっ」

「女児……はぁ」

 

 たしかにぱっと見では幼いし、リムルにいたっては間違いなくスライムだけど。

 

「スライムで悪いか」

「あ、いや」

「助けてもらってその反応?」

「す、すまない」

「ほら、仮面。そこのお姉さんのだろ?」

 

 リムルが仮面を返した女性だが、ドワーフ王国で見た人だった。

 その事に自分は驚きはしたが、あんまり表情に出さない様に頑張った。

 

「すまんな、使い慣れないスキルだったんで加減がわからなかった」

「カンナホークが居なかったら危なかったよ」

 

 そもそも、使い慣れないスキルで助けるってどうなんだろう。試したかったのは分かるけども、サポートを全部こっちに丸投げなんだもんな。

 釘だけはしっかりさしておかないとね。

 

「ゔっ、ケガはしなかったか?」

「ええ……大丈夫」

 

 ようやくリムルも気付いたのか、仮面を渡した女性の顔をじっと見つめる。

 

「助かったよ。ありがとう」

 

 思ったよりも早くに会えたね、リムルの「運命の人」。

 実際に見ると本当に美人さんだ。

 

「はあぁぁぁ……」

 

 男性の冒険者達は気が抜けたのか、その場に腰を下ろした。

 

「どうした? アンタ達は大丈夫か?」

「もしかして怪我をしてるとか?」

「いや、精神的な疲労っつーか」

「あっしら3日も巨大妖蟻に追われていたんでやす」

 

「荷物は落とすし」

「振り切ったと思って休めば寝込みを襲われるし」

「装備は壊れるしぃ、くたくただし、お腹ぺこぺこだしぃ」

 

 やいのやいのと、次々に言葉が飛び出してくる。

 

【リムル、思い出した】

【あぁ、俺もようやく思い出したよ】

 

 この人達は以前ヴェルドラさんが居た洞窟ですれ違った冒険者達だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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