心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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121話 其々の心と初めの約束

 

 

 

 

 

 

   ▲△▲△視点:ライナ▲△▲△

 

 

 

 

 

「霊子崩壊‼」

『リムルっ⁉』

 

 魔法陣が連なるように展開されてリムルを囲うように光の鎖が魔法陣と共に空へと伸びている。

 

 浄化されてリムルの姿が焦げたチリのようになって、なくなっていく。

 

「……敵討ちなんて、望んていなかったかもしれないけど――さよなら……先生」

『なにが、敵討ちよ……』

「さて、貴方はこれから――」

『アンタなんかに話しかけられたくもない。さようなら』

 

 ヒナタを睨みながら自分の胸に光の楔を打ち込んで、口から血のように赤黒い物を噴き出しながらその場に倒れる。

 

「なにをっ⁉」

『アタシの主はね、ウィンだけなのよ。利用されるくらいなら、死んだほうがマシよ。リムルを無事に帰すって役割すら、ごほっ、果たせなかったんだかね』

 

 後は姿が光の粉のように消えていくだけ。

 アタシの姿があった場所に手を伸ばして何かを言おうとしていたが、姿が消えたことで彼女は何も言わずに、踵を返して歩いて行った。

 

 ヒナタの姿が見えなくなると、すぐに結界も解除され、何時もの心地良い風が吹いてきた。

 

 木の根元から雨も降っていないのに水たまりのようになっていたモノが、徐々に丸く集まってゼリー状になってかたまる。

 

「……ふぅ。……なんだあれ、怖すぎるだろ」

「我が主よ⁉ ご無事でしたか‼」

『心配だったの分かるけど五月蠅いよ、ランガ。まだ敵が居たらどうするの』

「悪いな、あんなこっ恥ずかしい演技までさせて」

『良いわよ、ああしないと下手するとアタシは囚われていたかもしれないしね。というか、彼女のスキルは厄介すぎるでしょう。あんなの真面に相手なんかしてられないわよ』

 

 全力で戦える状態なら、また話は別だけど……。

 

「しかし、一体どのようにして……」

『ソウエイが来て忠告してくれたでしょう。だから初めの戦いの時に光霊術で幻影体を生み出したの』

「後は俺が分身体を作成して、自分とライナを作ったんだ。入れ替わったのはイフリートを出して、辺りに炎やライナの光霊術で色々とぶっ放して目くらましをした時だ」

『ホーリーフィールドのせいでかなり制約があったけど、それが無かったとしても作戦も無しに戦える相手では、ないわね』

「あぁ、まったくだな」

 

 緊張していた状態から何とか落ち着いて、一息入れているとランガが戸惑った様子でいる。

 

「主よ、実は……先ほどからベニマル殿へ知らせようとしているのですが、影空間が繋がらないのです」

「え? そんな馬鹿な」

『結界はもう消えた……』

 

〈告。移動先が何らかの結界により隔絶されていると推測されます〉

 

 大賢者に言われて、とっさに思い付いた言葉はヒナタが言っていた言葉「君達の国が邪魔」だという発言だ。

 

『リムルっ‼』

「大賢者、転移可能な一番近くのポイントを探せ!」

〈了〉

「行くぞランガ‼」

「はっ」

『あっちにはウィンが行ってるのよ、何があったの』

「一体何が、起こっているんだ……」

 

 ヒナタとの戦いに時間を掛け過ぎたかもしれない、自分達の安全が第一だったとはいえども、まさかもうテンペストの方に手を出しているとは考えていなかった。

 

 

 

 ==すぐに移動して転移した先は封印の洞窟の場所。

 

 

 

 転移した先には自分達の存在に気付いたガビルがすぐに洞窟から駆け寄って来てくれた。

 

「リムル様‼ ライナ様‼ ランガ殿‼」

 

 その後ろにベスターも走ってきて、街が何らかの魔法に覆われて外部からの干渉を阻まれているのではないかと予想していた。

 

 それにミリム様の宣戦布告にユーラザニアの避難民受け容れ要請。

 そちらも気になるが、他国のことよりも、まずテンペストに起こった異変だ。

 

『ウィンはどうしてるの⁉』

 

 皆は首を横に振って分からないと伝えて来るだけだった。

 

 リムルの影から、ソウエイが現れてくれる。

 

「ご無事で何よりです、リムル様、ライナ様」

「ソウエイ」

『ソウエイ!? ウィンの事は――』

「こちらも色々と情報をかき集めるのに必死で、ウィン様がどうしているかは……まだ」

『そう、そうよね……ごめんなさい』

「そもそもウィンのヤツは何処に転移したんだ?」

『きっと……結界の、ね』

「いやそれは無理だったろ?」

『あの転移は特殊よ……ヒータの使い魔が見えたでしょう』

「あ、あぁ」

『……あれは、ヒータが倒されたから発動したのよ……きっと結界内に転移できたのはヒータの使い魔のお陰ね』

「は? ……おい、うそだろ……」

 

 それ以上は何も言えずに、目を閉じて街の方を向く事しか出来なかった。

 

 リムルはそれを聞いて結界の方へと走ってく。

 

〈内部に基点のある大魔法“魔法不能領域”の影響と、外部から仕掛けられた結界による魔素濃度の低下を確認〉

【魔素濃度の低下? ヒナタと戦った時の聖浄化結界と同じモノか?】

〈否。原理は同じですが浄化能力が弱く、劣化版だと推測。多重結界で抵抗可能です〉

【つまり、俺とライナなら、中に入れるってことか】

『そうね……「多重結界」が使えるリムルとアタシなら、中に入れるでしょうね』

 

 いち早く中へと入ってウィンの無事を確認したいけど、まずは外にいるソウエイやガビル達に指示を出さないといけない。

 

「俺とライナなら中に入れそうだ。町中で術を使ったヤツは俺が抑える」

『ソウエイとソーカ達は一緒に外から結界を張っている者の探索ね』

「頼むぞ、勝てると判断したなら殺さぬように無力化しろ」

「御意……恐らく、まだ始まりにすぎません。どうか警戒を……要因の一つは恐らく、人間の国……ファルムス王国が軍事行動を起こし、テンペストへと向かって来ております」

 

 

 多重結界で抵抗しながら、街へと入っていくと、すぐに人だかりが出来ていた場所に行きついた。

 

「リムル様‼ ライナ様‼」

 

 リグルドがいち早くリムルに気付いて、抱き着くようにリムルの前に一早く寄ってくる。

 

「よ……よくぞ……ご無事でっ‼」

「心配かけたみたいでスマンな」

「無事で安心したぜ、旦那」

「リムル様、報告と相談したいことがございます、こちらへ……」

「なぁ、あの人だかりって……」

 

 リグルド……アナタ、何を隠そうとしているの?

 

 そう聞こうと思った矢先に、別の場所から爆発音が響いてきた。

 

 

 

  ▽▼▽▼視点:ライナ(end)▽▼▽▼

 

 

  ▲△▲△視点:エリア▲△▲△

 

 

 

 

『グルーシス君、周りの様子はどうだった?』

「ああ、この混乱の中、例の武装集団の襲撃があったらしい……町の魔物が数十人は犠牲になってる」

「なっ⁉」

「みんな……私の大魔法のせいよ」

『ミュウランちゃん。嘘は良くないよ……特に、こんな状況ではね』

「全くだぜ、自分の魔法で動けなくなるような間抜けな魔道師なら、仲間にしてねぇよ」

 

 全く、自分が全部背負えば良いと思ってる子は……。

 

「話が違うわ‼ 「死ぬまで騙されてやる」とか抱きしめておいて」

「そ、それはそうだろ‼」

『ミュウランちゃんって偶にお馬鹿よね……』

「おい、念を押すけど、俺は許してねぇからな。あと、なんで俺がパシらされてんだ‼ 苦しいってのに」

『消去法でしょう~、か弱い女の子二人、うち一人は動けないし。この騒動の発端が人間達である以上、ヨウムを迂闊に動かせる訳ないじゃないの』

 

 ミュウランちゃんの事もあるから、ただでさえ迂闊に動けないっていうのにね。

 

「お前が誰かの命令でこの事態に関与してるってのはわかった。だが、逆に考えれば打開の鍵とも言える。いざとなりゃリムルの旦那に話を持ち掛ける‼ 話の分かる魔物だ、俺達が説得する‼ 必ずお前を守る‼」

『まぁ、拘束はさせて貰うけどねぇ。悪いけど……逃げようとしないでよ」

「どのみち、ずっとここにいる訳にもいかねぇだろ。まずは休める所に移動するか」

「……と、すまんミュウラン。元の姿に戻れるか?」

『そのままの姿だと、色々と不都合も多そうだしね。それには賛成~』

 

 そう自分達が提案すると、ミュウランちゃんが恥ずかしそうに身を縮ませる。

 

「……あの、変わるところ……見ないでくれる……? は、恥ずかしい……」

 

「ミュウランちゃん……それは、このお馬鹿な男達には刺激が強すぎると思うなぁ」

 

「大丈夫、気にするな。獣人はそういうの普段から見慣れてるし、さっきもいい匂いだった、なんなら俺も変わろうか」

「変わるのが何だってんだ、そんなのは本人の魅力とは全く関係ないはなしだ――」

『はいは~い、私が見張っててあげるから、馬鹿共は向こうに行ってなさい』

 

 水の壁を張って端っこのほうに追いやってやる。

 

「……ありがとう」

『ふふ、どういたしまして~。あ、グルーシス君は鼻も効かないようにしといたから、安心していいよ~」

 

 ミュウランちゃんが変わり終えると。

 殺気を飛ばしながら近付いてくる影があった。

 

「――魔人、か。嫌な過去を思い出す……。俺達の町に……やってくれたな、その女を連行する‼ 邪魔をするなよ」

 

『……ねぇベニっち。いま、冷静に物事を考えられてる?』

「…………五月蠅い」

「ベニマルの旦那!? 待ってくれ‼ ミュウランは確かに――」

「邪魔をするなと、言ったはずだ‼」

「今のアンタに、ミュウランを渡す訳にはいかねぇ」

「その魔人を庇う気か? ヨウム……リムル様への恩を仇で返すつもりかっ‼」

 

 グルーシス君とヨウム君がミュウランを庇うようにベニっちの前に立ちはだかった。

 ベニっちは怒りながら拳を振り上げて、爆炎と共にヨウム君とグルーシス君を吹き飛ばす。

 

「……いい加減、そこをどけグルーシス」

「……それは、出来んな。冷静さを欠いたいまのあんたらに、このヒトは渡せねーよ!」

 

 ヨウム君の方は強めに衝撃を受けたせいで、後ろへと吹き飛ばされて今はミュウランちゃんが守る様に抱きしめている。

 

「……そいつは、第一容疑者だ。お前やヨウムには悪いが、追求しない訳にはいかない」

『それ以上は駄目だよ。彼女は私がしっかり拘束しておくから、ベニっちはそれ以上、近付くの禁止ね』

「貴女まで……」

 

 ワザとミュウランちゃんに水霊術で枷を作って縛る。

 

『……!? これって……』

 

 水霊術でミュウランちゃんを覆い、自由を奪うように体中に水を巡らせて初めて気付いた事がある。

 彼女の心臓部に……。

 

「やめろベニマル‼」

 

 殺気を向けられながらも平然とベニっちの前に立っていると、リムル君の声が辺りに響いて、ベニっちを止めてくれる。

 

「リムル様……‼」

 

『ベニっち……リムル君……ちょっと来て、こっちの状況を説明するから』

「……分かった。その……すまない」

『良いよ、ベニっちの気持ちも……分かるから、ね』

 

 そう、途中から……気のせいだと思いたかったけど、いくら気配を探ってもヒータの気配を感じ取れなくなっている。

 

『それよりも、彼女の……ミュウランちゃんの事だけどね――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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